が、非常に気になる記事が配信されています。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110516/CK2011051602000134.html
浜岡5号機、海水混入か 中電「原子炉に問題なし」
2011年5月16日
「冷温停止」は完了
中部電力は15日、浜岡原発5号機(御前崎市)が同日正午すぎ、原子炉の水温が100度未満に下がって安定する「冷温停止」になったと発表した。作業中に、原子炉と発電用タービンを循環する水に、海水が混じった可能性があることも明らかにした。同原発の停止作業は13日に運転を停止した4号機と合わせ完了した。
中電によると、5号機で14日午後4時半ごろ、タービンを回すのに使った蒸気を、冷やして水に戻す復水器内の水の不純物濃度が上昇した。復水器は内部を通る多数の配管に海水を流し、間接的に蒸気を冷却する仕組みで、配管から海水が400トン程度漏れたとみている。約3時間後に別の冷却系統に切り替え、作業を続けた。
原子炉の安全性に問題はなく、放射性物質漏れなど外部への影響はないという。海水の配管の破損などの異常がないかどうかを含め、不純物濃度が上昇した原因を調べている。
中電は4、5号機とも当面は燃料を原子炉内に入れたままの状態で冷却を継続するが、運転停止期間が2〜3年にわたるため、保全計画を策定して燃料の保管方法を検討する。
「漏れ400トン、桁違いの量」
浜岡原発5号機で「冷温停止」に向けた作業中、原子炉の冷却水に海水が混じったとみられるトラブルでは、専門家から中部電力の安全管理能力を問う声も上がっている。
山本章夫・名古屋大教授(原子力工学)は「すでに冷温停止になっているのならただちに問題はないが、長期的には、燃料被覆管に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。このため舘野淳・元中央大教授(核燃料化学)は中電が目指す2、3年後の再開に向け「弁や配管などの状態をしっかり確認する必要がある」と強調する。
原発に詳しい評論家の桜井淳氏は「海水混入自体は想定内だが、400トンもの海水が漏れた例は聞いたことがなく、桁違いの量。配管が破断したのではないか」と推測。定期検査を終えたばかりだった5号機でのトラブルに「あまりにお粗末な技術管理。あぜんとしてしまった。原発を見る世論が厳しい中、このタイミングで起きたというのも、中電にとっては最悪だ」と話した。
長いのですが、全文引用させていただきました。
では、どうかと思って、中部電力のプレスリリースをみてみますと・・・(2011.5.16 19:30)
http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/2011.html

なんと、ホームページには一切記述がありません。この会社は、東京電力以上の隠蔽体質であることは、疑いようもない事実でしょう。(そうでないとおっしゃるならば、早急にプレス発表をホームページに載せてください)
私は、発電所時代にはタービン関係の保修(こう書きます)をしていました。復水器も、直接は担当したことはないのですが、実際に検査をみたこともありますし、内部に入って大変怖い思い(15m以上の高さがあるのです)をしたこともあります。ここは、原子炉でつくられた蒸気を冷やすために海水がチューブの中を通っています。当初は、黄銅などを利用していたようですが、海水による腐食が激しいため、いまはチタン鋼に変更されています。(最新鋭号機なので、おそらく浜岡5号機もそうでしょう)腐食は格段に少なくなったのですが、それでもピンホールが起こりますので、定期検査時にリークを確かめ、リークがある配管は、プラグを打ってめくらにします。ある程度余裕のある設計ですので、(復水器は全部で6台あり、チューブは5千x6台くらい)まあ、100本ほどめくらにしても、発電には全く影響はありません。
貝殻が詰まったり、海生物が付着したりしますので、定期検査の時はものすごい腐敗臭をあたり一面にまき散らします。それは、もう、鼻が曲がるくらいの。。
復水器の原子炉水側はほぼ真空ですので、海水が原子炉側に入ることはあっても、逆はほぼない(絶対にないとはいえないとは思いますが)のです。
海水が原子炉内に入りますと、運転に支障がありますので、当然そのリークを検知する機械もあります。海水は真水に比べて電気伝導度が高いので、電気伝導度をいつもモニターしています。(たぶん、経時的にデータを保管しています)このため、少しのリークで検出して、通常は原子炉出力を落として補修する用にしているはずですし、そうしなければならないのです。また、さらにリーク量が増えますと真空度が低下しますので、それによっても警報装置がなり、タービンが回っている場合にはトリップさせます。(タービンへの蒸気供給を停止する)
今回のリークは、400トンという桁違いの量です。どのようにして測定したかは知りませんが(明らかにする必要あり)、これはリークという生やさしいものではありません。考えられるのは、
・最初のリークを運転員が見過ごした。
・警報装置も(結構重要なアラームが鳴るはず)誤りだと考えて、何の対策もとらなかった
・真空度の悪化でようやくわかった。
か,
・一瞬にして複数の復水器チューブ(一つのチューブの口径は、およそ5センチ程度でしょうか)が破断して、系統切り離しがうまくできなかった。
のいずれかでしょう。
停止捜査中で定格運転時に比べて、蒸気流量が少なかったからからいいようなものですが、もし運転中であるならば、即廃炉につながるような大規模な事故(原子炉内への今回の量を遙かに上回る大量海水流入)となっていたのは間違いありません。
私の知る限り、復水器でこんなに大きな問題が起きた記憶はありません(中日新聞報道の通り)し、このようなトラブルが起こるような設備ではないはず。
なにか、発表できないようなことがあるのではないのですか?
補足:記事で憶測しているように運転員のせいにしてきたら、必ず裏に何かあります。日本の運転員は、とびぬけて優秀というわけではありませんが、間違いはしません。重要な規則違反もしません。3交代ですから、疲労困憊になることもありません。定期的にシミュレータでトレーニングを受けています。考えられない単純ミスとみんなが思うことは、本当ではないのです。(たとえば、前回紹介した接続ケーブルがなかったなんていう話など)決してだまされませんように。
http://blogs.yahoo.co.jp/satooyak5/2585893.html より

人間と比較するとその大きさがおわかりでしょう。

中に入ると、本当に怖いですよ・・・・
中部電力、浜岡原子力発電所の敷地配置図を見つけました。
http://image.blog.livedoor.jp/senza_fine/imgs/9/e/9ebf1d59.gif より

かたや、今大変な状態である福島第一原子力発電所の配置図

T/B = タービン建屋
R/B = 原子炉建屋
浜岡の配置がばらばら(きちんと整列していない)ということ以外に、この発電所には普通では考えられない配置がされています。(断層の問題を抜いて)
福島、浜岡の図面を見比べて、各自考えてみてください・・・
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