2013年11月05日

小泉純一郎の脱原発講演

小泉元首相が原発について語る/神奈川新聞(カナロコ)

小泉純一郎元首相は3日、横浜市西区で講演し、「原発ゼロへの大転換は夢のある事業。-世界のモデルになるようなエネルギーに変えていけるか、日本は岐路に立っている」と述-べ、重ねて脱原発への政策転換を訴えた。北里大医学部眼科、県眼科医会主催の市民公開-講座で語った。
 小泉氏は、首相在任中は「原発推進論者だった」と明かし、「(当時は)原子力の知識が-なく、安全でクリーン、しかも他のエネルギーに比べコストも一番安いと信じていた」と-回顧した。
 転機となったのは東日本大震災に起因する福島第1原発事故。「勉強すればするほど、原-発は安全でなく、コストも掛かる」と思い至った。
 10万年もの間、高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋設処分するフィンランドの施設を-視察し、原発ゼロの意を強くした。「日本はフィンランドと違い、地震もあり、地盤も軟-弱」と解説。「福島の事故前から住民の反対で(放射性廃棄物の)最終処分場を造れなか-った。事故が起き、今後、どんなに強い指導者が現れても、住民の反対を無視して10万-年も保管しなくてはならない処分場を造るのは無理だ」と断じ、「そんなことに莫大(ば-くだい)な投資をするより、国民が協力できる自然を資源にしたエネルギーに(政策の)-かじを切った方がいい」と訴えた。
 原発推進論者からの「無責任だ」との批判には論語の「過ちては改むるにはばかることな-かれ」を引いて反論。「最終処分場のめどを付けられない事実があるにもかかわらず、原-発はやっていけると考える方が楽観的で無責任だ」とボルテージを上げた。
 「環境先進国としての日本の技術はすごい。原発ゼロと決めれば、ピンチをチャンスに変-えることができる」とも指摘。「その方針は政治にしか決めることができない」と、原発-ゼロに消極的な安倍政権に再考を求めた。
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http://www.kanaloco.jp/(神奈川新聞@カナロコ)

 間の取り方といい、自分の講演内容を批判されたことを当意即妙に答えるところといい、さすが最後まで人気を保った首相だと感じます。しかも、この講演で素晴らしいと思うことは、「脱原発」で一本線が通っていて、寄り道を全くしていないこと。「郵政民営化」の手法そのもの。人間の能力なんて、所詮限られているのですから、一つのことに集中することこそ、大事だと思います。

これに対する反論は、たくさんありますが、たとえば自民党の広報誌−読売新聞(ネット上からは既に削除済み)

『小泉元首相発言 「原発ゼロ」掲げる見識を疑う』
 (10月8日付・読売新聞・社説)
 『首相経験者として、見識を欠く発言である。原子力政策をこれ以上混乱させてはならない。
 小泉元首相が講演で、「原子力発電に依存しない、自然を資源にした循環型社会」の実現を唱え、政府に対し、「原発ゼロ」の方針を掲げるよう求めた。東日本大震災を機に自らの考えを変えたという。
 小泉氏の発言は、政府・自民党の方針と異なる。政界を引退したとはいえ、看過できない
 安倍首相は、安全性が確認された原発は再稼働させ、民主党政権の「原発ゼロ」路線を見直す意向だ。自民党も原発再稼働の推進を選挙公約に盛り込んだ。
 小泉氏は原発の代替策について「知恵ある人が必ず出してくれる」と語るが、あまりに楽観的であり、無責任に過ぎよう。
 現在、火力発電で原発を代替している結果、燃料の輸入費が増え、電気料金は上昇を続けている。このままでは、家計や経済活動に与える影響が大きい。
 火力発電は、二酸化炭素(CO2)を多く排出し、地球温暖化が進む大きな要因である。
 太陽光や風力を利用した再生可能エネルギーは、天候に左右されるなど弱点があり、主要電源になる展望は見えていない。原子力、火力を主力にバランスの取れた電源構成を目指す必要がある。
 「原発ゼロ」が政策になれば、福島第一原発の廃炉などに必要な技術者も確保できまい。
 小泉氏は、「原発ゼロ」の理由として、原発から生じる放射性廃棄物の扱い方を疑問視し、「核のごみ処分場のあてもないのに、原発を進める方がよほど無責任ではないか」と主張した。
 使用済み核燃料や、それを処理した際に出る放射性廃棄物の処分法は技術的に決着している。
 専門家は地盤の安定した地層に埋めれば、安全に処分できると説明している。日本を含め各国がこの方法の採用を決めており、フィンランドでは建設も始まった。
 放射能は、時間を経ると減り、1000年で99・95%が消滅する。有害性が消えない水銀など重金属の廃棄物とは事情が違う
 問題は、廃棄物を埋める最終処分場を確保できないことだ。政府と電力業界は候補地を募ってきたが、自治体や住民の理解を得る努力がなお足りない。
 処分場の確保に道筋が付かないのは、政治の怠慢も一因と言える。首相だった小泉氏にも責任の一端があろう。処分場選定を巡る議論を進めるべきである。

