2015年03月21日

1262.1号機、2号機ともに燃料溶融、炉内から流出

2015032101.jpg・フクシマ1号機、2号機ともに炉心内の燃料は溶融(メルトダウン)し、さらに炉内にも燃料が残存していないこと(メルトスルー)していることを東電が正式発表。
・沸騰水型原発は、その構造上底に穴が空いているのだから、メルトダウンすれば炉内に燃料がとどまっているはずがない。
・燃料がどこにあるのかさえわからないのに、40年後の廃炉と政府、東電ともに発表している。無責任きわまりない。


 フクシマの燃料が溶解して、炉内にはとどまっていないことをようやく東電が発表しました。

炉内燃料、ほぼ全量溶融 福島第1原発1号機 調査で初の確認
2015032102.jpg03/19 20:45、03/19 21:10 更新
 東京電力は19日、宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線から生じる「ミュー粒子」を利用して福島第1原発1号機を調査した結果、原子炉内の核燃料がほとんど溶け落ちていることを確認したと発表した。燃料溶融を調査により確認したのは初めて。

 東電は1号機について、事故時のデータ解析などから、ほとんどの燃料が溶融して格納容器に落下したとみており、今回の調査結果はこれを裏付ける内容。

 東電は、廃炉工程で最難関となる溶けた燃料(デブリ)の取り出しに向け、具体的な取り出し手法の検討に活用する。


福島原発:「ミュー粒子」利用 2号機も炉心溶融を確認
毎日新聞 2015年03月20日 16時55分
2015032101.jpg 名古屋大は20日、宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線から生じる「ミュー粒子」を利用して東京電力福島第1原発2号機を調べた結果、原子炉内の核燃料が少なくなっており、炉心溶融が裏付けられたと発表した。

 東電は19日、ミュー粒子を使って1号機で燃料がほぼ全量溶け落ちたことを確認したと発表したが、2号機での確認は初めて。

 名古屋大は、ミュー粒子を観測できる特殊なフィルムを使い、原子炉圧力容器の周辺を透視。2号機と、炉心溶融していない5号機を比較した。

 2号機と5号機で2014年4〜7月に計5回観測したところ、5号機に比べ、2号機の燃料が少ないことが確認された。(共同)
昨年、計測していたにもかかわらず、今頃発表なんて、さすが大学、揺ることが悠長ですね。ずいぶんと。

2015032103.jpg なぜ、メルトダウンした燃料が炉心の中にとどまっていないのか。スリーマイル原発(加圧水型)では、とどまっていたではないか。と思われる方もいるでしょうが、加圧水型と、今回事故を起こしたフクシマ沸騰水型では、原子炉圧力容器の構造が全然違うからです。図の左側が沸騰水原発の模式図。下から制御棒が突き抜けていることがおわかりでしょうか。実際に原子炉がどのようになっているか・・・
2015032104.jpg2015032105.jpg
 原子炉圧力容器の底と言ったところで、ザルに過ぎないことが良くわかります。この制御棒が突き抜けている溶接部は、沸騰水型原発のなきどころと言って良く、浜岡原発ではここに亀裂が入ってしまい、にっちもさっちもいかなくなっていたことは、周知の事実なのです。このようなザルの部分に数千度と評価される燃料が溶け落ちていけば、原子炉圧力容器の中に残っているはずがありません。

炉心溶融がどのように進展していったかは、次の動画でよくわかります。


2011.12のとある掲示板の情報に寄れば、2号機の格納容器下部にコンクリとウランの溶融状態になったことが既にボーリングで示されています。(一見、エロサイトですので、ご注意ください)
(ボーリング手法)
2015032108.jpg2015032109.jpg

2015032106.jpg2015032107.jpg

 どこにあるのかはっきりしているチェルノブイリ原発でさえ手がつけられないのに、どこに燃料があるかはっきりしないフクシマで40年後(正確には36年後)に廃炉が終了するというデマと言いようがないスケジュール。いったいなぜ、いまだに大本営発表が信じられているのか私にはさっぱりわかりません。

