2014年09月30日

1174.火山噴火による死者を「心肺停止」と報道するマスコミ

2014093001.jpg・御嶽山の噴火によって山頂で死亡した人が、3日以上たっても「心肺停止」として報道されている。
・この表現に違和感を覚える人は多いが、「昔からそうだった」と主張する人が少なからずいる。
・誰がどう見ても死亡しているのにもかかわらず、「心肺停止」とごまかしている様は、大本営発表を無責任に垂れ流したマスコミの思考回路そのものである。

 御嶽山の火山噴出で、違和感を覚えたのが「心肺停止状態」なる表現です。311以前にはこんなふざけた表現は見たことなどありませんでした。2014093003.jpg2014093004.jpg

 大規模災害で発表されるのは、死者××名。行方不明××名 といった表現だけで、「心肺停止」などというまるで、生きているかのような表現−通常は蘇生可能な状況−を使うのは明らかに不適だからです。まず、この「心肺停止」をどのような文脈で使っているか。

29日は正午ごろまでに8人を収容2014.9.29 13:15 [自然災害]
 長野県などによると、御嶽山の噴火で心肺停止状態の登山者のうち、29日は正午ごろまでにさらに2人を麓に搬送した。同日の搬送者は男性が5人、女性が3人の計8人になった。
心肺停止状態が数分続けば、死亡するわけですが、このニュースでは、「心肺停止状態の登山者」と生きているのか、死んでいるのか、さっぱりわかりません。

 ところが、自衛隊の証言を見ますと・・
降り続く噴石、ぬかるむ火山灰、硫化水素 陸自指揮官、過酷な捜索状況明かす 「捜索は見える範囲に限られる…」2014.9.29 20:14
 いまだ噴煙が立ち上る山頂付近に取り残された登山者の捜索に当たる陸上自衛隊と長野県警の現場指揮官が29日、産経新聞などの取材に応じ、過酷な現場の様子を語った。有毒ガス、火山灰、噴石…。幾重もの障害に阻まれ、目前の登山者を収容できずに捜索中断を余儀なくされる。命の危機とも背中合わせの捜索現場の様子が明らかになった。

 標高約3千メートルの山頂付近。「誰かいらっしゃいますかー」。隊員は見渡す限り灰に覆われた急斜面で声を張り上げ、周囲を見回す。自分たちのかけ声以外には「ゴゴゴゴゴ…」と不気味にうなる火山の音だけしか聞こえない。登山者を発見すると声をかけ、反応がなければ、呼吸を確かめて脈を取る。収容困難な谷間近くで発見することもある。全身が灰に埋もれていれば、今の方法では見つけることは難しい。

(中略)

 心肺停止状態とみられる登山者を搬送中に収容を断念することもあった。金森副隊長は「非常に心苦しい。個人なら救助を続けたいが、隊員の命を預かる身ではそれは間違いとなる」と現場の苦しみを語った。
本当に手当が必要な状態ならば、「収容を断念」することなどあるはずがない。そもそも、「救助」ではなく、「収容」と言う表現を使っている時点で、死体であることは明らかです。そして、これらの「心肺停止状態の登山者」は病院ではなく、廃校の小学校に搬送されています。

御嶽山噴火 新たに心肺停止状態の8人を収容09/29 15:02
長野県と岐阜県にまたがる御嶽山の噴火で、29日、新たに心肺停止状態の8人が収容された。
御嶽山では28日、31人が心肺停止の状態で見つかり、長野、愛知、岐阜の男性4人の死亡が確認された。
29日朝も、500人以上の態勢で、残る27人の救助が始まり、午前中に、自衛隊のヘリによって新たに8人が収容され、麓の廃校になった小学校に搬送された。
つまり誰がどう見ても、死んでいるのは確かなわけです。

2014093005.jpgつまりトリアージタグで黒。をつけられる状況
・生命徴候なし
・直ちに処置を行っても救命が明らかに不可能なもの


そして、この「心肺停止××名」といった表現に違和感を覚える人が多いことは、次の記事が証明しています。

御嶽山噴火でも使われた「心肺停止」 なぜ「死亡」といってはいけないのか2014/9/29 19:11
長野、岐阜県境にある御嶽山の噴火で、山頂付近に残された人たちの救助活動が難航している。

