2017年10月18日

1351.日医「環境による健康リスク」内の放射能汚染記述

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 今月発行された日医「生涯教育シリーズ」に放射能汚染の記述が見られました。かなり珍しいことと思われますので、こちらで紹介させていただきます。
まず、項目が「放射能汚染」であることに、衝撃を覚えました。フクシマの救世主としてもてはやされている某医師は、(誰かの指導なのでしょうが)「放射線」としか発言しません。放射能汚染と正面切って書いていること、そして内部被曝について書かれていることに注目する必要があります。

 さて、目次。

大規模災害に伴う健康リスク
放射能汚染による健康リスク@―福島原発:ヒトの被曝の現状と健康調査計画… 細矢光亮
放射能汚染による健康リスクA―福島原発:環境汚染の広がり…………………… 吉田 聡
放射能汚染による健康リスクB―福島原発:甲状腺がんをめぐる論争…………… 田代 聡
放射能汚染による健康リスクC―チェルノブイリ原発事故􀀃………………………… 今中哲二

 今中先生以外は、存じ上げません。肩書きを紹介します。

細矢 光亮 ほそや みつあき
福島県立医科大学医学部小児科学講座 主任教授

田代  聡 たしろ さとし
広島大学原爆放射線医科学研究所 副所長

吉田  聡 よしだ さとし
量子科学技術研究開発機構 経営企画部長

今中 哲二 いまなか てつじ
京都大学原子炉実験所 研究員

放射能汚染による健康リスクA ─福島原発:環境汚染の広がり
吉田 聡

では、フクシマによる放射能汚染の程度が、定量的に書かれています。
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 希ガスであるキセノンは、フクシマの方がチェルノブイリよりも多いのは周知の事実ではあるのですが、きちんと書かれた票を見るのは初めてです。(私自身の著作の中でも触れていますが、なかなか書かれていません)。そして、ヨウ素も一桁〜5割違うのみ。あれほどの健康被害が起きたチェルノブイリと対して差が無いのですから、あれほどの健康被害が出るのも当然です。セシウム134/137も1/10〜1と殆どさがありません。

 また、
環境の汚染とモニタリングデータの意味
陸上環境の汚染状況を把握するために用いられるモニタリングデータの1 つは,地表の単位面積当たりに存在する放射性物質の量[例:ベクレル/ 平方メートル(Bq/m2)]であり,現地で採取した土壌中の放射性物質の量を実測することなどによって得られる.大気から地表面への放射性物質の沈着量とその後の変化を評価す
るために重要であり,様々な種類の放射性物質に対するマップが作成されている.半減期が短いため,十分な観測データが得られなかったヨウ素131 に対しては,ごくわずかだが同時に放出されたヨウ素129(半減期:1570 万年)の定量結果を用いて推定することが行われている.
 とこれまた、国際標準のBq/m2に触れています。これも驚きです。日本の測定データで、この単位で発表されているのはほとんどありませんから。やっぱり、わかっているんじゃん(当然ですが)。

最後の今中先生は、チェルノブイリのことだけを紹介しています。驚いたのは次の先天奇形児のグラフ
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 チェルノブイリが1986年ですから、直後に近隣地域で増え、その後全域にわたって三倍程度にずっと増加することが見て取れます。「被曝では奇形児は増えない」とする主張が明らかにウソであることが、このデータからも見て取れます。

 この本には、もちろん他の環境汚染−地球温暖化、火山の爆発、洪水、震災、アスベスト、農薬、化学物質、ヒ素などにも触れられています。が、放射能汚染についても、ある程度正面切って取り上げています。記述は、穏やかではありますが、注目すべき書籍です。(医師会に入会されている先生には無料で送られてきます)特に、フクシマが環境に放出した放射能量は、大多数の医師が知らないはずです。かかりつけの先生にお話しされてはいかがでしょうか。

■関連ブログ
除染レベルを上げたのはできなかったから、足の被曝は500mSvだった・・医師会の講習会より2012年07月20日
東電社員から、医師へ−あなたの知らないフクシマの事実 2012年11月13日

 
タグ:放射能
posted by いんちょう at 22:17| Comment(8) | 原子力
この記事へのコメント
東京東部の大学病院に通院している中年女性(甲状腺嚢胞、業務の関係で原発近隣の町村まで行っている)が、主治医から初めて「福島に仕事に行くのはやめなさい」と注意されたそうですよ。分かってるんですよ。言わなかっただけで。
Posted by Tokyo at 2017年10月19日 10:02
もうほんと限界なのかも、すべて。医師も利権とか諸々あると思いますが、少なくとも人の命を助けるのが仕事・使命なので、福島での惨状・内部被爆情報の拡散などにより、これ以上無視することできなくなった。もう政治的にどうこう言われても、医師としての最低限の倫理観が許さなくなった。または、内部被爆隠蔽がもうバレそうなので、責任逃れるのため予防線を張った。とにかく福島・東日本の健康被害は事故後10年に向かって急拡大して、もはや隠しようもなく、大変な責任問題になると思います。
Posted by ガロア at 2017年10月22日 11:52
 先天性奇形頻度のグラフは恐ろしいと思いました。今中氏がどのように言っておられるのかわかりませんが、対照地区でも事故後4年経つと増加してきて、汚染地区との差がなくなってきています。つまり、用量効果のあるのは3年間ぐらいで、そのあとは全体に先天性奇形が増加してくるので、時間が経ってから見ると、原因は放射能ではなく、全体に共通する何かだと説明されかねません。
 放射能を拡散している人は、奇形にしろ、癌にしろ、増加することは承知の上だと思うのですが、1%程度の頻度なら自分は大丈夫だと高を括っているのでしょうか?容赦なく、誰彼かまわず一定の確率で影響を及ぼすのが放射能の怖さなのに。
Posted by くまひろ at 2017年10月22日 17:41
水産加工の従事者です。
社長いわく、宮城県知事からの依頼ということで、宮城県冲産の処分に困った15000ケース分の冷凍さばを加工出荷。魚の状態が異常でした。完全にたんぱく質が壊れたような状態で解凍水はかつて見たことの無いほどどす黒く濁りました。今夏です。

