2020年06月27日

大阪府医師会長は、なぜ激怒したか

6月24日に大阪府医師会の茂松茂人会長が、府の新型コロナウイルスの専門家会議でおそらく3人のドクターが死亡したと、行政に報告する前に発表しました。その後の詳報

コロナで死亡の医師は「2人」 大阪府医師会長が訂正
2020年6月24日 19時16分 朝日新聞
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取材に応じる茂松茂人・大阪府医師会長=大阪市中央区の大阪府医師会館、武田肇撮影

 大阪府内で「一般の診療所でおそらく3人のドクターがコロナで亡くなった」と発言していた大阪府医師会の茂松茂人会長は24日、「1人は感染後に亡くなったのではなく、治って元気にされている」と話し、死亡したのは2人だと訂正した。確認が不十分だったという。朝日新聞の取材に答えた。

 茂松会長が22日に発言したところ、府は70代男性の医療従事者1人が5月20日に亡くなったことを把握していた。翌23日に職業不明の1人が医師である可能性があるが「3人の医師がコロナの治療をして、お亡くなりになられたという情報はつかめていない」としていた。茂松会長は死亡した2人について「患者を直接診る立場で、コロナに感染していた。患者の感染に気づかずに診察し、感染した可能性がある」とした。


 どう見ても温厚そうな方で、行政の面目をつぶすような発言をあえて行うようには見えません。いったい何があるのかちょっと不思議でしたが、報道をつなぎ合わせてみると見えてくることがありました。

まず、発言があったのは、第二回「大阪府の新型コロナウイルスの専門家会議」。第二回の新聞報道は見つけられませんでしたが、第一回にはあまりにもおかしな発言があったのです。

コロナ収束に自粛は関係なかった、大阪の専門家会議で明言
2020.6.14 06:15

大阪府が6月11日、緊急事態宣言が解除されてから初めての「新型コロナウイルス対策本部専門家会議」を実施。ここで、「大阪大学 核物理研究センター」のセンター長・中野貴志教授が、「感染拡大の収束に外出自粛や休業要請による効果はなかった」と明言した。

「日本では第1波を非常に効率よく収束させ、3月初旬に収束させていたが、間髪を入れずに欧米から感染者が流入し第2波の感染拡大が始まった。その拡大がピークになり、そこから減少になった時期(ピークアウト)は3月28日頃。原因は3連休の気のゆるみではない」と自身の分析結果を説明した中野教授。

吉村洋文知事による「ピークアウトに外出や営業自粛の効果はあったのか?」との質問には、「データを見る限りは、相関が少ない。欧米などは、何か政策の効果が見えた場合にK値の傾きに変化が出ている。大阪の推移を見る限り、それとは関係なく収束したというと考える方が自然」と回答した。

これらの議論のなかで「自粛要請の不要論」について、座長である大阪大学の朝野和典教授は、「例えば東京では接待を伴う飲食というのがクラスターを作っているのが事実。クラスターを作らせないという意味での休業は有効で、次の波が来たときもやる必要がある」と説明。

その一方で、「むしろ重症化させないような方策もあるべき。高齢者、基礎疾患のある人を逆に隔離する方策もあるべきじゃないか、ほかの人たちよりもより強く自粛、外出をやめていただくというアラートを出す必要もある」という意見も。

また、「もう少し深くいろんな人の意見も聞いて、意見を戦わせる必要がある。今日の議論だけで、自粛・休業が無意味だったという結論にはしていただきたくない」と、結論を急がないよう釘を差した。
 まず、出席者を抑えろ。常識ですね。

大阪大学大学院医学系研究科教授 朝野和典
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大阪市立大学大学院医学研究科臨床感染制御学教授 掛屋弘
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一般社団法人大阪府病院協会会長 佐々木洋
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一般社団法人大阪府医師会会長 茂松茂人
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大阪市立総合医療センター感染症内科医長 白野倫徳
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りんくう総合医療センター感染症センターセンター長 倭正也
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【オブザーバー】
砂川富正(国立感染症研究所感染症疫学センター第二室長)
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中野貴志(大阪大学核物理研究センター教授)
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宮沢孝幸(京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授)
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大阪府新型コロナウイルス対策本部会議【本部員】
・吉村大阪府知事
・橋本大阪府危機管理監
・村上大阪府政策企画部長
・藤井大阪府健康医療部長

