2011年09月18日

福島の思い出(17)配属先決定

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 四月から一二月まで運転員の三交代勤務だったのは、後にも先にも昭和63年入社の学卒新入社員のみです。最近はいつまで運転員実習が行われていたのでしょう。半年以上三交代勤務を続けるのは、二〇代前半の私にとってもかなり堪えました。
 右脇腹痛があったときに、発電課長から、「勤務の途中で盲腸になると困るから、さっさと切ってしまえ。」と言われたことは忘れられません。なんと社員を大切にしない会社なのだろうと情けなくなりました。まあ、大企業ならば多かれ少なかれ、こんな扱いなのかもしれませんが・・

 前年より学卒新入社員が運転員として1名のみ配属され始めました。「俺等の入社年度からは二人運転員に配属される」というまことしやかな噂がどこともなしに流れてきました。配属先の希望は、その前に聞かれており、私は「機械も予算も現場監督もできる 保修課 がいい。」と答えていました。
 配属先の辞令は、一月四日(本当は、一月一日というふざけた日の発令なのですが、事務所が休みなので、正月休み明けの一月四日になった)。私は中央大電気卒のTと同じD班でした。最後の方には、1−2号機の運転員は、D班からという噂まで。「確率半分」なわけですから、かなり気をもんだことを思い出します。

 年末年始の勤務は、次のとおり

12.28 水 1/2直
12.29 木 2直
12.30 金 3直
12.31 土 3直
1. 1 日 あけ(休み)
1. 2 月 休み
1. 3 火 休み

・年末に辞令を交付すれば、運転員を外れた場合には正月休みとなるわけですから、本来はそうするべき(実家にも帰れる)です。なぜ、1月1日辞令にしたのか、いまでも理解に苦しみます。(評判が悪かったため、次年度からは正月辞令はなくなりました)

昭和64年の正月は、原発の中央操作室で迎えました。夜食は、おそらく年越しそばを作ったはずです。(記憶なし)正月になったちょうどその時刻に、3−4号からページング(現場と中操で会話する呼び出しのこと)で「あけましておめでとうございます。」という挨拶がありました。おそらく、わたしのいた1−2号中操からも同じような挨拶をしたはずです。年越しの時には、さすがに現場にはだれもいませんでした。(通常23時くらいにパトロールを終了します)
 正月を原発の中央操作室で迎えたのは、当然ながらあとにも先にもこの日だけです。後日、給与精算があり、正月特別手当をもらいました。少し不思議だったので、同期の原子炉班に配属されたMにきいたところ「俺が給与マニュアルを読んで、12月××日〜1月××日までは正月特別手当が付くことをみつけて総務に指摘した。それでみんなに手当がついたんだよ。」と。随分と細かいところまで気がつくやつがいるもんだなと舌を巻きました。
 正月の勤務が明けてから、夜ノ森独身寮で朝食。なにやら豚汁を醤油味に変更し、豚が鶏になったお餅入りの(豚汁)が。なぜ、正月から、豚汁なんだろ?とその時は思いました。1年後になってわかったのですが、これが浜通りのお雑煮。私の母の実家は広島で、正月の雑煮はすまし汁とほうれん草+鶏の唐揚げ+かまぼこ でしたので、雑煮とは考えつきもせず。。日本の雑煮にはいろいろな種類があるのだなと初めて知りました。

さばきよ商店から
2011091803.jpg
なんとなく、こんなイメージでしょうか。関東圏は、こういったお雑煮が多いようです。

 さて、1月4日。発電課長の前で辞令を受け取りました。受け取った辞令には

「発電部 第一保修課 (タービン)を命ずる。」

と書かれていました。

■東電の思い出
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posted by いんちょう at 21:00| Comment(1) | 原子力

アメリシウム241とはなにか、どこからきたのか

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 東日本大震災後から、ずっと原子力の報道を見てきました。事実の報道すら訂正されたり、途中で報道が書き換わったりしています。こんなことはできるはずないから、報道は正しいと思わないことです。

・政府の発表は常に控えめに、そして徐々に大きくなる
・現場からの第一報はすぐに取り消されるが、あとから正しかったことがわかる
・事実は正確に伝えていても、その解説部分がウソ
・現場からの発表内容と権威のある機関の発表は、しばしば異なる。
・本当の内容は「デマを飛ばす」という理由の元に、検閲を受ける。
・報道されている内容もそうだが、報道されていない内容(当然、報道されるべき項目なのに-missing news-)にも目を向ける必要がある

を常に頭に置いておかねばなりません。

東京・八王子からアメリシウム241検出
2011年9月17日(土)18時20分配信 ゆかしメディア
 東京・八王子で、プルトニウムより1.3倍毒性が強いアメリシウム241が1キロあたり74ベクレル検出されたことがわかった。
 ENENEWSによると、八王子市内の土を7月29日に採取し、8月31日にテストを行った。サンプルは50グラムで、1キログラムあたり換算で74ベクレル検出されたという。
 アメリシウム241とは、プルサーマルによって発生する可能性が高くなるといい、3月14日に爆発した東京電力福島第一原発3号機(プルサーマル発電)から、飛来したものではないかとも見られている。
 半減期は458年という長期にわたるもの。プルトニウムよりも毒性が1.3倍強いとされる。現在、土壌や食品の検査で、調査されているの放射性物質はセシウム、ヨウ素などで、アメリシウムは検査されていないという。