さて、魚の放射性物質の安全基準値は
諸外国のセシウムで10倍。水溶性のストロンチウム90は公表すらされてないと認識しております。責任者は海外には出せないと言ったが。毒性が200倍のストロンチウム90が怖いです。

今年のNHKの福島第一原発汚染水処理も垂れ流しと独占報道があり。
消費者の
経口被曝の可能性が心配。
Posted by ちび丸子 at 2017年10月24日 01:23
鮭もさばも白魚秋刀魚..
生臭くて、不味くなった。
Posted by 農家 at 2017年10月24日 02:39
 もう此の年では行くことも不可能になったが、嘗て訪れたイワナの宝庫はどうなったんだろうかと危惧している。清流の中で聞いたイワナの声にもならない雄叫びである。

 宿泊している宿にお願いして焼いてもらい、仲間と酌み交わしながら、成仏を願って食したことを思い出す。誠に素朴な味でした。

 釣った人でないと味わいない食味、イワナの風味をこれでもかと食人に味わわせる食感。もう二度と再び、此の食味は味わえない。当方は年だから、諦めている。糞馬鹿次世代のガキ共は経験はできないだろう。昭和も平成も遠くなったと思う。
Posted by ハマの住人 at 2017年10月24日 14:58
最近、気になってます。
311フクイチの教訓はいかされているのでしょうか?

全電源喪失で、バッテリー騒動あり、交通マヒありでした。
地震で原子炉が破損した1号機などはともかく、電源があれば防げたであろう連続爆発など、お粗末の極みでした。

それらに対して、対策はとられたのでしょうか?

私は、311以降、対原発事故の為の消防署のような機関が必要ではないかとずっと思っていました。
数百トンを運べる大型ヘリ、全国の非常用電源に対応した移動式大型電源、散水用大型飛行艇、訓練された応援要員などなど。
その後、再稼働されましただけで、イッコウにそうした事故対策専門組織が組織された話がありません。

原発を扱う日本人は馬鹿なのでしょうか?
Posted by uttegaeshi at 2017年11月03日 20:44
福島の救世主というのは、若い方の
センセでしょうか、それともトンキン大学にまだおられる方の「センモンカ」の方のセンセでしょうか。まあ、どっちにしても、「内部被曝も外部被曝も一緒です」という、物質の体内挙動すら無視した、物理学コンプレックス丸出しのICRPの間違った理論受け売りの馬鹿げた発言や、事故後3年たっても5年たっても「鼻血は出ません」と、これまた間違った「線量計算の拡大解釈」の落とし穴に気がつかず、鼻血が出るメカニズムに想定すら及ばなかった愚かな人たちのことですね。受験勉強スタイルのお利口さんバカが高じるとこうなるのか、という見本のような人たちでした。

所詮あの大学は、勉強がなまじできるもんだから、一部の人間は、物理学コンプレックスに陥ってしまうのでしょう。数式が美しければ物事の真理、と錯覚してしまうんだな。で、数式をいじれる人間やその体制のことを、殊更に崇め奉ってしまう。物理学は、所詮、ものとものとがくっついたり離れたり、というpassiveな影響しか考察対象としないので、生体内物質の複雑な「機能」の考察には、到底想定が及んでいないうえ、生命体のような非線形の塊のようなシステムを丁寧に考察するには、無理な拡大解釈に拡大解釈を重ねるしか能がない。物理学の法則自体を導き、適応するにも、生物学以外への適応においても、かなり無理やりな前提条件で、パラメータを単純化しすぎるのが常なのだな。まあ、ふつうの頭をもってりゃ、御託をならべなくても、「あんたらの理論、むりやりじゃね?」と気がつくのが普通なんだが、あの人たちは、科学ということを、「現行物理学崇拝」と勘違いしているから、pitfallに気がつくことができず、丸め込まれてしまう。

センセがたが、昨今「放射線」と殊更に強調しているのは、もしかしたら、当時の自分たちの考えの浅はかさに、そろそろ気がつき、あえて、当時の恥を隠すために、正当化しようとしているのかもしれませんね。だとしたら、当時のバカさ以上に、薄汚いことです。自分の浅はかさくらい、さっさと認めればいいのに。
Posted by 通りすがり修行者 at 2017年11月11日 03:37
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