2015年10月06日

1316.1F-3のオペフロ(最上階)のハッチは、なぜ無傷のまま吹き飛んだか。

2015100601.jpg・2015年10月に東京電力は、CUW F/Dハッチが燃料プールに落下していることを発表した。
・粉々になっているわけでもなく、ほぼ原形をとどめている。同じオペフロには大物搬入口ハッチもあり、これは、3つすべてが吹き飛んでしまっている。
・階下で水素爆発が起きたとは考えられない。おそらくこれは核爆発によって生じた真空によってに、これらハッチが上へ吹き飛ばされたと考える。

 2015年10月1日に東京電力がCUW F/Dハッチ蓋が燃料プールにおいていることを発表した。

2015100602.jpg
 これを紹介しているホームページを見ると、無傷だから、核爆発ではないことが証明されたと書いてある。

 以下、これに対する反論である。まず、注目しなければならないのは、東電が2011年6月に公開した3号機内の観察動画である。この動画で特徴的なのは、大物搬入口のハッチがすべて吹き飛んでしまっていること。
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 もし、4階で水素爆発が起きたのであるならば、2階、3階のハッチが吹き飛ぶはずがない。もし、一階で爆発が起きたと仮定すると、各フロアで下から順番に爆発が起きなければならないことになる。上記ブログで紹介している動画を見てもらえれば分かるが、1階ではすすけた感じは受けるが、水素爆発などの爆発が起こった感じはない(燃えた感じが一切ない)

 では、核爆発でこのようなことが起こりうるのか。よく知られた原爆の描写を振り返ってみよう。私が思い出したのは、はだしのゲンの描写(次の動画はすぐに消されてしまうと思うが・・)


ここで象徴的なのは、下記の場面。
2015100604.jpg
爆心地に近い「原爆ドーム」のがれきが上に持ち上がっている

記述でも同じような説明(●爆発直後の闇−−なぜ真っ暗になったのか)も見つかった。
 衝撃波のすさまじさは、ほとんど直下の原爆ドームを見ればわかるが、あの圧力で土を打てば土がえぐれるほどだろうし、すさまじい土煙が立つのは容易に想像できる。土や家屋や破壊物やコンクリートや瓦の敗残物がいっせいに吹き上がって、外延に飛ばされただろう。
 またこの衝撃波は一度だけでなく二度襲っている。最初は爆発で数十万気圧で外側へ拡がるが、あまりの急激さに内部が真空状態になるので、その真空空間に向けて今度は周りからどっと空気が流れ込むため、それもかなりな突風になる。ほんの数秒間のうちのその二度の突風によって人々は丸裸にされたことになる。

 周りからいっせいに流れ込んだ空気には、当然いろいろな焼却物と灰塵類、土も埃も破壊建築物も、いっさいが含まれている。逆流現象が地上五八〇mの爆発地点をめざして起こった。無機物はそれほど色は変えていないが、有機物は黒焦げになって流れこんでいる。木や草や空中の塵埃や生きものの皮膚、衣料品や人間の皮膚や髪の焼け焦げたものいっさいが吸収されて集中した。熱を帯びたそれらはさらに中心部から上昇して巨大な笠を形成しながらキノコ雲の下部を造成していった。キノコ雲の下方の黒さは、焼却物の黒さが混じっているもので、たんに土や残骸によるものではない。焼却物であるからこそ、比重が軽く、上へ昇ってきたと見るべきだろう。


 では、使用済み燃料プールで核爆発が起こりうるのか。当初、1F-3に使用されていたMOX(プルトニウム混合燃料)が、核爆発の元になったと考えていたが、おしどりまこ氏が、存在しないということを取材されていた。
「全燃料」566本→514本の謎

3号機使用済み燃料プールの燃料棒は、前述のとおり、566本と公表されてきた。
その内訳を東京電力に取材すると、使用済み燃料514本、新燃料52本、MOX燃料無し、ということであった。
平成22年度の3号使用済み燃料プールにはMOX新燃料は32本保存されていたが、震災発生前に、3号機に装荷され、使用済み燃料プール内には無いということであった。
(そのMOX新燃料32本は、3号機原子炉内でメルトダウンしたものの一部となった。)
おしどりまこ氏、恐るべしである。

