・公開されたテレビ会議は、大きく2つの欠落部分がある。1つが津波が起きてから1号機が爆発するまで(津波〜11/03/12 22:59:00)ともう一つが、フクシマの原子炉が暴走して首都圏を避難する必要が出てきた時(11/03/14 23:39:42〜11/3/16 07:00:22)である。
・最近、元総理大臣補佐官の寺田学氏が当時の状況をブログに公開しているため、それを用いて2番目の空白時間を少し埋めてみたい。
東電は、2012年8月に当初その存在を否定していたテレビ会議の模様を公開した。専門性が強いとのことで、極々一部のみを公開しただけであったが、世論の批判を受けある程度の部分を公開せざるを得なくなった。これについては、2014年9月14日から10月27日にかけて、ツイキャスを用いて解説を行った。最終的には、BD-Rおよび、USBメモリにまとめて、希望者に配布している。
・東電の社内用語
・原子炉回りの知識
・安全関係の知識
をもって、なおかつ東電とは全く関係のない立場でいる人間はそれほどいないため、ある程度貴重な資料になっているのではないかと思う。(申し込みページ)
東電テレビ会議の公開部分はすべて閲覧したことため、重要な部分は保母抑えているつもりではあるが、日本が最も緊張していた空白期間(11/03/14 23:39:42〜11/3/16 07:00:22)に関しては、密室の中のままであり、概要がさっぱりわからなかった。概要で述べたように、寺田学氏が官邸の状況を公開しているため、ここでその部分を抜き出しながら、解説を入れたい。
まず、3号機の爆発(この部分は、テレビ会議該当部分あり)
しばらくすると、隣の総理秘書官付き室から声があがる。「あぁ!!」
同時に秘書官付の若手が飛び込んできた。「爆発!! 4チャンネルです!!」。
急いでテレビを切り替えると昨日と同様、爆発映像が。総理に伝えようと執務室へ向かう。「現在、政務案件中です」との声がかかる。が、構わず執務室に入る。
「失礼します。総理、爆発です」。
さすがに平穏な声では話せなかった。執務室のテレビを爆発映像に切り替える。大きな噴煙が空高く舞い上がっている。その噴煙の色は、黒い。昨日の一号機爆発とは、明らかに違う。
総理の第一声。「黒いよな、これ。。。。。」
この「黒い」という言葉のさす意味は、昨日の一号機の爆発のような建屋(外側)の爆発ではなく、格納容器(内側)からの爆発ではないか、ということ。まさしくチェルノブイリのような原子炉内部からの大爆発ではないか、と誰もが思った。山口代表との会談は即時中止され、情報収集が命じられる。詳細な情報が届くまでの間、胃が痛くなるような緊張感。本当に原子炉内部からの爆発であれば、その後の日本は、ない。執務室に関係者が飛び込む。原子炉の圧力計などから、最も懸念されていた格納容器の爆発ではなく、一号機と同様、建屋の爆発との一報。安堵。
これこそ、今回のフクシマ原発の最大のキモであり、かつ「トモダチ作戦」の米兵を苦しめた爆発である。明らかに違う爆発であるのは、誰が見ても明らかであるが、ここで官邸は大きな間違いを犯している。それは、同時に秘書官付の若手が飛び込んできた。「爆発!! 4チャンネルです!!」。
急いでテレビを切り替えると昨日と同様、爆発映像が。総理に伝えようと執務室へ向かう。「現在、政務案件中です」との声がかかる。が、構わず執務室に入る。
「失礼します。総理、爆発です」。
さすがに平穏な声では話せなかった。執務室のテレビを爆発映像に切り替える。大きな噴煙が空高く舞い上がっている。その噴煙の色は、黒い。昨日の一号機爆発とは、明らかに違う。
総理の第一声。「黒いよな、これ。。。。。」
この「黒い」という言葉のさす意味は、昨日の一号機の爆発のような建屋(外側)の爆発ではなく、格納容器(内側)からの爆発ではないか、ということ。まさしくチェルノブイリのような原子炉内部からの大爆発ではないか、と誰もが思った。山口代表との会談は即時中止され、情報収集が命じられる。詳細な情報が届くまでの間、胃が痛くなるような緊張感。本当に原子炉内部からの爆発であれば、その後の日本は、ない。執務室に関係者が飛び込む。原子炉の圧力計などから、最も懸念されていた格納容器の爆発ではなく、一号機と同様、建屋の爆発との一報。安堵。
・原子炉の圧力計などから、最も懸念されていた格納容器の爆発ではなく
つまり、原子炉(格納容器)の爆発ではない = 建屋の水素爆発
と単純に決めつけてしまったことだ。この黒い黒煙は、菅元首相が指摘したように放射性物質が多量に含まれていることを示しており、その爆発の場所には使用済み燃料が多量に保管されている〜原子炉圧力容器内よりも多いのである〜使用済燃料プールの爆発であることは、疑いようがない。そして、この間違った推論は未だに否定されていない。
経産大臣秘書官が「大臣、東電の清水社長からお電話です」と入室。
大臣「いーよ、もう出ない。さっき断ったんだから」と電話取り次ぎを拒否。
たまらず私から「何のお電話だったんですか?」
