2011年05月22日

100mSv安全宣言(by 原子力安全委員会)、SPEEDI、海水中断について

http://www.nsc.go.jp/info/20110520.html

低線量放射線の健康影響について
平成23年5月20日
原子力安全委員会事務局
標記に関する原子力安全委員会の考え方について説明いたします。
 放射線の健康影響は、「確定的影響」と「確率的影響」に分類されます。
 「確定的影響」は、比較的高い線量を短時間に受けた場合に現れる身体影響で、ある線量(閾値)を超えると現れるとされています。比較的低い線量で現れる確定的影響として、男性の一時不妊(閾値は0.15Gy、ガンマ線で150mSv相当)や、リンパ球の減少(閾値は0.5Gy、ガンマ線で500mSv相当)があります。100mSv以下では確定的影響は現れないと考えられます。
 一方、「確率的影響」には、被ばくから一定の期間を経た後にある確率で、固形がん、白血病等を発症することが含まれます。がんのリスクの評価は、疫学的手法によるものが基礎となっています。広島や長崎で原子爆弾に起因する放射線を受けた方々の追跡調査の結果からは、100mSvを超える被ばく線量では被ばく量とその影響の発生率との間に比例性があると認められております。一方、100mSv以下の被ばく線量では、がんリスクが見込まれるものの、統計的な不確かさが大きく疫学的手法によってがん等の確率的影響のリスクを直接明らかに示すことはできない、とされております。このように、100mSv以下の被ばく線量による確率的影響の存在は見込まれるものの不確かさがあります。
 そこでICRPは、100mSv以下の被ばく線量域を含め、線量とその影響の発生率に比例関係があるというモデルに基づいて放射線防護を行うことを推奨しております。また、このモデルに基づく全世代を通じたがんのリスク係数を示しております。それは100mSvあたり0.0055(100mSvの被ばくはがん死亡のリスクを0.55%上乗せする。)に相当します。
 2009年の日本人のがん死亡率は約20%(がん罹患率(2005年)は約50%)で、年々変動しております。また、地域毎、がんの種別毎のがん死亡率の変動もあります。100mSvの被ばくによるがん死亡率は、その変動の範囲の中にあるとも言えます。
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出典 : ICRP Publ.103 国際放射線防護委員会の2007年勧告 国際放射線防護委員会
     放射線と線源の影響 2000年報告書、原子放射線の影響に関する国連科学委員会
     放射線と線源の影響 2006年報告書、原子放射線の影響に関する国連科学委員会
     がんの統計'10 (財)がん研究振興財団


直接論評する前に

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110520/plc11052011390012-n1.htm
「SPEEDI」 首相が自分の安全確保で利用との見方に枝野氏反論
2011.5.20 11:37
 枝野幸男官房長官は20日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発事故が発生した直後の3月12日未明に、国の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の予測図が首相官邸に送られていたことを明らかにした。
 ただ予測図は菅直人首相だけでなく枝野氏や福山哲郎官房副長官、危機管理センター幹部に届かず、「官邸の担当部局に(原子力安全・保安院からの)ファクスは来ていたがその段階で止まっていた」と強調。


 あの緊急時に、保安院のファックスを誰も確認しなかったとのこと。むしろそちらの方が問題。水素爆発を日本で一番早くわかっていた斑目委員長は、SPEEDIのことを助言しなかったのでしょうか?

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4731045.html
 「海水注入の事実そのものを官邸としては全く把握をしていなかった。総理も海江田大臣も水を止めるということについては指示をしていない」(細野豪志首相補佐官)
 福島第一原発1号機への海水の注入は、3月12日の午後7時4分から始められ、7時25分に中断。その後、8時20分に再開されました。
 この間の経緯について、原発事故統合本部は、「海水の注入開始自体が官邸には報告されていなかった」として、官邸の指示で止めることは起こり得なかったとの認識を示しました。
 その上で、当時官邸では、原子力安全委員会の斑目委員長から、海水を注入した場合「再臨界の危険性がある」との意見が出され、これを聞いた東電の担当者が本社に伝えたことから注水の停止につながった、と説明しました。
 「少なくとも私の指示で再臨界の危険があるからやめた方がいいという発言は絶対しないと思います。もしそれをしていたら、私がいかに原子力の知識がないかということになってしまう」(班目春樹原子力安全委員長)
 しかし、斑目委員長自身は21日夜、JNNの取材に対し、統合本部の説明を真っ向から否定していて、官邸の指示で海水注入を停止したという関係者の話に加え、新たに食い違いが表面化しています。(21日23:31)