 では、使用済み燃料で核爆発が起こりうるのかを調べねばならない。これに関しては、すでに拙ブログで紹介した
「この説明会の目的は、どんなプルトニウムでも、核爆発に利用可能な核分裂性物質となる点を示すことになる」
 1976年11月、「水爆の父」エドワード=テラーも所長を務めた米西部リバモア国立研究所内で、直接8ページの説明会用資料が用意された。
 説明会は日本などの原発導入国や国際原子力機関(IAEA)の関係者向け。資料を作成したのは著名な理論物理学者のロバート=セルデンで、軽水炉級プルトニウム」でも核爆弾が製造できることを明確に指摘していた。
 「すべてのプルトニウムは核爆発に直接使える。原子炉級プルトニウムは核爆発を起こすに当たり、完全に信頼できる核分裂性物質である

 使用済み燃料プールの中には、使用済み燃料と新品燃料がふくまれている。使用済みと称しているが、核燃料リサイクルを考えれば分かるように、燃料棒の中にはウラン237から変化したプルトニウムが含まれているのである。この生成されたプルトニウムの一部は原子炉運転中は核分裂を起こし、ある程度の熱量を発している(MOX燃料だけがプルトニウムを燃料としているわけではない)。
 そして、使用済み燃料をできるだけ減らすために「高燃焼度化燃料」と称して、ウラン235の比率をも高めてしまっている。その上、使用済み燃料の貯蔵場所がないために、「リラッキング」と称して、燃料相互の間隔をも狭めてしまっている。

つまり
・使用済み燃料内にはプルトニウムが含まれている
・高燃焼度化燃料で、ウラン235の比率も高まっている
・リラッキングで隣接燃料の間隔が狭くなってしまった

ために、ボイドがつぶれてしまえば、核爆発を起こしても不思議ではない(起きないといえる理由は皆無)。そして、爆発後の真空によってオペフロのハッチが吹き飛ばされ、階下も真空になったと考えれば、ハッチすべてが吹き飛んだ理由もすべて矛盾なく説明できる。

 大気圧は、1平方メートルで約10トンの荷重があるため、この程度のコンクリートハッチならば、容易に吹き飛ばすことができるのである。

あらためて、3号機爆発の状況を見てみよう

オレンジ色の閃光が走り、キノコ雲が持ち上がった後にほぼ等間隔で、「パン」、「パン」、「パン」と3階爆発音がしている。これを大物搬入口のハッチが真空のために吹き飛ばされたため生じた音だと考えれば、すべて説明がつくではないか。

■関連ブログ
1F-3号機1階の状況分析 公開動画から2011年06月16日
原子炉級プルトニウムによる核爆発と1F-3燃料プール2013年08月24日
1号機から4号機の建屋写真集(重要)2011年04月25日
リラッキングは破滅への道−玄海2011年07月06日
3号機の爆発−どう考えても核?(50万アクセス)2011年08月10日

  
タグ:1F-3 核爆発
posted by いんちょう at 22:21| Comment(3) | 原子力
この記事へのコメント
院長先生
いつも情報ありがとうございます。

3号機の爆発の最後の画像ですが、爆音は単なる効果音で 画像に後付されたものという解析がありました。

http://phnetwork.blogspot.com/2011/04/blog-post_25.html

音速は非常に遅いので、これだけ離れていれば、もっと爆発よりは遅れるのではないかという解析が正しいように思います。
Posted by きりん at 2015年10月07日 07:36
建屋構造を知る先生の
上階で核爆発 真空吸い上げが正しいと思います。

数百グラムの爆発で凄い威力ですね。
飛び散った52本は、散ったのみですが
集めた、埋めた人が心配になります。

溶けた地下燃料デブリ
保管プール燃料
5,6号機

第2原発
暗澹たる思いに成ります。
Posted by 農家 at 2015年10月08日 11:28
「爆心地に近い『原爆ドーム』のがれきが上に持ち上がっている」というのは確かかも知れませんが広島城の天守閣もそうなんでしょうか?そのまま崩落したという説がありますし、そうとな距離で吹き飛んだという説もあります。いずれにしてもはだしゲンをここで使われるべきかどうか考える必要があると思いますが。この広島城の件に関しても私は調べています。
Posted by 弓場清孝 at 2015年10月17日 23:33
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