
・「福島の甲状腺がん50倍」論文に専門家が騒がないわけと題するもので、「論文の結論は間違っていないが、手法がおかしい」とする???な論旨展開である。
・石井孝明、池田信夫とともに動画出演もしている。あまりにも落ち着いたその物腰は、さすが剣道上段者と思わせるが、最後の方で「福島の復興は、原発を持つ他の地域にビジネスとして十分価値を持つ」とする本音をのぞかせていた。
南相馬で臨床を行っている越智小枝医師。当ブログでも何度か取り上げている。
1141.国内のみならず、外人までいる放射能安全教の司祭たち 2014年08月22日
1206.俊才の集う「相馬中央病院」のなぞ2014年11月05日
今回もまたGEPRに論説を発表されたようなので、それをご紹介。
「福島の甲状腺がん50倍」論文に専門家が騒がないわけ(上)
越智 小枝越智 小枝相馬中央病院 内科診療科長View PDF
先日、ある学会誌に「福島の子供たちの間で、甲状腺がんが他の地域の20-50倍上がっている」という論文が受理されたようです。(注1)最近になり、この論文が今でも世間で物議をかもしているという事を聞き、とても驚きました。なぜならこの論文は、多少なりとも甲状腺やスクリーニングの知識のある研究者の間ではほとんど問題にされないものだったからです。
この書き方は、前回の論説にも登場している。越智 小枝越智 小枝相馬中央病院 内科診療科長View PDF
先日、ある学会誌に「福島の子供たちの間で、甲状腺がんが他の地域の20-50倍上がっている」という論文が受理されたようです。(注1)最近になり、この論文が今でも世間で物議をかもしているという事を聞き、とても驚きました。なぜならこの論文は、多少なりとも甲状腺やスクリーニングの知識のある研究者の間ではほとんど問題にされないものだったからです。
・ロンドンで知り合った放射線医師には、「あの被曝量じゃ研究にならないからあまり興味ない」とすら言われてしまいました。
他人の口を借りて、自分の主張を前面に押し出す。自分の執筆内容に説得力があれば、他の権威者の言葉など不要。違和感を覚えるのは私だけか?(この手の物言いをする人間は、非常に多いので要注意である)
20-50倍は驚く数字か
この論文の中では、さらに
「でも、スクリーニング効果で何十倍も発症率を上げるとは考え難い」
という議論もなされています。しかし、例えは過去の韓国の論文によれば、一般人の甲状腺がんのスクリーニングが導入されたことで、甲状腺がんの罹患率が15倍に上がった、というデータがあります。これは10万人当たり約4人であったものが、約60人まで増加しています

この論文によれば、スクリーニングの受診率が10%上がると、甲状腺がんの発症率が10万人当たり約40人増加したとしています。もし100%に上がったら、単純計算で10万人あたり400人増加、つまり元々の4人から比べ100倍になるという事です。
スクリーニングで増えてもおかしくないとする根拠が韓国の論文のみ。この論文の中では、さらに
「でも、スクリーニング効果で何十倍も発症率を上げるとは考え難い」
という議論もなされています。しかし、例えは過去の韓国の論文によれば、一般人の甲状腺がんのスクリーニングが導入されたことで、甲状腺がんの罹患率が15倍に上がった、というデータがあります。これは10万人当たり約4人であったものが、約60人まで増加しています

この論文によれば、スクリーニングの受診率が10%上がると、甲状腺がんの発症率が10万人当たり約40人増加したとしています。もし100%に上がったら、単純計算で10万人あたり400人増加、つまり元々の4人から比べ100倍になるという事です。
そもそも、「有識者」とよばれていた人たちは、全員が「福島では甲状腺癌は増えない」と言い切っていたのに、いざ増えてきたら「スクリーニング効果」であると主張を変えているわけである。それほど詳しいのならば、始まった当初から、××人程度は見つかるはずだ。しかし、それはスクリーニング効果であって、実際に増えたわけではないとあらかじめ主張しておくべきである。
もっとも、読み進めていっても全然理解できないわけで、もちろん頭の回転の速い彼女も、論説の途中で、こんな文章を挿入している。
何故研究者は騒がないのか?
