2011年05月14日

1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめ

 東京電力・政府がようやく、1号機のメルトダウンを認めました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110513-00000127-san-soci
福島原発1号機、格納容器に漏出「打つ手なし」 核燃料100%損傷か
産経新聞 5月13日(金)7時56分配信
 ■工程表大幅見直し

 12日、東京電力福島第1原発1号機で、原子炉圧力容器内の核燃料棒が完全に露出したことが判明し、圧力容器損傷の可能性も浮上した。原子炉を安定冷却するための作業が進められているが、見直しは避けられない。専門家からは「圧力容器に穴が開いているなら、もう打つ手がない」と危惧する声も上がり、事故の収束に向けた工程表の達成に「黄信号」がともった。(原子力取材班)

▼形状とどめず
 「メルトダウン(炉心溶融)が、炉心の形状を維持せず、圧力容器の下に崩れ落ちているというのであればそれ(メルトダウン)で結構」。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は12日の会見で、初めて「メルトダウン」状態にあることを認めた。



 ようやく、公に現状を認識できたという点では、非常に大きな進歩です。実際的な解決方法を決めていくことが出来るようになりました。


 しかしながら、これは今更の話です。5月5日も書きましたとおり、最初からわかっていたことです。(私がわかるということは、少なくとも現場もわかっていたはず)が、このことを3月12日の時点でこのブログに書きますと、風説の流布、過度に刺激を与えたということで、捕まっていたでしょう。

 なぜ、わかるのか。

それは、簡単です。以下説明しましょう。

原子力発電所といいますが、やっていることは蒸気を使ってタービンを回し、発電機を回しているだけです。

蒸気を核分裂で作るのが、原子力発電所
同じく、石油などの燃料を燃やして作るのが、火力発電所
地下の水蒸気を利用するのが、地熱発電所
水の力で発電機を回すのが、水力発電所
風の力で発電機を回すのが、風力発電所

その他、全く違う発電方式に
・太陽光発電
・燃料電池
があります。

 核分裂は、ウランなどで出来た核燃料で起こします。

 それだけ。

 原子力発電所で、一番重要なことは、核燃料は何があっても、水の中に入れておかなければならない。さもないと、溶けてしまい人間の手に負えない。

・核燃料は、いつ、いかなる時でも、水の中に入れておかなければならない

 そういった状態を保つためだけに、たくさんの付属設備があります。(火力発電所にはみられない設備がすべてそうです)そう考えると、いろいろなことがすっきりと見えてきます。

 また、

・核燃料は、制御棒で核反応をすべて止めることは出来ず、非常に長期に渡り(10年から1000年くらい)崩壊熱を発生する(非常に大きな焼け石 をイメージすればいいでしょう)

 の2つです。

当初から、1号機、2号機、3号機とも、水位計がすべて、ダウンスケール(水位が下がりきってしまうこと)と発表しているわけですから、すべての号機でメルトダウンしているのは、確実でしょう。
 そして、沸騰水原子炉の弱点である制御棒貫通孔溶接部位が、健全性を保たれているかは、非常に疑わしいのは間違いありません。
2011051406.jpg
なにもなくても、通常運転中ですら、リークが生じる場所なのです。
(私が思うに、これは沸騰水型原子炉の決定的な弱点。これを克服するすべはありません)

東電がアップしました模型の写真がわかりやすいので、追加します。(私の本店時代にもこれで、構造を確認してました。懐かしい模型です)
2011051408.jpg

 溶けた燃料はどうなるか。そもそも、こういったことを専門にやっている人は東京電力内にはもちろん、東芝、日立にもいません。したがって、解決方法を知っている人もいません。ロシアのチェルノブイリ事故を収束させた人たちはもちろん知っているでしょうし、おそらくGEもある程度は、知っているはずです。
 チェルノブイリでは「象の足」とよばれる、状態になりました。
http://blog.goo.ne.jp/m_3hara/e/af4e88fe76cdfd8fb7cb78c438028a53 より
2011051407.jpg

ロシアでさえ、この「象の足」を未だに処理することが出来ていません。(誤解のないように付け加えますが、ロシア−旧ソビエト−は核兵器を持っていますし、核兵器の実験もしています。日本よりも、非常時における核物質の取り扱い方法に関して、技術力は遙かに上です。日本が得意なのは、正常運転中の機器の信頼性向上などに過ぎないのです)
 だとすれば、福島もチェルノブイリを参考にした収束方法をとるしかないと思われます。現在の工程表は、冷温停止に持って行くことが、まず第一の目標となっています。その後、燃料の取り出し、整地といったスケジュールですが、それは事実上不可能となりました。

 しかしながら、大変不幸なことに使用済燃料プールの問題が残っています。これは、何が何でも取り出すしかありません。(3号機は不可能ですが)

 全く門外漢ですが、私は下記のように持って行くしかないのではないかと想像(あくまでも想像)しています。

1−2、4、5−6号機からの使用済燃料の搬出(特に健全な5−6号機が急がれます)。
・・・中間貯蔵設備を作る必要あり。原子力発電所から少し離れて、いたほうが望ましいのですが、現実的には、福島第一の正門近くか?ここに、使用済燃料をドライキャスクに入れて保管(いったいどのくらい冷やせば入れるようになるのかは知りません)。


すでに、日本でも使用実績もあります(国内製造だったと思います)
110413_1f_cask_1.jpg

なによりもまず、この使用済燃料を取り出して、圧力容器と分離しなければ話が始まりません。

核燃料取り出し後、徐々に冷却水を減らしていく(もちろん、何らかの手段−−鉛、スズなどを使うのでしょうか?)とともに、建屋に石棺をつくっていく。

 3号機は、燃料プールの中には燃料がほとんど残っていません。ここは、もう土嚢かなにかで埋めてしまうくらいしかないのでは?

 早急にまとめて、地元自治体に本当のスケジュールを話す必要がある時期になっていると思います。
タグ:s 1F
posted by いんちょう at 22:36| 原子力