2016年06月04日

1379.SPEEDIの有用性を報道した産経新聞

2016060401.jpg・原子力規制委員会が役に立たないとして、闇に葬り去ったSPEEDIの有用性を先日、あの「産経」新聞が報道した
・民主党の無能さを説明するために、正確だったSPEEDIの計算結果を無視したと主張している
・ウソを言うから矛盾が噴出する。丁寧に読んでいけば、何が本当で何がウソかは(真実がわからずとも)わかるんである。


5年経って、そろそろフクシマの悲惨な事故も忘れられたとして、あの大本営−産経新聞がフクシマの真実を書き始めている。
【福島第1原発事故 5年目の真実(3)】「犠牲覚悟」極秘の石棺作戦 陸自が模索
2016.2.25 17:30 産経新聞
 東京電力福島第1原発の事故直後、陸上自衛隊内で、ある「極秘作戦」が検討されていた。

 ホウ酸とコンクリートの「石棺」で原子炉を封じ込める−。作戦を知っていたのは折木良一統合幕僚長、火箱(ひばこ)芳文陸上幕僚長ら最高幹部数人のみ。火箱氏は「当時は相当伏せていた。犠牲者も覚悟したし、私も行くつもりだった」と振り返る。
 石棺が本当に検討されていたことが表に出てきたのは、この報道が初めてではないか。燃料がむき出しになっている燃料プールの暴走を止めるには、たしかに「石棺」以外にはないのである。なぜ、現在石棺を進めて異なのかと言えば、燃料プールはとりあえず機能を果たしており、溶融燃料は満身創痍とはいえ格納容器の中、および下部に存在しているため石棺にする意味がほとんどないから。

 半径170キロの住民は強制移転区域、東京都を含む半径250キロは避難、避難住民は3千万人以上となる−。内閣府原子力委員会の近藤駿介委員長が個人的に作成し、3月25日に政府に提出した「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」では、首都圏の壊滅もありうるという最悪の事態が想定されていた。

 にもかかわらず当時の菅直人政権は、その危機的な状況を国民に一切開示することはなかった。危機管理のプロフェッショナルである自衛隊にも4日間も伝えていなかった。
 枝野幸男官房長官は1、3号機爆発後も、「直ちに人体や健康に影響を及ぼすことはない」と繰り返し、危機をひた隠しにしていた。
産経、おまえがこの発言をするかと呆れる。読売、産経ともに当時は、「たいしたことない、たいしたことない」と連呼していたではないか。民主党憎しの勇み足そのもの。悔しかったら、今のフクシマの汚染状況をきちんと報道しろ!!である。現在、産経新聞は福島には何の放射能被害も起きないと主張しているのだから、枝野官房長官の発言を非難するのは明らかにおかしい。「枝野よく言った」と言うべきではないのか。

 火箱氏は不測の事態が起こった場合、陸自きっての精鋭落下傘部隊、第1空挺(くうてい)団(千葉県船橋市)を石棺化作戦に投入しようと考えていた。また、自衛隊は2号機の屋上に降り立ち、建屋内に入って原子炉に対し、ホウ酸を直接まく作戦も検討していた。
 これは本当か?当時、3号機に自衛隊が蝉のション便をしたときにさえ、被曝量がとてつもなかったのに2号機の屋上に降り立つなどというオペレーションを検討していたとはどう考えても信じられない。

 
象徴的なのは、いわゆる「東電撤退」問題。震災発生から4日後の平成23年3月15日未明、「東電社員が福島第1原発から全面撤退する」との情報を得た菅氏は、清水正孝社長を官邸に呼び、その意向をただした。清水氏は「そんなことは考えていない」と答えたのだが、菅氏はその後、自ら東電本店に乗り込み、「撤退したら東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ」と怒鳴った。テレビ会議でこの様子を見ていた福島第1原発の吉田昌郎所長は「(菅氏が)何かわめいていらっしゃるうちに、この事象(4号機で水素爆発)になってしまった」と証言している。
 テレビ会議では、小森常務を中心にして、福島からの撤退基準を議論している場面が出てくる。東電が避難することを考えていたのは事実であるのに、なぜ菅氏のみを攻撃するのか。そもそも、4号機は爆発したかどうかさえ、はっきりしていない(建屋が崩れた状況の説明は今まで一切ない)のに、なぜこんなことを吉田所長は言えるのか。そもそも、官邸の言うことなど、まともには相手にしていなかったではないか。

