2015年01月19日

1241.顧客をスラップ訴訟で脅す九州電力

2015011901.jpg・全国原発再稼働の最先端を走っている川内原発を止めるために、住民有志が仮処分申請を起こしている。
・この仮処分申請に、九州電力は、あろうことか、「損害賠償請求」をするとして脅して、訴訟を取り下げさせる動きを見せている。
・原子力発電を止めると、停電が起きて弱者が死ぬなどとというふざけたキャンペーンを張っていた電力会社も、ついにそのメッキがはげ、なりふり構わず原発再稼働をせざるを得なくなった−たんなる経営問題に過ぎない−と言える。

 今春にも再稼働と言われている川内原発。その再稼働を防ぐために、裁判所に仮処分申請を行っていたグループが、九州電力から脅されました。

川内再稼働差し止め、賠償恐れ申請離脱
西日本新聞経済電子版 1月17日(土)13時27分配信
 鹿児島、宮崎、熊本県の住民が九州電力を相手取り、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働の差し止めを求めた仮処分申請で、申立人23人のうち10人程度が申請を取り下げたことが16日、関係者への取材で分かった。仮処分が認められた場合、再稼働の遅れに対して九電から巨額の損害賠償を請求される可能性が生じるため。九電は賠償請求するかどうか明らかにしていないが、識者からは「公共性が高い訴訟では住民側を擁護する仕組みが必要だ」と、法制度の不備を指摘する声も出ている。

 仮処分は、川内原発の停止を九電に求めた訴訟の原告住民2479人のうちの23人が昨年5月に申請。鹿児島地裁での審尋は既に終結し、住民側弁護団によると、早ければ2月にも地裁の決定が出そうな情勢だ。川内原発再稼働をめぐっては昨年、福島第1原発事故後の原発の新規制基準下で全国初となる地元同意手続きが終了。工事計画認可などが順調に進めば、3月以降の再稼働が濃厚だ。そうした中、反対派は仮処分を「再稼働を止める最後の手段」と位置づけている。

 法的に賠償請求の可能性が生じるのは、再稼働差し止めの仮処分が認められた後、本訴訟で住民側が敗訴した場合。九電は仮処分の申立人に対し、再稼働が遅れたことで被った損害を求めることができる。

 九電は昨年7月、審尋の準備書面で「再稼働が遅れれば、火力発電の燃料費などで1日5億5400万円の損害を被る」と明記。地裁に対し、申立人に賠償に備えた「妥当な金額」の担保金を積み立てておくよう命じることを求めた。

 地裁は今のところ積み立てを命じていないが、住民側弁護団は昨秋、申立人23人に担保金の要求や賠償請求の可能性について書面で説明。この結果、10人程度が申し立てを取り下げた

 弁護団の大毛裕貴(だいもうゆうき)弁護士は「九電が賠償請求する可能性は低いだろうが、ゼロではないので申立人に説明した。取り下げは残念だが、それぞれの生活があり、やむを得ない」と話す。

 九電は「担保金は、地裁から必要性を尋ねられたので書面で答えた。申立人に賠償を求める可能性については仮定の話なので答えられない」としている。

西日本新聞社
九州に住む人たちが訴えているわけですから、九州電力からすれば顧客の一人であることは間違いありません。それを「紳士」といわれていた電力会社が、

「おまえら、そんな訴訟を続けていると、こちらにも考えがあるぞ」

と正面切って脅してきたわけです。原発はもう大飯原発が停止した2013年9月15日から、もう1年以上も停止し続けており、かつどこの地域にも大規模停電は起きていないのですから、

「原発を停止すると、弱者が死ぬ」

などと叫んでいた電力村の御用学者達が全員嘘つきであることが明らかになったわけですが、誰一人反省などしていません。いや、むしろ、電力会社の経営問題に過ぎない 原発再稼働を強引に進めるために、ついにはなりふりかまわず、脅してきたわけです。

 最初は丁寧な言葉で説得しようとし、その次には嘘っぱちのデータを挙げてごまかそうとし、そのいずれも上手くいかないとわかると今度は腕力でねじ伏せる。 まさしく、今のおごり高ぶった電力会社の姿勢をまざまざと見せつけくれてました。

 裏を返せば、電力会社もここまで追い詰められてきているというわけです。原子力は1/3をしめる重要な電源ですと説明していたのを、今では、1/4 をしめる重要電源にするというたわごとを、経産省の天下り機関をつかって発表する始末。1/3が むりなら 1/4 って、バカじゃないんですかね?

 九州電力が訴訟人に対して、偉そうに「賠償の準備をしておけ」 と言うくらいならば、 私は「原発事故に備えて、賠償金を積み立てておけ」 といいたいです。実際、再稼働に当たっては、最悪の事故(炉心内の燃料が破損し、放射能が環境に放出される−いわゆるフクシマの状況−)に備えて、「賠償費用、あるいは 原子力災害保険」への加入を求めてはいかがでしょうか?それならば、九電からスラップ訴訟を起こされることもないはずです。

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タグ:九州電力
posted by いんちょう at 22:52| Comment(4) | 原子力
この記事へのコメント
小野先生、毎々ブログ記事、拝読させていただいております。ありがとうございます。
九電は、九州を代表する企業にもかかわらず、このお粗末さは一体どうなっているのでしょうか。
裁判を使って脅しをかけているとしか、世間はみなさないでしょう。自ら窮地に陥るだけです。
公企業という立場を棄て、原子力にしか依存できない零細企業に成り下がったとしか思えません。
本当にみっともないです。


Posted by 憂い人 at 2015年01月20日 00:48
http://onodekita.sblo.jp/article/46866553.html

こちらの記事3年経って、最新の価格
改めて読みたいです。

建設コストは高すぎですね。
Posted by 農家 at 2015年01月20日 08:42
> 裏を返せば、電力会社もここまで追い詰められてきているというわけです。原子力は1/3をしめる重要な電源ですと説明していたのを、今では、1/4 をしめる重要電源にするというたわごとを、経産省の天下り機関をつかって発表する始末。1/3が むりなら 1/4 って、バカじゃないんですかね?

って、とこで笑ってしまいました。
あまりにも院長のコメントがストレートすぎて。^^

でも

>九州電力が訴訟人に対して、偉そうに「賠償の準備をしておけ」と言うくらいならば、私は「原発事故に備えて、賠償金を積み立てておけ」といいたいです。

ほんと、まさに院長の言うとおりだと思います。

人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば 悪い報いがある、「因果応報」。
悪足掻きはかえって自身を滅ぼすこととなるでしょうから。
Posted by Kayo, :) at 2015年01月20日 20:29
こんにちは。
いつも違うこめんとですみません。

ーーーーーー

21日水曜日の朝
テレビのニュースありました。
さらっとで、覚えきれてないです。

『転落しぼう事故を受けて
 フクシマの本日作業 全面中止?』

?なんかニュース自体消えてる。
?転落事故くらいで作業止めない。
?関連ブログも上がらない。

あいまいでごめんなさい。
Posted by 先生の本かったよ。 at 2015年01月21日 14:00
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