警察は「心肺停止の状態」で発見したと発表している。被災者の身が案じられるが、果たしてどのような状態なのだろうか。海外メディアでは日本独自の表現だと説明している。
海外メディアでは「死亡」「遺体」と断定的なところも
動画サイトに投稿された噴火時の様子
動画サイトに投稿された噴火時の様子

御嶽山が噴火したのは2014年9月27日11時52分。週末だったこともあり、山頂付近は約250人の人でにぎわっていたと推測されている。

捜索の進展とともに、被害状況が明らかになり、29日14時30分現在で32人が心肺停止の状態で発見された。その後に救出、搬送が進み、28日夜に同様の状態で運ばれた4人の男性と合わせて、10人の死亡が確認された。あくまで心肺停止の状態と死亡した人は別に数えられている。

御嶽山の噴火は海外メディアでも大きく取り上げられているが、「心肺停止の状態」の報じ方は大きく違う。"cardiac arrest"や"heart and lung failure"などと英訳されており、いずれも日本語に直訳すれば「心肺の停止」だ。

AFP通信は"cardiac arrest"を「医師が死亡を宣言する前に使われる」と説明。ウォール・ストリート・ジャーナルは「死亡しているおそれがあるが、医療的に正式な死亡が宣言されていない」と補足する。

"heart and lung failure"を使ったAP通信やワシントンポストは「日本の当局による、医師が診断する前の遺体の慣例的な言い方」と説明した。英語圏以外では、中国の中国新聞網が「無生命跡象(生命の兆しがない)」と書いており、生存にかなり悲観的な表現だ。

海外メディアは見出しで"At least 31 people believed dead(少なくとも31人が死亡したとみられる)"(AP通信)、"Mt Ontake rescue teams find 31 bodies(御嶽山のレスキュー隊が31の遺体を発見した)"(BBC)と断定的に書いており、心肺停止の状態と死亡が確認された人を一緒にカウントしている記事が多い。
日本は死亡確認に医師の診断が必要

関西福祉大学の勝田吉彰教授によると、「日本で心肺停止の状態とは、心音が聞こえない『心臓停止』および『呼吸停止』の状態を指します」という。死亡確認にはこの2つだけでは十分ではなく、「脈拍停止、瞳孔散大と合わせて、4つすべてを医師が診断することが必要です。医師が宣言し、初めて死亡が確定します」と語る。海外ではこうした手順が踏まれるとは限らないため、日本と大きな違いが出ているようだ。

長野県警も、「医師の診断がまだできておらず、心音と呼吸が停止していることから判断」(同広報)して、「心肺停止の状態」と発表している。

なお、心肺停止の状態から息を吹き返すケースはある。たしかに、街中で倒れた人が心臓マッサージやAEDを施されたり、病院で強心剤を投与されたりして蘇生することはある。ただし、あくまで迅速に必要な手当てがされた場合がほとんどだ。「山頂付近に残る人たち」の一刻も早い「救出」が望まれるが、有毒な硫化水素が充満しており、二次災害の恐れから捜索は打ち切られ、再開は30日に持ち越されている。

どうやら「権威のある」医師が診断しない限り、死亡したと認めない という官僚大国にいつの間にかなったようです。おそらく、これは福島原発での死亡事故も「心肺停止状態」として発表していることにもつながるのでしょう。
 3日間も頂上で放置された「心肺停止状態」の登山者が「死亡」と判断できない脳死状態になっているマスコミ記者、報道各社。もっとも、いつものことながら、昔ながらそうだと主張する人もいます。


 まるで、「敗退」を「転進」あるいは「戦果多数」と表現した大本営をそのまま垂れ流した戦時中のマスコミを彷彿とさせます。これならば、医師さえいなければ、このように死者はいない。などというふざけた話になりかねません。やくざの抗争で殺されても、「心肺停止状態」のやくざ と発表するのでしょうか。

 あまりにもひどいので、白骨死体も「心肺停止状態」の白骨 と表現するのか? と揶揄しましたところ、それは「心肺喪失状態」ですよと返されてしまいました。

 いつまで、このばかげた権威主義、形式主義、官僚主義を続けるのでしょうか。




posted by いんちょう at 15:56| Comment(25) | 原子力
この記事へのコメント
ご遺族の心理状態を慮っての表現かな。
岩陰に24時間生存した女性もいましたね。
心配停止状態の表現は今回からです。
富士山も大涌谷も兆候有れば、立ち入り禁止
冬山も大変ですよね捜索が
Posted by 農家 at 2014年09月30日 16:33
私も50年生きていますが、これまで心肺停止が何十人なんて聞いたことがありません。wikiで「心肺停止」を見ると「蘇生の可能性が残されているため死亡状態ではない」と書いておきながら、「報道用語としての心肺停止」として、明らかに今回の御嶽山噴火後に付け足したような記載が見られます。「今までもそうだった」なんていうのは、明らかに後出しジャンケンです。少しずつどこかに誘導されている気がします。
Posted by nn at 2014年09月30日 17:00
「御嶽山で「爆発的事象」が確認されました」とか
言い出さないだけ、マシだと思っております。
Posted by えぼし at 2014年09月30日 17:08
官僚大国だと感じます。