海江田大臣「なす術ないから、現場から撤退したいって話」。
枝野長官「俺にもきたよ。その電話。もちろん断ったけど」。
初めて聞いた私は驚愕した。現場から東電が撤退したら荒れ狂う原発を誰が押さえ込むのか。
慌てて海江田大臣に「そのような重大なお話なら、お電話に出ないのはお止めください、再度お電話にでて、しっかり断って下さい」と頼み込む。
海江田大臣「そうだな」と言って席を立ち電話を受け取る。
官邸内部の空気も一変していた。「注水不能、核燃料がむき出し」との報道もあり、いよいよ深刻な状況になってきていることは、誰もが知る状態だった。普段は凛々しいSP(警護官)の方々も、さすがにソワソワしているようだった。私達の会話を通じ、何が起きているか把握しようとしているようだった。多くの人が慌ただしく動きまわる。総理応接室で二号機の進捗報告を待つ。
海江田大臣が「さっき、このフロアに松永経産事務次官がいた。彼も、俺に東電の撤退を了承させようとしにきてるのか」。
東電は、いろいろなところで撤退など考えていないと主張しているが、これらの証言がそれらをすべて否定する。もっとも、公開されているテレビ会議でも小森氏が「退避基準」に言及するところがあるので当然と言えば当然である。大臣「いーよ、もう出ない。さっき断ったんだから」と電話取り次ぎを拒否。
たまらず私から「何のお電話だったんですか?」
海江田大臣「なす術ないから、現場から撤退したいって話」。
枝野長官「俺にもきたよ。その電話。もちろん断ったけど」。
初めて聞いた私は驚愕した。現場から東電が撤退したら荒れ狂う原発を誰が押さえ込むのか。
慌てて海江田大臣に「そのような重大なお話なら、お電話に出ないのはお止めください、再度お電話にでて、しっかり断って下さい」と頼み込む。
海江田大臣「そうだな」と言って席を立ち電話を受け取る。
官邸内部の空気も一変していた。「注水不能、核燃料がむき出し」との報道もあり、いよいよ深刻な状況になってきていることは、誰もが知る状態だった。普段は凛々しいSP(警護官)の方々も、さすがにソワソワしているようだった。私達の会話を通じ、何が起きているか把握しようとしているようだった。多くの人が慌ただしく動きまわる。総理応接室で二号機の進捗報告を待つ。
海江田大臣が「さっき、このフロアに松永経産事務次官がいた。彼も、俺に東電の撤退を了承させようとしにきてるのか」。
海江田大臣が突如「みんなと写真とってなかったな、撮ろうか」と提案。
一同戸惑う。綺麗になった総理応接室で、その場にいた班目委員長らと並んで写真を撮る。「なんでこんな時に。。。。気でも触れたのかな」と不安になった。関係する大臣らに招集をかける。御前会議が開かれるまでの間、数人で総理執務室で総理を囲む。総理、長官、福山副長官、細野補佐官、伊藤内閣危機管理監、そして私。東電から撤退の申し出があったことを総理に報告。
総理から「撤退するって、それじゃあ原発はどうするんだ」と一喝。
「自分たちでコントロール出来ないから、他国に処理をお願いするなんてことになったら、日本はもう国としての体をなしてない」。
現場の吉田所長に電話する。
総理から「撤退との話があるが、まだ出来るか?」
吉田所長「まだ出来ます」。
続々と御前会議招集メンバーが総理応接室に集まってきた。会議定刻。総理、正副官房長官、総理補佐官、経産大臣、防災担当大臣、危機管理監、原子力安全委員長、保安院幹部ら十数人。
官房長官から説明「現状、原発の状況が相当深刻な状態にある。それに加え、東電から現場を撤退したいとの申し出もあった。官邸側として撤退は認めていないものの、これから一層事態が深刻化した場合、どのような判断をとるか決めていきたい」。
普段饒舌な長官だが、珍しく導入が下手な気がした。なかば撤退を将来的に認めるかのような導入だった。一瞬の沈黙の後、総理が強い口調で発言。
「撤退なんてあり得ないんだ!撤退を認めたらこの国はどうなるんだ!」
「そうだろう!」と原子力安全委員長を指差した。「どうなんだ!」
明らかに威圧的な聞き方だった。
委員長「撤退はありません」。
総理「お前はどうなんだ!」と今度は委員長代理に。
代理「ありません」。
総理「お前は!」と保安院安井氏に指は移った。
安井氏「ありません」
先刻、安井氏から言われた言葉を思い出した。
「東電が現場から撤退するとかしないとか話がありましたが、私たち(技術者・役人)が判断するのは、あくまでも原発の構造と今後の推移であって、東電が撤退するしないは、政治側で決めて下さい。」
まさしく、それを強要している場面だった。隣の細野補佐官に小声で話す。
「これはまずいんじゃないですか。政治で決める事でしょう」。
細野「この雰囲気じゃ、、、、何も言えない。。。」
総理の意見に反対ではなかったが、先刻の安井氏からの真っ当な意見に基づいて口を挟んだ。
「総理の勢いに構わず、技術的なご意見で結構です」。
一瞬、戸惑いが見られたが、総理の勢い変わらず。結局、聞かれた全員が「撤退はありえない」との答え。
