2014年11月15日

1215.「念のため」解散に走る自民党

2014111501.jpg・安倍首相が、「これからはいいことがない」というふざけた理由で、12月の解散を決めた
・大義名分がないため、高村正彦副総裁が「念のため」解散だと主張する始末
・自民100議席減という見積もりもある。結局安倍は今回もまた何も決断しないまま、政治家としての使命を終わりそう

 第二次安倍内閣改造後、閣僚のスキャンダルが吹き出してはいましたが、衆議院、参議院で安定多数を握っており、任期の折り返しの時点で、衆議院を解散する意味は全くないと思っておりましたが、さすが坊ちゃん政治家、通常の思考内容ではありませんでした。

 このような人物はこらえ性がないため、ちょっと不利になるとあたふたしてしまって、自滅します。
「安倍総理に近いさる自民党側近幹部が『ものすごい焦って、弱気になっている。こんな弱気な安倍さんは見たことがない。(2度目の)政権を取ってから初めて見る憔悴ぶりだ』とタメ息をついていました。閣僚スキャンダル続出のストレスとイライラ感で持病の潰瘍性大腸炎の症状が悪化し、体調は激変しています」ネタ

 
一番最初に出てきたのは、おそらくこれ。

「衆議院解散?」の報にあわてふためく永田町2014年11月07日
まいど、いまにしです。

2014111502.jpg先週から、衆議院解散、12月14日もしくは21日に投開票かという情報が駆け巡っている。
・・
「小泉元首相の秘書官で、今は、内閣官房参与の飯島勲氏が、読売テレビのたかじんのどこまで言っても委員会に出演。年内解散の可能性に言及。郵政解散を取り仕切った、飯島氏の発言。」
・・
 どうもこの人物が火付け役のよう。

安倍政権が一定の支持率を維持し、株価も高水準で推移する中、自民党内には「いま選挙をすれば、自民党の議席数は微減で済む」(中堅)との見方もある。2014年11月10日朝日新聞
つまり、このあと支持率は悪くなる一方であることが目に見えているから、安倍内閣の人気があるうちにさっさと解散してしまえっ というわけ。
 解散総選挙に大義名分がたたないので、自民党本部でも次のような失言が・・

解散の大義見えず=野党一斉批判、自民苦慮
時事通信 11月14日(金)20時39分配信
2014111503.jpg 自民党は解散が急浮上した当初、ベテランを中心に党内で異論が相次いだが、解散への流れは止まらず今では沈静化している。それでも、疑問を呈する声はくすぶっており、村上誠一郎元行政改革担当相は記者団に「やっぱり大義名分がない」と不満げに漏らした。若手の一人は「解散の理由を地元でどう説明すればいいか分からない」と嘆いた。
 「この道でいいのかを再確認する『念のため選挙』だ」。高村正彦副総裁は自民党役員連絡会で解散のネーミングを「発案」したが、周囲の幹部は黙って聞いているばかりだった。

 年の瀬にやらなくていい選挙(念のためというのは、そういう意味がありますね)をするというのはあまりにも人をバカにした話だと聞いたとたんにすぐに思ったのですが、この発言はやはり問題になってます。

高村氏の「念のため解散」に批判 総選挙、税金700億円投入
(11/15 01:33、11/15 03:22 更新)
 自民党の高村正彦副総裁が14日、安倍晋三首相が年内実施の意向を固めた衆院解散・総選挙を「念のため解散」と述べたことが、波紋を広げている。前回衆院選では約700億円の国費が投入されており、今回も同額程度が必要となる見通し。野党は「多額の費用をかけて行う衆院選に大義がないことを認めた」と批判。与党からも「不用意な発言だ」との声が漏れた。

 民主党の川端達夫国対委員長は同日の党会合で「何百億円も使って年末に選挙をするのに、ふざけるのもいいかげんにしてほしい」と述べた。生活の党の鈴木克昌幹事長は「自分たちのやっていることに自信がないなら、政権から降りるべきだ」と強調した。

 一方、自民党内では「調子に乗っていると思われる発言はやめてほしい」(幹部)との声が上がった。
あまりにも当然の反発

身内からも反対の声
自民党岐阜県連が解散反対決議 「どう考えても異常」
 自民党岐阜県連(会長・古屋圭司衆院議員)は15日の常任総務会・執行部会合同会議で、安倍晋三首相が衆院解散・総選挙に踏み切ることに反対すると決議した。「国民生活に与える影響を考えると、どう考えても異常だ。断固反対する」とした。

 決議は、県内経済の厳しい状況や来春の統一地方選などを挙げて「政治的空白をつくるべきではない。解散する大義はない」と強調。消費税再増税の先送り方針にも「解散の大義名分とするのは後付けだ。民意軽視、国民のことを一切考えない党利党略だ」と断じた。

 併せて「自民党に風は吹いていない。なぜ数を減らす選挙をするのか」とも訴えた。
数を減らすんだから、「党利」にもなっていないという鋭い指摘をしている人もいました。

 結果はわかりませんが、このような分析も・・
大義ナシ、支持率最悪…安倍自民党「100議席減」の現実味
2014年11月15日
 安倍首相は消費税10%の再増税を先送りし、解散・総選挙に突っ込む。自民党幹部は、「いまなら減っても1割(20〜30人)程度」と計算しているらしいが、大甘だ。選挙のプロたちは「100人ぐらい減ってもおかしくない」とみている。