 こうした菅氏を尻目に、最悪事態に対処する新たな検討が政府内で始まった。その重責を担ったのが、23年3月26日付で首相補佐官として官邸に入った馬淵澄夫元国土交通相だった。<

 馬淵氏のミッションは、1号機が再爆発した場合、決死隊を編成し、原子炉に水と砂を混ぜたドロドロの「スラリー(泥漿(でいしょう))」を流し込み、再臨界を止めるという内容だった。馬淵氏は「全員被曝(ひばく)して死ぬような放射線量だった。私も現場で、責任者として作業員とともに作業するつもりだった」と振り返る。

 この計画は極秘扱いで進められた。政府が隠したかったのは最悪の場合、首都圏にも自主避難を促し、約3千万人の避難民が出ると予測した「近藤シナリオ」の存在だった。

 馬淵氏は「なぜ隠すのか」という疑問を持ち続けていたという。一方、細野豪志首相補佐官は24年5月31日に政府事故調が行った聴取に対し、「公表することで、場合によってはこのシナリオが現実になるかもしれない。万が一誤った形で伝わると、東京から人がいなくなる可能性がある」と述べている。

 こうした政府の無策を目の当たりにして前回の選挙で落選した自民党の根本匠氏(後に復興相)は独自に動き始めた。根本氏は「政治が全く機能していない。民主党政権では事態は改善しない」と直感し、地元の福島県郡山市を拠点に政府に対し緊急提言を送り続けていた。
 当時、日本から脱出する外国人を馬鹿にしていたのは、産経、読売を筆頭とするマスコミである。原発の危機的状況を本気で伝えたいのならば、「汚染水は完全にブロック」などというデマを発言した安倍もまた非難の対象にするべきではないのか。

 「あのとき飯舘村の人たちは何も知らなかった。自衛隊が飯舘村の住民を避難させるべきだった」。火箱芳文陸幕長は悔しさをにじませる。

 23年3月18日から福島県飯舘村に展開していた第1空挺団(千葉県船橋市)の被曝線量だけが上昇していた。火箱氏はその数値に疑問を感じ、手元にあった緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)と見比べると、図面通りだった。「飯舘村の人たちも被曝している」と確信した。3月29日、火箱氏が現地部隊を視察した際、現場の指揮官に「村長さんにも、今の状況を言ったほうがいい」と指示したが、この重要な情報が住民に伝わることはなかった。当時の官邸筋によると、3月17日に枝野幸男官房長官がSPEEDIの観測結果を非公表とするよう指示を出していたとされる。同日のデータでは飯舘村でも高い数値が検出されていた。
 ウソを言うのは、やめていただきたい。当時、飯舘村の汚染状況を測定した今中氏はあまりの汚染の高さに驚いて、IAEAに報告するとともに村長にも避難を勧めた。逃げようとしない村長に、IAEAも避難勧告を出したくらいである。(このあたりはプロメテウスに詳しい)それなのに、なぜそれが民主党政権だけの責任になるのか。
 そして、驚くべきなのは、

「手元にあった緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)と見比べると、図面通りだった」

の一文である。SPEEDIはまったく役に立たないとして、闇に葬ったのは規制委員会ではないか。なぜ、この「図面通りに汚染が示されているSPEEDI」を、利用しないことにするのか。まったくもっておかしい。産経新聞もマスコミならば、この表現の次に現在の規制委員会の批判を続けるべきである。それなのにまったくしていない。民主党憎しでただ単にたたいているだけ。

 なんとあきれたマスコミではないか。当時の民主党政権をたたくだけが目的ならば、(広告)の注釈をつけていただきたい。

「SPEEDI」は避難判断に使わない方針を決定 原子力規制委員会「国際的な考えにのっとった」
The Huffington Post投稿日: 2014年10月09日
原子力規制委員会は10月8日、原発事故などの際に放射性物質がどのように拡散するかを予測していた「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI:スピーディ)」について、住民避難などの判断には使わないとする運用方針を決定した。福島第一原発の事故の経験から、SPEEDIの予測データでは「不確かな要素が排除できない」と判断。緊急時などの避難の判断に使うと、逆に被ばくのリスクを高めかねないとしている。NHKなどが報じた。