総理から「そうだろう」と満足した様子。
続けて「今から東電に行って、政府と東電の統合対策本部を作る」。
何度も何度も撤退可否の話が出てくる。何をどう考えても、撤退を検討しなかったと主張する方がおかしいのは、もはや明らかだろう一同戸惑う。綺麗になった総理応接室で、その場にいた班目委員長らと並んで写真を撮る。「なんでこんな時に。。。。気でも触れたのかな」と不安になった。関係する大臣らに招集をかける。御前会議が開かれるまでの間、数人で総理執務室で総理を囲む。総理、長官、福山副長官、細野補佐官、伊藤内閣危機管理監、そして私。東電から撤退の申し出があったことを総理に報告。
総理から「撤退するって、それじゃあ原発はどうするんだ」と一喝。
「自分たちでコントロール出来ないから、他国に処理をお願いするなんてことになったら、日本はもう国としての体をなしてない」。
現場の吉田所長に電話する。
総理から「撤退との話があるが、まだ出来るか?」
吉田所長「まだ出来ます」。
続々と御前会議招集メンバーが総理応接室に集まってきた。会議定刻。総理、正副官房長官、総理補佐官、経産大臣、防災担当大臣、危機管理監、原子力安全委員長、保安院幹部ら十数人。
官房長官から説明「現状、原発の状況が相当深刻な状態にある。それに加え、東電から現場を撤退したいとの申し出もあった。官邸側として撤退は認めていないものの、これから一層事態が深刻化した場合、どのような判断をとるか決めていきたい」。
普段饒舌な長官だが、珍しく導入が下手な気がした。なかば撤退を将来的に認めるかのような導入だった。一瞬の沈黙の後、総理が強い口調で発言。
「撤退なんてあり得ないんだ!撤退を認めたらこの国はどうなるんだ!」
「そうだろう!」と原子力安全委員長を指差した。「どうなんだ!」
明らかに威圧的な聞き方だった。
委員長「撤退はありません」。
総理「お前はどうなんだ!」と今度は委員長代理に。
代理「ありません」。
総理「お前は!」と保安院安井氏に指は移った。
安井氏「ありません」
先刻、安井氏から言われた言葉を思い出した。
「東電が現場から撤退するとかしないとか話がありましたが、私たち(技術者・役人)が判断するのは、あくまでも原発の構造と今後の推移であって、東電が撤退するしないは、政治側で決めて下さい。」
まさしく、それを強要している場面だった。隣の細野補佐官に小声で話す。
「これはまずいんじゃないですか。政治で決める事でしょう」。
細野「この雰囲気じゃ、、、、何も言えない。。。」
総理の意見に反対ではなかったが、先刻の安井氏からの真っ当な意見に基づいて口を挟んだ。
「総理の勢いに構わず、技術的なご意見で結構です」。
一瞬、戸惑いが見られたが、総理の勢い変わらず。結局、聞かれた全員が「撤退はありえない」との答え。
総理から「そうだろう」と満足した様子。
続けて「今から東電に行って、政府と東電の統合対策本部を作る」。
「東電の清水社長を官邸に呼べ」。
その指示をもって、いわゆる御前会議は終了。長官ら一部が、総理執務室に移動。その場で改めて総理から
「これで東電が投げ出したら、全ての原発がダメになる。福島第一だけじゃなく、第二も、それ以外の原発も。それは東日本全部がダメになるってことだ。」
「そうなったら国の体をなしてない。そんな日本だったら、他国から管理される結末になる」
「東電に統合本部を作る、統合本部の本部長は私、事務局長は細野君」。
一通り、総理の想いと指示を受け止める。
再び、私から「統合本部の法的根拠と指示権限をはっきりさせたほうがいいのではないでしょうか」と問いかける。
再度、官房長官から「だから、いまそんなことをはいいんだよ!!」と怒鳴られる。
その指示をもって、いわゆる御前会議は終了。長官ら一部が、総理執務室に移動。その場で改めて総理から
「これで東電が投げ出したら、全ての原発がダメになる。福島第一だけじゃなく、第二も、それ以外の原発も。それは東日本全部がダメになるってことだ。」
「そうなったら国の体をなしてない。そんな日本だったら、他国から管理される結末になる」
「東電に統合本部を作る、統合本部の本部長は私、事務局長は細野君」。
一通り、総理の想いと指示を受け止める。
再び、私から「統合本部の法的根拠と指示権限をはっきりさせたほうがいいのではないでしょうか」と問いかける。
再度、官房長官から「だから、いまそんなことをはいいんだよ!!」と怒鳴られる。
総理執務室を出ると、扉の前には既に清水社長と従者2人。
「社長お一人で入られますか?それとも全員で入られますか?」
清水社長「私一人で参ります」。
清水社長と共に総理執務室に入室。総理の斜め前に座ってもらう。
総理から「まず、撤退はありえない」。
すると、意外なほどあっさりと「はい。。。」と清水社長が答えた。
撤退要請の電話を受けていた長官や経産大臣は意外な表情。関係者一同も首をかしげた。
総理から「これから政府と東電の統合対策本部を作る。本部長は私。事務局長に細野君。直ちに東電に行くから、準備するように。どれぐらい準備に必要か?」