ご自分で認められたようです。斑目氏は「いかに原子力の知識がないか」ということを今まで、さんざん証明されてこられました。首相単独でこんなことを決定するとはおもえません(しかし、責任はその助言を聞いた実行者にあります)あるいは、何らかの老人特有の症状が出ているのかもしれないです。

 いつまで、こんな責任のなすりつけあいをしているのでしょうか。事故は全く収束していないのですよ。本当に現場がかわいそうです。しかも出てきたいいわけが・・・・私には信じられないのですが・・・

 さて、本題。ついに原子力安全委員会は、一般公衆においても100mSvまで特に問題ないと発表しました。

 反対に下記の記事

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110428-OYT1T00980.htm
累積100ミリシーベルト超で原発作業5年不可
 厚生労働省は28日、東京電力福島第一原子力発電所の緊急作業で累積被曝(ひばく)線量が100ミリ・シーベルトを超えた作業員は、同原発での作業期間を含む5年間、他の原発などでの放射線業務に従事させないよう、全国の労働局に通達した。
 作業員の被曝線量の積算方法については、東電側と厚労省に解釈の違いがあり、同省が改めて見解を示した形だ。
 労働安全衛生法に基づく規則では、原発作業員の通常時の累積被曝限度は5年間で100ミリ・シーベルト、かつ1年間で50ミリ・シーベルトを超えてはならない、と定めている。一方、緊急時の限度を定めた別の条文では「通常時の限度にかかわらず、放射線を受けさせることができる」とも書かれているが、緊急時の被曝線量を通常時の基準に従って累積させるかどうかは、明記していない。東電ではこれまで、福島第一原発での作業で浴びた被曝線量は「5年間で累積100ミリ・シーベルトという上限とは、別枠だと考えている」(松本純一・原子力立地本部長代理)と説明してきた。
(2011年4月29日03時03分 読売新聞)


 このように、放射線従事者でさえ、
・50mSv/ year
・100mSv/ 5year

という基準なのです。今回、原子力安全委員会は、100mSvまで安全といっておりますが、これはもちろん生涯でという事なのですよね?あんまりはっきりしませんが。。

 以前も書きましたが、私が福島第二原子力発電所につとめました約5年の間の通算被曝量は、0.2mSvもないのです。(放射線管理手帳をなくしてしまい、正確な値はわかりません)

 原子力安全委員会のこの文書は、生涯で100mSvを超えると確定的な危険があるということを指摘しています。すくなくとも、一般公衆が放射線従事者よりも被曝していいわけはありません。

 いったい何のための文章なのでしょうか?また、この文章をお読みになった方々も、100mSv/年と読まれずに、100mSv/生涯 としっかり認識されますようお願いいたします。(放射能被曝は、蓄積します。1年たてば、クリアされるというものではありません)

・・・安全委員会も、この見解を認めました。(詳しくは、追記をご覧ください)2011.5.23 12:00改訂

ゴルゴ13 に 2万5千年の荒野 という話があります。
ゴルゴ13 (64)海難審判・10月革命の子・2万5千年の荒野 (SPコミックス)
放射能被爆問題も書かれており、中身もおおむね正しい。(ただし、加圧水型原発。スリーマイル島の事故をモチーフにしていると思われます)このコミックスのゴルゴ13のワーストストーリとなっている感じを受けます。必読です。

(どうも、書棚から見あたらないので、再度頼んでしまいました)武田先生のホームページ
http://takedanet.com/2011/05/110521_ed3b.html

をよみますと、今回の100mSv安全宣言は、年間のようです。

放射線従事者は、
100mSv/5years

一般人は、
100mSv/year

とのことなんでしょうか?

放射線従事者よりも一般人の方が緩くなることなんて???

はっきりしませんので、明日(2011/05/23)電話して聞いてみます。
皆様方も、納得いかない場合には、行政にどんどん電話してください。それ以外に方法はありません。

電話しました。電話番号は、03-3581-9919

原子力安全委員会 総務課の安全? T氏でした。

・最初は、1年です

念を押すと、ちょっと調べますといって、しばらく待たされた後、

・特に期限は区切らない

という訳のわからない返答だったため、何度かやりとりした後に

・特に期限は区切らない = 生涯期間(人によってもちろん長さは異なります)

という結論に。もう少しわかりやすく書いてくださいと要望を言って切りました。

 まだ、誰も問い合わせをしていないような感じ。

結論・・さすがの安全委員会も一生涯で100mSvまでとしか、表明できないのです。

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posted by いんちょう at 06:06| 原子力