情報隠蔽を指示した村長
この間、山下俊一教授(福島医大副学長)を筆頭とする御用学者が、次々と来村し、「放射能=安全」キャンペーンを繰り広げました。しかし、フリージャーナリストたちの計測では、雨樋の下など1000μSV/hというとてつもないホットスポットがあり、その周りで子どもたちが走り回っていたのです。

私は村役場に行って議長・ 副議長に速やかな全村避難を訴えましたが、彼らの返事はこうでした。「偉い先生が来て『安全だ』と言い、原子力安全委員会も『大丈夫です』って言ってるんだから、俺たちに何ができるんだ」。

私たちは、村に対して「御用学者だけじゃなくて、今中哲二さんのような立場の人の話を聞くべきだ」と訴えましたが、聞き入れられることはありませんでした。

これには理由があります。今中さんたちは、3月下旬に飯舘村の測定を行い、村長に結果を報告し、「すぐにも避難すべきだ」と提言したのですが、村長は「公表しないで欲しい」と頼んだうえで、「ここで生活する方法を考えて欲しい」と訴えたそうです。



■関連ブログ
チェルノブイリでは強制移住2011年05月25日
1号機から4号機の建屋写真集(重要)2011年04月25日

   
タグ:SPEEDI
posted by いんちょう at 21:15| Comment(8) | 原子力
この記事へのコメント
まァ、惨刑新聞は毎度ミンス→民進叩きがしたいだけの新聞ですから、こういう記事を書いて、何とか購読者を引き留めたいんでしょう。
ネトウヨのバイブル化した新聞なんて普通の人は読みません。但し、安部自民日本会議信者は読みますがね(笑)
そしてそういう輩がジワジワ増えてるのが不気味ですが、、。
といってじゃあミンスが正しいことしたか、というとこれも問題有りですが。まァ、空き管が浜岡止めたことと東電に乗り込んで社長達の頭引っ叩いたことだけは評価してますが(笑)
だからこそ世間に、これを「間違った行為」と広めたいのでしょう。自分達に都合の悪いことは貶める。それが惨刑新聞の役目ですからね。
頭叩いていなきゃ、今頃東京だってどうなっていた事か。アンダーコントロールどころじゃありゃしない。オリンピックなんて遥かな夢、、。浜岡を止めてなけりゃ、今頃川内だけじゃ済まない筈。バンバン動いてましたよね。
これらが産業界にとってどれだけ都合の悪いことか。経団連お抱え新聞社としては、これを何とかして払拭したいんですわ。
Posted by 武尊 at 2016年06月04日 23:06
産経を擁護する気は更々ないが政治は結果責任!
当時の政権党である民主党がパニックを恐れたのか情報操作した挙句に放射能汚染物質をあろうことか日本国中にばら撒いたのは正に重大な国家犯罪だ!

当時の枝野官房長官の再三に渡る「直ちに影響は無い」発言は当時から腹立たしく思っていたし、今でも許すことは出来ない!
当時の細野環境大臣(だったかな?)の放射能全国拡散政策は聞きしに勝る赦し難き悪行である。
これも許せない!
Posted by 暇人 at 2016年06月05日 20:42
原発周辺「20年住めない」と菅首相が言ってからの菅さん叩き、おろしの酷さは尋常じゃなかった。
蜂の巣突いたような、それこそ原発村のパニック。
菅さんはまともだったよ。
あの時自民党政権だったら今生きて嘘、工作してるネトウヨや産経の人間は死んでたろうに・・・非常に残念である。
Posted by ・・・ at 2016年06月05日 22:13
直感的に真実なのでは?と思わせる記載が幾つも書いてあります。、
記事に迎合しながら旧民主を非難する事を皆で言っていれば、他にも出てきそうですね。

