2014年08月09日

1136.フィンランドの原発は、本当に安全なのか?

・フクシマが起きたにもかかわらず、原発推進の旗を降ろしていない欧米の国の一つとしてフィンランドがある
・世界最高の安全性を持つ原発を建設し、さらに最終処分場まで建設するという触れ込みである
・フクシマを経験した日本人にとっては、「絶対安全な原発」など存在しないことは明らかではないのか。

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 世界最高水準の安全性を持っているとされているフィンランドの「オルキルオト原発」。新潟県の泉田知事や、報道ステーションで取り上げられてご存じの方も多いことでしょう。

原発の”世界最高基準”。驚きの現実・・・日本は遅... 投稿者 kotetsu1111

 フクシマ後にもかかわらず、「二酸化炭素温暖化」を盲信して、原発建設を進めるフィンランド。一部では、原発推進の鏡として取り上げられることも多いのですが、本当でしょうか。

まず、オルキルオト島
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右の強拡大の地図で、左側にあるのがオルキルオト原発、右側3キロ程度離れたところにあるのが、最終処分施設のオンカロ。小泉首相は、フィンランドの辺鄙な島にあると演説していましたが、なんのことはないフィンランドの海岸を構成している島に過ぎませんでした。それにしても、最終処分場と発電所が近すぎないでしょうか?

 島ですから、行き来するのには当然橋が必要なんですが、それがたったの一本2014080930.jpg
地震が起きなければ、これで安全なんでしょうか?そもそも、プラントメーカーは、フランスだったり、ロシアだったりするわけで、何かトラブルが起きた場合は、いったい何をどう運ぶつもりなのでしょうか。

実際のオルキルオト原発(左から、最新鋭の3号機、2号機、1号機)2014080901.jpg
1,2号機が WH のBWR(沸騰水型)、3号機がAREVAのEPR(加圧水型)でメーカーも炉型も何もかも違いますから、運転員の養成、メンテナンスだって大変です。原電を除いて、日本では同一発電所では同一炉型としています(出力の差があるにせよ)。後々のことを考えれば当然です。これでは燃料も、燃料プールも何もかも、別設計にせざるを得ません。大丈夫なんでしょうか。

 設計段階から、2重の格納容器、コアキャッチャー、すべて安全を第一に、カネのことは考えずに設計しているとみんなが胸を張ってます。2014080903.jpg2014080904.jpg2014080905.jpg2014080906.jpg2014080907.jpg
 外部、内部で何が起きても、二重の格納容器にしていれば大丈夫と言い切れるところが凄い。この程度で核爆発を封じ込めることができるのなら、原子の火もたいしたことありませんね。フクシマであんなことが起きていながら、この程度の説明で納得しているテレビ朝日取材陣もちょっと情けない。

スリーマイル、チェルノブイリを受けて、日本でも1990年代半ばぐらいから、ベントほかの対策は一応はやっています。まあ、コストの問題で金をけちったために、フィルターベントなどは取り付けてはおりませんが。
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日本の原発が何もしていないというわけではありません。

そして、ご自慢のコアキャッチャー
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溶けた核燃料が空冷で冷やせるほどの熱量しか発生しないとはとても思えませんし、そもそも、この炉心の下にあるドレン経路がドロドロの核燃料で詰まってしまわないのでしょうか。こんなに核燃料とはさらさらしているものなんですか?そして、こうなった核燃料はどうやって取り出すのでしょう?私には機上の空論のようにしか思えません。

そして、人の手を借りないから大丈夫と豪語するフィンランド電力関係者2014080916.jpg2014080917.jpg2014080918.jpg2014080919.jpg
フクシマだって、もちろんこのような設計をしています。フクシマで問題だったのは、電源がすべて消失し、さらには海水系の設備がすべて破壊されてしまったことです。フィンランドの原発も何らかの外的要因で機器がなくなったら、こんな安全設備は何の役にも立たないのは明らかです。フクシマが起きるまでは、日本の電力関係者も全く同じことをしゃべっていたのはご存じの通り。(ここも、テレビ朝日取材者は突っ込むべきところで、感心しているようではフクシマを何も勉強していないと言うことになります)

