2015年11月16日

1336.原子力を事業の核とした東芝の粉飾決算

2015111603.jpg・上場企業としての義務である決算を発表できないと東芝が発表したのは、本年5月のこと。
・決算を出せない理由をインフラ工事、半導体、白物家電の不調などとごまかしてきたが、日経がついに原子力部門の赤字を公式に「暴いた」。
・東芝の財務は報道されている以上に痛んでいるであろうし、早晩なんらかの動き(国有化、分社化)などが起きるのではないか。


 ついにあの日経が東芝の「原子力関連」の粉飾決算を「報道」した。
スクープ 東芝、米原発赤字も隠蔽 内部資料で判明した米ウエスチングハウスの巨額減損 東芝問題取材班 2015年11月12日(木)


 東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)で、計1600億円の巨額減損が発生していたことが日経ビジネスの取材で分かった。WHの単体決算は2012年度と2013年度に赤字に陥っていたが、本誌が指摘するまで東芝は事実を開示しなかった。

 これまで東芝は、原子力事業については一貫して「順調」だと説明し、WHの売上高や利益、資産状況については明らかにしてこなかった。5月に発足した第三者委員会もWHの減損問題については踏み込んでいない。

 本誌(日経ビジネス)が独自に入手した内部資料によると、WHの実情は東芝の説明とは大きく乖離している。経営陣の電子メールなどを基に、東芝とWHが抱える“秘密”を明らかにしていく。

 WHは原発の新規建設が不調だったことなどを受け、単体決算で2012年度に9億2600万ドル(約1110億円)、2013年度に約4億ドル(約480億円)を減損処理した。資産価格を大幅に切り下げたことが損失となり、2012年度と2013年度はWH単体で赤字に転落している。だが、東芝は「当社の連結決算には影響がなく、会計ルール上も問題がない」(広報)として、本誌(日経ビジネス)の指摘があるまで開示してこなかった。

 東芝はこれまで、ほぼ一貫して原発関連事業は好調だと説明してきた。しかし、対外的な説明と内情が全く違っていたことが明らかになった。これに対して東京証券取引所の幹部は「WH単体で巨額の減損があったのなら、今までの説明とは食い違う。企業ぐるみの隠蔽と言わざるを得ない」と指摘する。
 311以降、アレバが倒産寸前になったりして、原子力産業界に激震が走っているにもかかわらず、いけしゃあしゃあと「原子力関連事業は好調」だと説明できる神経を疑う。
 東芝における原子力事業は、2006年に約5400億円を投じてWHを買収した頃から大きく変容する(後に出資額は計6600億円に増加)。買収当時の社長の西田厚聰や副社長の佐々木則夫は、2015年度までに30基以上の原発新設を受注し、原子力事業の売上高を1兆円規模に伸ばすと公言していた。

「配当の原資がなくなる」

 もくろみは2011年の東日本大震災で大きく揺らぐ。新規の受注実績は、2015年に至っても計10基にとどまる。それでも東芝は、WHを含む原子力事業で5156億円の「のれん及び無形資産」を9月末時点で計上している。一方でWHの売上高や利益、資産状況は明らかにしていない。

 東芝は、WHのビジネスは好調だと説明し続けている。11月7日に開かれた2015年4〜9月期決算会見で、上席常務CFO(最高財務責任者)の平田政善は「サービスや燃料事業が着実で、福島第1原発事故以降は安全対策というビジネスが伸びている」と述べた。だが平田は直近の利益額など、主張を裏付ける数字は提示しなかった。
 負けてる戦を「転進」と言い張った大本営を思い出させる主張である。

 新設プラントは順調と言っているものの、現在建設中の原子力発電所で期待通りに進捗しているところなど一つもない。あのアレバが自信を持って建設を進めているフィンランドのオンカロ近くにあるオルキルオト3号機は、度重なる設計変更で大幅な建設費の増加、工期の延長でいったいいつ完成するのか見通せない状況なのである。
 そもそも、今までの決算で原子力部門が「好調」などと言わざるを得ないのは、とても表に出せるような数字ではない−開示してしまうと会社がつぶれてしまう−ことが容易に想像できる。