 今度の選挙で厳しいのは119人いる自民党の1期生たちだ。前回、民主党へのアゲンストの風だけで通った連中だ。たった2年間では実績も何もない。風がやめば苦戦必至だ。


「19日解散」浮上 識者が分析“475全議席当落” 自民単独で過半数割れも (zakzak 夕刊フジ)2014.11.12
 安倍晋三首相が、来週にも消費税率10%への引き上げ(来年10月予定)の先送りを判断し、年内の衆院解散・総選挙に踏み切るという観測が急浮上してきた。風雲急を告げる永田町。その場合、注目の選挙結果はどうなるのか。政治評論家の小林吉弥氏が475議席を分析した政党別獲得議席予測によると、自民、公明与党で過半数(238議席以上)は維持するが、現有の326議席から最大で62議席減らす。野党の選挙協力が進んだ場合、自民党単独では半数を割り込む可能性もあるという。

 依然として有利な立場にいる安倍がこらえ性もなく選挙に打って出るのはなぜでしょうか。苦しいときにこそ、我慢することが大事だとこの出来事は教えている気がします。

 私は、311直後に話題になった原発住民投票を思い出します。一致点が見いだせないから、投票して決めてしまえと言うあまりにも乱暴な議論でした。どちらにも情勢が決まっていないときに動いては必ず失敗します。この原発住民投票が、原発反対派からも評判が悪かったのは、そういう理由です。選挙で世の中を変えることはできますが、逆に選挙結果だけでは世の中は変わらないのです。

 おそらく、「驚くほど頭の切れる」状態になった安倍(躁状態)が、解散を決めてしまったんでしょうね。たぶん・・

「念のため」というのは原子力村が、大好きな表現です。「現状でも十分安全ではあるが、念のため××の処置をして、トラブルが起きる確率をよりいっそう低減する」などという風によく使ってます。さすが原子力村べったりの自民党−高村ですねw

■関連ブログ
1212.情の移ったマスコミに「驚くほど頭の切れがよくなる」と評される安倍

posted by いんちょう at 22:40| Comment(20) | 原子力
この記事へのコメント
黒木さんの件、地元では有名なようで、
産廃問題ではないそうです。。。

黒木さんの答弁書は、90ページ、
でも産廃の事はあまり書いていないと
地元メディアの方が、言ってました。
https://www.youtube.com/watch?v=MmNiYwKRrIA

裁判傍聴して違和感覚えた方多数。やっぱりでした。
紹介してしまってごめんなさい。
申し訳ありませんでした。
Posted by すみませんでした。。 at 2014年11月16日 02:09
そもそも選挙ってインチキじゃん
何で行くの?
票の改ざんシステムがちゃんと存在するし

あと政局語ってるけど動かしてるのは財務省を中心とした官僚でしょ
菅だけ官僚から少し離れかけて野田で戻ったじゃん。
自民党だって支配階級が茶番で
民主主義を演じてるだけじゃん
国民主権など存在しないし
小野みたいな支配階級が茶番語って目晦まししてるんじゃねーよ
Posted by . at 2014年11月16日 02:23
院長先生 いつも情報ありがとうございます。

いずれにせよ、今回もム〇シ使ってくるんじゃないんですか?

評判よさそうに見えるときに選挙しておかないとバレルから(笑)
Posted by むさこ at 2014年11月16日 04:29
私は今回の解散の主要は、矢張り消費税と景気判断問題だと思います。
じゃあ誰が仕掛けたのか?
その首謀者は財務省だと思っています。景気がどうなるかの見通しもなく消費税を挙げる訳がないのですから、上がらなければ10%引き上げは少々先延ばしする、と8%前から決めて有ったのだと思うのです。
彼ら官僚は国民からどうやって金を絞り取り、自分達に還元するかだけを考えて生きて居るのですから、国民の腹が少し膨らむまで引き延ばす方に傾いたのだと思います。
まぁ、その位考えられなくて高級官僚は勤まらないでしょうからね。
その証拠に解散報道をしたのは官僚と自民党の腰巾着読売で、最後の仕上げは安倍の為のNHK報道ですよね。
更に財務官僚などから消費税アップ延長についての反対意見が報道されてきませんよね。
もしこれが民主党など他の政党時代だったら、大反対報道がされたでしょう。
官僚の上がりが2割近く居る自民党と10人ほどの民主などの違いが出た結果だと思うのです。
癒着の違いが生んだ「念のため解散」だという事でしょう。
Posted by 武尊43 at 2014年11月16日 04:58
安倍。かわいそう!浮いてる。
みんなから、無視されている。
中国の習があれだけ、
いろいろな国の人達と話しているのに、
安倍には、誰も話しかけられもしないで、
1人浮いている。
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-4504.html
来日を踏み倒した、ロシアのプーチンが、
給仕に注いでもらっているのに、
彼は、水を手酌。
http://toyokeizai.net/articles/-/53535
311の時、アメリカから、ロナルドレーガンが、トモダチ作戦で、
来て、乗船員が皆被爆させられて以来、
(あらかじめ、日本近海も高線量になっていると言うことを、
 日本側から、知らされていなかったと言うことで、
 現在、日米間で集団訴訟になっている)
彼には、海外に、友達がいないのか。
もっとも、国内で、集団的自衛権の閣議決定・特定秘密保護法への固執・
安全無視の原発再稼働・事故原発からの放射線による健康被害の隠蔽
など、民主主義には、遠く離反した、人命・安全無視なことをやっていると、
客観的に見てヒトラーのような独裁者に思われて、
外国人達も退いてしまう面もあるのでは。
可哀想に。
安倍の意外な面を見た。
彼は、IOCへの、「福島第一は、完全にコントロールされている」
と言うオリンピック向けの決めぜりふから見て、
英語は流暢だと思っていたし、外交上では、各国に金をばらまくから、
そこそこ、もてはやされるのではないか、と思ったが、
これでは、日本、孤立ではないか。
(我々が、海外に出て、仕事しても、ありがたがられず、浮くということ)
今まで、あくまで、し方なく付き合ってもらってる、くらいのものだったのか。
日本国民には、頼まれもしないのに、兵器に、それにチェルノで被害を受けた
地震国に原発。彼が、売り歩くモノが悪かったんだろうか。
この足で帰って来て、そのまま、国民の血税700億円投じる、“念のため”選挙宣言か。この外交関係で、説得性、持つのか。
外国人でなくて、日本人でいいので、誰か、彼の話し相手になってあげないと。
Posted by カズ at 2014年11月16日 17:25
そして、ちょっと、思ったのは、安倍が、APECで、あそこまで
孤立し、トモダチもいない状態ということは(オバマなんて、中国の習とばかり話し、寄っても来ないではないか)、日本の立場も、国際関係で浮いているということだから、
むしろ、ここは、開き直って、「国連内での核保有国何するものぞ。」
「IAEAは、日本に、原発事故の収束状態や、放射能による健康被害に関して、
隠蔽圧力をかけるな!」と、国連演説か何かで、ぶち上げた方が、
安倍も楽になれるし(もう、国内で、何も隠す必要もない)、
多くの、今命が危険に晒されている、東日本の人達も、
今後は、何処に気を遣うことも、彼らに警鐘を鳴らせることで、
救われるのだし、同時に、
外交的にも、核保有国を中心に、APECでも、自分に寄って来てくれる、
友達を、より多く作れるのではないのか。
オバマを日本に招待して、寿司屋に連れて行っても、
この結果だと、何も、メリットも何もないし、アメリカに、
日本が、外交上、奴隷のように言いなりに(まさに、小野先生曰く、植民地に)なってるのを、ブリズベーンからの動画でまざまざと見せつけられたので、
独立国としては、きっぱり弱みを解除すべく、方向転換すべきだと思う。
IAEAに対しても、安倍自身が、小泉政権での官房長官時代に、
拉致問題に関して
北朝鮮で、机叩いて抗議したように、「日本国民の人命にかかわることで、
事故後の隠蔽強要や、原発の危険が分かっていての再稼働強要などの、
なめたマネをするな!!!」と、窮鼠猫を噛む的に、抗議すれば、
相手方もひるむと思う。外交関係で、日本は、あのAPECの安倍の姿に見るように、もはや、何処の国に対しても、取り繕いのため・義理立てのための、何のいい顔もする必要性のない、まさに開き直れる状態にあるのに、安倍は、何をやっているのか、と思う。
Posted by カズ at 2014年11月16日 18:11
にわか選挙シーズンを控えて
             浜矩子 同志社大教授 