このような誤解を生み得る記載に対し、なぜ
「甲状腺がんは増えていない」
と主張したい研究者たちが、反駁しないのでしょうか。おそらくこれは、これまで述べてきたような統計や疫学の説明の煩雑さ、
「あることが証明できないからといってないという事にはならない」
という科学の限界によるのではないかと思います。
(おそらくここまでの文章も、訳わからん、と感じる方がいらっしゃることと思います)
このような誤解を生み得る記載に対し、なぜ
「甲状腺がんは増えていない」
と主張したい研究者たちが、反駁しないのでしょうか。おそらくこれは、これまで述べてきたような統計や疫学の説明の煩雑さ、
「あることが証明できないからといってないという事にはならない」
という科学の限界によるのではないかと思います。
(おそらくここまでの文章も、訳わからん、と感じる方がいらっしゃることと思います)
そんなことをいうのならば、公衆衛生なる学問自体が不要ではないのか?論文が間違っていなければ、保守的に考えるのが医師として当然の話のはずだ。それを、増えてもまったく安全だというのでは、患者に寄り添う医師とは少なくともいえない。
そして、自分で自分さえ説得できないような文章は書くな と言っておこう
なぜ「50倍」論文が報道されるのか
このように読まれてきて、
「なんでこれだけ突っ込まれる論文が騒がれるのだろう」
と疑問に覚える方もいるかもしれません。私は、この騒動は、現在の福島県における行政の対応に対する不満が爆発した結果ではないか、と考えています。
福島のがん、甲状腺がんが増えていないかどうかは、まだ「わからない」というのが現状です。そのような中で、危険と主張する方もいる一方、安心・安全を繰り返す「専門家」「有識者」が多いことも確かです。
「最悪の事態を想定するのが政府の役割のはずなのに、なぜ根拠もなく住民に安心を説得しようとするのだ」
このような不満を、ここ福島では常に耳にします。私もその点に関しては全面的に同意します。
ですが、それは科学者が間違ったデータ解釈をしてよい理由にも、ジャーナリストが誤った報道をしてよい理由にもなりません。長期的に見れば、報道や研究者への信頼を失墜させ、政府に「何もしない」理由を与えるだけの結果となるからです。
「データがあるから」危険だ・安全だと議論をするのではなく、「データがないから」こそ知恵を絞って最善の対処をする、そのような建設的な議論を望みます。
このように読まれてきて、
「なんでこれだけ突っ込まれる論文が騒がれるのだろう」
と疑問に覚える方もいるかもしれません。私は、この騒動は、現在の福島県における行政の対応に対する不満が爆発した結果ではないか、と考えています。
福島のがん、甲状腺がんが増えていないかどうかは、まだ「わからない」というのが現状です。そのような中で、危険と主張する方もいる一方、安心・安全を繰り返す「専門家」「有識者」が多いことも確かです。
「最悪の事態を想定するのが政府の役割のはずなのに、なぜ根拠もなく住民に安心を説得しようとするのだ」
このような不満を、ここ福島では常に耳にします。私もその点に関しては全面的に同意します。
ですが、それは科学者が間違ったデータ解釈をしてよい理由にも、ジャーナリストが誤った報道をしてよい理由にもなりません。長期的に見れば、報道や研究者への信頼を失墜させ、政府に「何もしない」理由を与えるだけの結果となるからです。
「データがあるから」危険だ・安全だと議論をするのではなく、「データがないから」こそ知恵を絞って最善の対処をする、そのような建設的な議論を望みます。
ここまでの文章を読んで、彼女の論理構成が理解できたらたいしたもの。
そもそも、この程度の被曝では被害が起きないのであれば「最善の対処」など不要。
という結論を導くべきだろう。