 日経が「スクープ」する2ヶ月前から、詳細な記事がすでに発表されていた。
「東芝」だけではない「原発事業」の世界的衰退
投稿日: 2015年09月14日 16時02分
 9月7日、粉飾決算問題の渦中にある東芝が4カ月遅れでようやく発表に漕ぎ着けた2015年3月期決算。同日の夕刊各紙は1面トップで「東芝、利益減額2248億円」(日本経済新聞)、「東芝、不正会計2248億円」(朝日新聞)などと過去7年間の利益水増しの総額を見出しに取っていた。だが、重電業界担当のアナリストたちの注目の的は、同社の電力・社会インフラ部門、中でも原子力発電事業での損失計上の有無だった。案の定、米テキサス州で手がけていた原発建設プロジェクトで同社は新たに410億円の減損を余儀なくされた。4年前の東京電力福島第1原発事故をきっかけにパートナーの企業が相次ぎ撤退し、事実上頓挫したにもかかわらず、「誰も諦めたわけではない」と東芝幹部が強弁を続けてきた、いわくつきの案件である。

「品揃え効果」の案件だったが......
正式名称は「サウス・テキサス・プロジェクト(STP)」。米電力大手NRGエナジー(ニュージャージー州)がテキサス州ヒューストン市近郊に出力134万kWの原発2基(3号機と4号機)を増設するという計画で、2008年3月に東芝が受注。建設費は100億ドル(約8000億円、外貨の円換算は公表当時の為替レートによる、以下同)、2015〜2016年の運転開始を目指していた。

このプロジェクトが東芝にとってとりわけ重要だったのは、受注した2基は沸騰水型軽水炉(BWR)の改良バージョン(ABWR)であり、加圧水型軽水炉(PWR)を専門とする子会社の米ウエスチングハウス(WH)ではなく、東芝自身の原発部門が初めてモノにした海外案件だったからだ。

(中略)

トップ判断で迷走
ところが前述のとおり、2011年3月11日に起きた福島原発事故がプロジェクトを暗転させる。実は、STPではNRGが22億ドル(持ち株比率88%)、東芝が3億ドル(同12%)を出資して「ニュークリア・イノベーション・ノース・アメリカ(NINA)」という事業会社を設立していたのだが、このNINAに東京電力が最大2億5000万ドル(約200億円)出資することが2010年5月に決まっていた。

NRGはリスク分散を目的にジャパン・マネーの積極的導入に動き、(今となっては皮肉なことに)3.11以前は最優良企業だった日本の電力最大手に出資を持ちかけ、海外進出を次世代戦略に掲げていた東電も快諾していたのだが、福島原発事故で破綻に瀕した同社はそれどころではなくなり、出資を凍結。さらに事故から1カ月余り後の4月19日には、NRGが「株主に対してこれ以上の投資を正当化することができなくなった」(デイビッド・クレインCEO=最高経営責任者=)として、STPからの撤退を表明したのである。その後の東芝の往生際の悪さに比べると、当時のNRGの対応の素早さには刮目すべきものがある。

撤退表明に伴い、NRGは2011年1〜3月期に、すでに発注済みだったSTP原発3号機と4号機に関する減損を行い、4億8100万ドル(約400億円)の特別損失を計上した。事業会社NINAの88%の株式を保有していたNRGが撤退し、将来約10%を出資予定だった東電の事業参加も絶望的になったのだから、当然のことながら東芝もこの時プロジェクトを断念(少なくともNRGと同様にSTP関連資産の減損を実施)すべきだったのだが、「新たな提携先と交渉中で減損の必要はない」とし、その後もずるずると決断を先送りにしていった。

当時の東芝社長は、今回の粉飾決算問題で「首謀者の1人」として辞任に追い込まれた前副会長の佐々木則夫(66)。原発部門出身でWH買収でも立役者の1人だった佐々木は、福島事故に続くSTPの頓挫が自身の権力基盤を揺るがし、この頃すでに兆候のあった前任社長の西田との主導権争いで不利に働くことを懸念していたらしい。結局、「STP案件は継続」とのトップ判断で、このプロジェクトは迷走を始める。
監査法人の「甘さ」

その端緒が垣間見えるのは、2年後の2013年9月。東芝は米テキサス州でシェールガス液化事業を手がける「フリーポートLNGプロジェクト」の権益を取得したと発表。同プロジェクトは3系列に分かれ、第1系列は中部電力と大阪ガスが、第2系列は英BPがそれぞれ取得済みで、東芝は韓国SKグループと組んで第3系列に触手を伸ばした。契約期間は2019年から20年間で、輸入量は年間220万トン、取得金額は非公表だった。

