2015年02月16日

1248.チェルノブイリよりひどい福島の甲状腺がん

2015021601.jpg・福島の甲状腺癌は、「スクリーニング効果によるものだ」と被災地では国を挙げて宣伝し、熊本のように離れた地域には何も報じられない状況が続いている
・先日の熊日新聞に「中西準子」氏がチェルノブイリと比較して、福島は非常に良くコントロールされており、被害もほとんどないと御用論説を述べていた。
・チェルノブイリの被害を受けたベラルーシと、福島県−甲状腺癌の実数を比較しただけで、どちらがひどいかは簡単にわかる。


 先日の熊日新聞に「中西準子」氏が、福島はチェルノブイリと比較すれば放出された放射能も非常に少なく、かつ流通がしっかりとしていたため内部被曝も少ないため健康に被害を及ぼすことは考えられないという趣旨の論説を掲げていました。
 反論したいことはたくさんありますが、彼女はこの本文の中で一つミスを犯しています。すなわち「チェルノブイリと比較すれば、たいしたことはない」といった論法で日本人をだまそうとしていることです。裏を返せば、チェルノブイリの健康被害は無視し得ないものだったことを認めているわけです。

2015021602.jpg では、そのチェルノブイリの甲状腺癌の実数はどのようなものだったのでしょうか。統計が取られているのは、ベラルーシ全体で、ベラルーシの人口はおおよそ1000万人。しかも子どもの比率は、福島県よりは高いであろうことは容易に想像がつきます。


 このわずか20数人の小児甲状腺癌が発生したときの様子を、DAYS JAPANは次のように述べています。

 IAEAが小児甲状腺ガンは発症していないと発表した91年、ベラルーシ放射線医学研究所を訪れた佐藤幸男教授は、IAEAの報告とは全く異なる事実を知る。研究所のタラマ・ベローカヤ医師が「小児甲状腺ガンが前年だけで30例近くも発症している」と告げたのだ。他の研究所や病院でも同じことを言われたという。
 日本でもこのことはすでに知られていた。91年5月に、ミンスク小児血液病センターのオリガ・アレニコワ所長が来日し、私も講演を聴きに行ったが、そのとき彼女は、甲状腺ガンの発症率が激増したと報告している。それでもIAEAは、何の心配もない、放射能による病気は発生していない、と言い続けた。

 IAEAが福島ではなんの健康被害も起きていないし、これらかも起きないと発言していることはみなさまご承知の通り。

2015021603.jpg1000万人の人口を持つ国が30例近くの甲状腺癌発症を見て、国際的に報告をしている・・・一方で、福島はどうか。200万ほどの人口で100人近く。つまり、チェルノブイリで言えば、500人近い小児甲状腺癌が見つかっている程度の頻度になります。これをスクリーニング効果だと主張する日本人の疫学者達。
 しかも、福島で治療している鈴木真一氏は「チェルノブイリと様相が異なるから、被爆の影響ではない」と主張する始末。
 いったい、誰のため、なんのために、医療を行っているのでしょうか?チェルノブイリの医師達と比較して、恥ずかしいと思わないのでしょうか。

■関連ブログ
福島の甲状腺ガン増加をチェルノブイリと全く同じ文言で否定する日本人医師たち2013年03月03日
1216.福島の甲状腺癌は、増えていない2014年11月16日

タグ:甲状腺癌
posted by いんちょう at 21:30| Comment(11) | 原子力
この記事へのコメント
有名なI病院。ここに長く通院している人の話です。「広い待合室は普段半分ほどしか埋まっていなかった。それがここ3年座れなくなった。かつては子供の姿を見かけても「(病気の)お母さんに連れてこられたのだろう」と思っていたが、子供の方が患者として呼ばれるシーンが増えている。甲状腺の病気はほとんど女性なので婦人科みたいな待合室だったが、最近は男性がバツが悪そうに呼ばれるのを待っている。」ということでした。嘘だと思う方、見に行ってみるといいですよ。
Posted by 東京の甲状腺事情 at 2015年02月16日 22:25
福島だけでなく、http://www.sting-wl.com/iodine-map3.html茨城県、千葉県、東京都、特に千葉県の一部では放射性ヨウ素が高かったことが知られていますから、これから問題は大きくなり、場合によっては事故当時から現在までの政治家と東電を筆頭とした原発関係者の責任が追求され政治は大きく乱れ、このままでは、関東地方の子どもと大人の甲状腺の治療を適切に行うことは出来ないと想いますので、新しい指導者の登場が期待される時が来ると希望的観測をしています。
Posted by tabi at 2015年02月16日 23:01
放射性廃棄物の海洋投棄の歴史が気になって、先ほど、放射性廃棄物のwikiを見てみました。バラ色の「原発明るい未来のエネルギー」(死の街と化した双葉町の
スローガン)的構成のままでした。絵に描いた餅の「オメガ計画」で将来処理さけるので数十年保管してたら無害になるんだそうです。
Posted by uttegaeshi at 2015年02月17日 01:32
チェルノブイリでは、早くから医師たちは様々な異常に気づいていたが、原発事故由来であることを証明できる手段がなく、甲状腺の疾病だけは、事故前と事故後の出生により、その発生頻度に差があることに着目、公表したことで原発事故由来
であることが証明された、と記憶しています。