町中に監視カメラが取り付けられていて、私たち一般市民を監視しているのではと感じます。

最近行われた行政もかえって不便になることばかり。

311以降に世の中の茶番、矛盾に気づくことができたのはいいことですが、まだまだ知らない人はたくさんいるんだろうと思います。


Posted by いつもみてます at 2014年09月30日 17:46
九州は大規模ソーラー多いのか
需要に供給が上回ってしまいそうです。

http://jref.or.jp/column/column_20140925.php

確か九電は現状でも300万キロワットが太陽光
Posted by 農家 at 2014年09月30日 19:11
ぼ ぼ ぼくも違和感感じてました。

あと
行方不明者の人数
言わないのも、違和感あります。

台風で川に流され2名行方不明 とか。

木曽町の会議室に
関係者が情報もとめて
集まってるのに‥

ーーーーーー

「いつもみてます」さん
話しあいそうですね。
Posted by 先生の本かったよ at 2014年09月30日 19:18
これから自衛隊員が中東で多数戦死しても、「自衛隊員多数心肺停止状態」と報道するのでしょうなぁ。
Posted by ろむさん at 2014年09月30日 19:56
追加すみません。これも。
ーーーーーー
仕事もしてますんで
テレビ見逃しているか‥

噴火についての
総理大臣
官房長官
政治家の「噴火への発言」映像、
見れてないです。

1ヶ月して
広島見に行った、
小泉しんじろう映像みたけれど。

‥みんなは、映像みました?
Posted by 先生の本かったよ at 2014年09月30日 22:32
http://critic20.exblog.jp/22687724/#22687724_1

74名以上の大災害
救助の不手際発生恐れての72時間後とか
Posted by 農家 at 2014年10月01日 02:42
 以前に聞いたことのある『心肺停止』は『心肺停止の状態で病院に』
http://www.google.co.jp/search?q=%22心肺停止の状態で病院に%22&client=safari&rls=en&prmd=ivns&ei=ZggrVJTZD4uE8gWauoDIBg&start=10&sa=N
という
>Posted by nn at 2014年09月30日 17:00
の方が引用されている、
>「蘇生の可能性が残されているため死亡状態ではない」
という意味で使われている例しか記憶にないですね。そういえば、こんなのもありました。
>中村うさぎさん、心肺停止状態から回復へ
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130921/ent13092108350003-n1.htm

なので、今回の災害で「心肺停止」が使われているのを見て「病院に担ぎ込んだのならともかく1日外に放置してたらもう死んでるよ」と違和感を持ったのは事実です。
Posted by 名無し88mm神信者 at 2014年10月01日 05:04
今回の御嶽山の噴火で、原発と火山についての危険性が注目されはじめたこの時期に、川内原発再稼働問題の報道をめぐっての朝日新聞の謝罪ですよ・・・。
なんかタイミングが良すぎます。これも饗応首相と翼賛体制に本格的に加わった朝日新聞との、いわゆる阿吽の呼吸ですかね?
Posted by 新潟県民 at 2014年10月01日 06:32
イレギュラーケースとして、
2007年の長崎市長射殺事件で「心肺停止状態」と数時間報道されてから「死亡」と報じられた事がありました。
心臓を銃弾が貫通していて絶望的な状況だったのですが、「市長さん死なないで」との住民の感情に配慮して心臓マッサージを数時間続けたと言われています。
Posted by kaji at 2014年10月01日 09:14
まだ今日も心肺停止・・・・
これで生き返ったら世界初の快挙だな・・・と不謹慎だけどそんな感想を持ってしまいます。
Posted by ゴン太 at 2014年10月01日 10:06
トリアージもされているしhttp://mainichi.jp/select/news/20140930k0000m040143000c.html
医師も現地に行っているのに、
http://mainichi.jp/select/news/20140930k0000m040119000c.html
心肺停止状態とはこれいかに?
Posted by おっけい at 2014年10月01日 15:33
福島第一は死亡ですが他は‘心肺停止’なんです、とでも言いたいのかなぁ菅官房長官は。
Posted by おきく at 2014年10月01日 16:45
事故を水で薄めるために、
死亡→心肺停止→意識不明、、、のように言葉のマジックがなされていくでしょう。

『冷温停止状態』も同じです。
Posted by 99% at 2014年10月01日 18:49
戦後最大の山岳災害と言われないように
小出しにしているのか?