 突如として選挙の季節になってしまった。「解散は全く考えておりません」。総理大臣がそんなこと言っていた。その姿をテレビでみた気がする。つい数日前のことだった。

 それはともかく、実際に選挙だとなれば、有権者は気合を入れて 臨まなければならない。いかに大義名分がなかろうと。いかに党利党路オンリーであろうと。いかに、臆病者たちの開き直りであろうと。選挙はやっぱり選挙だ。相手がいいかげんでも、有権者側は圧倒的な真撃さと賢さをもって、彼らのいいかげんさに鉄槌を下す必要がある。

 そこで気を引き締めるべく、選挙に関する先人たちの言葉にインスピレーシヨンを求めることにした。歴史上の偉人・賢人たちは、選挙というものについてどのような見解を披露してきたのだろうか。

 あれこれ調査する中で、まずは、かのスターリン大先生の次のお言葉が目に留まった。「選挙結果を決めるのは、票を投じる人々ではない。票を数える人々だ」。 うーむ。さすがに日本の民主主義はここまで崩壊してはいないと思いたい。そう信じていいだろう。

 社会主義国つながりで、ケ小平さんに行こう。御大いわく、「アメリカ合衆国は自国の政治制度をやたらに自慢する。だが、彼らの 大統領は選挙期間中と就任時と中間選挙時と退任時で、まるで言うことが違っている」。なるほどね。国会解散震前に、国会解散を考えていないというのも、この類いかな。

 選挙時に何をいうかという点については、ゴア・ピダールさんの警句が貴重だ。「言葉は人を惑わせる。そのおかげで、彼らは選挙時に大まじめで自分たちの利害に反する投票行動をとってしまう」。ゴア・ピダールは、二十世紀アメリカの知性を代表する論客の一人だ。小説家であり、随筆家であり、脚本家だった。自ら、民主党から政界に打って出たこともある。こういう人がいた時代のアメリカには、救いがあったといえるだろう。

 政治家の甘言にご用心、という観点からは、もう一人の劇作家の教えにも、重々、耳を傾けておく必要がある。その人はエウリピデスだ。古代ギリシャの大悲劇作家である。そのご発言は次の通り。「言葉は甘く、心は邪悪な者に大衆が丸め込まれてしまうと、国家は大惨事に見舞われる」。その通りだ。言葉は本当に危険物だ。例えば、「何とかノミクス」とか。「輝き」とか。「創生」とか。

 同じ古代ギリシャの劇作家でも、喜劇専門の人は、また一味違ったアプローチで物を言う。その人はアリストファーネスだ。いわく、「人々の心をつかみたきゃ、彼らの腹を喜ばせるおつまみをつくってやればいいのさ」。そうか。だから、まず株を上げたりするわけだ。円安も、ある時点までは人気のおつまみだったな。最近になって、財界なども、さすがにその毒性に気がついてきた。

 有権者のハートをわしづかみにするテクニックについては、次のアドバイスがさすがだ。「偉大なことができないなら、ちっちゃなことを偉そうにやれ」。発言者は、ナポレオンである。

 最後の一言は、やはりこの方にお願いするほかはない。その人はオットー・フォン・ピスマルク。伝説的政治手腕の持ち主だ。いわく、「人々が最もウソをつくのは、狩りの後、戦時中、そして選挙の直前だ」。ふむふむ。了解!

