2015年09月30日

1313.高線量で奇形が増加しているモミの木(放医研発表)

2015093001.jpg・フクシマの帰宅困難地域で、線量に応じてモミの木に奇形が生じていることをあの放医研・環境省が発表。
・高線量地域では98%もの奇形が生じており、かなり深刻な状況がうかがえる。
・全国各地、世界各地で奇形植物が急激に増大しているのは周知の事実であり、チェルノブイリの赤い森がどんどん広がる様相を呈してきている

 環境省・放医研がフクシマ周辺で奇形植物が増加していることを初めて認めた。

放射線量が特に高い地域でモミの形態変化を調査
平成27年8月28日
国立研究開発法人放射線医学総合研究所(理事長:米倉義晴)
福島復興支援本部 環境動態・影響プロジェクト 渡辺嘉人 主任研究員
本研究のポイント
 東京電力福島第一原子力発電所近くの帰還困難区域内の放射線量(空間線量率)が特に高い地域に自生するモミの木において、空間線量率が低い地域のものと比べ、主幹が欠損した二股様の形態変化を示す個体の頻度が増加
放射線被ばくとの因果関係の実証には、自生するモミの被ばく線量評価、人工的な放射線照射試験による検証など、課題は多い

国立研究開発法人放射線医学総合研究所(理事長:米倉義晴、以下、放医研)は、環境省が実施した野生動植物への放射線影響を把握するための調査のうち、モミ※1に関する結果について、環境省の依頼によりデータのとりまとめを行いました。
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を強く受けた、帰還困難区域内の空間線量率が特に高い地域に自生するモミ個体群を調査した結果を解析したところ、空間線量率が低い地域の個体群と比べて形態変化の発生頻度の顕著な増加が認められました。また、空間線量率に依存してその頻度が高くなっていることがわかりました
この形態変化では木の主幹の欠損に起因した二股様の分枝が特徴的に認められました※2。主幹欠損は放射線以外の環境要因や物理的傷害(食害)などでも発生しうるため、必ずしも放射線に特異的な現象ではありませんが、一般的にモミを含む針葉樹は放射線感受性が高いことを踏まえると※3、今回の結果は、放射線が東京電力福島第一原子力発電所近くの地域におけるモミの形態変化の一因となっている可能性を示唆しています。
今後、形態変化の発生と放射線被ばくとの因果関係を明確にするためには、モミが受けた放射線被ばく線量を正確に見積もることや、実験施設内でモミに対して人為的な放射線照射を行って同様の形態変化が発生するかを調べていくことなどが必要です。
この取りまとめ結果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」に2015年8月28日18時(日本時間)に掲載されました。

Yoshito Watanabe, San'ei Ichikawa, Masahide Kubota, Junko Hoshino, Yoshihisa Kubota, Kouichi Maruyama, Shoichi Fuma, Isao Kawaguchi, Vasyl I. Yoschenko & Satoshi Yoshida, Morphological defects in native Japanese fir trees around the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, Sci Rep. 2015 Aug 5:13232

背景と目的
東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性物質の野生動植物への影響については、環境省が平成23年度より帰還困難区域内の空間線量率が特に高い地域を中心とした調査を実施しており、放医研も空間線量率測定等に関する技術支援を行い、これに協力してきました。そうした中、環境省は平成26年度の調査でモミに形態変化が見られたことから、放医研に検証を依頼、放医研はデータを取りまとめ、論文として公表しました。

研究手法と結果
事故から約4年が経過した2015年1月に、帰還困難区域内に3か所の試験区(図1のS1〜S3)、また東京電力福島第一原子力発電所から離れた地域に1か所の対照区※4(図1のS4)を設定して、森林に自生するモミの個体群について樹木形態の調査を実施しました。各試験区にそれぞれ800〜1200平方メートルの区画を設けて、区画内に自生するモミ(各区画でおよそ100〜200個体)の幼木を中心とした高さ40cm〜5mの全ての個体を観察対象にしました。
2015093002.jpg
図1 観察地点
赤い星は東京電力福島第一原子力発電所の位置を示す。空間線量率の表示は2013年1月19日航空機サーベイの測定値(放射線量等分布マップ、文部科学省)。

