2022年08月26日

コロナ全数把握をやめれば、医療は確実に崩壊する−届け出の手間をとるか、患者のフォローアップをするか−

(まとめると)
・医療機関による全数報告は、その後の患者フォローアップを保健所に依頼することが本来の目的である
・全数登録をやめると、膨大な保健所の業務のある一定割合を検査医療機関が担うことになる
・届け出と、フォローアップのどちらが大変か、議論の余地はあるまい

 現在、コロナの全数登録を辞めるべきだという話が、医療機関および行政からでてきています。

感染報告、高リスクに限定を 知事会、コロナ緊急声明共同通信
 全国知事会の新型コロナウイルス対策本部は23日、オンラインで役員会を開き、感染者の全数把握をやめて、報告対象を高齢者や重症化リスクがある人だけにするなど「現実的な手法」を求める緊急声明をまとめた。
知事が提言していることを考えれば、保健所がパンクしている現状をどうにかしたいと言うことだと思います。

 そして、医療機関側も

毎朝5時まで…“入力作業”に医療現場は疲弊 新型コロナ“全数把握”の実態
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:「今、9時半になろうとしています。夜の9時半です。診療がやっと終わり、やらないといけないことが色々あるのですが」
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:「(情報を)いれるためには当然、名前や住所、検査日や発症日など分からないといけないので、このように問診表のコピーをとって、12〜13人分あると思います」
12-13人の登録で朝の5時までって、この先生大丈夫か?と個人的には思いますが。

 では、これらの登録を重症患者だけに限るとどうなるのでしょうか。

まず、現在保健所が行っている業務は、余計なことなのか。
・健康観察
・必要な場合の入院調整
・各種書類の発行

等々、どう考えても一定の割合で重症化する新型コロナ感染者の場合には必要なことです。重症リスクの高い方は今までどおり保健所で対応するとしても、軽症の方の対応を医療機関で行うとこれは大変なことです。

・各個人に療養期間を連絡する
・必要なリンク先を連絡して、注意事項を伝える
・療養の各種書類を発行する
・急変した場合には、入院先を見つける

一人でも急変した連絡があれば、少なくとも1時間は他の診療はなにもできなくなります。保健所に連絡していませんから、住所、氏名、年齢、リスク因子を連絡があってから作成せねばなりません。そして、入院調整はもちろん、各医療機関で行うこととなるでしょう。10日間の観察期間が必要ですから、さきほど10名足らずの登録で朝5時までかかられていた先生は、およそ100名の患者をフォローしないといけなくなるわけです。
 熊本市保健所はSMSなどを用いて連絡をしているようですが、それはカネをかけることができる行政機関だからできること。医療機関にはそのようなシステムなどありませんから、電話もしくはSMSでいちいち連絡を取る必要があります。届け出でアップアップの医療機関に、果たしてそのような個別対応が可能か?
 いうまでもありません。

つまり、全数把握見直し議論とは、医療機関にとって

・届け出の手間をとるか、患者のフォローアップをするか

の二者択一にすぎないのです。

なぜ、保健所が担ってくれている業務を医療機関で引き受けると喜んで表明するのでしょう。
私には理解不能です。

 なお、コロナ感染症の特効薬のひとつ、ラゲブリオは 1人あたり薬価が約10万円です。そう簡単に処方出来る薬ではないのです。(数ももちろんたりませんし、当院のような小規模医療機関では在庫を1つ持つことも認められていません−経営上、在庫を持つのは無理ですが)
posted by いんちょう at 20:47| Comment(0) | Covid-19
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