2016年12月13日

1413.「医療現場」からの改革を主張する坪倉医師の上司−上昌弘氏は医療現場を全く知らない

2016121302.jpg・「薬価差益」などほとんど存在しないこの時代に、「薬価差益」で医師、病院が儲かっているという嘘八百をあの上昌弘氏が主張していた。
・その主張をみると、不当に安い心臓マッサージ料金を根拠に、風邪の診療代が高すぎると主張するなど、財務省が泣いて喜びそうな文言が続いている。
・東大の特任教授から、今年独立。自分で研究資金、事務所資金などを稼がなければならない立場になっている。あの坪倉氏も、数百万の自費をつぎ込んでいるそうだ。商売上手なのは間違いない。 医療費の高騰で苦しんでいるのは、医療を受ける側だけではない。医療を提供する側もまた理不尽とも言えるような改定を小泉改革以降、何度も行われてようやく経営を成り立たせている状況である。昔は確かに儲かった時期もあったのだが、いまではどこも生き残りに必死である。そんななか、唖然とするような記事が掲載された。読んでいてムカムカするとともに、この人物が放射能安全の坪倉医師を相馬に送り込んだ人物であることに興味を覚えて、少し調べてみた。

 まず、本人の主張を先に知っておいた方が良いと思われるので、短い動画を紹介。

主張しているのは、「現場からの医療改革」である。本当であれば、まことに結構なこと。

その人物が登場している記事を読んで驚いた。そこに書かれているのは、それこそ30年以上も前の医療現場に則った医療批判なのである。以下、少し紹介しよう

医者と病院と製薬会社だけがボロ儲け!「薬価の闇」をえぐり出す
こんな異常な国は日本だけ

普段何気なく飲んでいる薬の値段は、誰がどのようにして決めているかご存知だろうか。実は患者のことなんか考えていない。そこにあるのは自分たちの利益だけーー日本の「薬価の闇」をえぐり出す。
上昌広 (かみ・まさひろ)
93年東京大学医学部卒業。国立がん研究センターなどを経て、現在は医療ガバナンス研究所・理事長を務める
川口恭 (かわぐち・やすし)
93年京都大学卒業後、朝日新聞社入社。'04年に独立し、医療専門誌『ロハス・メディカル』を創刊

 確かに製薬会社は設けているのかもしれないが、医療機関に十分な薬価差益のあったのはもう遠い昔のこと。今は、数パーセントの薬価差益があればいい方で、ほとんど100%(特に先発品)の納入価であることはもはやこの業界にいる人間にとっては、常識中の常識である。まず、このセンセーショナルで、古びたタイトルに度肝を抜かれた。

上昌弘氏の主張
中医協が決めているのは薬価だけではない。診療報酬も彼らが決めている。たとえば、心臓マッサージを30分間施した場合の診療報酬は2500円ですが、風邪の診療報酬は4000円に設定されている。生死がかかる治療のほうが安くて、3分で終わらせる診察のほうが高いなんて、おかしいと思いませんか。

 風邪の診療報酬画、まず安いか高いか。単なる風邪だとしても、市販薬でも1500円程度はかかる。それに医師が診察して、必要ならば検査を追加していく。本当に重症であれば、抗生剤の内服、点滴を実施し、風邪という主訴であるにもかかわらず白血病などの場合もある。一口に風邪といっても、簡単な疾患から、難しい疾患まで網羅されているのだから、実際のところはかなり恐ろしいのである。さらにインフルエンザの検査も行うのだから(これは4000円ではできない)、相応の価格と言って良い。この4000円には、薬剤代も含まれている(院内調剤の場合)それを高すぎると主張するのならば、ご本人の価値はどれほどと考えているのか、教えていただきたいものである。少なくともベンツなどの自動車よりは、遙かに高いもので、そもそも価格などつけようもないもの。
 さらに腹立たしいのは、極端に安く算定されている心臓マッサージを基準としていること。このマッサージは本気でやれば、1人で5分も持たない。生きるか死ぬかの大事な手技に30分2500円などというふざけた価格がついていること自体が、おかしいのである。本来であれば、その10倍であっても不思議ではない。そういった情報操作をさらっとやって抜けるのは、さすが東大卒の医師である。