2014年11月16日付け中日新聞朝刊 視座より
Posted by 面白い記事の紹介 at 2014年11月18日 15:17
今日の新潟日報朝刊第2社説欄「座標軸」より

●ワークショップ
 体に潜む原発事故の記憶

 ドイツ在住の作家、多和田葉子さんとピアニストの高瀬アキさんのワークショップを見学した。
 新潟大学人文学部の主催。学生や社会人がグループを組み、即興で朗読パフォーマンスを仕上げていく。
 一つ目のテキストは「平家物語」冒頭部分の朗読だった。発表者の声は小さく、動きはぎこちない。
 驚いたのは、二つ目のテキストで朗読の様子が一変したことだ。
 「キノコの展覧会」。福島第1原発事故を踏まえた多和田さんの詩である。放射性物質が検出されたというキノコの展覧会がモチーフだ。
 「展覧会のタイトルに『広島』『水俣』『福島』などの地名を使ってはいけないという決まりができましたそうですが、はい」
 「庶民を変に刺激してはいけないとおっしゃますが、はい」−。
 どの発表も言葉や動きに感情が入り、生き生きとした表現の場となった。これは作品の力だろう。
 同時に、原発事故の記憶と不安が、私たちの体の奥に根を張っていることを実感させられた。
 「つい忘れてしまうのだけれど、新潟は福島の隣にあるんですよね」。多和田さんが言う。
 総選挙では、消費税増税の延期問題やアベノミクスの是非など、経済問題ばかりがクローズアップされている。だが、それでいいのだろうか。
 原発事故で福島の惨状を目のあたりにして、誰もが一度は「このまま、経済効率優先の生活を続けていっていいのか」と自問したはずだ。
 それは私たちが、選挙のたびに考えていくべき問いではないのか。まだ震災からわずか3年余である。
(論説編集委員室次長・森沢真理)
Posted by 新潟県民 at 2014年11月24日 16:59
今日の新潟日報朝刊
短期集中連載記事「安倍流を問う 暮らしの現場から」より

●原発再稼働
 無関心でいられない
 子育て中の母 疑問訴え

 東京電力柏崎刈羽原発が立地する柏崎市で24日、脱原発を訴えるイベントが開かれた。会の終盤、3人の子育て中の母親たちがステージに上がった。その中の一人、同市の主婦池野里美さん(37)が代表してメッセージを読み上げた。「今の政府の動きは国民の願いとかけ離れていると感じます。国民が望まない再稼働へ突き進み、輸出しようとさえしています」
 安倍晋三首相は就任後の施政方針演説で、「安全が確認された原発は再稼働する」と名言。4月には原発を重要なベースロード電源とするエネルギー基本計画を閣議決定し、民主党政権が掲げた2030年代の原発ゼロ」と決別した。九州電力川内原発は、原子力規制委員会の新規制基準による審査に事実上初めて合格し、地元自治体も再稼働に合意、年明け以降にも運転が再開される見込みだ。
 その一方で、世論調査では再稼働に「反対」が「賛成」を上回っている。共同通信が10月に行った全国電話世論調査では賛成31.9%に対し、反対が60.2%。日本世論調査会による9月の全国面接世論調査でも、反対が60.5%と賛成34.2%を上回った。

 柏崎刈羽原発の全7基が停止してから26日で、2年8カ月となった。地元産業界からは再稼働を望む声が上がる。しかし東電が規制委に申請した同原発6、7号機の審査は長期化し、再稼働の道筋は見えない。
 今月10日に柏崎市であった柏崎商工会議所の会員大会。公開討論では「原発が止まり、技術者の仕事がなくなっている。企業がいつまで雇用を続けられるか分からない」「この国にとって原子力発電という手段は必要」と、再稼働に前向きな意見が相次いだ。
 大会では原発の長期停止が地域経済の体力を奪っているなどとして、「柏崎刈羽原発の早期正常化」を訴える大会アピールが満場一致で承認された。

 脱原発のイベントで共同代表を務めた池野さんは高校卒業後、進学のため上京した。区立幼稚園で教諭をしていたが、「子育ては田舎でやりたい」と、仙台市出身の夫の仁志さん(41)と、2人で12年4月に地元の柏崎に戻った。
 前年の東日本大震災と東電福島第1原発事故で、さまざまなものに依存して暮らしていることに気がついた。東京で当たり前のように使っていた電気が、ふるさとの柏崎で発電されていることを考えてもいなかったという。
 「自分の無知と無関心を反省した」と振り返る池野さん。昨年2月に長男が誕生した。共同代表を引き受けたのも「もし柏崎刈羽原発で事故があった時、子どもから、なんで動かしたのと聞かれたくない」と考えたからだ。
 ステージ上に立った池野さんは落ち着いた口調でこう訴えた。「原発はいりませんと声を上げたい。無関心だった人も、少しでも関心を持ってくれたらうれしいです」。会場から拍手が湧いた。
Posted by 新潟県民 at 2014年11月26日 18:18
今日の新潟日報朝刊より

●首相 原発に触れず
 柏崎など本県で遊説

 衆院選の公示翌日の3日、安倍晋三首相(自民党総裁)が遊説のため本県入りした。県内5カ所の前職候補の演説会でマイクを握り、経済政策「アベノミクス」の成果を強調しながら支持を訴えた。原発再稼働の問題については、東京電力柏崎刈羽原発が立地する柏崎市での遊説をはじめ一度も言及しなかった。
(後略)

