2017年10月09日

1439.希望の党の「原発ゼロ」は「やる気ゼロ」

2017100902.jpg 「原発ゼロ」で小泉首相と会談を行った希望の党の小池百合子氏。当初の報道は、次の通りでした。


小池氏 新党代表に 「原発ゼロ」「改憲」掲げる 2017年9月26日 東京新聞朝刊
 小池百合子東京都知事は会見で、自身に近い若狭勝衆院議員らが新党結成を目指して協議してきたことに触れ「これをリセットして、私が立ち上げる。直接絡んでいきたい」と明言。党名は小池氏の政治塾「希望の塾」からの引用だと説明し、新党の顔として衆院選に全面関与していく姿勢を鮮明にした。次の衆院選に出馬しない考えも示した。

 小池氏は新党の理念も発表し(1)希望の政治(2)希望を守る環境・エネルギー(3)憲法改正−など提示。具体策に「原発ゼロ」を明記し「ゼロを目指す工程を作成しなければならない」と強調した。会見後、原発ゼロを訴える小泉純一郎元首相と会い、激励されたことも記者団に明らかにした。
 原発ゼロで有名で、かつ自分の師匠とも言って良い小泉と会った上で、「原発ゼロ」を高らかに宣言したのですから、私自身もこれで選挙の構図が変わってきたと大変うれしく思いました。

 ところが、ここから二転三転します。

 まず、希望の党が出したとされる候補者が署名を求められたと噂される踏み絵。(いくつかバージョンがあるようですが)
2017100903.JPG

原発ゼロなどどこにも書いてありません。憲法、安全保障、カネのことだけです。つまり、原発ゼロに賛成でも反対でも大した問題ではない訳です。(希望の党の公約を遵守すること に含まれていると主張するのかもしれませんが)

 先日、希望の党の公約が発表され、そこには「原発ゼロ」がきちんと書かれていました。
2017100901.JPG
2013年9月16日から、約1年11か月は稼働原発ゼロでした。
今現在稼働している原子力発電所は、全国で(57基中)5基。
原発が、日本の将来を担うエネルギーだと私たちは考えません。
日本に残すべき原子力技術の保持方法を確保した上で、
2030年までに原発はゼロへ。
再生可能エネルギーの比率を30%まで向上させ、省エネを徹底したエコ社会を実現します。
エネルギーの問題は、経済の問題であるとともに、一人一人の生活に直結する問題でもあります。
どういう生活を、社会を、未来を選択するのか、今考える必要があります。
小池氏の言うところの「現実的な安全保障体制」には、核武装も当然含まれると考えられます。

 原発と原爆は表裏一体で、どちらか片方だけでは存立できません。原爆を維持するための費用は、原発を稼働しなければまかなえない(技術者の育成、技術の評価)し、また、原発もその莫大な維持費を考えると、核技術を原爆に転用する目的がなければ、何の意味もないものなのです。
2017100904.jpg 311が起きるまでの日本は、原発の新規建設を切らしたことはありませんでしたし、米国は原子力空母、原子力潜水艦で核技術の温存を図っており、中国とロシアは未だにあちこちに原発を建設しています。フランスは国内の新設はなくなったもののスウェーデンで建設を続け(未だに完成せず、アレバは逆につぶれそうになってます)、イギリスは日本の資本を使って原発新設を企てています。
 この調子ですと、イギリスとフランスは早晩、カネのかかる核兵器を維持できなくなるのは明らかでしょう。

 小池は核武装派ですから、この原発ゼロには、キーワードが入っています。それが、日本に残すべき原子力技術の保持方法を確保の下りです。これは、核武装のことを意図しているのは、読む人が読めば明らかです。つまり、小池は、本気で原発ゼロを目指す気持ちなどさらさら無いわけで、むしろ、もんじゅの後釜となるプルトニウムを生産するための高速増殖炉を、「核廃棄物の低減目的」などという耳障りの良い言葉で推進する可能性さえあります。発電しなければ、「原発」ではないわけですから。しかし、それでは核技術のコストをまかなうことなどとてもできませんから、やはり最低限と称して〜10基程度の原発を稼働し続けることになることでしょう。

 北朝鮮が核兵器を持つのは、体制維持のためです。今の日本には核兵器を持っていませんから、北朝鮮も本当の敵とは見なさず、自分の体制を揺さぶる可能性など皆無だと評価しているでしょう。怖いのは米国の核だけです。それを日本独自で、「核」を保有すれば、自分の体制維持ができなくなる可能性があるわけで、一色触発の緊張関係が生まれてしまいます。そもそも、「核」を保有するには、どれだけの規模で、どこに保有するか、そして発射命令をどうするのかまで決めておかねばならず、今の政治家には運用などできはしないことなど、明らかです。(なにせ、北朝鮮ミサイルの発射予告があるときだけ、官邸に泊まるような人物が総理大臣なんですから)