 アメリシウムのことを聞くのは実は二回目です。この時に、いろいろと勉強しました。アメリシウムなんて、MOX燃料評価をした人でなければ、知らなかったと思います。

フェアウィンズ・アソシエーツ、アーニー・ガンダーセンインタビュー:「福島原発事故はわれわれが考えるよりはるかに危険」パート2から
ガ:何が起きたかというと、放射能の雲は海に出たあと、南向きに曲がって、それからさらに西向きに曲がったのです。ちょうどフックのような形ですね。放射能の雲は海に出てから、沖の風で南に運ばれ、それから西に運ばれて東京に達した。その雲に含まれていた粒子が車のエアフィルターに詰まっていました。ストロンチウム、セシウム、そしてアメリシウムです。燃料が損傷した証拠です。

 ここから、アメリシウムについて以前考察をしています。

福島第一原発3号機の定期検査現場をマスコミ公開しました (3号機定期検査状況)。から
燃料交換機の上から炉心を見た写真。制御棒が倒れないようにチェック模様に燃料を取り出します。取り出した炉心は青白く光っています。これはチェレンコフ現象(注1)と言い、神秘的な光を放ちます。
2011091801.jpg
・・私はこの光を見るのが好きで、定期検査の燃料交換の時など、ぼーと20分くらい眺めていたこともあります。確かにブルーの神秘的な光。

さて、次の記述が

使用済燃料貯蔵プールに格納された使用済燃料により、空いている格納ラックにもチェレンコフ現象が現れます。左上の囲われた箇所にはMOX燃料32体が保管されています。2011091802.jpg

 MOX燃料は、私が1995年に勤務していたとき、あと数年で使用する予定と聞いていました。

以下の資料は、全編アメリシウムに関わる評価と言っていいでしょう。
福島第一原子力発電所3号機の燃料プールに保管中のMOX燃料の健全性の確認結果について(PDF968KB)2010.5.21
福島第一原子力発電所3号機の燃料プールにおいて現在保管しているMOX新燃料(ベルゴニュークリア社/FBFCインターナショナル社製造)は、平成11(1999)年9月27日の発電所搬入後、10年以上水中にて保管してきた。
抜粋
燃料の組成変化の影響
MOX燃料は、燃料に含まれる核分裂性物質であるプルトニウム241が保管中に核分裂しないアメリシウム241に自然と変化していく特徴がある。(ベータ崩壊で変化する・・電子のみが核からでて質量数が変わらず、原子番号が一つ増える)
MOX新燃料にはその特性が経時変化するという特徴があり、プルトニウムのアメリシウムへの崩壊等の燃料組成変化によって、ペレット物性の変化や燃料の反応度低下および反応度係数の変化等の影響が想定される。しかしながら、これらの影響を考慮した評価および解析により以下のとおり問題ないことを確認した。
・ 生成するアメリシウムの量が微量であること等から、ペレット物性の変化等が燃料棒熱機械特性に影響しないこと

2.評価・検査項目の選定
長期保管したMOX新燃料に想定される影響を図 1に示す。プルトニウム 241のアメリシウム 241へのβ崩壊等の燃料組成変化の影響、貯蔵時の腐食等の保管中の環境からの影響、異物混入等の外的影響に対して、保管中のMOX燃料が現時点においても問題なく使用できる健全性を有していることを確認するために、評価・検査を実施した。今回の評価・検査で選定した確認対象項目と評価・検査方法を以下に示す。


・車のフィルターからすでに検出されている
・MOX燃料に含まれている

ことから、このアメリシウムの検出は、疑いようがありません。今まで、測定をしていなかっただけでしょう。

 それにしても、すぐに「誤報」説が流れるのには参ります。1カ所だけを取り繕っても、何の意味もありません。

八王子のアメリシウム241は未検出だった2011年9月18日(日)12時0分配信 ゆかしメディア
 東京・八王子市から放射性物質アメリシウム241が検出されたという情報で、分析依頼者が誤解による測定一覧表を作成し、「ENENEWS」がニュースとして掲載していた。実際には検出されていなかったことになる。
 ENENEWSの報道では、アメリシウム241が3.7ベクレル(1グラムあたり)検出され、1キログラム換算で47ベクレル検出されたとなっており、ゆかしメディアも引用する形で伝えた。
 しかし、実際には3.7ベクレルは検出限界値でもあり、限界値を現す不等号「<」を、依頼者が抜いてインターネット上で公開されていた


 一応、このように決着が付きました。が、東京でアメリシウムが検出されたのは、上記で述べたように事実でありますので、このままこのエントリーは継続します。アメリシウムも測定するべき同位体であることは間違いありません。(今までは、検査すらされていません)

 しかし、このニュースもかなりおかしい。検出限界が3.7Bqということがあるのでしょうか?プルトニウムなどは、0.0x Bq単位で発表されます。プルトニウムよりも毒性が高いアメリシウムの 測定下限が3.7Bq(1.0xE-10 = 100pCi)ということは納得できません。もう少し詳しく調べるべきだと思います。

■関連ブログ
3号機は燃料プール・・学会認めていた2011.6.23
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posted by いんちょう at 03:34| Comment(14) | 原子力