2011年03月14日

福島第二原発状況分析(とりあえず冷温停止)

福島第二原子力発電所の状況について

まったく報道されていませんので、わかりませんでした。ホームページに状況が載っていました。
http://www.tepco.co.jp/nu/f2-np/press_f2/2010/pdfdata/j110314o-j.pdf

1号機(停止中)【停止時刻:3月11日午後2時48分】
・原子炉は停止し、原子炉水位も安定しております。
・外部電源は受電有
・挿入位置不明のおそれがある制御棒が1本ありましたが(3月12日午前8時19分に警報発生)、3月12日午前10時43分、警報は自然解除されました。ほかの制御棒もすべて全挿入位置にあることを確認。(原子炉は未臨界状態)
・主蒸気隔離弁の状態;閉
・原子炉格納容器内での冷却材漏洩はないと考えております。
・3月12日午前5時22分に圧力抑制室の温度が100℃を超え、原子炉の圧力抑制機能喪失したことから、午前5時22分、原子力災害対策特別措置法第15条第1項の特定事象が発生したと判断しました。
・安全を確保するため、原子炉格納容器内の圧力を降下させる措置(放射性物質を含む空気の一部外部への放出)の準備を行いました。(3月12日午前9時43分頃より準備開始。同日午後6時30分準備完了。)
・原子炉冷温停止に向けて、原子炉冷却機能の復旧作業を実施しておりましたが、作業が完了し、3月14日午前1時24分より原子炉を残留熱除去系で冷却中。
・その後、圧力抑制室の平均水温が100℃を継続的に下回っていることを、3月14日午前10時15分に確認しました。
・3月14日午後5時、原子炉冷温停止。

この記述で最も大事なことは

・残留熱除去系で冷却中

の一文です。これは、海水熱交換器が正常であり、順調に熱交換が行われていることを示します。通常停止の場合に使用される系統で正常な状況と変わりません。おそらく、完全には熱交換ができないために一時的に格納容器内の温度が上昇、格納容器ベントを行ったのでしょう。福島第二原子力発電所は、すべて同様の記述ですから、コントロールできており、安全な状態に移行。
 この記述を読んで、ほっといたしました。こちらには、当面それほどの人数は危急には必要ないと思われます。

最初の報告から辿りますと

3月12 日 午前4時00 分現在
・原子炉隔離時冷却系で注水しておりましたが、復水補給水系での注水を午前3時48 分
から開始

※原子炉隔離時冷却系RCIC(3/12 4:00まで)−タービン駆動ポンプ− → 復水補給水系CW−電力式ポンプ−(両系統はたしか同じ循環ルート・・あまり自信なし・・で、熱交換器はなかったと思います。このため、炉内の蒸気を圧力抑制室に逃がしていたため、3月12日午前5時22分に圧力抑制室の温度が100℃を超えています。(停止後、半日足らずですから、かなりの熱量か発生していることがわかります)→(3月14日午前1時24分より原子炉を残留熱除去系で冷却中。

RCICからCW系統に移行したところで、あるていど先が見通せたのでしょう。なんとなく、ほっとした感じが文面から見受けられます(RCIC系を利用していたことはそれまでのプレス発表からは抜けています。所外電源は受電ありなのに、なぜこんなに時間がかかったのかは私にわかりません。想像するに、ポンプが津波のため故障し、取り替えていたところでしょうか。

復旧まで、まる2日かかっています。原子炉隔離時冷却系の限界だったと思います。比較的新しい、BWR-5型であったことが幸いだったのでしょう。



つぎに福島第一2号機
2号機(停止中)
・原子炉は停止し、原子炉隔離時冷却系で原子炉に注水をしております。原子炉水位は通常より低いものの安定しております。なお、国の指示により、安全を十分確認した上で、原子炉格納容器内の圧力を降下させる措置を講じることとしました。
・原子炉に海水を注入する準備を行っております

原子炉隔離時冷却系は、炉心の蒸気を使って冷却水を炉心に注入する手段です。残留熱除去系ではありませんので、非常用のルート。電源についての記述もなく、まだ所内電源は回復していないと思われます。