私には何が言いたいのかさっぱりわからない評論ですが、たとえば、99.95%が消滅のくだり
使用済み燃料の表面線量は10万シーベルトありますから、1000年たつと50シーベルトになります。
これを無害と言えるかどうかは、今なら誰にでもわかる話。この記者は何もわかっていないわけです。まあ、自民党の広報誌ですから、仕方ないのでしょうが。

田原総一朗の政財界「ここだけの話」世論迎合では原発問題は解決できない 2013年10月31日
 小泉純一郎元首相の「脱原発」発言が話題になっていることは前回の本コラムで書いた。10月29日には、小泉さんは社民党の吉田忠智党首と会談し意見交換をしている。脱原発で連携を模索する社民党のラブコールに対して、小泉さんは「新党をつくる気は全くない」と語ったそうだ。
脱原発を唱えればすべてが解決するわけではない

 小泉さんはフィンランドで高レベル放射性廃棄物の最終処分施設「オンカロ」を視察し、無害化するまでに10万年以上かかると聞いて、「原発はダメだ」と確信し「脱原発」を言い始めた。

 しかし、そこには一つの“誤解”があるように思う。脱原発を唱えればすべてが解決するわけではないということだ。すでに使用済み核燃料が各原発で大量に一時保管されており、これらをいつかは処理しなくてはならない。そのほかにも、やらなければいけないことが数多くある。

 たとえば東京電力・福島第一原発の汚染水処理をどう収拾するのか。あるいは同原発の1〜6号機の廃炉問題。1機につき40年はかかると言われており、それをどうするか。福島の除染、原発の再稼働問題……。

 「脱原発」であろうと「原発推進」であろうと、いずれの問題も今後解決しなければならないのだ。「脱原発」を唱えれば問題が解決されたような錯覚になるとしたら、それは間違いだ。(以下略)

どこの誰が、脱原発で全部解決すると思っているのでしょう。脱原発したうえで、困難な事故収束を測っていかなければならない、廃炉をしていかなければならないことなどみんなわかっています。
以前紹介しました「再稼働しなければ、高レベル廃棄物の処分費用をまかなえない」ホリエモンのサラ金理論のように、全く理論的でない理論を振りかざすのが得意なようです。
 誰が正しいかなんて、ちょっと考えてみればわかる話です。

 小泉一郎の脱原発はまっとうです。これはワナだ、騙されないようにしよう などという自称『脱原発』派が少なからずいることに驚きを覚えています。小泉の後ろについて行かなければ良いだけ。自分の頭で行動をしている限り、騙されることはありません。
 小泉の主張している「脱原発」は現実的ですが、「脱被曝」には現実的な解法はありません。それが、2013年の日本の引きずり込まれてしまった現実です。

他の講演。書き下しもどうぞ
小泉元首相「脱原発」講演 全容を聞くよりBS-TBS 2013.10.20

◆関連ブログ
原発ゼロの小泉純一郎と、再稼働を推進するJR東海2013年10月03日
山本太郎氏の変節?−脱原発は非現実的、1ミリ避難ではなく、5ミリの避難を優先させよ−2013年09月03日2013年07月28日
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posted by いんちょう at 23:59| Comment(13) | 原子力