・・・要は、「寝た子を起こすな」に終始したという事ですな。
再稼働推進の総元締がこれとは。情けない。
Posted by 新潟県民 at 2014年12月04日 12:52
今日の新潟日報朝刊より

●柏崎原発 71%「廃炉求める」

※今回の衆院選に際し、新潟日報社が行った県内世論調査に関する記事です。

 東京電力福島第1原発事故の影響で全7基が停止中の東電柏崎刈羽原発の今後については、「再稼働させずに廃炉にする」との回答が36.6%で最も多かった。「再稼働させるが、将来的には廃炉にする」との回答も34.6%あり、廃炉を求める脱原発志向の回答が合せて71.2%に上った。
 脱原発志向の回答は、2012年12月の衆院選時の世論調査で計79.7%、13年7月の参院選時では計88.0%だった。今回は「将来は廃炉」との回答が16ポイント減ったため、脱原発志向の割合も大幅減となった。
 「分からない」との回答が18.4%で13年時から14.5ポイント増えており、原子力規制委員会の審査が本格化するなど原発再稼働が現実味を帯びる中、有権者が判断に迷っている様子が浮かび上がった。
 一方、「再稼働させ、使い続ける」との回答は10.3%と13年調査時(8.1%)から微増だった。
 男女別では、女性の40.4%が「すぐ廃炉」と回答。「使い続ける」と答えた割合も男性の14.2%に対し、女性は6.8%と低く、女性の方が脱原発志向が強い事が示された。

・・・それでもまだ、過半数以上の県民が、条件付もあるとはいえ、原発再稼働に難色を示しているわけです。
ただ、国や電力会社は一度再稼働させたら最後、色々理由をつけては廃炉を先延ばしにして、結局は原発を廃永久的に続けるでしょうね。少なくとも、原発なしでも国と電力会社が利権をむさぼれるような体制が整うまでは。
Posted by 新潟県民 at 2014年12月04日 13:14
今日の新潟日報朝刊より

●柏崎再稼働 地域で温度差
 衆院選本社世調
 周辺部、不安強く
 立地エリアは肯定的傾向

 新潟日報社が2、3日に実施した世論調査では、東京電力柏崎刈羽原発の今後について「再稼働せず、すぐ廃炉」との回答が全県で最も多い36%超だった。ただ、原発事故時に避難準備区域となる半径30キロ圏内を区域分けして見ると、原発が立地し、再稼働に肯定的な柏崎市を中心とするエリアと、その周辺との温度差が鮮明になった。衆院選へ関心については「ある」との回答が前回衆院選時よりも約10ポイント下回った。

 本県選挙区のうち、2、4、5、6区のそれぞれ一部が柏崎刈羽原発から30キロ圏に入る。各選挙区をさらにブロック分けして、原発再稼働に対する考え方の傾向を見ると、立地地域に比べ、周辺地域では再稼働に否定的な考えが強いことが浮き彫りになった。
 2区のうち、原発が立地する柏崎市、刈羽村を中心とするエリアでは、「再稼働させず」との回答が26.5%で、全県より約10ポイント低かった。逆に「再稼働させ、使い続ける」との回答が18.7%で、全県より8.4ポイント高い。立地地域で原発長期停止による経済の疲弊を訴える声が高まっていることが影響した模様だ。
 一方、その周辺の各エリアでは「再稼働させず」の回答が3割を超えた。
 5区で原発から30キロ圏内に入る小千谷市を含む魚沼地方では39.9%、合併前の旧・長岡市のエリアも38.5%だった。6区でも柏崎市に隣接する十日町市などのエリアや上越市で36%超。「再稼働させ、使い続ける」はいずれも全県より低い一桁台にとどまった。
 東電福島第1原発事故で大量の放射性物質が放出され、30キロを超える範囲の住民が避難を迫られた。このため、本県の30キロ圏内の有権者には再稼働への不安が依然根強いとみられる。
 今回の調査では、2012年12月、13年7月の調査時と比べて「分からない」との回答が14ポイント以上増えたのも特徴だ。「再稼働させるが将来は廃炉」との回答がほぼ同じ割合で減った。
 柏崎刈羽原発の審査が今年7月から本格化し、秋には九電川内原発の(鹿児島県)の再稼働手続きが進んだ。再稼働が現実味を帯びる中、当面は動かしていたいと考えていた人に迷いが生じてきたか可能性がある。

・・・多くの県民の本音は「゛たかが゛柏崎や刈羽の連中のために巻き添え食らってたまるか!」ですから。
この先再稼働させて、その後重大事故が発生した場合に、事実上消滅するのが柏崎と刈羽だけならば誰も何も言いませんが、そうではない事が、福1事故後の政府による情報統制を信じ込んでいる人たちにすら分かってしまいましたからね。
Posted by 新潟県民 at 2014年12月04日 13:39
今日の新潟日報朝刊より