誤った科学信仰、論文信仰により、「専門家」に安易に追随して、あいまいさの残るデータを断定するような報道を繰り返す。研究者は批判されるリスクを避け、あるいは面倒臭がって説明責任を投げ出す。その悪循環をやめない限り、このような騒動は繰り返されます。そしてその騒動に否応なく巻き込まれるのは、福島県の住民の方々なのです。
科学とは何のためにあるのか、ニュースの目的とは。福島に関心を持つ善意ある方々に、そのことを今一度考えていただきたいと切に願います。
いったい何を主張したいのか、最後まで読んでもさっぱりわからない。科学とは何のためにあるのか、ニュースの目的とは。福島に関心を持つ善意ある方々に、そのことを今一度考えていただきたいと切に願います。
動画もあったので、それも紹介。
まず不思議なのは、臨床医であるにもかかわらず、個別の患者の訴えがさっぱり見えてこないこと。通常、医師が何かを話す場合には「私のところに来られた××代の女性の方は〜」といわれたりなど、具体的な話が入ってくるはずである。そして、それこそが現地で患者を診ている医師にしかできないことであるのに、出てくるのは伝聞の話のみ。そして、50分前後には、行天する発言が飛び出す。
・ここでお金をかせげるようになれば、日本全国だけではなくて、原発のある他の国にも売ることができる
えっ、、ビジネス??。ところが、彼女の最初の論文には、
・相馬市の地域復興の在り方が公衆衛生学的な視点から見て興味深かった
と書かれていた。単に私が知らなかっただけか・・・
■関連ブログ
放射能を「正しく」怖がるホームページ・・筆者と作成団体を「正しく」知ろう2012年05月09日
1141.国内のみならず、外人までいる放射能安全教の司祭たち2014年08月22日
小野先生のブログ、大変重要視しております。
危機意識を持たなくなった福島県内の人々にも、
このブログを見て欲しいと願っております。
私自身も子供を抱えてますので、
真実を知った上で対応したいと考えています。
これからも記事の投稿をお願いします。
重大なことがらの20と50の違いは中学生にもわかることと思います。
たとえば、”「あることが証明できないからといってないという事にはならない」という科学の限界”とあります。誰も否定しようのない文章が、なぜここに収まっているのか。”「甲状腺がんは増えていない」と主張したい研究者たちが反駁しない”理由になっているのでしょうか。
”「最悪の事態を想定するのが政府の役割のはずなのに、なぜ根拠もなく住民に安心を説得しようとするのだ」このような不満を、ここ福島では常に耳にします。私もその点に関しては全面的に同意します。”と住民に理解を示した後に、科学者とジャーナリストに間違ったデータ解釈や誤った報道をしないよう警告し、そうでないと、”政府に「何もしない」理由を与えるだけの結果となる”との危惧を示しています。では、政府に、根拠もなく住民に安心を説得せずに、最悪の事態を想定して対策をとらせようと続くのかと思うと、そうではなく、”「データがあるから」危険だ・安全だと議論をするのではなく、「データがないから」こそ知恵を絞って”と続きます。結局、”福島のがん、甲状腺がんが増えていないかどうかは、まだ「わからない」というのが現状”なので、危険なデータについての議論はせずに、”最善の対処をする”ということのようです。
この”最善の対処”とは何か、具体的に述べておられないのでわかりません。しかし、1137.国立がんセンター「がんが見つかってもすぐに治療せず、様子を見ることも検討すべき」(僭越ながら、番号が戻っております。1337ではないでしょうか?)の津金氏の論説の最後、”現行の検査を続けながら、放射線の影響の有無について冷静に分析する必要がある。これは、国の責任でやるべきことだ。”との主張を見て、ああこれかと思いました。住民には放射能による健康被害について議論はしないように勧めて、放射線の影響の有無について国が分析するまでそのままにしておく。恐ろしいことです。