対照区を含めて各試験区では、樹木の主幹の途中欠損を特徴とする形態変化が共通して見られました(図2のB、C)。
2015093005.jpg
図2 モミの形態変化
矢印は、主幹の欠損位置を示す。 A:正常、B:変化(側枝が垂直に立ち上る)、C:変化(側枝が水平に拡がる)。

この形態変化の発生頻度は、対照区と比べて帰還困難区域内の3試験区で、明らかに増加しました(図3)。また帰還困難区域内の空間線量率が高い地域ほど、形態変化を示すモミ個体の頻度の増加が認められました。

2015093003.jpg
図3 各試験区におけるモミの形態変化の発生頻度
頂端から5つの節を遡って観察した。各地点の空間線量率をカッコ内に示した。**は、各試験区と対照区の間で変化個体の頻度に統計的有意差があることを示す。図中の各試験区の空間線量率は、樹木の観察時(2015年1月)の測定値。

樹木個体ごとに主幹欠損の発生部位を同定すると、帰還困難区域内の試験区では事故前年の2010年に比べて、事故翌年の2012年から2013年の伸長部位で主幹欠損の発生頻度に顕著な増加が認められました(図4)。この様な結果となった理由については今後実験によって解明することが必要ですが、樹木では、主幹になる基(原基)が発生してから伸長するまで長い時間を要するので、事故後に原基が損傷を受けても主幹欠損が現れるまで数年かかることによると推測することができます。
2015093004.jpg
図4 モミの形態変化発生頻度の経年変化
主幹欠損が一旦発生して主幹が失われた個体からは、次年度以降新たな主幹欠損は発生しないため、次年度以降の頻度計算から除外した。そのため、各年の頻度計算に使われるモミの総数は年と共に減少する。各バーに記載された数字はその年の頻度計算に使用されたモミの総数を示している。**、††、‡等の記号は、変化個体の頻度が2010年に比べて統計的に有意に高いことを示す。
本研究と今後の展望

今回の研究により、東京電力福島第一原子力発電所の事故後に空間線量率が特に高い地域のモミに高頻度で形態変化が生じていることがわかりました。
一方で、今回着目した形態変化(主幹欠損)は他の環境要因や物理的傷害(食害)などでも発生しうることから、今後、形態変化の発生と事故による放射線被ばくとの因果関係をより明確にするためには、空間線量率が特に高い地域でモミが受けた放射線被ばく線量を正確に見積もり、形態変化の発生頻度の推移を長期的に見守っていくことに加えて、実験施設内でモミに対して人為的な放射線照射を行って同様な形態変化が発生するかを調べていくことが必要です。
環境省はモミの木の形態変化しか認めていないが、「被害がおきない」としているのと比べれば、大きな変化である。

 それにしても、

「空間線量率が高い地域ほど、形態変化を示すモミ個体の頻度の増加が認められました」

と、定量的な結論が出ているにもかかわらず、なぜ放射線との因果関係が不明なのか、全く意味が分からない。

さらに、

「実験施設内でモミに対して人為的な放射線照射を行って同様の形態変化が発生するかを調べていくことなどが必要」

とさりげなく書いてあるが、内部被曝を一切無視した実験であり、人工放射線照射ではこのような形態変化は数十シーベルト単位では起きないことを見越した上での「いいわけ」にしか過ぎない。なぜ、内部被曝に対するまともな評価を未だにできないのか、本当に理解に苦しむ

八木明々氏(@nrg34331) 次のようなツイートをされている。

2015093006.jpgいわき市閼伽井嶽で採取した樅の枝のスキャン画像。病気または発育が悪いのか放射能の影響?。少なくとも虫が原因では無い。放射研さんの画像は主幹が欠損してるけど、更に枝先端部の葉がだんご状になる画像・図解は無いみたい。

2015093007.jpg2015093008.jpg


そして、つくば市での いわゆるチェルノブイリの赤い森のレポート

つくば市のアカマツが2013年に急速に枯れ、2014年になってからは様々な樹々が枯れ始めている

 大変容易ならざる状況であることに驚かされる。ここ、熊本の地でも2011年から木が枯れやすくなったと植木屋さんがよく報告してくれていた。異常が起きているのは福島県だけに限らないのである

南風椎氏の「虫や鳥や木が消え始めたら、次は人間が消えていく番だ」

を思い出さざるをえない。(本日、ブログを確認しましたところ、2015.9.9にお亡くなりになってました。享年67歳。早すぎる死に大変驚いております。ご冥福をお祈りします。顔に癌ができておられたようです

 それなのに自称「自然科学専門家」である池田圭一(@keii_iiek)氏が次のようなエントリーを作っている。

放射能の影響!? 福島のモミの木に異変!

