2015年06月10日

1279.「銀行よりも原発が安全」珍説が披露された女性だけの原子力推進会議

2015061001.jpg・パネリストを女性だけに限定した原子力御用会議が「原発の必要性や安全性、どうしたら国民に理解してもらえるか」を目的に東京で開催された
・「銀行よりも原発が安全」「原子力は女性に向いたエネルギー。なぜなら知的なものだから」等、意味不明な主張ばかり
・日本人だけではなく、外国人まで参加している。原子力に洗脳されているのは、決して日本だけではないことがよくわかるだろう。

 原発会社を元とする原子力複合体は、フクシマ以降、原子力を推進するために、いろいろな手段を講じてきた。最初は東大教授、役に立たないとなれば、世界の原子力専門家、そして側面から、コピーライターを中心とするいわゆる文化人達。ありとあらゆる職種、人物が「放射能の安全性」を説いているものの効果が薄いのは、みなさまご存じの通り。

 苦しさ紛れに「女性」だけの原発推進シンポジウムを開いてきた。「女性」とわざわざ銘打ってくるところが、嫌らしい。もっとも、原子力村は推進側に「女性」団体を作る重要性は、フクシマ以前から認識しており、WiN などという怪しげな女性団体を作っているのは、既報の通り「原子力空母はCO2を出さないからエコ」とは、さすが女性の視点だと感心したものです。

 まあ、団体が何を言ってもいいとは思うのですが、今度はシンポジウムを開いてきました。発言は「女性」ならではのものばかり?

世界の女性技術者・学者らが結集し、原発の必要性をアピール 「マスコミの恐怖報道にはうんざり…」 2015年6月2日 産経新聞
 パネリストはすべて女性という珍しい国際シンポジウムが5月19日、東京・六本木の政策研究大学院大学で開かれた。しかもテーマは、世論が二分し、ともすればイデオロギー論争に巻き込まれがちな「これからの原子力問題」。原発の必要性や安全性、どうしたら国民に理解してもらえるかなど、女性ならではの視点で活発な議論が展開された。(原子力取材班)

■世界10カ国以上から集う

 主催は、日本エネルギー経済研究所や米国のブレイクスルー研究所など。正式な題名は「女性が語る原子力−なぜ必要か、なぜ安全か、なぜ他にないのか」で、10カ国以上から、プラント技術者や放射線医学者など、主に原子力の専門家が集まった。

・世界各国
・10カ国
以上とは、素晴らしいですね。日本だけではなく、世界中に原子力ラブの女性集団がいるってこと。なんと、心強いだろうか。女性ならではの視点(そんなものがあるのかどうか、よくわかりませんが)を見ていこう。

 日本からは、50年以上の歴史を持つ原子力学会で、昨年初めての女性会長となった藤田玲子さんらが参加した。

2015061002.jpg 「原子力はなぜ必要か」というテーマでは、藤田さんは「福島の事故があってから原子力に対する反対がより強くなっている。その理由の一つが、高レベル放射性廃棄物の問題。今の所、地層の深い所に処分することになっている。原子力をやめたとしても、処分の問題は残っており、避けて通れない。できるだけ廃棄物を少なくして、再利用できる物は再使用する」と訴えた。
 もちろん、ご指摘の通り。、処理のできない高レベル廃棄物をこれ以上作らないためにも脱原発を一刻も早く成し遂げるのが、本筋である。そもそも、再処理を行っているのは日本などごく一部で、たいていは使用済み燃料の直接処分を行っているわけで、論理が破綻している。この破綻具合は、男性と全く同じ。
 ただ、「脱原発をしても廃棄物は残る」などというわかりきったことで、原発を推進できると考えているところが、「女性ならではの視点」なのか?いや、この理論は、ホリエモンをはじめ、原発推進派が昨今、「推進の根拠」としているのを良く目にするので、どこからかの指令なのであろう。きっと。それにしても、原子力学会が、初の女性会長をつけなければならないほど、追い込まれているとは全く知らなかった。藤田会長には、女性ならではの視点をいかして、原子力廃止に向かっていただきたいものである。

