
・その実態は、火力発電所の燃料費を過大に見積もり、原子力の安全コスト、メンテナンスコストを全く考慮しないつぎはぎだらけ、矛盾だらけの試算に過ぎない
・海外のコンサルタントが発表している原発コストの6割程度で、この物価の高い日本で原発が運営できるはずがない。ウソで固めた結論を垂れ流すマスコミも問題。
平成27年4月に経産省内にある「発電コストワーキンググループ」が「原発サイコー」とする報告書を発表した。
それをそのまま垂れ流している新聞が多い中、東京新聞だけが英国、米国の民間調査会社が算出した原発コストと比較して疑問をなげかけていた。
発電費用 欧米を下回る 原発が最安 10・1円
経済産業省は二十七日、原子力発電にかかる費用を二〇三〇年時点で一キロワット時当たり最低一〇・一円とする試算を大筋で固めた。一一年十二月に試算した八・九円に、追加の安全対策費を上積みするなどし13%の上昇となったが、一キロワット時当たり十六円台の欧米の試算を大きく下回った。再生可能エネルギーや火力の発電費用も引き上げたことで、相対的には原発が最も安いという試算になった。
試算はこの日の有識者会合「発電コスト検証ワーキンググループ」に示され、おおむね了承された。経産省は今回の試算を三〇年時点の電源構成を決定する際の根拠にする方針。二十八日には、三〇年に必要な電力の20%程度を原発でまかなう発電比率の案を公表する。
原発に関しては、廃炉に必要な費用の見積もりが一一年の試算に比べ増加。また実現のめどが立たない使用済み核燃料の再利用計画に必要な費用も増えた。一方、追加の安全対策をとったため事故が起きる確率が減ると想定。東京電力福島第一原発と同じような重大事故に備えた費用の積み立てを〇・二円減らした。
英国政府は新しい原発をつくる場合の発電費用について一六・一円(一ポンド=一八〇円換算)、米国の民間調査会社は一六・七円(一ドル=一一九円換算)と試算している。東日本大震災後、原発建設にはさまざまな安全対策が必要になり建設費が跳ね上がることが要因。これに対し日本の経産省の試算は、中部電力浜岡原発5号機など、震災前につくられた原発と同じ条件で建設するという想定のため、建設費は安く算出された。
東京新聞 2015年4月28日
経済産業省は二十七日、原子力発電にかかる費用を二〇三〇年時点で一キロワット時当たり最低一〇・一円とする試算を大筋で固めた。一一年十二月に試算した八・九円に、追加の安全対策費を上積みするなどし13%の上昇となったが、一キロワット時当たり十六円台の欧米の試算を大きく下回った。再生可能エネルギーや火力の発電費用も引き上げたことで、相対的には原発が最も安いという試算になった。
試算はこの日の有識者会合「発電コスト検証ワーキンググループ」に示され、おおむね了承された。経産省は今回の試算を三〇年時点の電源構成を決定する際の根拠にする方針。二十八日には、三〇年に必要な電力の20%程度を原発でまかなう発電比率の案を公表する。
原発に関しては、廃炉に必要な費用の見積もりが一一年の試算に比べ増加。また実現のめどが立たない使用済み核燃料の再利用計画に必要な費用も増えた。一方、追加の安全対策をとったため事故が起きる確率が減ると想定。東京電力福島第一原発と同じような重大事故に備えた費用の積み立てを〇・二円減らした。
英国政府は新しい原発をつくる場合の発電費用について一六・一円(一ポンド=一八〇円換算)、米国の民間調査会社は一六・七円(一ドル=一一九円換算)と試算している。東日本大震災後、原発建設にはさまざまな安全対策が必要になり建設費が跳ね上がることが要因。これに対し日本の経産省の試算は、中部電力浜岡原発5号機など、震災前につくられた原発と同じ条件で建設するという想定のため、建設費は安く算出された。
要は、安全対策をしないから、安いなどとほざいているわけだが、その中身を見ただけでおかしな点をいくらでも見つけることができる。
まず、報告書に直接当たってみる。このような報告書は、当然役所のホームページに公開されているのだが、いくら探しても見つからない。
審議会情報から、ノーヒントでたどり着けたら大したもの。
資源エネルギー庁TOP> 審議会・予算> 審議会情報> 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会にあるわけだが、いまだに上記ページからたどり着けないという全くもって見つけにくい場所に隠してある(といってよい)
今回は、OECDの標準に合わせて試算したと公表してあるが、ここでさらりと2011年の試算が原発に対して有利だったことを認めている。
(1)初期投資(プラント建設等)の計算方法の適正化