 手遅れになる前に気がつけるのでしょうか。先日のブログのコメント欄にTokyoさんが書かれていた内容
もう起きてますよ。被災地の県立医大では、固形腫瘍を見逃された小児が末期状態でよく紹介されてくるそうです。小児科医は白血病を除いて小児の悪性疾患、固形腫瘍を診る経験に乏しく、風邪薬なんかを出されているうちに進行し、分かった時には手遅れで医大に紹介となるそうです。 東京の二次病院でも、職員検診をしたらST上昇が例年になく多いことにDr、Nsとも首をかしげている話がありました。(私はMsから聞きました)。汚染のひどかったK区の話だから、DrもNsもピンと来てほしいものですけどね。職員が院内で突然死する時代が近いでしょう。

ST上昇・・通常心筋梗塞などで見られる心電図上の変化
Dr・・医師
Ns・・看護師
Ms・・薬品販売会社の営業員

■関連ブログ
「虫や鳥や木が消え始めたら、次は人間が消えていく番だ」2011年12月30日
「状況は本当に本当に深刻だ」-チェルノブイリ経験の生物学者2011年07月26日
1151.奇形動植物(7)2014年09月04日

  

posted by いんちょう at 19:58| Comment(12) | 原子力
この記事へのコメント
動植物の奇形については、当地の医師が木肌に苔だけでなく、他種の植物が生えたり、異常だとおっしゃっていました。私は植物はよく分からないのですが、鳥に興味があるので観察する癖があります。その目で見ますと、3.11しばらくして、今まで見たことのない白子のドバトや野鴨に驚きました。真っ白な鴨が2羽も並んで泳いでいて、非常に目立ちました

今は世代交代したらしく、白に色が半分まじった若い鴨になっています。白っぽかたドバトも見かけません。しかし、どこかみすぼらしくて汚らしい色の若鳥たちです。落ち着きもないので可愛くありません。

化粧品が原因とかで女性の肌が脱色したという事件も、あれが原因だったかも。
Posted by 地元民 at 2015年09月30日 20:29
この記事の直ぐ前の記事のTokyo様のコメントで、わからない言葉を聞いた親爺です。先生から直にお教えいただきありがとうございます。
Posted by 親爺 at 2015年09月30日 23:59
ご近所の庭でもコスモスが花盛りですが、なんだかコワいほど花の背が高いんですよ。2mはゆうにこえて、コスモスを花の裏側から鑑賞する、こんなことはあまりなかった気がします‥
こちら九州ですが、肥料はどっからでも来ますから‥地元新聞に、1本の茎に60個も咲いたユリの花だの、紅白にぱっきりわかれたチューリップの花だの、おめでたい写真記事をちらほらみかけるたび鬱な気分に
申し訳ないけど楢葉町で稲作とか。どうしてもやるなら、本当にちゃんとベクレルモニターで全量検査して全データを公開してくれないと。土壌と農業用水の放射能測定結果も。
自分としては栃木のかんぴょうとか群馬のこんにゃくとかも気になるところですが、なぜか今年、スーパーに松茸おこわがたくさん売ってあるのがもっとコワいですね
Posted by ゆっぱ at 2015年10月01日 15:40
新潟県沿岸部某所にある、私が住んでいる集落でも、どういうわけか庭木の松が枯れてしまった家が多く、皆首を捻っております。
我が家も一本枯れたので伐採しました。
Posted by 新潟県民 at 2015年10月02日 20:10
先程はツイキャス有難うございました。是非是非、南風椎さんの事をまとめて下さい。なんで南風さんのブログをフォローしなかったか悔やまれるとツイキャスで仰っていましたが、私もこんな優れたブログがあったのに読まないまま、気がつけば亡くなられてしまっていたことが残念でたまりません。特に例のパクられた顛末は先生のツイートで知り、ブログの事の経緯を記してある部分を読んで衝撃をうけました。本当にひどい話だと思って昨日コメントしようかと思いましたが、いや追悼のためにはまず南風さんのブログを通して読んで、彼が何を見て何を感じてどう生きていたかを全てちゃんと心に納めてからにしようと思いまして、冥福を祈る気持ちで今少しずつ読んでいます。このように芸術センス良く思慮深い人が早死にしてしまったのは重ね重ね勿体無いです。心よりお悔やみします。
巷に出回っている方の千の風の歌は、どえらい肺活量で朗々と歌われ遺灰も吹き飛んでしまいそうで違和感があり、自分の葬式ではこれだけは御免被る流してくれるなと思っておりましたが、実は似て非なるものだったのですね。先生の言われる「根がない」が故の違和感だったのかと、元々の原詩と訳詩を知り得心がいきました。