【オブザーバー】
・松井大阪市長
・新谷大阪市健康局長

 この中で一人だけ場違いな人がいますね。
中野貴志(大阪大学核物理研究センター教授)

感染症とは全く関係のない物理学の核物理教授。あのキクマコとほぼ同じ所属。この人物が好き勝手発言しています。

「感染拡大の収束に外出自粛や休業要請による効果はなかった」と明言

維新が言いたかったことを発言してもらっただけ。もちろん、このあとには医療界の代表者がうちけしていますが、吉村との出来レースですから、しらけたもの。だいたい、このような場でマスクもせずに、使い回しのマイクを使っている次点で、この人物の基礎知識は全くないことがわかります。しかも、オブザーバーという責任をとらなくていい立場で発言しているのですから、医療者が頭にきて当然。この人物のトンデモはあの「新潮」が取材していました。

「吉村知事」が「8割おじさんに騙された」 西浦モデルを阪大教授が全否定した「K値」とは
6/25(木) 6:01配信 デイリー新潮
大阪大学核物理研究センター長の中野貴志教授に登場を願おう。まず「K値」についてだが、

「感染拡大率の減速を示す指標で、直近1週間の新規感染者数を、累積感染者数で割って算出するものです。先にK値で予想を立て、以降の感染者数を見ると、いまのところ予測とほとんど同じ推移です。指数関数的に感染者数が増えると言われていた時期に、それはありえないと思い、初めて計算しました。この病気は発症後2週間で治るので、指数関数的に増え続けるのは不可能。投げたボールが落ちてくるように、感染者の推移も、勢いよく上がっているように見えている段階でさえ減速している。その勢いの衰え方がずっと一緒なら、少なくなるのはいつかという予測も立ちます」
いやはや、こんな人物が負の専門家会議に呼ばれて、発言しているとは恐ろしい話です。

・2週間では治らない(簡単に治るならば怖くない)
・海外で指数関数的に増えている

全く無知蒙昧な人間が、阪大の教授になり、さらに専門外のことで、根拠のないいい加減なことを発言するわけですから、医師会長が頭にきても当然でしょう。そして、もうひとりの「オブザーバー」
宮沢孝幸准教授
「私はウイルス学が専門で、常にウイルスが飛び交う場所で、感染リスクを考えながら研究しています。その点からいっても、新型コロナは基礎疾患がある人、高齢者などの“コロナ弱者”を除けば治る病気。強毒性のウイルスと同様の対処をするのはどうなのか、というのが私の意見です」
このような人物がマスコミに出ているだけなら、まだ問題はありませんが、専門家会議に呼ばれて嘘八百を述べるわけですから、大阪というところは本当に恐ろしいところです。

そして、今日もこんなニュースが


 医師の専門家の意見を全くきかずに、自分の都合のよい政策を進める大阪維新。医師会と行政がここまで反駁している地域は、他にはないでしょう。医師会長の爆弾発弾は、医師会から大阪府民へのSOSだろうとおもいますが、大阪府民は気がついたでしょうか。

新型コロナと戦える武器を診療所にも与えよ2020年06月24日
大阪は連休明けに緊急事態宣言を返上し、自粛をやめる。そして、地獄へ・・2020年04月27日

  
posted by いんちょう at 17:33| Comment(1) | Covid-19
この記事へのコメント
そう言えば、昨日、日本医師会長選挙で現職の横倉氏を破って中川俊男氏が当選したとのこと。

一応、必要なら政権にも物を言うとしつつ、現会長を名誉会長にするとの話ですね。

外野としてはそれでPCR検査増加に繋がるかだけが関心事です。
Posted by 岩見浩造 at 2020年06月28日 20:18
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