これには清水社長も驚いた様子だった。清水社長「二時間ぐらいあれば。。。。」
総理「そんな悠長な時間はない!!」
清水社長「・・・・・・・」
総理「一時間で用意して下さい。細野君を同行させます」
清水社長「はい。。。」
短い会議が終了。席を立ちかけた清水社長に私から一問。
「統合本部設置に東電は同意したという事でいいですね?」
清水社長「はい。結構です。」
この太字の部分からも清水元社長の覚悟のなさが容易に伝わってくる。情けない社長であることが、政治家にも伝わったのであろう。自分の判断がどういう意味を持つかが全くわかっていない無能人間そのものである。「社長お一人で入られますか?それとも全員で入られますか?」
清水社長「私一人で参ります」。
清水社長と共に総理執務室に入室。総理の斜め前に座ってもらう。
総理から「まず、撤退はありえない」。
すると、意外なほどあっさりと「はい。。。」と清水社長が答えた。
撤退要請の電話を受けていた長官や経産大臣は意外な表情。関係者一同も首をかしげた。
総理から「これから政府と東電の統合対策本部を作る。本部長は私。事務局長に細野君。直ちに東電に行くから、準備するように。どれぐらい準備に必要か?」
これには清水社長も驚いた様子だった。清水社長「二時間ぐらいあれば。。。。」
総理「そんな悠長な時間はない!!」
清水社長「・・・・・・・」
総理「一時間で用意して下さい。細野君を同行させます」
清水社長「はい。。。」
短い会議が終了。席を立ちかけた清水社長に私から一問。
「統合本部設置に東電は同意したという事でいいですね?」
清水社長「はい。結構です。」
岡本政務秘書官から呼び止められる。「総理からいま呼ばれまして『東電の職員が逃げ出し始め、原子炉が最悪の事態になったら、もう一度私が現地に再度行く可能性がある、準備せよ』と。どうしましょう?」重い相談を持ちかけられる。聞いた私も、問いかけた岡本秘書官も、現実化したときのことを想像してゾッとした。作業員が逃げ出すような現場に行くってことは、間違いなく死ぬじゃないか。メルトダウンだらけの原発事故現場に行くのか。。。。。しかも決死隊の一人として。
「とりあえず、輸送ヘリのスーパービューマの状況確認だけしておきましょう」と返答。
「とりあえず、輸送ヘリのスーパービューマの状況確認だけしておきましょう」と返答。
「ご指示の通り、事態が一層深刻化した場合に、総理が再度福島原発入りできるよう準備はしておきます。ただ、いざ決死の覚悟で超高線量の現地に行く事は、同行する私も含め、多くの秘書官、警備の警護官には相当の心の準備が必要になると思います。12日の現地入りでさえ、表には出しませんが多くの同行者は心の底で恐怖感を持っておりました。今後、総理ご自身が再度現地入りを決行される場合は、そのような想いの多くの若手が含まれる事をご留意ください。高線量被爆で死ぬ可能性が必至の場合は、総理お一人で向かって頂くことになりかねません」。
決断に従う立場の私が、このような進言をすることに躊躇はあったが、私以外に総理に伝えられるものはいなかったから、全く余計なことではあったが、総理にお伝えした。自分の弱さが如実にでた瞬間だった。やはり、まだ死にたくない、将来子供を授かりたいとの想いが、いざ死の覚悟を迫られた時に出てきたのだと思う。それと、進言出来ない秘書官や若い警護官の気持ちを代弁したいとの想いもあった。
総理は「そうか〜、 やっぱり怖いかな〜」と意外とケロっとしていた。
そして「俺はもう歳だからな。余り怖くないんだよ。若い人にはやっぱり恐怖感あるかもな」と、少し微笑みながら話していた。
決断に従う立場の私が、このような進言をすることに躊躇はあったが、私以外に総理に伝えられるものはいなかったから、全く余計なことではあったが、総理にお伝えした。自分の弱さが如実にでた瞬間だった。やはり、まだ死にたくない、将来子供を授かりたいとの想いが、いざ死の覚悟を迫られた時に出てきたのだと思う。それと、進言出来ない秘書官や若い警護官の気持ちを代弁したいとの想いもあった。
総理は「そうか〜、 やっぱり怖いかな〜」と意外とケロっとしていた。
そして「俺はもう歳だからな。余り怖くないんだよ。若い人にはやっぱり恐怖感あるかもな」と、少し微笑みながら話していた。
15日早朝、東電本店。
しばらくすると、総理がいる小部屋には数人のみ。総理と向かい合って座るのは、勝俣会長。総理がおもむろに落ち着いた声で勝俣会長に一言。
「絶対に撤退は無い。何が何でもやってくれ」。
その総理の言葉に対する勝俣会長の返答は、返答の持つ意味の重さを微塵も感じさせない程あっさりとしていた。
「はい。子会社にやらせます」。
総理の隣で聞いていて、思わず身をのけぞった。適不適を論ずるつもりは無い。シビア過ぎて、怖かった。
吉田所長「すみません、ちょっと中断します!!」
かまわず話しかける武藤副社長や総理。
吉田所長「いや、いまちょっと緊急事態です!!!!」
鬼気迫る声が響く。