○2011年コスト等検証委員会では、初期投資について運転開始後の減価償却費として計上されていたため、OECDの計算方法と比べて初期投資費用をやや過小評価(建設費の大きい電源の発電コストほど小さく見積もられる傾向。)
○今回のワーキンググループの算定においては、OECDの計算方法の考え方を採用し、初期投資はプラント建設時の費用として評価。
○2011年コスト等検証委員会では、初期投資について運転開始後の減価償却費として計上されていたため、OECDの計算方法と比べて初期投資費用をやや過小評価(建設費の大きい電源の発電コストほど小さく見積もられる傾向。)
○今回のワーキンググループの算定においては、OECDの計算方法の考え方を採用し、初期投資はプラント建設時の費用として評価。
こうなってしまえば、本来原発のコストが上昇するはずなのに、それをどう抑えて発表するか、経産省の「秀才」たちがあちこちにデマをちりばめている。
2014年モデルプラント

この中で、簡単に算出できる燃料費を計算するを用いて、実際の燃料費を概算。
原油 | 石炭 | LNG | |
効率 | 0.4 | 0.4 | 0.58 |
kwhの燃料 | 0.228L | 0.33kg | 5876Btu |
燃料価格 | 48.9円/L | 8.1円/kg | 1.59円/kBtu |
燃料費(/kwh) | 11.1円 | 2.6円 | 9.3円 |
役所試算燃料費 | 21.7円(2倍) | 5.5円(2倍) | 10.8円(2割) |
とりわけ、石炭火力、石油火力に過大な見積もりをしていることがわかる。
では、実際の価格を入力するとどうなるか。
原子力 | 石炭 | LNG | 石油 | |
役所試算 | 10.1円 | 12.3円 | 13.7円 | 30.6円 |
実際 | 10.1円↑ | 9.4円 | 10.8円 | 20円 |
なんと、石炭火力の発電コストの方が安くなり、LNGでさえも−日本は相場の2倍近くで購入しているにもかかわらず−原発とほとんど大差のないコストとなってしまう。

この燃料価格を見ただけでも、米国の原発新設が口だけで、完成前に投げ出してしまうことが誰の目にもわかる。東芝が米国で原発新設しているというのは、単なる絵に描いたモチに過ぎない。
原子力がなぜ、安いと言えるのか。そのタネの一つがこちら

修繕費が2.2%で済むはずがない。
1989-93年まで東電の福島第二原発に勤めていたが、定期検査費用はおよそ300億円。つまり建設費の10%にも及んでいた。60億円足らずと言えばタービンの主要部分+海水系の点検しかできない。さらに、毎年何かしらの改造工事を抱えており(経年劣化対策、未解決安全対策等々)、実際にはこの試算の5倍程度をかけざるを得ないのが実態である。なぜ、この金額を電力会社に聞かないのか。どんぶり勘定しました。ということが目に見える。
廃炉費用もそうである。解体費用は建設コスト以上にかかるのはあきらかなのに、700億円という実際には何もできないコストを計上している。これが、3倍になっただけで原発コストの優位性など吹っ飛んでしまうのは、今までの試算からも明らかである。
そもそも、欧米の民間会社の試算よりも、日本の原発が6割程度安くなるのか。なぜ、日本の民間会社は、原発コストを見積もることさえしないのか。もし、本当に日本の原発が安いとすれば、次の3つの内のどれかだろう
・安全対策費をけちりまくっている
・人件費が格安
・補助金漬け
この経産省試算は、今後も経産省は国税を使って、原発会社のコスト負担を一番安くしますと宣言していると言っているにすぎない。いつまで、こんなデマだらけの試算を発表し続けるのか。いくら嘘を言い続けても、金をかけ続けても国民をだまし続けることはできないのである。
私が勤務していたときの原発発電コストは、15-25円/kwh程度であったことは事実である。発電コストが一番高いのは電力会社の内部ではもう最初から常識なのだ。
■関連ブログ
2011年07月21日
発電コストの厚いベールを剥がす−原発=安価は洗脳だった・・
大本営発表の出鱈目撃沈発表みたいなものの現在進行形を許しているようで歯がゆい。
国民にバレようが何しようが、嘘を言い続ける。
嘘でも百万遍言い続ければ真実になると思っている。
まぁ、只こんだけのこと、、。
これ小泉だって一緒じゃん
最終処分場の費用は、オンカロの場合で、4000億円であり、それが日本で作ると、3兆円はかかると言われています。3基分、上手く入れられたとしても、1兆円が総体コストに上乗せされます。それだけで、定格出力×使用年限で割ってみて、10.1円が30円以上に、跳ね上がるのではないでしょうか?