2015061001.jpg 世界原子力協会の共同創設者であるアニエッタ・リーシングさん(スウェーデン)は大学卒業後、銀行で働いていたが、「銀行強盗に遭い、『お金を出せ』と言われた。もっと安全な所で働きたくて原子力の分野に入った」と言って会場を笑わせた。

 リーシングさんは1986年のチェルノブイリ原発事故で、環境NGOが10万人にさまざまながんが発症したと吹聴しているが、甲状腺がん以外のがんが特に増えていないことが国連の科学委員会で実証されていることを説明。米国では1979年のスリーマイル島事故後、原子力に対する世論の支持が回復し、現在5基が建設中であることを示した。

 「多くの国で認識のギャップがある。あまりにもマスコミが原子力を否定しがちで、恐怖を報道している。それでも米国では原子力に対する70%近くの強い支持がある。スウェーデンでも1980年代に否定的な見方があったが、現在は、65〜70%が原子力利用を支持している」と説明した。

 そして「女性が支持するということを期待している。原子力は女性に向いたエネルギー、なぜなら知的なものだから。まだまだ長い旅が待っており、さまざまな感情的な問題にも対応しなければならない。事実を知ったら原子力を選ぶと思う」と理解を求めた。

 原子力が銀行よりも安全とは、まさしく「女性ならではの視点」である。そんなものを比較することに意味があるとは、通常の人間は思わない。また、

「原子力は女性に向いたエネルギー、なぜなら知的なものだから」

とは、二重の意味で女性をバカにしている。エネルギーに男女の差があるのか?

特に注目を集めたのは中国からの参加者だ。

2015061003.jpg 西安交通大で原子炉工学を学び、北京原子力研究所(現中国原子力エンジニアリング社)で働いた経験もあるフランス電力中国支社最高経営責任者(CEO)のシュータン・ソンさんは「私は中国の原子力関係の女性を代表している」と自己紹介し、話し始めた。

 中国は現在、世界最多の原子力建設計画がある。24基が建設中で、2050年には200基になるとも予測されている。

 ソンさんは「娘は16歳、次世代がより良い社会で、健康な環境で育ってほしいと思う。原子力がその助けになると信じている。今年は中国の原子力にとって意味のある重要な年で、福島の事故の後、原発を停止していたが、新規建設を再開した」と説明する。

 中国の電源開発については「水力発電は低炭素だが、(適地が)ほぼ開発されている。中国は石炭だけの火力に頼っている。だから環境上の懸念が高まっている。そのため、原子力が持続可能で有効なエネルギー源となる。中国は巨大な電力需要がある。それに応えることができるのは、原子力を推進することだ」と強調した。
米国が原子力発電に推進していた1970年代後半を思い出す。当時の熱狂のまっただ中で、スリーマイル島原発事故が起きた。このまま行けば中国もまた二の舞を演じることは間違いない。怖いもの知らずのバカ と言わざるを得ない。中国で事故が起きれば、日本にも当然被害が及ぶわけで、傍観するわけにもいかない。中国の良識に期待したいところだが・・・

2015061004.jpg 日本エネルギー経済研究所の山下ゆかりさんは「専門的技術的な説明は長くなりがち。原子力の事故の影響では、すっと納得できるような説明が求められている」とコミュニケーションの重要性を訴えた。
 別の人物は、「知的なエネルギーだから、女性に向いている」と話していたのに、この女性は「すっと納得できる」という感情的な面を強調している。全く矛盾した話だ。「知的」というのならば、「理詰め」で説明すべきだ。

2015061005.jpg すると、原子力企業アレバ経営会議役員、アンヌ・マリショオさん(フランス)は「いかに女性に共感を持ってもらうか。透明性があること、何でも話ができること。コミュニケーションでは、忍耐強さがかかわってくるが、やはり世論には紆余(うよ)曲折があり、いつも一致するわけではない。オープンな場での議論が必要だ。日本はフランスよりも辛抱強い文化がある」と比較した。
結局、感情に訴えて理解してもらうと言うわけ。まあ、銀行よりも安全と述べたスウェーデンの女史よりもまあ、普通の考えである。なにやら、論理矛盾も甚だしいと思うのは、私が男性だからか?