吉田所長「爆発音があり!! おい! 作業員の退避云々・・・・!!」
現場では壮絶なやり取りがはじまる。2号機で爆発か、そう東電本店内でも大わらわになる。(とうとう、か。)と一層重い気持ちになる。
吉田所長「現場から退避させます!許可お願いします!」
小部屋を抜け、向かいの対策本部をのぞいてみる。社長以下、各本部長が馬蹄形の机に並んでテレビ会議システムの大きなモニターと向き合っている。
東電幹部「はい!、じゃ、退避の文章案、総務部長読んでみて!」
かまわず話しかける武藤副社長や総理。
吉田所長「いや、いまちょっと緊急事態です!!!!」
鬼気迫る声が響く。
吉田所長「爆発音があり!! おい! 作業員の退避云々・・・・!!」
現場では壮絶なやり取りがはじまる。2号機で爆発か、そう東電本店内でも大わらわになる。(とうとう、か。)と一層重い気持ちになる。
吉田所長「現場から退避させます!許可お願いします!」
小部屋を抜け、向かいの対策本部をのぞいてみる。社長以下、各本部長が馬蹄形の机に並んでテレビ会議システムの大きなモニターと向き合っている。
東電幹部「はい!、じゃ、退避の文章案、総務部長読んでみて!」
勝俣会長「よろしいですか?」
総理「・・・・・注水の人間は残してくれ。。。注水の作業員を除いての退避は認める。」(さっきまでうたた寝してたのに、凄い決断をするんだな)と、内心驚く。
国のトップが国民の一部に対し決死の作業を命じた。多くの国民を守る為に、一部の人間に犠牲になってもらう、そんな決断だった。震えた。
勝俣会長「わかりました」。
爆発は予想以上に深刻だった。テレビ会議システムを通し、リアルタイムで情報が入ってくる。原子炉内の圧力の低下、飛躍的にあがる放射線量。種々の機器の故障。統合本部を結成した矢先に敗北的に深刻な状況が続く。胃が握りつぶされるような重圧がのしかかる。(もう、日本は終わるのか。。。。)
昼過ぎだったと思う。携帯が鳴る。東電に常駐している細野補佐官からメール。そこには一言。
「渋谷の線量、通常の100倍」。
定期的に配られるようになった原発周辺の線量数値も、見た事もないような数字に跳ね上がっていた。
言葉が出なかった。何かが始まってしまったのか。どうなるのか。もう、東京はダメなのか。その後、テレビで自宅の窓を閉めるよう専門家の見解が示されたり、首都圏の水の汚染による、幼児への摂取自粛が報じられるようになった。いよいよ原発の影響が首都圏でも如実にあらわになってきた。「もうダメなのではないか」と言う雰囲気が醸成されている感じがした。
友人から「産まれたばかりの赤ちゃんがいるが、避難した方がいいか教えてほしい。絶対他人には言わないから」
「家の購入の期限が明後日に迫ってる。東京はもうダメなのか?契約はやめた方がいいか」
そんなメールが続々と寄せられた。現状の状況は東電の統合本部から送られてくるから解るが、それを分析する知識は私にない。今後の予測は、今まで数日の通り、誰も予測出来ていない。東電も、専門家も。答えられないメールが沢山たまる。報道から「官邸の移転を検討しているとの話、本当か?」との問い合わせ。
少なくとも総理室にはそのような情報はない。「俺は知らない。誰かが個人的に考えているかも」と返答。
「天皇陛下が京都に移られたとの情報はあるが」との問いには「そのようなことはない」。
通常の100倍と言えば、約5マイクロシーベルトくらいだろうか。このような状況下にあり、官邸が大変な危機意識を持っていたときに「春雨じゃ濡れて参ろう」とは、あまりに無責任すぎる。
ここまでが、東電テレビ会議には欠落していた部分である。双頭切羽詰まった自体であることがうかがえる。信憑性ははっきりしないものの、平田オリザ氏が書いたとされる意味不明の文章もこのときに指令が出たのであろう。
原発事故 政府の力では皆様を守り切れません 首都圏避難で首相談話草案
この度(たび)の福島第一原子力発電所の大規模事故にあたり、多くの国民のみなさまに大きな不安をお与えしていることを、改めてお詫(わ)び申し上げます。
特に、これまで四十年間、首都圏の電力を支えてきてくださった大熊町、双葉町の皆様(みなさま)、近隣市町村、福島県民の皆様、隣接する茨城県、宮城県の皆様には、本当に多大なご迷惑をおかけし、お詫びの言葉もございません。申し訳ありませんでした。
この度の事故は、政府、経済産業省はじめ関係諸機関、東京電力のいずれにも、多大な責任があり、今後、事態が収拾したのち、きちんとした反省、検証のみならず、責任の追及を行っていく所存です。
しかしながら、いまは、政府、東京電力、自衛隊、消防庁など関係諸機関、そして全国民の総力を挙げて、被害を最小限に食い止めなければなりません。どうか、その点をご理解いただければと存じます。
福島第一原子力発電所は、廃炉を前提として、とにかく、被害を最小限に抑えるように、今後も全力を挙げて対策を講じてまいります。
しかしながら、いまの時点において、国民のみなさまの健康に影響を及ぼす被害の可能性が出てまいりましたので、その点をご報告させていただきます。