●福島原発賠償訴訟の原告
 エネ政策もっと議論を
 再稼働独り歩きを懸念

 衆院選で原発再稼働の問題が大きな争点にはなっていないことに対し、福島県から本県に避難している人たちに不満が広がっている。3日、新潟地裁で開かれた東京電力福島第1原発事故の損害賠償訴訟の傍聴に訪れた原告は「事故は収束していないのに勝手に再稼働の話を進めないでほしい」との憤りの声を上げた。
 自民党は公約で、新規制基準に適合すると認められれば「再稼働を進める」と明記。一方、野党側は原発重視の政権の姿勢を批判するが、当面の再稼働の是非には立ち位置の違いもみられ、選挙戦の大きな争点になっていない。
 この日、南相馬市から新潟市に避難する60代の原告女性は法廷で意見陳述に立ち、「これまで培っていた人生そのものを根こそぎ奪われた。このような事故が二度とあってはならない」と訴えた。その後の会見で「再稼働には反対。柏崎刈羽原発に対して原子力規制委員会がどのように動くか心配」と話した。
 11月30日には自民党の細田博之幹事長代行が柏崎市を訪れ、柏崎刈羽原発について「きちっと動いて、(利益を)福島事故の賠償に使うべきだ」と発言した。これに対し、賠償訴訟の原告で、福島市から胎内市に避難する八島裕幸さん(41)は「(利益が)賠償に使われるとは思えない。政治家の無責任な発言だ」と切り捨てた。
 郡山市から新潟市に避難する高島詠子さん(45)は「賠償が進んでいないのに再稼働の話が進んでいくなんて勝手だ」と言い、「(選挙戦では)国民の安全を第一に考えたエネルギー政策を議論してほしい」強調した。
Posted by 新潟県民 at 2014年12月04日 13:56
12月6日付新潟日報朝刊
第2社説欄「座標軸」より

●首相の遊説
 語られなかった原発政策

 突然の解散で師走決戦となった衆院選、県内でも各政党の幹部クラスが、候補者応援のため街頭でマイクを握っている。
 自民党総裁の安倍晋三首相が公示翌日の3日、本県入りした。
 柏崎市での演説を聴いた。経済政策「アベノミクス」の成果を強調。集団的自衛権容認の閣議決定をした意義や、拉致問題に不退転の決意で取り組む意気込みも披露した。
 しかし東京電力柏崎刈羽原発の地元なのに、原発の問題には一言も触れないままだった。
 安倍首相が演説した文化会館から柏崎刈羽原発までは10キロ足らず。当然、住民の関心も高い話題だ。
 東電福島第1原発事故を受けて今後、原発をどう扱うのか。日本のエネルギー政策はどこへ向うのか。そうしたことを政権与党のトップから直接、聞きたかった。
 演説を聞いていた女性は「原発立地地域では、いろんな意見の人がいるので、配慮したんじゃないか」とおもんぱかった。自身も原発の安全性に不安があるので「再稼働しないのが一番」だが、経済面を考えると気持ちが揺れるという。
 自民党は政権公約で、原子力を安全性の確保を大前提に、「重要なベースロード電源」と位置付けた。原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めれば、原発の再稼働を進める方針だ。
 その公約にはこんな言葉がある。「再稼働にあたっては、国も全面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組みます」
 今回の遊説はその絶好の機会だったはずなのだが。
 (論説編集委員・岩本 潔)
Posted by 新潟県民 at 2014年12月07日 18:54
今日の新潟日報社説

●原発政策 
 エネルギーの将来像示せ
 
 東京電力福島第1原発事故に伴う国内全基の営業運転停止から一転、年明け以降にも鹿児島県の九州電力川内原発1、2号機が再稼働する見通しだ。
 関西電力も、原則40年とされる運転期間の延長を目指し、福井県の高浜原発1、2号機の「特別点検」に着手した。
 安倍政権に代わって2年、原発をめぐる動きは大きく変わろうとしている。
 原発へ回帰するのか、脱依存か。今衆院選が今後の原発政策の行方を左右すると言っていい。
 推進姿勢を打ち出しているのは自民党だ。安倍晋三首相は東電柏崎刈羽原発を抱える本県での遊説で再稼働に言及しなかったが、公約には今後も活用する「ベースロード電源」と明記している。
 川内原発の再稼働をめぐっては、経済産業相が「万一事故が起きた場合は国が責任をもって対処する」と地元に約束した。
 だが、福島事故から約3年9カ月たっても収束への道筋が見えない中、どう対処するのか。事故時の避難計画も不十分だ。
 連立を組む公明党との温度差も目立つ。公明党は40年の運転制限を厳格に適用、「原発ゼロ」を目指すとしているからだ。与党としての整合性が問われよう。
 民主党は前回同様、2030年代に原発稼働ゼロとすることを盛り込んだ。半面、原子力規制委員会の審査に合格した原発は、国が住民の避難計画に責任を持った上で再稼働を認める考えを示しており、分かりにくさは否めない。
 維新の党は「既存原発はフェードアウト」を主張、共産党、生活の党、社民党は「即時ゼロ」「脱原発」を訴える。
 福島事故で今も約12万人が避難生活を強いられている。今月2、3日に実施した本紙の世論調査では、将来を含め、約7割が柏崎刈羽原発の廃炉を求めた。国民の理解を得ないまま原発依存を高めていけば、反発を招くだけだろう。
 原発の営業運転が始まって約半世紀がたつというのに、「核のごみ」解決の糸口も全く見えない。
 何より重要なのは、将来を見据えたエネルギー政策ではないか。
 公約には野党はもちろん、自民党も「原発依存度を可能な限り低減させる」として、再生可能エネルギーの導入を掲げている。
 問題はどういった工程で再生可能エネルギーなどの普及を図り、電源比率をどうしていくかだろう。各党とも具体的なビジョンを示してもらいたい。
 全原発が停止して以降、節電への取り組みが進み、夏と冬のピーク時でも電力は足りている。
 一方で、原発停止で火力発電への依存度が高まり、燃料の輸入増加と円安が重なって電気料金は上昇、家庭や企業に重くのしかかっているのも事実だ。
 エネルギーは経済活動や暮らしに不可欠だ。将来どういった形が望ましいのか。選挙戦を通して、あらためて見詰め直したい。

・・・余談ですが、現在新潟日報のサイトを見ると、そこには自民党の広告が・・・。いいのかねぇ?
Posted by 新潟県民 at 2014年12月07日 19:02
12月6日付新潟日報朝刊より