不整合を突くのはまだ少し早い気がしました。
Posted by 通りすがり at 2016年06月06日 08:11
枝野さんの「ただちに影響はない。」は、『いずれ影響は出る』と言う意味だと、直ぐに思いました。
菅総理大臣の顔が引きつっていて、ただ事でないのも直ぐに見て取れました。
その後、記者発表に菅さんが出てこなくなったのは、ウソが付けない誤魔化しきれない性格だからと、思いました。
で、本当のことを言ったら、大パニックが発生するから、表情が出ない枝野さんが、しゃべったんだと、思っていました。
天皇陛下がビデオで国民をなだめるメッセージを出すほど、当時は緊迫していた記憶が有ります。
もう放射能に慣れて、毎日1000万ベクレル福島第一原発から漏れていると聞いても、「あっ、そう。」てな感じですが・・・・。
Posted by ナイーヴ at 2016年06月06日 21:28
 3号機の爆発画像を見た当初から先生と同じようにあれは「核爆発」だと主張していたアーニー・ガンダーセン。

 今年の2月に福島を訪れての発言。

 「今回の訪日で福島の再調査を行いましたが、驚いたことは既に除染された地域が再汚染されているという現状です。これは予測していないことでした。除染された地域ではあまり高い放射線数値は出ないだろうと思っていたからです。しかし結果はその反対だったのです。」

 サンプルは南相馬市のタウンホール屋上や、セブンイレブンのフロアマット、道路脇などからダストを採取。それらを計測したところ、放射線廃棄物遺棄場に運び出されなくてはならないような大きな線量が検出されたとしています。

 其の上で「小さな子供は、成人男子の20倍も放射線の影響を受けます。日本政府は20mSvという基準値を設けましたが、それは、成人男子に対して当てはまるもので、小さな女の子は、実際は400mSv相当の放射線の影響を受けているのです」と話している。

 ご丁寧におまけがついていて「ある方から『お土産に』と猪の肉を頂いたのですが、それにガイガーカウンターを近づけると、120count/minという非常に高い数値が出たのです。」だと。ありがた迷惑を絵に描いたような話です。

 彼は東京都内でも自らサンプリングして計測した結果「とても東京には住めません」と告白しています。

 いずれの話も福島が生半可な爆発事故ではなかったことを示していると思います。
Posted by ハマの住人 at 2016年06月07日 08:48
産経新聞は宗教だからなぁ。この新聞を読んでいるあなたは選ばれた人です!って感じで。他の新聞よりも安い給料で社員が頑張っていたのは評価するけど、ゴシップ的な事ばかりではなく、たまにはまともなことを書いてほしいなぁと思う。
Posted by 元読者 at 2016年06月09日 00:24
ここでもこの名前を出すんですね。
アーニーガンターゼンは反原発団体の御用学者ですよ。
http://squeeze-box.ca/?p=892
を読めば良いです。英語でも翻訳は出来るでしょう。
東京の話は彼しか検出できない放射線だそうですが。

核爆発ならEMPって発生するのも知りませんか?基本的にガンマ線の影響ですが。
地上で爆発が有れば電界強度は100kV/mを超えます。
免震棟の会議機器、コンピュータ、通信機、消防車のエンジン
全ての機器は重大な影響を受けます。
少なくとも爆発映像を撮ったTVカメラは雑音や画面の乱れを起こすはずです。
有線電話ですら高音を発するのです。
核爆発であるなら鉄骨の塗料が残る事は有りません、蒸発してしまうはず。爆発後の映像を見れば明らかです。
現在の映像でも錆は均一に発生していない時点で何らかの防錆塗料もしくは油など
錆を発生させない物が付いているのは見て取れます。
これらの矛盾する事実を説明できますか?
このデマを、まだ信じている居る人が居るとは、日本の科学も地に落ちたものですね。

福島からは希ガスと気化しやすい放射性物質しか出てません。
チェルノブイリの何倍と言う人も居ますが。
溶融した原子炉の燃料は福島約245トン
チェルノブイリ約219トンです。
元が一割しか変わらないのにどうやったら何倍も出るんでしょうかね。
勝手に増えるの?
知らないから1基と3基という事でそう思うだろうと言う扇動家の馬鹿な考えです。

プルトニウム騒ぎも嘘です。
実際にグローバルフォールアウトで調べてください、元々、原発事故以前から
地球上にはプルトニウムは有るんです。
秋田が一番多いと言う観測結果も出てますよ。

殆どが怖がらせよう、そうしたら反原発になるだろう、民衆は馬鹿だから
と言う発想ですから注意してください。
Posted by Apophis at 2016年06月17日 00:21
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。