当時はシェールガス・ブームの真っ盛り。ある業界誌は「衝撃!米LNGを輸入する東芝のしたたかな戦略」(「エネルギーフォーラム」13年12月号)とこのニュースに飛びつき、東芝は「世界の天然ガス火力市場へと営業を拡大していく」などと論評したが、社内事情に詳しい関係者は、真の狙いが「STP案件を延命させること」と密かに指摘していた。というのも、2013年当時、東芝は会計監査を委託している新日本監査法人から、STP案件の減損処理を執拗に迫られていた。「NRGに代わる新たな投資家を見つける」と減損を回避したい東芝は釈明を続けていたものの、2年が経過してもSTPの新たなスポンサーは一向に現れない。

そこで東芝は、電力を大量消費するシェールガスのLNGプロジェクトに目をつけた。仮にSTP3、4号機が完成に漕ぎ着け、運転を開始した暁には、この原発が生み出す電力を購入してもらうことを条件にLNGの権益を取得したというわけだ。フリーポートは「STPの一助になればと考えて始まった案件」と、当時の関係者はすでに認めていた(「週刊ダイヤモンド」2014年1月25日号)。

ただ、それでも新日本監査法人は完全に納得はせず、2014年3月期に東芝はこの時点でSTPに投じていた出資と融資の総額約600億円のうち、310億円の減損処理を余儀なくされた。NRGが撤退した2011年4月時点で、STP関連減損(総額4億8100万ドル)に占める東芝の持ち分は1億5000万ドル(約120億円)といわれていた。その後の2年間で東芝にとってのSTP関連のリスク資産は120億円から600億円へと5倍に膨らんでいたことになる。

新日本の甘さは、フリーポートLNGという将来の電力の「買い手」が1社見つかったというだけで、プロジェクトとしてのSTPの頓挫が誰の目にも明らかだったにもかかわらず、310億円の減損で矛を収めたことにある。結局、粉飾発覚後の今回、東芝は2015年3月期にSTPについて410億円の追加減損(東芝は「現状での売電/投資の交渉経過を評価し、出資及び貸付金等で全額(減損を)実施」と説明)を計上した。2度の減損の総額は720億円。4年前の120億円の6倍である。

(中略)

前途多難の仏国有「アレバ」
原発大国フランスでは、フランス国有の原子力大手アレバが2014年12月期に48億ユーロ(約6170億円)の最終赤字を計上して事実上破綻。8割超の株式を保有するフランス政府は今春、アレバを原子炉部門と核燃料部門に解体し、このうち原子炉部門の株式の過半をやはり政府が8割強の株式を持つフランス電力公社(EDF)に譲渡して再建に取り組ませる方針を打ち出した。

しかし、前途は多難だ。9月3日にEDF社長のジャン=ベルナール・レヴィは、フランス北部でアレバが建設を進めていたフラマンビル原発3号機の完成が従来の予定より1年以上遅れて2018年第4四半期にずれ込み、建設費も従来金額を24%上回る105億ユーロ(約1兆4000億円)に膨れ上がるとの見通しを明らかにした。

フラマンビル原発3号機は、フィンランドで建設中のオルキルオト原発3号機と同じように、アレバが鳴り物入りで世界に売り込んだ最新鋭の欧州加圧水型原子炉(EPR)を採用。だが、いずれも工事が難航して進まず、建設費は嵩むばかり。フラマンビル3号機は工期が6年遅れて建設費は当初の33億ユーロから85億ユーロ、さらに今回105億ユーロに膨張。オルキルオト3号機も工期は9年遅れ(現在は2018年完成予定)、建設費は30億ユーロから85億ユーロ(約1兆1300億円)へと約3倍になり、それでも完成のメドが立たず、建設費の予算超過をめぐって発注元であるフィンランド産業電力(TVO)との間で係争が続いている。
 当然の分析である。今回はその上、子会社の特損まで表に出てきたことに深刻さが垣間見える。