●原発避難計画で相違
 自民 課題は解決済み
 民主 国の責任明確化

 年明け以降に九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の再稼働が見込まれる中、衆院選で各党が、全国の原発から半径30キロ圏の自治体が策定する避難計画の充実などを訴えている。入院患者ら要援護者の避難や車の渋滞対策などで計画の不備が指摘されるが、再稼働を急ぐ自民党は直接言及しておらず、各党の立場の違いも目立っている。
 安倍政権は再稼働に向けた手続きが最も進んでいる川内原発の周辺自治体がまとめる避難計画の策定を支援。原子力防災会議で計画は「合理的」として「了承」した。
 しかし計画は再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査の対象外で、国の厳しいチェックがなく、再稼働に向けて体裁だけを整えた格好の安倍政権には「自治体任せ」などと批判も出ている。
 これに対し、民主党は公約で「避難計画について国の責任を明確にする制度を整備する」と強調。「責任ある計画がなければ、再稼働すべきではない」と明記した。
 自民党は公約で再稼働に積極姿勢を示し「国も全面に立ち、立地自治体など関係者の理解と協力を得るよう取り組む」としたが、避難計画には触れていない。他の原発の再稼働も、地元の同意手続きを終えた川内原発と同様に進める構えで、計画に関する課題は解決済みとの姿勢がにじむ。
 一方、自民党と連立政権を組む公明党は公約で「自治体の避難計画が充実したものとなるようしっかりと支援する」と強調。政権の従来方針を踏まえた形だが、自民党との温度差もうかがわせる。
 共産党や生活の党、社民党、新党改革は再稼働そのものに反対しており「無責任な避難体制」(共産党)「実効性のある(避難計画を含めた)原子力防災計画の策定を」(社民党)などと主張している。
 避難計画に直接触れていない維新の党は「『原発再稼働責任法』を制定」し、計画の実効性を重視する方針。次世代の党は「電源構成の多様化による脱原発依存体制の構築を」と訴えている。
Posted by 新潟県民 at 2014年12月07日 19:20
今日の新潟日報朝刊より

●原発再稼働
 「地元」の範囲 議論低調
 幅広く同意求める声も

 衆院選で原発問題についての議論が低調だ。東京電力柏崎刈羽原発が立地する本県にとって重要な再稼働手続きの在り方について、政党も候補者もほとんど触れていない。今秋の九州電力川内原発(鹿児島県)の手続きは、立地自治体と県だけの同意で事実上終了、周辺自治体から反発が上がった。柏崎刈羽の再稼働手続きに備え、本県でも「地元」の範囲の拡大を求める声が目立っているが、こうした議論は選挙戦では盛り上がっていない。

 原発の再稼働をめぐり、自民党は公約で「国も前面に立って立地自治体等関係者の理解を得る」とし、連立与党の公明党も「国民、住民の理解を得て判断する」とする。だが、両党とも理解を得る対象には触れていない。当面は原発を使い続ける立場の民主党の公約も、手続きについての方向性は読み取れない。
 新潟日報社は県内6小選挙区の候補者全19人に、地元の範囲についての考え方を聞いた。立地地域だけで良いとしたのは2人にとどまり、範囲の拡大が必要との見方が8人に上った。
 本県の住民や首長からも範囲の拡大を求める声が上がっている。ひとたび柏崎刈羽原発で重大事故が起きれば、古里が放射性物質で汚染されたり、避難を迫られたりしかねないからだ。
 原発の立地政策に詳しい首藤重幸・早稲田大法学学術院教授は「政治家はどう判断するのかを語るべきだ」と衆院選で議論を深めるよう求めている。
Posted by 新潟県民 at 2014年12月11日 18:25
今日の新潟日報朝刊より

●本県候補者アンケート
 柏崎原発再稼働の同意範囲
 「立地以外も必要」最多

 東京電力柏崎刈羽原発が再稼働の手続きに入った場合、県と、どの範囲の市町村から同意を得るべきか−。14日投票の衆院選で県内6小選挙区に出馬している全19候補に対し、新潟日報社はアンケートを行った。同意の範囲を答えた10人のうち、九州電力川内原発のケースと同様に県と立地市町村だけを対象とすると答えた候補は2人で、8人がもっと広範囲の市町村の同意を取りつける必要があるとした。

 アンケートでは、同意を得るべき市町村として、@立地する柏崎市と刈羽村A原発から半径30キロ圏内の9市町村B県内全30市町村−から選んでもらった。
 @は2人で、AとBが4人ずつだった。共産党と生活の党の計5人が「廃炉を求める」「再稼働を考えるべきではない」などとして選択せず、自民党と民主党、社民党の計4人も「@〜Bでは選べない」とした。
 柏崎市と刈羽村がある新潟2区は、3人が「選べない」。自民の細田健一氏は「30キロ圏に広げるべきだとの議論は理解できるが、各首長の判断による」、民主の鷲尾栄一郎氏は「原子力規制委員会、県技術委員会などの議論の動向を踏まえて決める」と述べた。社民の渡辺英明氏は「原発事故の被害は県内にとどまらない。県外も含めるべきだ」とさらに広い範囲の同意を得るよう主張。
 Aを挙げた共産の五位野和夫氏は「即時原発ゼロを求める」としつつ、「被害は広域にわたるので、最低でも30キロ圏の同意が必要」とした。
 2区以外では、自民候補は2人が@と答え、A、Bが1人ずつで、5区の長島忠美氏は「3択では選べない」。民主はBが3人、Aが1人で、いずれも同意範囲の拡大を求めた。共産は4人が選択せず、5区の服部耕一氏は「再稼働はあきらめるべきだ」とした上で「少なくともA」と答えた。