まず、お願いしたいのは、現在の放射線量から考えて、いま、すぐに健康被害が起こるわけではありませんので、どうか落ち着いて、各自、冷静に対処、行動をしていただきたいということです。
繰り返します。今すぐに健康被害が起こるような事態は起こっておりません。これからの説明をよく聞いていただき、国民各位が、冷静な行動をとっていただきますようにお願いいたします。
まさに、いま、日本国民の叡智(えいち)、理性、自制心が問われています。
なにとぞ、よろしく、ご協力ください。
まず、立ち入り禁止区域を、現在の20キロ圏内から、○○キロ圏内に拡大いたします。これは、念のため、最悪の事態を想定しての避難です。
○○圏内というのは、放射性物質の拡散による直接の健康被害が起こりえる、最大限の距離をとっています。この圏内の皆様には、たいへんなご心配とご不便をおかけいたしますが、どうかご協力いただきたい。
すでに関係する自治体には連絡を取っており、現在、避難経路などを策定、指示をしていただいております。各自治体の指示に従って、ゆっくりと、焦らずに避難を行ってください。繰り返しますが、すぐに危険が迫っているわけではありません。念のため、最悪の事態を想定しての避難ですので、ゆっくりと避難をしてください。
なお、この区域の皆様には、今回の事故の安全確認が完了するまで、○か月以上の長期間の避難をお願いせざるをえません。まことに申し訳ありませんが、ご不便に耐え、安全確保にご協力いただきたいと思います。
政府としても、最大限の支援を行ってまいります。避難の長期化が避けられない地域に関しましては、政府が責任を持って、全面的に持続的な支援を行い、ご不便を最小限に抑えます。
また、放射線量の推移を見ながら、定期的に、車両などを出して、各家庭からの必要な生活用品の移動なども支援いたします。
なお、大熊町、双葉町の住民の皆さまには、最悪の場合、数年の単位で将来的にも居住が難しくなることが予想されます。完全移住も含めて、政府と自治体で対応を協議してまいります。地元住民の皆様の、政府、東京電力への信頼を裏切るような結果となってしまったことを、重ねてお詫び申し上げます。
さらに屋内待避区域を、現在の30キロ圏内から○○キロ圏内に拡大いたします。繰り返しになりますが、立ち入り禁止を指示した○○圏内は、放射性物質の拡散による直接の影響が起こりえる、最大限の距離をとっています。ですから、屋内待機区域は、けっして、24時間外出禁止という区域ではありません。あくまでも念のための措置です。
外出時の注意は別途申し上げますので、極力外出を避けていただければ、健康被害は防げます。
この地域の皆様にも、食料など生活必需品の配給を責任を持って行いますので、ご協力ください。
また圏外避難をご希望される皆様にも、西日本の自治体にも協力を仰ぎ、受け入れ体制を整えます。
今日、明日、健康被害が出るわけではありません。どうか慌てずに行動してください。
それ以外の周辺地域の皆様に、健康被害の可能性について申し上げます。
お手元の資料をご覧ください。
妊娠中の方、乳幼児、○○歳以下の子ども、40歳未満の成人、40歳以上の成人について、距離別の想定される健康被害の可能性をお示ししました。
またこの数値は、風向きによって大きく変化しますが、強風の風下に立った場合の、最悪の状況を想定しての数字となっております。
たとえば、50キロから100キロの地域では、○○歳以下の子どもの、十年以内の甲状腺癌(がん)発症の可能性が、○○%から○○%となっています。屋内待避を続けていただければ、この数値は、大幅に下がります。 他の地域でも同様に、屋内待避を続けていただければ、長期にわたる健康被害の可能性が、大幅に低下します。
ただ、比較的安全な○○キロ圏外の皆様でも、妊娠中の方、乳幼児をお持ちの方が、それでも不安を感じられるということは否定できません。こうした方々の不安に応えるためにも、ぜひ全国民にご了解いただきたいのですが、西日本に向かう列車などに、妊娠中の方、乳幼児を連れた方を優先して乗車させていただきたい。
くりかえしますが、成人に、すぐに健康被害が出るわけではありません。100キロ圏内に、一週間以上とどまっていても、屋内待避を続けていれば、健康被害は起こりません。
どうか、理性と、強い自制心を持って、この最大の国難に、国民一丸となって対処していただきたいと存じます。
放射線の量は、風向きなどで刻一刻と変化します。ふさわしくない喩(たと)えかもしれませんが、花粉の飛散に似ています。政府は、各地の放射線量の情報を逐次、国民のみなさまに提供し、待避、外出の指針としていただくよう努めてまいります。
なお、念のため申し上げておきますが、この度の原発事故では、チェルノブイリ原発事故で起こったような放射性物質の大量拡散、いわゆる「死の灰」の飛翔(ひしょう)、大気に乗っての拡散の可能性はありません。放射線の拡散だけならば、政府の指示に従って充分な距離を置けば被害は防げますし、また時間をおけば、安全性の回復が望めます。この点をご信頼いただき、冷静な行動をとっていただくことをお願いいたします。