昨日のTV TBS,TV朝日の合計だと
84名以上

火山性ガスは危険だが
上記写真の負傷女性は24時間耐えて初日救出
時事記事 山小屋含めて6人

マスクがあるのなら大量のカートリッジ補給
で、問題は無いと言ってた。

この先富士山とか箱根噴火したどうなるのか

Posted by 農家 at 2014年10月02日 12:34
農家様、戦後最大って、携帯ニュースの見出しになっているのを見ました。


先生、いつもありがとうございます。夜中に見てるので、ツイキャスはなかなか見れず・すみません。いつもは先生のお話と、そのお人柄に集う皆さんの会話をそっと聞いているうちのひとりですが・・。最近、よそのブログに行っても、有用な被害軽減の情報交換が少なくなっているような気がしてさみしくなり・・。

私は、日テレだったか「心肺停止の方々を救助しました」ってTVで何度も言っていたのを聞きました。ご遺族の方の聞いたお気持ちに配慮するのが一番だとは思いますが・・。
Posted by まこん at 2014年10月03日 02:36
小野先生

意外と拡散しないので先生のお力でひとつよろしくお願いします。

http://trustrad.sixcore.jp/ndsupport/?record_id=937&mode=index

国立保健医療科学院のHPでホットパーティクルの解説をしてるのですが、いいたいことはたくさんあるのですが、まずはここだけ。

「2011年3月14日〜15日につくば市の気象研究所敷地内でつくば気象研究所によりサンプリングされ測定されたデータでは、1m3あたり約10個の放射性粒子が存在していたことが示唆されています。一日の呼吸量を20m3とすると、一日に吸入摂取する放射性セシウムを含む微粒子の数は、200個となります。」

つくばでこれだけの量なのでしょうが、最初の数日間で1000個以上吸入してるのではないでしょうか?
Posted by 大分県南部人間 at 2014年10月03日 08:49
救助隊には当然自衛隊の医官が同行してるけど、山の上で死亡判定すると救助者は死体となるから搬送に緊急性が無くなり当分置き去り&航空法で乗務員室に乗せられないから機外にぶら下げて搬送。
だから遺族感情考えて、緊急搬送扱いで急いで下ろしてから病院で判定してるって話ですわー。
Posted by 豚王 at 2014年10月03日 15:12
四国の方で海難事故があって、その時のニュースで初めて「心肺停止」という単語を聞いて違和感を感じました。海の上なので、判断できないのかなぁと解せない感じでした。ここ最近ですよね。
Posted by 鳥取市 at 2014年10月06日 08:57
日本語って同じ体制が長く続くと腐ってしまうんでしょうか?
原発用語の経年劣化→高経年化等と言った言い換えも連想します。
Posted by 必ずや名を正さんか at 2014年10月06日 12:17
 自分のFB上でも、違和感を感じている人と感じていない人に分かれていました。
違和感を持っていた友達の友達の牧師に、先生のブログを紹介したら、
「全くこの方の主張の通りだと思います。
 律法の無いところに罪なし。
 医師のないところに死なし。」のコメントを頂きました。
面白い皮肉です。
Posted by イチジク at 2014年10月06日 22:44
心肺停止の表現に強い違和感をおぼえて調べると、法律では医師しか死亡と言えないんだよ、えっへんみたいな条文鵜呑みを誇ってる人間や、遺体や遺族をいたわる日本独特の文化とか意味不明な理由を持ち出してるのが多く、あまりに気持ち悪いので調べていたらこちらに行き着きました。マスコミには先生の意見読んでもらって改めて欲しいです。
Posted by ironakat at 2017年05月16日 19:38
センセイは法律の専門家ではありませんよね
お気に召さないのなら、法律をお変えになったらいかかでしょうか?
Posted by 太田たすく at 2017年06月12日 21:42
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。