・・・ちなみに@と答えた2人の自民候補者とは、3区の斉藤洋明氏と6区の高鳥修一氏であります。
Posted by 新潟県民 at 2014年12月11日 19:18
今日の新潟日報朝刊より

●早稲田大法学学術院
 首藤重幸教授に聞く
 政治家の責任あいまい

 原発政策に関し、衆院選で議論を深めるべき論点は何か。立地地域の実情に詳しい早稲田大法学学術院の首藤重幸教授=行政法=に聞いた。

 −本県にとって、もし東京電力柏崎刈羽原発が再稼働の手続きに入れば、国が同意を取り付ける「地元」の範囲は重大な課題です。
 「立地自治体だけでなく、避難計画の策定が義務付けられた原発から半径30キロ圏に入る自治体は同意の枠組みに入ってもいいのではないか。そうした提案をどう判断するか、政治家は語るべきだ」
 「ただ、地元の『同意』は事故があった場合に『自分たちも責任を引き受ける』という意味にもなる」

−選挙戦で、そうした議論は聞こえてきません。
 「政治家が原発に関する意思決定に責任を持ってどう関与するのか、あいまいなままだ。事故が起きた場合の責任を問われることに及び腰なのではないか」
 「3.11に対する政治家の責任問題すら突き詰められていない。原発を許可するシステムに欠陥があり、無責任体系と言えるのではないか」

 −原発に関する各党の主張をどう見ますか。
 「安全に関する科学的議論はいろいろあるが、原発を使うかどうか最終的に判断するのは国民であり、そのリーダーシップを取るのが政治家。3.11を踏まえれば、政治家は事故の責任を取れるのかということが大きな教訓で、各党、各候補はそれにきちんと回答できるかが肝心だ」

・・・「ただ、地元の『同意』は事故があった場合に『自分たちも責任を引き受ける』という意味にもなる」ですか。「オラ地域の経済のためにもさっさと再稼働させろ!」と常日頃叫んでいる柏崎、刈羽地域民はそこら辺を自覚しているのですかねぇ・・・?
もし再稼働後、重大事故が起きたら、県内他地域の県民に対してどう責任を取ってくれるのか?
まぁどうせ、そんな事ははなっから放棄して、ひたすら被害者面するのでしょうけど。

Posted by 新潟県民 at 2014年12月11日 19:40
今日の新潟日報朝刊より

●原発再稼働・地元同意
 蚊帳の外に不安強く
 立地地域外住民 「30キロ圏の声聞いて」

 東京電力柏崎刈羽原発を抱える本県にとって重要な課題が、衆院選ではほとんど議論されていない。それは「原発が再稼働の手続きに入ったとき、どこまでの範囲の住民の同意が必要なのか」というものだ。政府が曖昧にする中、9月以降の九州電力川内原発(鹿児島県)の手続きでは立地する薩摩川内市と県だけとなった。もし柏崎刈羽が再稼働手続きに入ったら−。本県の立地地域外の住民らは蚊帳の外に置かれることへの不安を抱えている。

 柏崎刈羽原発の「立地地域」の内と外とが一本の川で隔てられている場所がある。原発が立地する刈羽村の油田地区と長岡市大積田代町との境界を流れる黒川がそれだ。
 「川の向こうかこちらかで、再稼働の是非について話を聞く聞かないが分かれるのはおかしい」。大積田代町で養鯉業などを営む五十嵐世樹さん(66)は川を眺め、つぶやいた。
 鹿児島県での再稼働手続きが踏襲されれば、自宅裏にかかる橋を渡った先の刈羽村では再稼働に同意するかの意見を聞かれる。しかし、立地自治体でない長岡市にある大積田代町は、原発から約10キロと近いにもかかわらず蚊帳の外になる。
 五十嵐さんは原発にあまり関心がなかったが、福島第1原発事故で安全性が気になるようになった。もし柏崎刈羽で重大事故が起きれば古里は放射性物質で汚染され、育てた錦鯉も風評被害を受けかねない。
 「再稼働の議論では、少なくとも(事故時に避難準備区域となる)原発から30キロ圏の住民の声は聞くべきだ」。衆院選の候補者には立地地域以外の住民の思いも聞いてほしいと願う。

 新潟日報社が6月にまとめた、原発問題に関する県内30市町村長を対象としたアンケート調査でも、地元同意の範囲をより広くとらえる回答が多かった。「県内全市町村」との回答が最も多い10人で、「30キロ圏内の市町村」も6人いた。
 関川村の平田大六村長はこの調査で、全県だけではなく「県外の周辺自治体」も挙げた。事故後、福島第1原発から150キロも離れた関川村でも山菜やクマ肉などから微量の放射性セシウムが検出されたからだ。
 平田村長は「同意を取る範囲が立地地域はもちろん、30キロ圏でもまだ狭い。県境で区別するべきでもない」と話す。さらに、現在、法的根拠のない「地元同意」について、地元の範囲も含めたルール作りの必要性を指摘する。

 本県では再稼働に対する民意を県民投票で問うよう求める運動があった。市民団体が県議会に県民投票条例案を直接請求したが、昨年1月に否決された。
 この運動に関わった三条市のイラストレーター宮島雅子さん(46)は鹿児島での再稼働手続きに疑問を示す。同意の範囲だけでなく、その民意のまとめ方に対してもだ。
 鹿児島での「同意」の判断は、首長と議会だけに委ねられた。「住民の意見を本当にくみ取れているのだろうか」。宮島さんの胸に湧いた疑念は消えない。
 原発の再稼働論議が始まった中での衆院選。宮島さんは、国民投票など住民の思いを直接反映できるシステムづくりについて議論されることを望んでいる。
Posted by 新潟県民 at 2014年12月11日 20:09
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