2020年07月25日

京都安楽死事件−その背景を探る

京都で難病ALS患者を安楽死させて、医師二人が逮捕されました。
安楽死したALS患者女性の語った言葉とは 京都安楽死事件、医師2人逮捕
2020年7月23日 11:40
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 全身の筋肉が動かなくなっていく神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した林優里さん=当時(51)、京都市中京区=が、医師2人から薬物を投与され殺害された安楽死事件。京都府警捜査1課などは23日、いずれも嘱託殺人の疑いで、呼吸器内科医の大久保愉一容疑者(42)=仙台市=と、医師の山本直樹容疑者(43)=東京都=を逮捕したことが捜査関係者への取材で分かった。
 安楽死は、手塚治虫のマンガにもドクターキリコが出てくるように、医療の本質的な問題でもあります。治療によって元気に動き回れるようになれるのであれば、もちろんすばらしいのですが、一番うまくいって寝たきりという方もおられます。
 ブラックジャックの中では、身体の大半が機械となり、それでも生きている高齢の女性が出ていました。もちろん、費用がかかるわけですから、その女性以外の家族は食うや食わず。それは、果たして許されるのかと言った問いでした。
 望みのない患者がキリコに自殺を頼み、ばれないように殺す、それをブラックジャックが何とか助けようとする−何度も出てくるストーリーです。

 この方面については、答えはありません。しかしながら、医療は人を生かすためにあります。人を殺す方法は勉強しません。私が医学生の頃、同じような安楽死事件があり、そのときに使われた薬物が「筋弛緩剤」でした。この薬物を利用したことに対して、当時の麻酔科の教官が、全く持って許されない。これは「安楽死」ではないと怒っていました。筋弛緩剤を使えば呼吸ができなくなるから死にます。が、呼吸したいのに呼吸できないのだから、これは拷問だ。こんな薬剤を使っては絶対にだめだと我々学生に向かって、発言していたことだけは覚えています。まず、今回の安楽死事件でも、この薬物が一番気になりました。

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posted by いんちょう at 20:41| Comment(0) | Covid-19