3号機につきましては、以下のプレス文のみ紹介

福島第一原子力発電所3号機付近での白煙発生について(PDF75.8KB)・・白煙?・・

4−6号機につきましては、もともと定期検査中で、ほとんど崩壊熱は除去されています。

したがいまして、福島第一原子力発電所は、地震中に稼働中であったプラントはすべて海水注入、廃炉が決定しました。

 東京電力の副社長の会見がありました。20年前と変わらず、モソモソと早口でしゃべられていました。。。

Wikiより
原子炉隔離時冷却系 [編集]原子炉隔離時冷却系(RCIC系:Reactor Core isolation Cooling system)は、主蒸気隔離弁が作動され原子炉が隔離・閉鎖された場合に、初期水源は復水貯蔵槽から、その後、最終水源には圧力制御プールからの水を炉心シュラウド外側に注水する。所内電源と非常用ディーゼル発電機による電力のすべてが失われた事態を考慮して、炉心の崩壊熱による蒸気を使用したタービンによってポンプは駆動される。常に待機状態に置かれ、非常時には30秒で定格回転速度に達する必要があり、暖機運転がなく湿度の高い蒸気にも対応するなど、厳しい条件での運転が求められるため、特殊なタービンが使用される。
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posted by いんちょう at 20:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 原子力
この記事へのコメント
福島第二原発の様子を初めてテレビ放映したのは、テレビ朝日の報道ステーションでした。事故の半年後が最初の放送でした。その後、もう一度取材しています。

内容は、当時の第二原発所長による、第二原発の現状の解説と、事故当時の回顧録でした。

そこで、驚くべき事が明らかになりました。

福島第二原発も電源喪失していたのです。しかし、優秀な所長の存在によって、大事故に至る事なく、無事に冷温停止に至りました。

電源喪失の状況は、福島第一と同程度でしたが、一系統のみ生きていて、計器類だけは生きていたそうです。

地震の夜、警報を受け、所長が原子炉に行くと、蒸気で窓が曇るほどの格納容器温度上昇だったそうです。所長は、東電本社に連絡を入れましたが、対応が悪過ぎた為、早々に本社と”縁切り”したそうです。

所長は、倒壊した送電線の様子を視察後、全職員を鼓舞して、送電線の復旧を決断しました。送電線の全長は、約9km。総職員数は、3000人。一晩あれば、復旧できる、と確信しました。原子炉のメルトダウンまでは、24時間。

それからは、徹夜の作業です。交代制を敷き、全ての作業を同時進行で行ったそうです。所長は、ケーブル作業を指示すると、今度は”冷却水”の確保に奔走します。所長は、第二原発建設当時からのスタッフだったので、過去、破棄された水路もよく知っていました。そこで、現在使われていない地下トンネルを使って、河川水を使用する事にしました。

そして、震災翌日、見事に福島第二原発への送電を成功させました。これで、福島第二原発は大丈夫です。第二原発の所長が、職員と歓喜の声を上げた頃、福島第一原発は爆発しました。

何故、福島第二原発は、驚異の復旧を遂げる事ができたのでしょうか?

理由は簡単です。福島第二原発の所長は、”優秀な生粋の技術者”だったからです。送電線敷設の知識と経験は、電気会社の最低限の知識です。そして、原発そのものに関する詳細な知識。

福島第二原発の取材時は、所長が一人で全てを説明していました。言いよどむ事も無く、全てを一人で語った事は、第二原発の所長が原発の全てを把握していた事を証明していました。

比較して、第一原発の所長はどうでしょうか? 自分で原子炉を見に行く事もせず、何時間も本社とテレビ会議。何より、第一原発所長は、原子炉の事が何も判っていない様子が、ホワイトボードに残っていました。第一原発の所長は、役員だったので、経歴がホームページに掲載されています。確認すると、”ただの管理部”だけではないですか。第一原発の所長は、何の技術資格も持たない、”ただの事務屋”に過ぎなかったのです。事務屋に原発事故が収束できる訳がありません。

第一原発では、原発の電源停止と共に、隔離系冷却系が動き出しました。ところが、その事を知らない現場作業員が、これを止めてしまったのです。その事を第一原発所長も知りませんでした。というか、隔離系冷却系の事すら、第一原発所長は知らなかったのです。

そして、第一原発は最初の爆発を迎えます。

爆発の恐怖で、第一原発の職員が逃亡してしまった為、次々と爆発が起こりました。

私は技術屋で、第1種放射線取り扱い主任者の資格も持っています。その私が見た限りでは、第一原発の所長は、”無能な殿様”に過ぎません。
バカ所長の事を職員は悪く言わないでしょう。何でも職員の言う事を聞いてくれますから。はっきり言って、知識の無い所長は、職員の言いなりです。