そして、建設費は当初予定の3倍を超え、1兆円を超す規模に2014080922.jpg2014080923.jpg
 建設しているメーカーが、重要な自社設備の売却するなんて、考えられないことです。日本で言えば、東芝が原発建設費用を捻出するために、パソコン、半導体事業を売却するようなものでしょう?なぜ、自腹を切ってまで、建設する必要があるのか。全く不思議なことです。

そして、アレバの白々しい「我々は安全を一番に考えている」との表明2014080924.jpg2014080925.jpg
 だからといって、自社のドル箱を売却してまで、なぜ建設し続ける必要があるのか。建設費用がかかるのならば、施工主のフィンランド電力会社に請求するべきですよね。通常。

覚悟がとんでもないフィンランドの原発事情
なるホームページがありますが、もはや精神論で褒めちぎってます。
安全と責任感を示すため、電力会社の本社は原発の敷地内に建設した
→ 本社を敷地内に建設すれば、事故が防げるのでしょうか?こんな大和魂みたいなことで国民が納得?

住民の安全対策への意識も高く、福島の事故後すぐに薬局からは安定ヨウ素剤が消えた
→本当に意識が高ければ、安定ヨウ素剤を備蓄しているはず。それなのに事故後、薬局から消えたってことは、事故のことは想定していなかったことになります。

紙やパルプが主力産業なので大量の電力を安く手にしたい
→原発の発電コストが実は一番高いことは常識です。それでも推進している国が多いのは、核保有を目指しているから。フィンランドが原発コストの「神話」に未だにだまされていることに、正直驚きを感じます。どこが意識が高いんでしょう。
矢印以降は、私のコメント

オンカロの場所
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写真の下にあるのがオンカロ。すぐ近くに湖がありますが、地下水が本当に全然出てこないんでしょうか?不思議です。
 そもそも、フィンランドは湖沼でできている湿地帯の国。一度放射能を飛散させるような事故を起こしてしまえば、これらの湖はすべて汚染され、何もできなくなります。土地よりもさらに始末が悪いでしょう。しかも、フィンランドの人口は500万人足らず。原発事故の賠償積み立てなどやっているとはとても思えませんが、万が一の事故の時はどう処理をするつもりなのでしょうか。安全装置を幾重にも作っているから、事故は起きない、だから賠償のことなど考える必要はないとしているのならば、日本と全く同じです。

さらに、ロシアと建設交渉をしている新規原発立地点2014080933.jpg
これは、日本の玄海、若狭湾とほとんど変わらない立地点です(地震、津波はないのでしょうが)

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左:美浜原発 右:玄海原発

原発事故が起きる原因は、地震と津波だけなのでしょうか?フィンランド原発のいったいどこが安全か?といった切り口でまとめていただきたかったと本当に思います(まあ、それでも日本よりは安全なのは確かではありますが)

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posted by いんちょう at 21:17| Comment(3) | 原子力
この記事へのコメント
フィンランドの現実を知れば原発廃止は日本人自身の力でやり遂げなければ為らないとする先生の主張がより説得力を持ちます。 日本人自身の力でやり遂げなければ為らない。
Posted by ホールインワン at 2014年08月10日 14:00
福島第一のようにならないか、懸念します。
フィンランドの場合も、
適応できるでしょうが、
そもそも、政府が、
「原発は絶対安全」「福島第一は完全にコントロール下」「健康被害は0」と言うならば、
政府は、放射能の風評被害を消す、
一番説得性のある方法として、
国会議事堂と、霞ヶ関の官庁街を持って行って、
福島県双葉町に遷都、全国会議員と全役員が、家族と一緒に
定住すべきだと考えます。
現地は、土地も広い上、空気も美味く、魚も珍味です。
物価や運営費の安い郊外に、政治の中枢を持つことで、
大都市圏で、有事があっても、
国体は保存出来ます。
まさに、真の意味での、
集団的自衛権です。
しかも、安倍政権の場合、
福島第一原発から、僅か15kmの所に、
公営住宅を建造中と訊いています。
彼ら自身が住まないで、
他に一体、誰が住むのでしょうか?
Posted by フィンランドも、日本のコピーのような事をやってるんですね at 2014年08月10日 18:44
無限大に危険な巨大核パワーに、安全という言葉も、存在も有り得ない。
−∞ + ○ + △ = ?
Posted by 核犯罪 at 2014年08月10日 19:21
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