■関連ブログ
原発事故を台所で考えてみる・・2011年08月19日




posted by いんちょう at 12:09| Comment(10) | 原子力
この記事へのコメント
μ粒子を使っている時間があったら、汚染水処理問題を少しでもマシにしてほしいもんです。最初から分かりきってることを今頃発表している時間や人的余裕があると思っているのかなあ。工作員がいたら答えてくれよ。監視してるんでしょ?東電、規制委員会とも恥知らずな人間の集まりですな。
Posted by Bach at 2015年03月21日 13:20
溶けた核燃料が
地中で冷えるのなら目出度い
地下水脈で爆発か
その先のマントル達して放射能火山

細い管にして大量の水を循環しないと冷えない
チェルノブイリとTMIはなぜ固まったのか
は解りませんが。
Posted by 農家 at 2015年03月21日 18:55
何十年後かに廃炉とか、何十年後とかに県外へ最終処分場とか、みんな同じ理屈ですね。その時にはもう今の官僚はいない。責任をとる必要もない。
法律に書かれたからと安心する県民もどうかと思いますが。
いい加減気づけよと思います。
Posted by 原発難民 at 2015年03月22日 01:31
福島第一1〜2号機のメルトスルーは、
前々から言われていましたが、
東電は、前例にならって、今になって、かなりの後出しで
情報を出して来たような気がしています。
(重篤な状態を国民に知らせまいとする、親心に感謝)
燃料は、地下に潜ってしまったので、
地下水脈への深刻な影響も懸念されます。
東京あたりでは、多摩川・荒川・江戸川、
全部、源流を辿れば、放射性物質が当たった、
栃木・山梨・埼玉の山間の水であって、
実際、金町や三郷の浄水場からは、セシウム137が検出されています。
あとは、原子数レベルで、ストロンチウム90の
事故原発からの放出量は、セシウム137のそれと
同等な筈で、山側はともかく、
http://www.whitefood.co.jp/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%81%A8%E3%81%9F%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%86%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/1861/
海側は太平洋の海水に溶け込んでいることが考えられますが、
環境省や厚労省のFAQでは、
“海産物中における放射性セシウム以外の
 核種(ストロンチウム90 など)の
 寄与率を 50%と仮定して基準値を
 計算しています。”
とあるように、セシウムに比べて、
半分の量でしか見積もっていない。
最近では、静岡県の浜松側や岐阜あたりでも
人口動態(老若男女含める)は、
悪くなったように訊きましたので、
数値的な裏付けでの確認の意味で、
全国と比較する形で、
悪性腫瘍の増減を調べてみました。
24年度までの実績で見ると、
下記のように、
静岡県では、肝臓がんが、全国平均の+17ポイントの40%の患者増、
岐阜県では、肺がんが、+9ポイントの43%増、さらに甲状腺がんの増え方が深刻で、
絶対数は、200弱ですが、
その過程で、
全国よりも+20ポイントも増えて、
57%増にもなっています。
各所、いろいろな病気で来ているので、
今やシャバでは、福島の乳児甲状腺がんだけで、
議論していると、
「君は、チェルノブイリ前の人か?」
「失礼ですが、ネットの無かった、
 昭和時代のお方ですか?」
と、笑われます。
(国民から、選挙の票と税金により、付託を受けている、
従来、正義感があるべき、国会議員や党首までが、
ようやく、福島県の乳児甲状腺がんの
放射能への有意性の是非だけを議論しています。
本当に、国民の命を守る、気合いが入っているのか、彼らに問い正したい。)
セシウム137にしても、ストロンチウム90にしても、半減期を迎えるまでは、
あと、四半世紀先。
各位、自分のいる所の原発からの半径は、
勿論ですが、地方問わず、食べ物・ガレキ処理
・地形・水・土、
あらゆる事を考えて、お大事にされてください。



(( 患者数及びその増加率 ))

<静岡県>
      H22' H23' H24' H22'→H23' H22'→H24'
胃がん   3934 5092 5204  29.4%   32.3%
肺がん   6597 8505 8403  28.9%   27.4%
肝臓がん  2655 4071 3710   53.3%  39.7%
甲状腺がん 267 330 339   23.6%    27.0%


<岐阜県>
       H22' H23' H24'   H22'→H23' H22'→H24'
胃がん   1659 2126 2224   28.1%  34.1%
肺がん    2833  3733 4132  29.5%   43.3%
肝臓がん  1832  2139 2099  16.8%  14.6%
甲状腺がん 118 171 185  44.9%  56.8%