Posted by タナトリル at 2015年10月02日 23:45
院長先生に取り上げていただいて恐縮です。ついでにご報告。例の医大に来られる末期ガンのお子さんや思春期の少年少女たち、どこが原発巣か解らないくらい多臓器に転移・播種しており、腹水でお腹をタプタプさせながら院内を移動されるそうです。長い闘病の末、でなく、紹介されて間もなくの時点、というのが残酷です。 
Posted by Tokyo at 2015年10月03日 00:43
こんにちは。
地元静岡の地域ニュースで、
「南伊豆の栗収穫 激減」(例年の20%)
ってやってました。

西静岡や、中静岡は減ってない。
原因はわからない、というまともでした。
−−−−−−−−−−
これって、どうなんでしょう?
「モクモク」が当たりやすいのか、
ちょっとよく分からないです。

関東の方の 栗はどうなんでしょうか〜?

−−−−−−−−−−
中部電力のCM

いろんなバージョンが出てきました。
・コミック調
・生活支え調
・浜岡調    

何パターンもいっぱいやってます。
Posted by 先生の本買ったよ at 2015年10月03日 08:45
松が全滅の山も有ります。
ざっと見て松は半分に成りました。
枯れて倒れて、道路閉鎖 事故も有りました。

彼岸花は多少減ったのみで、変色は無い

土光さんの裏庭が橘学園女子高で理事長
鶴見の高台角地が御住まいでした。
ほぼ連続して広大な公園 緑地 農業地帯も有りました。5*10km程度

Posted by 農家 at 2015年10月03日 09:46
以前にも何度か拝見させて頂いたのですが、ここ1年ぐらいご無沙汰していました。
私が住んでいる近くにみかも山(栃木県栃木市と佐野市にまたがる山)があるのですが、健康のためによく登っています。
今年に入ってから松ノ木を中心に沢山の木が、薄げに悩む頭髪のように凄い勢いで枯れて倒れてきています。
この山を管理している職員の方に話を伺うと害虫によるそうですけど、今までこんなに数多く倒れている光景は見たことがありません。
この記事を見てもしかしたらと思い、コメントさせていただきました。
放射能の影響でなければよいのですが、心配です。
こんどホームページにこの様子を載せたいと思います。
Posted by mikamomountain33 at 2015年10月04日 20:21
害虫説は疑問
小さな虫と言われますが、見たこと無い
Posted by 農家 at 2015年10月05日 16:18
>全国各地、世界各地で奇形植物が急激に増大しているのは周知の事実であり、チェルノブイリの赤い森がどんどん広がる様相を呈してきている

全国各地、世界各地で広まっているのなら、原発は関係が無いですね。
別の原因ですよ。地下マグマとか。自分で、書いている事が変だと思わないんですか?
無理やりに、福島の原発のせいにしていて。
Posted by 明治天皇の孫 at 2015年10月15日 05:05
余も地下マグマのせいであると思うぞよ。お前の書き方が悪いから誰も本気にせぬではないか。
Posted by 桜島の神 at 2015年10月15日 20:38
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。