上 医者も高い薬を出せば薬価差益(薬の仕入れ値に病院の利益を上乗せすること。オプジーボは7~8%)が増えるので、当然値段が高い薬を出したがる。そうなるとますます、医療費がかさみ、国民皆保険制度自体が崩壊する危険性があります。
 この発言で、医療現場の人間は、ははーん、コイツは何もわかっていないなとわかる。なぜなら、薬価は消費税抜きの価格であり、医療費には消費税がかからないのだから、支払いは消費税込みの価格になる。つまり、1÷1.08=92.6% で納入されて初めて、とんとん。それをおそらく、上氏は7-8%の薬価差益があると発言しているのである。このような高い先発薬品にそれほどの薬価差益がつくはずがない。せいぜい1-3%程度と行ったところではないか(このような高い薬は、一般開業医ではとても手を出さない)。もし、仮に8%すべてが薬価差益になったとしても−この場合は、85%程度の納入価だろうか(先発品では、通常あり得ない価格)−商売をしている人ならわかるだろうが、在庫のリスク、保管の手間、破損の危険性などを考えれば、8%ではとてもやりたくない。92%で仕入れて、100%で売って、ペイする商売があれば、教えていただきたいものである。人件費などを考えれば、完璧に赤字。

 つまり、この人物は、医療現場の本当の苦労など何も知らず、ただただ、30年以上も前に流布されていた通説を、現代に無理矢理当てはめているに過ぎないのである。この記事など、医師会がまともに抗議するに匹敵するデマレベル。そして、このようなインタビューを平気でしている川口恭氏にもまた、大きな疑問がわくのである。
2016121301.jpg

 あの坪倉医師を派遣したのは、上昌弘氏である。今までまともには調べていなかったので、少しだけネットで検索してみた。
原発事故後の疑問アラカルト(35)東大・上昌弘氏がしたこと
 東大の南相馬市への派遣は、東大医科学研究所の上昌弘氏が原発事故直後、民主党仙石副官房長官に依頼されたからで、渋谷氏が、言っていた自主的ボランティアだったとはいえないということを、30回に書いた。(他の記事が多く、ごっちゃになるのでソース元は掲載していなかった。)
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そもそも浜通り地域で「実働部隊」としてこの活動を行っている坪倉正治医師は、先輩の上昌広東大医科研特任教授に南相馬行きを命じられた、医師になって未だ十年にも満たない「大学院生」であり、放射線医学の専門家でもなければ、ましてや被曝医療の専門家でもない。
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今回、こんな名も無い「単なる大学院生」が新聞を始めとした数多くのメディアに登場し、ややもすると「内部被曝の専門家」のように扱われてきたのは、この上教授の得意技である「メディア戦略」に他ならない。坪倉医師は言わば、上教授によってメディアを通じ「作られた専門家」、単なる彼の「パペット」に過ぎないと言える。
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話は前後するが、2011年4月、ある勉強会の後に上教授と飲んだ際、彼が私に酔っ払って言っていた言葉には驚いた。

「福島市も郡山市も、とてもじゃないが避難させられん。将来奴ら(福島県民のこと)は、集団訴訟とかするんやろなあ」


東大を辞職して
新年度が始まった。職場が変わった方も多いだろう。私もそうだ。3月末、東京大学医科学研究所を辞職し、研究室のスタッフとともに、新たに設立した特定非営利法人医療ガバナンス研究所に移った。

私は47才。残りの医師人生を人材育成に費やしたい。そのためには独立したほうがいいと考えた。

若き医師は、様々な経験を積み重ねることで成長する。私たちがすべきことは、彼らに良い環境を提供することだ。求められる役割は、従来型の医局ではなく、吉本興業に近いと思う。

ただ、このことを大学でやるには限界がある。それはスピードと資金が不足しているからだ。
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東日本大震災以降、福島で活動する坪倉正治医師は、昨年、東大医科研の大学院を修了し、現在、4カ所の医療機関、および2カ所の研究機関と契約している。そして、彼が稼いだ収入から年間数百万円を研究に投資している。大学生や統計家などに業務を発注し、彼らを「支援」している。
 最後に紹介した文章を見て驚いた。なんと、坪倉医師は,自ら稼いだ収入の中から数百万円を教室の研究のために投げ出しているのである。これは、いささか坪倉医師に同情する。彼の収入はいくら多く見積もっても1500万円程度のはず。そのうちの2割近くを研究費として拠出させるなんて、いくらなんでもひど過ぎるのではないのだろうか。

 医療現場のことなど、本気では何も学んでいない医師が、なぜこれほどまでにも重用され、大学から独立した方が有益なほど強力なスポンサーがつくのか、現代の七不思議といっては言い過ぎか。

♪祝♪ 東大医科研 上昌広氏の寄付講座が消滅 → 新NPOの高額家賃は誰が負担?