 フィンランド産業電力元ブラッセル事務所長のカイヤ・カイヌリンさんも「どのようにして女性の支援を受けるか。信用できる情報源が必要となってくる。参加型のオープンな対話が必要になってくる」と同調。

2015061006.jpg英国インペリアルカレッジ・ロンドン教授のジェリー・トーマスさんは「メッセンジャーを選ぶことが大事。口は一つ、耳は二つだから、聞かせるには2倍の努力が必要。自分たちの意見が聞く価値のあることを納得させる。自分のエネルギーを使って声を上げることが大事だ」と訴えた。
 また、出てきましたジェリー・トーマス。福島大の教授になったら、いいのでは?。何しろこの人物は、チェルノブイリ後に「原発の安全性に気がついた」などと発言する筋金入りの原子力専門家。フクシマで何か催し物が起きるたびに日本に来ている「親日家」なのだから。

2015061007.jpg 東京電力で働いていた経験がある国際環境経済研究所の竹内純子さんは「長くコミュニケーションを考え続けてきた。すべて自分たちがやろうとするのではなく、共にやるという姿勢を持つことが大事。一般市民が受け取れる量にはキャパシティー(容量)がある。絞って伝えることが大事だと思う」と提案した。
結局、ワンフレーズで説得させろというもはや常識の話を述べているだけ。「知的」とはとても思えない結論である。この女性は、「東電出身」をきちんと述べているだけまだマシか・・

 それにしても、この種の催しを開くとは、結局のところ男女とも馬鹿にされているということ。エネルギーに男女などない。民衆を納得させるには、奇抜な方法を取るしかないと考えているのだろう。それにしても、スウェーデンで、70%以上もの人が原発に賛成しているというのは、本当のことなのだろうか。
■関連ブログ
「原子力空母はCO2を出さないからエコ」、「安全、安心は金」-女性の原発推進団体(WiN)の活動報告から2013年05月30日
1141.国内のみならず、外人までいる放射能安全教の司祭たち2014年08月22日
1211.インペリアル・カレッジ・ロンドンの華麗なる人脈2014年11月11日

  
posted by いんちょう at 21:01| Comment(6) | 原子力
この記事へのコメント
推進派中枢の男性を知っていますが、活躍する彼を自慢する母親に「1Fは極端な人手不足だから、息子さん現地で作業して生きていくよう勧めては?」と尋ねたら「ダメだ」の一点張りでした。「お母さんがこういってますけど、行かないのですか?」と尋ねると無言。 推進派の誰一人として作業員になろうとしないんだから、やっぱ分かってんだよ。ね、お母さん。
Posted by Back to London at 2015年06月10日 22:07
これらの発言を読むとまともに納得できるものは一つもない。金と何らかのしがらみで原発安全や推進を語っているのだろうが要するに人間のくずの集まりのような気がしてならない。
Posted by 市川賢吾 at 2015年06月11日 14:16
真実は 時の娘

もう4年たってます
反対するにせよ肯定するにせよ

Posted by とおりすがり at 2015年06月11日 23:22
下記、英訳した方が、よさそうですね。
http://textream.c.yimg.jp/res/textream-cimg/19/40/552020080-bba6bfm8fcoabbeja1a1gaf6b2a3nngaf7c0i2af2a3naea47/3/359c60e226999f442c44d214cd3b4db1.jpg
(本日は、Twitterなみに、文章を短くしてみました)
Posted by 浮き船 at 2015年06月12日 18:12
こんにちは。
また関係ない話しですが‥

いつも聞いてるラジオの
玉城ちはる さん
体調すぐれないみたいです。
ーーーーーー
銀河の歌姫 メインさんも
大変みたいだし‥‥。

身近かに、
教えてくれる人とか
居ないんですかね〜。
ーーーーーー

まあ症状が出てからでは、遅いのか(>_<)
Posted by 先生の本かったよ。 at 2015年06月13日 19:27
まぁ、どっちにしろこの女性の何人かが生きている内に、次の事故が世界の何所かで起きるだろう。
その時この女達は何て言うんだろう?
Posted by 武尊43 at 2015年06月14日 02:24
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