 核兵器を持つ選択肢を残したままの原発ゼロなど何の意味も無いことだけ、指摘しておきます。

■関連ブログ
核の真実を理解するための副読本−なぜ地震と津波でこれほど広大にして長期にわたる被害を出すような施設があそこにあったのか・・2012年01月02日
原子力その隠蔽された真実の著者 ステファニー・クックのインタビュー2013年07月01日
世界の原発は429基、約3億9000万キロワット−狂気の地球2013年08月31日

 
タグ:希望の党
posted by いんちょう at 20:47| Comment(6) | 原子力
この記事へのコメント
全ての政治家の浄化。
地球を愛する者へと変わっていく・・。
Posted by 地球 at 2017年10月11日 20:42
ハイハイ、お疲れ〜
Posted by オデキガデキタ at 2017年10月12日 19:00
院長先生お忙しい中、鋭意的なブログ更新に頭が下がります。


北朝鮮の一連の核の問題ですが直近では、対アメリカ合衆国と言えるかも知れませんが、その先(アメリカと戦えば勝ち目がありませんが)の…と言うか目論見は人類後史の実現であり国家の無い世界です。となれば…統治機構の必要性(現政府が好き嫌い関わらず政府の存在を肯定する側)を考える側から見たら、日本国家としても大きな脅威でしょう。

原発が無ければプルトニウムの産出は難しいでしょうが、ウラン235の抽出は円心分離方式?で原爆生産が可能ですよね?日本にはウラン鉱脈が無いに等しいですから原発目的(核の平和利用)でしか輸入出来ませんが、何か技術的に原発が無いと原爆は作れないのでしょうか?詳しく易しく教えて頂けたら嬉しく思います。

北朝鮮の原爆でアメリカ合衆国が躊躇(北朝鮮の敗戦処理も大きいので鑑みもあるでしょうが)するだけの抑止力は私は痛感しております。
これだけ防衛費だ基地問題だのと騒がれて久しいですが、乱暴なもの言いすればポンと核兵器をちらつかせて北朝鮮の平和が現時点で守られている事実は進歩主義的な観点から見たとしても小池氏言う原爆保有論者が一枚も上手に見えて他なりません。

Posted by 求む、真のリベラル政治家。 at 2017年10月15日 08:59
> 求む、真のリベラル政治家さん

 通りすがりの者ですが、日本に落とされた2つの原爆のうち、広島原爆はウラン型、長崎原爆はプルトニウム型とされ、広島のウラン型は元々はナチスドイツで開発されたドイツ製であり、それをアメリカの飛行機で経由して運んできて日本に投下したという話があります。ウラン型の原爆は、扱いや開発がたいへん危険であり、マンハッタン計画などに従事していた米国の原爆開発者や科学者らも敬遠していたという話も聞きますので、詳細はご検索ください。
 日本では原発がないと原爆等がつくれないか?という件につきまして、寡聞の私が知るところでは、まず日本の原発で使われているウラン燃料はウラン235を約3%まで濃縮して錠剤の形にした酸化ウランの製造まではアメリカの技術とされております。それをジルコニウムに詰める工程は日本で行っているようです。日本国内のプルサーマル式原子炉での、プルトニウムが使われるMOX燃料は、フランス(コジェマ・コモックス社ら)やイギリスNDA(旧BNFL)などの海外の会社から日本は購入し輸入しているようです。

 それに、小池百合子氏が言及していたとされてる日本核武装は、米国の核ミサイルを購入予定みたいな感じのようです。その根拠ソースの一例として、たとえば彼女自身が自身の公式HPに掲載し、その後に削除したとされる題名「日本有事3つのシナリオ」の記事内では、確かに「東京に 米国の核ミサイルを」という項目と文言があったようです。

(小池百合子氏の公式HP記事の題名「日本有事3つのシナリオ」の記事内『東京に米国の核ミサイルを』。記事ごと削除済)
https://www.yuriko.or.jp/bn/column-bn/column2003/column030320.shtml
(該当部分の証拠画像の部分キャプの一例)
https://twitter.com/product1954/status/754983602169847809

 さらに、希望の党の原発ゼロ発言についても、疑義がすでにいくつかのネットメディアで検証し暴かれているようです。詳細はご検索ください。

> 小池百合子が原発再稼働を容認すると発言! 希望の党の「原発ゼロ」公約はやっぱり嘘だった?
http://lite-ra.com/2017/10/post-3491.html

