2016年10月06日

1399.健康被害が起きないと主張する権威者は、月間降下物のデータを知っているのか

2016100601.JPG・原発事故による放射能被害を過小評価するために、「核実験の時に比べれば〜」という殺し文句がある。
・以前、その内容については十分書いたが、5年がたってきたため、フクシマ周囲ではどのような降下量が見られているか改めてグラフにしてみた。
・改めて、未だに全く収まっていないことがよくわかるであろう

 トップに掲げたのは、いわゆる対数グラフによる月間放射能推移である。青色は東京〜筑波での検査結果であり、赤色は原発事故後の福島県双葉郡大熊の値である。とてつもない放射能が降り注いだことがよくわかるであろう。

しかし、これは対数グラフのため、実際の量として感覚的につかむには、ふさわしくない。(変化を見るには適しているが)これを標準的なメモリになおしてみる
2016100602.JPG

 もはや、大気核実験も、チェルノブイリの効果もなきに等しくなってしまう。それだけ多量の放射能が原発事故がおきた3月には福島県を中心に降り注いだのである。
 実際、福島市では数百万ベクレル単位のヨウ素が葉物野菜から見つかり、福島医科大学ではあまりの汚染のすごさに自分たちだけでこっそり、ヨウ素剤を内服したのである。

 先日、静脈血栓症の勉強会で講演された新潟大の榛沢 和彦先生の講演会に出席。新潟県中越地震以降、エコノミークラス症候群予防に尽力された非常に実践的な先生。話も具体的で大変ためになった(高速道路は通行証がないと通れないとか)。講演の初めに、福島県では放射能問題があったので、線量計を持って被災地に出かけたとの証言をされていた。講演後、どの程度の放射線だったのか?と質問したところ、「0.02の線量計が、3/19に福島大に寄ったときに見る間に上がって、××避難所ではもっとひどくて、さらに雨が降ったときにはとてつもなく早くカウントアップした」と教えてもらった。この証言から、実際の線量率を推測してみる。積算線量計で0.01単位で測定するといえば、まずmSv単位(1mREM)であろう。見る間に上がっていくというと、1分間に1よりも早いだろう。つまり、5〜10秒で1カウントだと推定してみる。そうすると 0.01 x 60/10 x 60=3.6mSv/hr (10秒間に一カウントだとして) そうすると、福島医科大学周辺は3/19時点で、少なくともミリシーベルトの被曝地点であろうと推定される。なるほど、こっそりとヨウ素剤を飲むのもわかる。
私の2016/09/21のツイッターより
 このデータと照らし合わせても、全く不思議ではないのである。

 上記グラフの2011年3月分を外して、それ以降 2016.3までのグラフ
2016100603.JPG
 これを見ただけで、まったく収束などしていないことがよくわかるではないか。南相馬で、放射能安全説を振りまいている医師達は、まず基礎的なデータからひもといていかなければ、地元民を納得させることなどできない。ホールボディーカウンターで仮に検出できないとしても、これだけの放射能が降下していて、健康でいられるはずがないのは誰が考えても否定できない。

 納得できない方は、下記データからデータを拾ってみれば良い。

(データの出典)
環境放射線データベース
定時降下物のモニタリング

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タグ:放射能
posted by いんちょう at 19:32| Comment(6) | 原子力
この記事へのコメント
おっしゃる通りなんだけど、規制委員にもこれに反論する人がいる。
で、「そんなに安全なら福島に行って仕事するの?」
と尋ねたら、本人が返事を濁していた。
すかさずその母親が「行ったらダメ!」と何度も繰り返した。矛盾するんだけど
その委員は母親に対しても何も言わず。
あの人たちだって結論はわかってるんだよ。仕事だから言わないといけないんだ。

Posted by Apophese at 2016年10月06日 21:00
体調の不具合を訴える人がさらに増ていることは確かです。

確実に言えることは、不具合を訴える人たちは食べ物や旅行先などに無頓着だということです。

やはり食べ物や東北行きに注意している人で、急に体調が悪くなる人は少ないです。

日常を観察しての個人的な印象です。
Posted by ラン子 at 2016年10月07日 16:54
 グラフの縦軸と横軸の関係を無視して、グラフなんか見ていると、実は太平洋核実験もチェリノブイリも大した事がないように見えてくる。

 高校程度の数学を学んだ向きなら、対数グラフの恐ろしさは地震なんかのレポートで経験されている筈であります。

 表示スペースの関係でこうした手法はよく取られています。よくよく眺めれば、第五福竜丸の悲劇が如何に大きなものだったか、御理解頂ける筈。

 チェリノブイリを馬鹿にしている手合(高学歴の輩に多い)は福島の被害の大きさが、実は理解できていない。ただ漠然と福島の被害は大した事がないとほざいているだけ。実数グラフをよくよく眺めて、慨嘆されたほうがいい。


Posted by ハマの住人 at 2016年10月07日 19:52
唐突ですみません。
広島と長崎での被曝被害ですが、ウランとプルトニウムで違いはあるのでしょうか?
アメリカも関心あったと思いますし、ABCCもデータ収集に努めたと思いますし、その後の核兵器開発にも参考にされたのではないかと思うのですが?
Posted by uttegaeshi at 2016年10月08日 00:42
上のコメントに「食べ物や東北行きに注意している人で、急に体調が悪くなる人は少ない」と感じるとありますが、私の印象ではそうは思えません、残念ながら、、、。

日本国中はもちろん、世界中に死期を早めてる人、病気になる人が増えてると感じます。

私も東京在住で気をつけてはいますが、もはやどこに住んでいても食べ物を気をつけていても、弱い人から影響が出て行くように思います、、、

それでもすこしでも、放射能を避けたいと思うのですが
皆が皆そうではありません。

汚染度がひどいところにいる人ほど話に拒否反応です。広島で被ばくした家族をもつ友人もすごく拒否反応をしめします。もどかしくて、悲しくて、無念です。

院長先生がずいぶん早くから骨折に注目されてましたが、
本当に骨折する人がまわりに多くて驚いてます。
東京だけじゃありません、西日本でも海外でも。
小学生からお年寄りまであらゆる年代です。
Posted by アホアホオール電化 at 2016年10月13日 13:55
>ウランとプルトニウムで違いはあるのでしょうか?

色々の議論が有ります。
プルトニウムの方が害が強いとは言われています。
ただ、内部被ばくの場合はその物質がどの器官に取り込まれ
どれだけの期間その場所に留まっているか
つまり沈着・吸収・排泄の機構を計算に入れないと評価できません。
セシウムで騒いでるのを見かけますが65日しか体内には存在できません。
基本的には、肺負荷つまり吸入が一番問題で逆に飲用は排泄が早いので
基準的には緩くなります
ICRPでは古い基準ですが公衆で飲料水5pCi/cc、空気で0.06pCi/m3がプルトニウムの許容量です。
肺負荷は1600pCi骨負荷は3600pCi程度、
全身は4000pCiが規制値でした

参考にしてください

Posted by Apophis at 2016年10月27日 22:49
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