翻って、第二原発の所長は、技術者の鏡です。

つまる所、福島第一原発事故は、”バカの連鎖反応”と言えるでしょう。それは、一連の事件を時系列で並べてみると、はっきりします。


@社員が提言した津波対策を東電が拒否(2003年)
 実は、津波対策を阻止して出世したのが、福島第一原発の所長(当時、管理部長)であった。

A小泉総理が共産党の国会質問(原発津波対策の必要性)を嘲笑。”ある訳ないだろ!ハハハハハ!”
⇒議場が嘲笑に包まれる。(2004年・2006年)

B(震災当日)第一原発の職員が隔離系冷却系を勝手に停止⇒翌日爆発

C(震災当日)第一原発の所長は、隔離系冷却系の存在を知らず

D(震災当日)第一原発の所長は、送電線の復旧方法を知らず

E(震災当日)電源車の配車を菅総理自らが指示し、警察に任せなかった。おかげで、電源車は渋滞に巻き込まれ、到着は爆発後。(電源車は、柏崎刈羽原発から運搬)

F(震災翌日)爆発後、第一原発の職員が逃亡
⇒次々と爆発
⇒第二原発の職員は一人も逃げず、原発監視を続行した。


第一原発所長が、原発の津波対策を拒否した事からこの事件は始まり、第一原発所長の無能により、第一原発は爆発したのです。バカに始まり、バカに終わった。これが、原発爆発事件の真相です。

何故、21世紀の日本で、この様な事が起こるのでしょうか? 理由は簡単です。


”無能者”が出世する様になったから


例えば、雪印の牛乳食中毒事件。この事件は、”利益を出した人間が偉い”と言って、回収牛乳を生乳に混合する、という前代未聞の事態から起こりました。これを実行したのは、まさしく、”食品を知らない無能者”です。その象徴が、マスコミの取材攻勢に、”俺は眠いんだ”と吠えた雪印の社長でした。どうしてこうなったのでしょうか?

金儲けさえできれば、無能者でも出世できたからです。

無能者が出世した後に、無能者のせいで倒産する。という循環リングなのです。

東電の場合は、牛乳でなく、たまたま原子炉だっただけの事です。

では何故、無能者が出世する様になったのでしょうか?

理由は簡単です。


”株主の力”が巨大になったから
(森総理の金融改革)


株主は、はっきり言って、会社の事業について、ド素人です。昔の商法では、株主の横暴を防ぐ為に、株主が会社役員に接触できるのは、株主総会の日だけでした。株主総会の日以外に役員に接触を求める株主は、”総会屋”と呼ばれました。

ところが、森総理に始まる金融緩和の波は、株主の力をどんどんアップさせて行き、最終的に小泉改革(2006年)では、何時いかなる時でも、株主が役員に接触する事はOKになってしまいました。

東電が原発事故を起こす2011年以前に、株主の会社支配体制は、既に完成しており(2006年)、

”株主が津波対策をOKしない限り、津波対策は不可能”

という図式が完成していたのです。実際、2003年には、東電内部で津波対策の声が上がっていました。これを阻止した、”株主の強い味方”が、第一原発の所長という事になった訳です。事実、その功績で、管理部長(その後の福島第一原発所長)は、役員に昇格しました。

今回の事件の、”隠れた主犯”こそは、東電の株主だったのです。

現在、常識では”信じられない不祥事”が相次いでいますが、その根本は、株主優先型の経済運営(アメリカ型)に問題があるのです。

この事実に着目しない限り、第二第三の原発事故は起こりえるでしょう。

バカを出世させたから、原発事故は起きたのです。

バカを出世させたのは誰か? 会社の事を何一つ知らない”株主様”です。

実は、この図式は、政治家にもあてはまります。政治を知らない国民が選んだ、稀代のバカ政治家が小泉首相です。原発事故は、小泉が起こした様なものです。

その小泉を選んだのは誰か? 国民です。(笑)
Posted by PERO at 2015年02月17日 21:44
PEROさんのコメント、英雄視される機会が多かった吉田所長についての
面白い見解だとおもいます。

ただ、これは客観的な意見とみていいのでしょうか?
例えば、
http://www.huffingtonpost.jp/tomoko-nagano/fukushima-nuclear_b_5421167.html
で描写されたF1とF2の被害情況の差異を見ると、
PEROさんのコメントの印象とやや異なります。
日々、自分がたべるための仕事に忙しく、
たまに本ブログをROMしている専門の一般読者としては
なんとも判断がつきません。

かつて技術職として彼らと同僚として働き、身近でみてきた
いんちょう先生はどうご覧になりますか?
PEROさんの意見は妥当なのでしょうか?
お時間の有る時にコメント欄にて、
または本記事にて御高見をいただければ幸いです。
Posted by 椰子の樹の下でお月見。 at 2015年02月19日 09:54
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