■関連ブログ
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posted by いんちょう at 22:28| Comment(7) | 原子力
この記事へのコメント
先日、血尿で調べてもらったら膀胱がんだったと神奈川の身内からメールが来ました。やるせない。

Posted by uttegaeshi at 2016年12月15日 04:09
,

 「薬価差益」で医師、病院が儲かる 嘘八百を

  上昌 弘 教授が 主張


⇒【医師会から 苦情が 来ないのかな?】


  近所の 整形外科が 高齢で 閉鎖した。

  大家の不動産会社が 後継を 募集するも…

  1年経過しても 見つかりません。


  医療制度改革(改悪?)で…

  大口病院の如き 事例も 多発するのかな?

、 
Posted by 不眠症 at 2016年12月15日 04:47
 医療制度の細かな仕組みは判りません。恩恵を被った当方の事例を紹介します。

 C型肝炎という病気については患者ではなくても大抵はご存知かと思います。当方正に其の病気を人生の長きに亘って抱え込んでいました。

 一昨年辺りに画期的な新薬が現れました。
その「C型T向けハーボニー」を12週間飲用した結果ですが約3ヶ月経過後の今月の血液検査でも腫瘍マーカーAFP定量・PIVKA-2(EIA)はいずれも許容値内、ウィルスの存在を示すHCV-RNA定量は「検出せず」の検査結果が出ました。

 効果は間違いありませんでした。長年飲んでいたウルソともう一種類の薬は終了。「強力ミノファーゲンC」の注射も完了。誠に爽やかな気分と言いたいですがなんせ「沈黙の臓器」ですから一向に具体的な反応はなし。弟二人は肝硬変で既に失いましたが、なんとか私は生き延びることになりました。

 薬価は一錠6万円弱、これを12週間(84日間)毎日一錠飲むことになります。トータル金額は計算して頂ければお判りの通りです。普通の人なら飲みたくても飲めませんが国の薬価補助がありまして状況に応じて患者の負担額は月に1万か2万円が限度。

 医師の診断書を添えて市役所担当部署に提出すれば審査会の審査を経て飲用可能になります。C型肝炎という名前が存在した以前には「NON-A,NON-B」という名前で扱っていた医師も居ましたが処置法としては毎日の点滴しかありませんでした。

 その後更に時間を経て「インターフェロン改良型」が生まれましたが、これとても完璧は期せませんでした。当方それらの歴史の中を生きてきましたが、ようやくゴールに辿り着きました。薬価の正当性については当方論じる資格はありませんので結果報告とさせてもらいます。



Posted by ハマの住人 at 2016年12月15日 11:05
>「福島市も郡山市も、とてもじゃないが避難させられん。将来奴ら(福島県民のこと)は、集団訴訟とかするんやろなあ」
 薬価のにしろ全ては確信犯だということだわな。
Posted by 武尊 at 2016年12月17日 03:02
上級国民同士で仲良くしなよ
庶民の金をピンハネする仲間同士じゃないか…
Posted by .チングリ at 2016年12月17日 05:06
あいかわらず脅迫商法「国民皆保険制度自体が崩壊する危険性」をやってますね。
日本人は不安に弱いから。自覚してもっと図太くなったほうがいいよ。

個人的には院外処方になると院内処方のときよりも高くなった。処方箋代を取るのもあるし、院外処方は医者、薬局ともに儲かる?

院長先生の話が本当ならば、仕入れが約9割での商売はあり得ない。

ただ、コンビニで百円の商品を売るように、千円の薬をどんどん売ることができれば利益は出る。病院では患者をさばけないから無理だね。

調剤薬局では可能。でも薬価は高いから、在庫リスクが高い。だから調剤薬局も在庫リスクを減らすためにレアな薬は近隣の薬局と共同在庫にしてやり取りしたりしている。

自分からしたら医者は所詮、労働階級だから、庶民の味方だと思うけど。エリート面したのも多いけど。あ、だから上級「国民」という皮肉が出てくるのかw

Posted by リアリスト at 2016年12月18日 13:45
私は7年前ペグインターフェロン・リバビリン療法でウイルスは駆除
先日もMRI検査を受け発がんは確認されませんでした
しかし体中にしびれが残りいろいろ後遺症があります
今年度に入ってハーボニー460万円程度の薬価となりましたが、製薬会社ギリアドは日本市場だけでも数千億円の売上げになるでしょう
マスコミは研究開発に資金がかかると製薬会社の言い分そのままの宣伝してますが本当は大儲けだと思います
薬価のきめ細かい適切な見直しと医療従事者に対する正当な報酬は考慮と思います




Posted by 反原発人 at 2016年12月18日 21:35
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