石炭火力などでも、灰の処分場は要るのですが、
放射能の場合のように、地下深く、掘るということはないので、原発に比べれば、それにかかるコストは安いものです。
それと、原発は、スリーマイルやチェルノブイリ、それに福島で見て来たように、事故を起こすものなので、その健康被害と現場修復にかかる費用も、上乗せしておかないといけません。国内含め、どの原発が、レベル7でやられても、だいたい、全修復で、時間をかけ、800兆円かかるという試算がドイツより出て来ています。実際、最終的に、石棺にし、別途、健康被害者は、チェルノブイリの例から、1000万人という単位で出て来る筈で、多くの人を検査し、早期発見し、治療し、となれば、それくらいはかかるのでしょう。国内では、原発は、50基前後あり、この災害列島、規制委の委員長も、「一応、審査は通すが、安全だとは、言わない。」と言い、鹿児島県知事も、あらかじめ、事故を想定し、「うちの県民は、原発が爆発しても、健康被害に遭うことはない。」と言っているくらいですから、60年に1度(2クールに1回)起こると仮定して、800兆円/(50*2)=8兆円くらい、上乗せされてしまいます。この時点で、あらゆる、自然エネの電源のコストも、遥かに、突き抜けてしまいますね。だから、原発をやることは、危険かつ非人道的であるばかりでなく、小泉さんの言うように、余計な処に対しての、我々の税金から、どれだけ多くの札束が抜き取られるかわからない(800兆円と言えば、日本だと、成人1人あたり、1000万円の出費ですよ。1企業では払えないし、日本は、今の時点で、1050兆円ほど借金があるので、国に内部留保もない訳だから、我々自身が、その金を支払わされます)、原発は、敢えて、やらなくても、電気は余っている中、超金食い虫(ディフェンス・ディフェンスに回らないといけないの、他の、より前向き側の経済とか文化、技術発展をストップさせるモノ)なのだと思います。このへん、経産省が、わざわざ、鉛筆なめなめ、数字を改竄or必要な金をコストに、わざと加えていなかったりするまでもなく、今時、幼稚園の年少組の生徒達でも、実態は知っています。
そして都市に作れない原発と消費地をつなぐ高圧送電。いったい新潟から日本アルプスを越えて東京に電力を供給するのに、いくらの送電コストがかかっているのか。これもりっばに原発コストのはず。
なにもかもちゃらんぽらんだが、問題はさらにせっばくしている。日本がこんなことをしているあいだに、すでに中国の風力発電は世界一の規模に発展した。「世界風力エネルギー協会」(本部ブリュッセル)が2015年2月発表した数字によると、中国の風力発電能力は1億1500万kw。東電の真夏のピーク消費5000万kwの2倍を超え、100万kw級原発の115基分に相当する。もちろんこれを利用するための変電・送電技術の発展もすごいはず。エネルギー技術という国の根幹の部分で、日本は中国に取り残される。誰のメンツか、誰の個人的利益のためか知らないが、亡国の極み。
罰せられることがないからではないでしょうか。
こんな大嘘をついても、だれが責任者かわからないし、
罰する法律もない。
新・国立競技場と同じですね。
舛添知事は嫌いだけれど
「責任者はだれなのか! 情報はきちんと公開しろ!」
と言っていたことには賛同します。
嘘つき役人を罰する仕組みを作って欲しいものですが、
今の政治家には期待できそうもありませんね。