<全国>
       H22' H23' H24'  H22'→H23'  H22'→H24'
胃がん  125230 164737 167603  31.5%   33.8%
肺がん  197879 255947 265001  29.3%   33.9%
肝臓がん 112379 142735 138181  27.0%   23.0%
甲状腺がん 11439 15252 15635  33.3%   36.7%

         (厚労省:DPC登録1774病院
          からの集計より)

http://textream.c.yimg.jp/res/textream-cimg/78/b0/1009501-el5feeeno/8690/fcaf750d0c2e84c92d0ea1f54ebfbd26.jpg
Posted by 浮き船 at 2015年03月22日 08:33
この4年間、廃炉作業の工程から見ると、なにも出来なかったと言うことが事実でしょう。
環境の汚染は益々進んでおり、地下水がデブリと接触している限り海洋汚染は酷くなります。
PM2.5などの環境汚染には敏感に騒ぐが、この酷い放射性物質による汚染は日本もアメリカも騒がないのは何故でしょう?

Posted by 足袋 at 2015年03月22日 08:55
 圧力容器内に溶融燃料がないのと同じくらいわかりきっているのが、「凍土壁なんて無意味」という事だと思うんですが、東電はまだやるつもりみたいですね。2015年3月凍結開始予定が1か月ずれ込むとニュースでやってました。
 そもそも凍土壁にこだわる理由はなんなのか? ものすごくうがった見方をすると、結局福島第二原発を動かし続けたい一心で、壮大な電気の無駄遣いをするつもりなのかなと考えてしまう自分がいます。
 要は「第二原発やめると凍土壁維持できなくなって、汚染水垂れ流しになるけどいいの?」と、フクイチを人質に取るやり方です。
 だとすれば、一度運用したら最後という原発の悲劇がまたしても繰り返されることになります。
 個人的な思い込みであればいいのですが、東電とこの国の政府ならやりかねないと考えてしまう今日この頃です。
Posted by 某三世 at 2015年03月22日 13:42
ボクの想像力も
メルトスルー、メルトアウト
してると思ってた。

水素ばくはつの
水素さん達が充満したんだから。
圧力抜けたら
一次系しゅんかん沸騰。

あの
東京ハイパーレスキュー
行ったときなんかは、
モクモク激しかっただろうな〜(想像)


Posted by 先生の本かったよ。 at 2015年03月22日 16:45
3月21日付新潟日報朝刊より

●本県など食品セシウム調査
 来月から対象縮小

 政府は20日、東京電力福島第1原発事故を受け、本県などの17都道府県が実施している放射性セシウム検査に関し、対象食品の見直しを発表した。これまでの検査結果を踏まえ、ブロッコリーやウメ、茶などを原則として除外。4月以降、検査が必要な食品は20減り45品目・類となる。
 牛肉や牛乳は餌などの飼育状況の影響を大きく受けるため、引き続き検査対象とした。牛肉は農家ごとに3カ月1回程度の検査を実施しているが、飼養管理適切な実施が確認されれば、12カ月に1回程度に減らせるようにした。

・・・これからは、ますます個々の「自衛」が大事になってきますね。
Posted by 新潟県民 at 2015年03月22日 18:19
40年後の廃炉と政府、東電ともに発表している。<これ間違いです。廃炉ではなく世界最大の原発事故の収束です。
まず無理でしょうね。
Posted by 峯岸 はじめ at 2015年03月22日 19:15
某三世さん
こんにちは。

これは
僕の勝手な想像力なのですが
いちイメージとして。

ーーーーーー

『凍土壁は無意味ではく』十分意味ある!?

まったく
根拠ないでーす。が

地下水って
土粒子の隙間にあるんで
量的には少ないし
流れも早くないです。

なので
地下に潜り込んだとしたら
冷却水循環が‥‥

なので
凍らないくらいの冷水を
圧力かけて地下から
送り込んでんじゃないかと〜。

時間あたり
1日あたりで
溶け落ちた燃料から
熱とってあげないと‥‥。

ーーーーーー

で、
数年、数十年したら
ガラス固化薬液注入。

海底地下トンネル〜(以下略)
Posted by 先生の本かったよ。 at 2015年03月22日 22:23
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。