順調としているWHの海外案件は次の通り
米、34年ぶり原発着工へ…年内にも東芝系新型
 米国で原子力発電所4基が年内にも着工する見通しになり、東芝が12月上旬にも、タービン周辺機器を米国向けに輸出することが26日、明らかになった。
 米国で原発の新規建設は約34年ぶり。4基はいずれも東芝子会社の米ウェスチングハウス(WH)の新型炉で、米原子力規制委員会(NRC)が近く建設・運転の一括認可を行う方向だ。米国で原発建設が再開すれば、日本からの原発輸出も本格化しそうだ。
 着工するのは、ジョージア州のアルビン・ボーグル原発3、4号機と、サウスカロライナ州のV・Cサマー原発2、3号機。2016年以降の運転開始を目指す。いずれも110万キロ・ワット級の新型炉「AP1000」を採用し、外部電源が喪失しても72時間原子炉を冷却できるなど災害にも強いのが特徴だ。東芝は、蒸気を水に戻すために必要な中核機器を輸出する。
(2011年11月26日14時35分 読売新聞)
 その後、さっぱり進展している状況もない。2016年以降の運転開始とぶち上げているが、すでに2015年。検索しても、その後の発表が全くないところを見るととても順調とはいえないのはまず間違いない。そもそも、AP1000が稼働しているところは、世界中どこにもないのである。(中国にあるかも)

 世界の大手企業が原発の建設に四苦八苦しており、唯一進みそうなのは中国資本を受け入れた英国のみ(これさえも、本当は怪しい)

 「サザエさん」で親しまれてきた家電、半導体のTOSHIBAは、原子力とともに崩壊するのか。

■関連ブログ
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満身創痍の仏アレバ−原因はフクシマだけ?2011年12月13日
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米、34年ぶり原発着工へ…年内にも東芝系新型2011年11月27日
WH買収後から高度な政治力を持つようになった東芝2012年04月17日

 
タグ:東芝
posted by いんちょう at 22:25| Comment(5) | 原子力
この記事へのコメント
光る東芝の灯が消える日も遠くない、、。
でも川内が動いている限りは、日本全滅の危機は続く。風向き潮流考えたら、日本は汚染物質で囲まれちまう(恐)
Posted by 武尊43 at 2015年11月17日 01:38
高校大学と苦楽を共にしてきたダチは東芝に入社、某部長まで務め上げて定年退職しましたから、関係ないようですが、企業年金を貰っているんですね。

せめて彼の存命中だけは貰えるようにしてもらいたいもの。金額的には大したことはないそうですが。

その後は「後は野となれ、山となれ」ですね。東芝の電化製品も殆ど我が家にはありませんし。原発なんて時代遅れということです。
Posted by ハマの住人 at 2015年11月17日 11:09
先生原子力には未来が無さそうですね。
早稲田、慶応共に過去10年核(原子)の出題は無いようです。
東大や東工大のホームページでもあまり原子力に力を入れてない感じですね。 東工大のホームページでは何故か元小出助教のインタビューが…
学生が行かなくなっているのですね。
しかし、廃炉にするにも誰も原子力の事が解る人が居なくなったらそれはそれで深刻な事ですね。
Posted by ホールインワン at 2015年11月17日 17:34
いつもコメントまで
読んで勉強させてもらっています。
が‥今回は落胆です。

ーーーーーーーー
子孫繁栄
まだ産まれていない子孫や、
他人の周りの子供への
発想があまりにも感じられないです。

社会を動かす大人や
定年された 先人さんに
産まれていない子々孫々への
「原発作ってごめんね。」
「先祖代々の土地の汚れ」
の気持ちが少ない(皆無)ことが、
残念でなりません。

ラピュタの民は滅んだし
風の谷の 土も水も汚れてしまったというのに。
Posted by 先生の本かったよ。 at 2015年11月18日 11:45
東芝はWHを買収したが、果たして東芝の判断だったのだろうか?
歴史をさかのぼると、列強の清国蚕食に遅れまいと最後に進出した日本が叩き潰された。
欧米が鯨油採取だけを目的としてクジラを乱獲したが、石油の発見で用済みとなって、今度は捕鯨を日本叩きに利用。
未来のない原子力を最後に日本に押し付けているのではないか。
最近ではアレバ社まで押し付けられそうになっている。
3.11は原発マフィアにとっても予想外であっただろうが、基本の流れとしては最後に日本がババを掴まされた。
そんな気がしてなりません。
Posted by 不織布バカ at 2015年11月19日 07:21
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