日本の医師もはやくそうなってほしいです。
そして、まだ数は少ないけど、そういった発信をしてくださる医師の方の発言にもっと注目したいと思います。
小野先生、東京から岡山へ移住した先生、チェルノブイリでも診察されていた松本の先生など。
Posted by いつもみてます at 2015年02月17日 10:04
鳥取での甲状腺検査もパンパンだと病院関係者が言っていました。
Posted by 鳥取 at 2015年02月17日 10:48
疑いがあるのと実際の癌とは違うし
現状で甲状線癌が1人しかいない時点で
チェルノブイリより被害が多いなんて言えないのでは?

Posted by あ at 2015年02月17日 14:34
https://www.youtube.com/watch?v=ZNYvKm04fXg

フランスのTV の取材記事放送 1時間弱
おなじみの方が出演
南相馬市は居住不能と郡山も
Posted by 農家 at 2015年02月17日 20:44
小児甲状腺を認めないんだから。
大人の病気なんて認めないよね。

4年後が始まります。
コメントの皆さんの想像するように。
ーーーーーー
変なん流れから
関心ある奥さんグループに
ひばく話ししてきた〜。

初めて、講師っぽくやった。
いっちょ前にホワイトボードなんて書いちゃってさ。
先生の本と、地図も持ってったよ。

あと
カラー図鑑ストップ原発(大月書店)
ーーーーーー
で、感想。
一般メディア情報が入った人は、
ボク程度じゃムリで〜す。

情報統制はさすがです!
Posted by 先生の本かったよ。 at 2015年02月18日 09:05
チェルノブイリ事故発生時に欧州に一家で滞在していた知人がいますが即時日本へ帰国。
現在は関東在住。
彼の事を考えると胸が痛い。
Posted by アンシュルス at 2015年02月18日 21:31
 2015年02月22日の1251.雑談ツイキャスで話題に上った、札幌西○医師の講演ビデオを何回か見ました。たしかに、ご自身が施療されてきた放射線治療の例をあげながら、説得力あるお話でした。しかし、最後のところで、福島で見つかっている甲状腺癌は放射線が原因とは考えられない。なぜなら、ガンの増殖速度から考えると、こんなに早く甲状腺癌が大きくなるはずがない、というような理屈でした。この辺りの理屈は、まるで、福島の被ばく線量はチェルノブイリに比べて低いので、今見つかっている甲状腺癌が放射線が原因ではないというのと同根のように思います。素人考えですが、ガン細胞こそ千差万別で、振る舞いが予測できず、増殖の早いガンもあるのではないかと思います。
 先日は、神戸の郷○医師の講演をビデオでみました。このかたは、原爆被爆者のかたの診療をして、裁判にも被爆者のかたのために尽くしているということでした。また、ある学会で、福島の避難者の鼻血は、放射性粒子が鼻粘膜にくっついたためだろうということを発表して、話題になりました。このかたの話は、今の甲状腺検診は非人道的で、渋谷東大教授のお名前をひきながら、やめるべきだというようなことでした。途中で視聴をやめたので最後まで聞けませんでしたが、講演会自体は少人数の会のようでした。しかし、話がビデオに残り、流されるということをこれらの先生方はどのように考えておられるのでしょうか。チェルノブイリの経験から、このさき甲状腺癌がさらに増加すると予想されますが、そのときにこれらのかたはどのような弁解をするのでしょうか。
 院長先生のいつもおっしゃるように、99%の真実に1%のなんとかを混ぜるのが常套手段で、みながそれを見破る知識をつけなければならないと思います。
Posted by くまひろ at 2015年02月23日 01:31
 西尾医師のインタビュー記事が「財界さっぽろ」2011年9月にありました。内部被曝は危険で避けなければならないと警告しています。しかし、そのころから「内部被曝の影響は10年後必ずでてくる」、事故直後に放射性物質を吸い込んでいても現在は100分の3くらいに減っている、今くらいの量だと汚染された肉を食べたとしてもそれほど問題はない、放射線量についても今くらいなら住んでも問題は無いと言ってられます。
 一般論として、内部被曝は危ない、被曝はできるだけ避けるべきだということを言えても、結局、そこに住み続けなければならない人の前では、最後のところが曖昧な言い方になってしまうのでしょうか。肥田先生も、事故直後は、入市被曝の話から内部被曝の怖さを強調しておられましたが、次第に変容したように思います(これは院長先生もおっしゃておられることですが)。
 すでに100人近くの甲状腺癌がでて、このさきどうなるか、恐ろしいことです。これから癌が多発すると見込んでいるのか、「自分は癌検診は受けない」という、近藤誠医師ばりの癌放置の意見を、あちこちで見るようになりました。このような意見も、世論をその方向にむけさせようという、どこかの意向が反映されているのでしょうか。そこまで疑うのはおかしいのかもしれませんが。
Posted by くまひろ at 2015年02月24日 20:51
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