2013年11月14日

「自動車よりも安全」・原発のトンデモ安全論の数々

 原子力推進者たちは、勤勉です。先生に言われたとおり、聖書に書かれているとおりのことを、ある時期を境に異口同音にしゃべり出します。まるで、どこかに学校があるかのようです。私が本店の原子力技術課にいたときには、国会答弁の資料を随分と作らされました。

1.東電に置いてあるQ&Aの「聖書」を参考にしながら、模範解答を作る。
2.それを参考にして資エネの担当者がまとめる。
3.それを資エネの責任者が聞く
4.国会議員が答弁する

 ざっとそんな状況です。小泉首相が原発政策は専門家に任せていたので実情は知らなかったというのは当然のことです。そもそも、勉強する時間なんて、政治家にあるはずもありません。

たとえば、子供用の服で有名なミキハウスの木村皓一社長
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2012.7.4のインタビュー記事のなかで

「原発は危険というけど、(原発が稼働した)この50年で、交通事故で100万人以上が死んでるわけです。原発でそんなに死にましたか?」

と発言しています。子供服を販売する会社の社長としてはまったく持ってあり得ない発言ですが、この発言も、もちろん本人が考えのではありません。

原子力発電はどれくらい安全か 原子力システム研究懇話会 村主 進
(原子力システムニュースVol.15,No.4(2005.3)に掲載)
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(前略)
チェルノブイリ事故における厳重管理区域住民の放射線被ばくを基にして、わが国において万一、大量の核分裂生成物を放出するような炉心損傷事故が生じた場合の、最も高い放射線被ばくをするグループのリスクを評価してみる。このために、厳重管理区域住民の平均寿命を日本人と同じく80歳として、厳重管理区域住民の生涯の80年間における死亡確率(過剰死亡確率)を求めると約0.005と評価される。

これを日常生活における事故と較べて見る。例えばわが国の自動車事故を考えれば、80年間の生涯における自動車事故による死亡確率(過剰死亡確率)は0.009である。

このことは、健康上のリスクに関しては、チェルノブイリ事故のような炉心損傷事故のリスクは、自動車事故のリスクより少ないか、若しくは評価誤差を考えても同程度であると言える。
(中略)
原子力発電所敷地内に10基(10原子炉)の原子力発電所があるとして、日本人の生涯の80年間にこの敷地内で炉心損傷事故を起こす頻度は、

1×10−7(/炉・年)×10(炉)×80(年)=8×10−5

となる。

炉心損傷事故によって最も高い放射線被ばくをするグループでも、リスクが自動車事故と同程度であるので、事故発生頻度を考えると、原子力発電所の安全性は自動車事故よりも一万倍以上安全であることになる。

なお、過去に炉心損傷事故を起こした米国のスリー・マイル島原発、旧ソ連のチェルノブイリ原発はわが国の原子力発電所とは安全設計の異なるものであって、わが国の原子力発電所の炉心損傷事故頻度の参考になるものではない。

原発事故と自動車事故を比較する−まさしく受け売り。権威のある誰かに言われて鵜呑みにして、こういった発言をしているのでしょう。このような発言をして、子供服ブランドに傷はつかないのですか?

そして、最近耳にするようになった巧妙なデマ

ご存知、池田信夫大先生
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原発は「トイレなきマンション」か 2012年10月19日(金)13時22分
(前略)
ここで主として想定されているのは、地震によって核物質が地下水に漏れ出すリスクだが、これはダイオキシンやカドミウムなどでも同じだ。放射能は時とともに減衰するが、こうした有害物質の毒性は永遠に変わらない。放射性廃棄物より毒性の強い物質はたくさんあるが、地下300メートルに埋めることは義務づけられていない。なぜ核物質だけに「千年・万年単位の危険性」を除去することが求められるのだろうか。
半減期でなくなるから放射能のほうが安全。なるほど、うそではありません。どこかの誰かが、大衆など簡単にだませるとうまいことひねり出したのでしょう。使用済み核燃料は、数万年の管理が必要といわれています。これを永遠といわずして、いったい何が永遠になるのでしょうか。

自民党の中でもバリバリの原発推進論者である細田 博之(元通産官僚)幹事長代行
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と、高レベル放射性廃棄物の量が少ないことを原発推進の理由に掲げていますし、そういえばJR東海の会長も同じ趣旨を発言しています。福島で放出されたセシウムの量など、ペットボトル一本分になるかどうか程度ですから、すべてを集めることができれば、たしかに「驚くほど少ない」というのは間違ってはおりません。しかし、一度拡散されてしまえば濃縮することなど不可能なのですから、この発言も実情をまったく知らない机上の空論です。

 あまりにも勉強熱心で、恐れ入ります。

ほかにも
・プルトニウムの毒性は、食塩と同じくらい
・被曝の被害は、喫煙と同じレベル

等々、この程度の稚拙な議論に易々とだまされる自称経済専門家、医師たち。彼らに自分の脳みそはあるのでしょうか。

◆関連ブログ
ミキハウス社長「原発は危険というけど、(原発が稼働した)この50年で、交通事故で100万人以上が死んでるわけです。原発でそんなに死にましたか?」2012年07月04日
原発ゼロの小泉純一郎と、再稼働を推進するJR東海2013年10月03日
小泉純一郎の脱原発講演2013年11月05日


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posted by いんちょう at 23:06| Comment(28) | 原子力