政府は、全力を挙げて、事故対策、避難支援、生活支援に取り組みます。しかしながら、ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様の生活をすべてお守りすることができません。どうか、国民一人ひとりが、冷静に行動し、いたわり合い、支え合う精神で、どうかこの難局を共に乗り切っていただきたいと願います。
重ねて、政府、東京電力の不手際をお詫びし、国民全般の最大限のご協力をお願いいたします。
この度(たび)の福島第一原子力発電所の大規模事故にあたり、多くの国民のみなさまに大きな不安をお与えしていることを、改めてお詫(わ)び申し上げます。
特に、これまで四十年間、首都圏の電力を支えてきてくださった大熊町、双葉町の皆様(みなさま)、近隣市町村、福島県民の皆様、隣接する茨城県、宮城県の皆様には、本当に多大なご迷惑をおかけし、お詫びの言葉もございません。申し訳ありませんでした。
この度の事故は、政府、経済産業省はじめ関係諸機関、東京電力のいずれにも、多大な責任があり、今後、事態が収拾したのち、きちんとした反省、検証のみならず、責任の追及を行っていく所存です。
しかしながら、いまは、政府、東京電力、自衛隊、消防庁など関係諸機関、そして全国民の総力を挙げて、被害を最小限に食い止めなければなりません。どうか、その点をご理解いただければと存じます。
福島第一原子力発電所は、廃炉を前提として、とにかく、被害を最小限に抑えるように、今後も全力を挙げて対策を講じてまいります。
しかしながら、いまの時点において、国民のみなさまの健康に影響を及ぼす被害の可能性が出てまいりましたので、その点をご報告させていただきます。
まず、お願いしたいのは、現在の放射線量から考えて、いま、すぐに健康被害が起こるわけではありませんので、どうか落ち着いて、各自、冷静に対処、行動をしていただきたいということです。
繰り返します。今すぐに健康被害が起こるような事態は起こっておりません。これからの説明をよく聞いていただき、国民各位が、冷静な行動をとっていただきますようにお願いいたします。
まさに、いま、日本国民の叡智(えいち)、理性、自制心が問われています。
なにとぞ、よろしく、ご協力ください。
まず、立ち入り禁止区域を、現在の20キロ圏内から、○○キロ圏内に拡大いたします。これは、念のため、最悪の事態を想定しての避難です。
○○圏内というのは、放射性物質の拡散による直接の健康被害が起こりえる、最大限の距離をとっています。この圏内の皆様には、たいへんなご心配とご不便をおかけいたしますが、どうかご協力いただきたい。
すでに関係する自治体には連絡を取っており、現在、避難経路などを策定、指示をしていただいております。各自治体の指示に従って、ゆっくりと、焦らずに避難を行ってください。繰り返しますが、すぐに危険が迫っているわけではありません。念のため、最悪の事態を想定しての避難ですので、ゆっくりと避難をしてください。
なお、この区域の皆様には、今回の事故の安全確認が完了するまで、○か月以上の長期間の避難をお願いせざるをえません。まことに申し訳ありませんが、ご不便に耐え、安全確保にご協力いただきたいと思います。
政府としても、最大限の支援を行ってまいります。避難の長期化が避けられない地域に関しましては、政府が責任を持って、全面的に持続的な支援を行い、ご不便を最小限に抑えます。
また、放射線量の推移を見ながら、定期的に、車両などを出して、各家庭からの必要な生活用品の移動なども支援いたします。
なお、大熊町、双葉町の住民の皆さまには、最悪の場合、数年の単位で将来的にも居住が難しくなることが予想されます。完全移住も含めて、政府と自治体で対応を協議してまいります。地元住民の皆様の、政府、東京電力への信頼を裏切るような結果となってしまったことを、重ねてお詫び申し上げます。
さらに屋内待避区域を、現在の30キロ圏内から○○キロ圏内に拡大いたします。繰り返しになりますが、立ち入り禁止を指示した○○圏内は、放射性物質の拡散による直接の影響が起こりえる、最大限の距離をとっています。ですから、屋内待機区域は、けっして、24時間外出禁止という区域ではありません。あくまでも念のための措置です。
外出時の注意は別途申し上げますので、極力外出を避けていただければ、健康被害は防げます。
この地域の皆様にも、食料など生活必需品の配給を責任を持って行いますので、ご協力ください。
また圏外避難をご希望される皆様にも、西日本の自治体にも協力を仰ぎ、受け入れ体制を整えます。
今日、明日、健康被害が出るわけではありません。どうか慌てずに行動してください。
それ以外の周辺地域の皆様に、健康被害の可能性について申し上げます。
お手元の資料をご覧ください。