 なお現在は公示日後ですので事実と引用までに留めております。この書込みは特定の政党や政治家への投票を促す意図や示唆などを目的としたものではありませんので、ご参考程度に留めていただき、各自のご判断で何卒お願い申し上げます。
Posted by 匿名 at 2017年10月18日 06:37
(前記の続きです)

 ちなみに北朝鮮は予算がないもようで、裏ではアメリカの支援を密かに受けているという話まであります。ソース一例として、池田整治さん著作本「この国を操り奪う者たち」(131ページ付近)に、日本国内の米軍横田基地などから米軍輸送機が北朝鮮(平壌など)に飛んで、物資を支援しているもようが書かれています、日本外務省の「問い合わせ」も無意味だそうです。それに北朝鮮からミサイルが飛んでくる恐れがある場合、日本国内で原発稼動中だと危険が増します。例えば囮ミサイルから先に飛んできてレーダー探索網に迎撃によるノイズが乗ったところを縫って本番の搭載弾がくると、精度・連射・迎撃能力も疑問となりますし、高高度の宇宙空間で速度がおちたからといってEMP弾と思い間違えて落としたミサイルは実は人工衛星だったとして高額賠償請求されるかもしれませんし、同時に潜水艦からも次々に発射されたらPACの迎撃能力性すらも疑問に近いでしょう。

 むしろ、核兵器をもたず且つ平和憲法をもつ国を核兵器で攻撃したとなれば、未来永劫その国は世界中から忌み嫌われることになりますので、日本の場合は、核武装も改憲もしないに越したことはないと個人的に思います。さらに幾つか例をあげると

http://buzzap.jp/news/20170830-predict-missile
> 日本政府、北朝鮮のミサイルを事前察知?(2017年8月30日)

https://twitter.com/okera1127/status/902296726815424512
> 北朝鮮のミサイル発射12時間前にストップ高まで買い上げた投資家?

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-18403.html
> 北朝鮮レーダー未稼働?アメリカ軍の飛行時に稼働無し、電力不足が原因?緊急発進もゼロ(2017年9月27日。Jアラート騒動は2017年8月29日)

http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008221
> 「メディアは日本を戦争に導いた」

https://twitter.com/kamiura_jp/status/299011963575472129
> 「中国軍と自衛隊の軍事衝突が起きる」と話して欲しいとテレビ局から電話。どうしてテレビは戦争をさせたいのか

https://twitter.com/asaikuniomi/status/298976919356076032
https://twitter.com/asaikuniomi/status/298972534836183041
> 記者諸君、落ち着きたまえ。それとも本当に中国と一戦を構えたいのか?

http://kinbricksnow.com/archives/51840041.html
> 【尖閣】「今回は本当に戦争になる」日中マッチポンプ的メディア構造

 ですので、最近のJ-アラートなど傍から見て茶番じみた劇場的な演出は、個人的には、米国の軍産企業やその代理店窓口となる予定の日本の軍需財閥らが儲かるだけの、惨事便乗型資本主義(ショック・ドクトリン)ではないかとも思っております。日本の諺にも「漁夫の利」という言葉もあります。米国も予算がなくて毎年毎年デフォルト(債務超過)を繰り返しており公共施設の閉鎖どころか、自国の軍人や公務員の給料さえ支払う能力がなくなってきており米国兵士の削減分を、日本自衛隊を使って補充する計画の旨の記事もあります。

http://www.jhoudou.com/#!news-19/c19jh
> 米国財政のため兵士減少分は日本自衛隊を派遣し補てん

 朝鮮戦争中には、後に北と南に朝鮮半島を分けさせておいて極東での冷戦構造と緊張状態を維持するためともいわれてたりする1950年以降の「補導連盟事件」の大量市民虐殺などもありますが、それと同じようなことが再び、改憲や憲兵(軍警)や特高警察や軍事裁判や拷問制度の復活を通して、今後の日本でも起きるかもしれません。。長文大変失礼しました。
Posted by 匿名 at 2017年10月18日 07:57
日本経済の足を引っ張る経団連が原発を推進し、父権的妄想に憑りつかれた政治家が核武装を薦めるのも、一種の対ですな。

具体的な技術なら不要になった日本としては何万ページでも開示すれば済むだけの話。
どこかの博物館で見世物として動画でも流しておけばいいだけ。

正直、核武装にまい進する北にしたところで、迷惑で自業自得な存在でしかないのは他の核保有国と同じな訳で、
今更そんな核保有国共の猿真似をする理由など、日本にはこれっぽっちもないですからね。
Posted by 岩見浩造 at 2017年12月03日 20:52
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