妊娠中の方、乳幼児、○○歳以下の子ども、40歳未満の成人、40歳以上の成人について、距離別の想定される健康被害の可能性をお示ししました。
またこの数値は、風向きによって大きく変化しますが、強風の風下に立った場合の、最悪の状況を想定しての数字となっております。
たとえば、50キロから100キロの地域では、○○歳以下の子どもの、十年以内の甲状腺癌(がん)発症の可能性が、○○%から○○%となっています。屋内待避を続けていただければ、この数値は、大幅に下がります。 他の地域でも同様に、屋内待避を続けていただければ、長期にわたる健康被害の可能性が、大幅に低下します。
ただ、比較的安全な○○キロ圏外の皆様でも、妊娠中の方、乳幼児をお持ちの方が、それでも不安を感じられるということは否定できません。こうした方々の不安に応えるためにも、ぜひ全国民にご了解いただきたいのですが、西日本に向かう列車などに、妊娠中の方、乳幼児を連れた方を優先して乗車させていただきたい。
くりかえしますが、成人に、すぐに健康被害が出るわけではありません。100キロ圏内に、一週間以上とどまっていても、屋内待避を続けていれば、健康被害は起こりません。
どうか、理性と、強い自制心を持って、この最大の国難に、国民一丸となって対処していただきたいと存じます。
放射線の量は、風向きなどで刻一刻と変化します。ふさわしくない喩(たと)えかもしれませんが、花粉の飛散に似ています。政府は、各地の放射線量の情報を逐次、国民のみなさまに提供し、待避、外出の指針としていただくよう努めてまいります。
なお、念のため申し上げておきますが、この度の原発事故では、チェルノブイリ原発事故で起こったような放射性物質の大量拡散、いわゆる「死の灰」の飛翔(ひしょう)、大気に乗っての拡散の可能性はありません。放射線の拡散だけならば、政府の指示に従って充分な距離を置けば被害は防げますし、また時間をおけば、安全性の回復が望めます。この点をご信頼いただき、冷静な行動をとっていただくことをお願いいたします。
政府は、全力を挙げて、事故対策、避難支援、生活支援に取り組みます。しかしながら、ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様の生活をすべてお守りすることができません。どうか、国民一人ひとりが、冷静に行動し、いたわり合い、支え合う精神で、どうかこの難局を共に乗り切っていただきたいと願います。
重ねて、政府、東京電力の不手際をお詫びし、国民全般の最大限のご協力をお願いいたします。
放射能が飛散していないのならば逃げる必要などないわけだから、この文章の論理構成は破綻している。しかしながら、このような文章を本当に公開せねばならぬほど切羽詰まった状況に合ったことは、寺田氏のブログを見ても明らかである。原発再稼働など、狂気の沙汰以外の何物でもない。
船橋洋一『カウントダウン・メルトダウン』を読む〜福島第1原発事故における日米関係〜
なお、東電が「撤退ではなく、一時退避にすぎなかった」と主張していることは、付け加えておく。
■関連ブログ
東電が公開した事故当時の動画2012年08月06日
1205.東電テレビ会議解説(34時間BD-R)発売2014年11月04日
1270.東電テレビ会議34時間解説 (USB For Win/Mac)発売2015年04月20日
最悪のシナリオとは何か2011年12月29日
昨日行なわれた新潟県知事選ですが、終わってみれば、野党の推薦を受けた米山隆一氏が、次点の森民夫氏に実に6万票もの差をつけて、当選を果たしました。
正直、米山氏に投票した自分も驚いております。
さて、今回の知事選は、「米山氏が勝った」というより、「森氏が負けた」というべき選挙だったと思います。今思えば、実は森氏は、泉田裕彦氏の対立候補、つまり刺客として与党の推薦を受けた上で出馬を表明した時点で、元々泉田知事贔屓だったかなりの県民を敵に廻した形になっていたと。そりゃ、県内で政治家やっていれば、裏で色々政府からの県に対する強烈な圧力を感じていて「このまま泉田氏に知事をやらせていると、県は国から施しを受けられなくなる」との焦りがあったのでしょうけど、県民にとっては、そんな裏事情はうすうす感じてはいる物の、ハッキリ言ってもらわない限りは投票理由にはできませんしね。それどころか、そんな圧力を加えてくる国に対して一矢報わねば気が済まない、という県民感情を生む結果になってしまったのではないかと。実際うちの家族なんて「どうせ森氏が勝つだろうけど、それでも一矢(以下略)」てな感じで投票しましたし。
でも今後は、色々ややこしい事態になるような気もしております。調べてみてもらえば分かりますけど、森氏は県内の、政界、財界、労働界、あらゆる団体の支持を受けていたはずなのにそれでも負けたのですから。特に森氏の強力な同志であったはずの村上、新発田、新潟、三条、糸魚川などの「ガレキブラザース」とも言うべき各市長はどうなるか。何しろ自分が治めている自治体の住民も、自分達が支持・推薦した候補に対しNOを突きつけたわけですから。