今回は、浜岡で計画されている堤防(各発電所共通だと思います)について、論評します。
まず、中部電力の資料から抜粋
http://www.chuden.co.jp/energy/hamaoka/hama_info/hinf_topics/__icsFiles/afieldfile/2011/03/15/230315taiheiyouokijisin.pdf

砂丘と発電所の間に堤防を作る。
さて、昨日中部電力に電話して設置場所を確認したところ、取水口と原子炉建屋の間に立てるということでした。そうしますと、おそらく下図の場所になるのでしょう。

これでは、まったく津波対策にはなりません。なぜか。
取水槽にに注目してください。ここは、海にある取水棟と取水トンネルでつながっています。もし、今回の大震災のような20−30分にわたる津波が押し寄せたとしましょう。
・・・
・サイホンの原理で、取水槽から水があふれてきます。
・非常に長周期の津波ですから取水槽をぬけて、堤防内に海水があふれ出します。
・20分以上たったときには、おそらく堤防の外と同じ水位になります(流体力学は苦手でしたので、定量的には計算は出来ない。)
・・つまり、堤防があってもなくても、最終的に海水面は津波と同じ高さになる
これからがさらに悲惨。引き潮になると、どっと水は海に流れ出しますが、今度は堤防が邪魔になって(堤防が崩壊すれば別ですが)なかなか水位が低下しない。さらに海水ポンプの損傷が続く。
つまり、ここに堤防を作るだけでは、百害あって一利なし。なんの意味もないのです。もし、どうしても堤防を作って、津波を避ける場合には、取水トンネルに水門を作る必要がありますが、原子炉冷却のためには海水を欠くことは一時も出来ないのです。すなわち不可能。
仮に、取水槽に水門を作ったとしましょう。今度は、この水門の信頼性が大変問題になります。なぜなら、どうもないときに水門が閉鎖でもされたら、福島のように何も起きていないのに原子炉が爆発します。
堤防では、不可能なので、津波対策をどうしてもやりたい場合は、原子炉周り、タービン周りにすべで盛り土をするしかありません(女川原発の状況です)。が、この場合は、機器搬入口の問題が出てきます。
さらに悪いことに、大規模な地震だけが起きて堤防が決壊し、取水トンネル(当然このトンネルを横切ります)あるいは、取水槽を破壊してしまえば、これまた海水冷却が不可能となります。
これで、どうして対策になるというのでしょうか?
こういうのを浅知恵というのではありませんか?サイホンの原理など、みんな知っているはずです。
中部電力、他電力におつとめの電力会社の方々、このような小手先の検討で対策を考えているのがあなたの会社の中にある原子力村の実態なのですよ。ほんとうにいいのですか?
もし、間違いがあるのでしたら、ご指摘ください。
このような堤防を作るのは、全くもってお金の無駄であるだけでなく、原子力発電所の信頼性をいまよりもさらに悪くするだけです。
この計画を聞いたときには、怒りに震えました。
すみません、口が過ぎました。是非とも、皆さん拡散してください。
よく見ますと、現状でも砂丘を越えないまでも、原子力発電所敷地のたかさ(TP6-8m)より高い津波が来ますと、同じくサイホンの原理で、取水槽から海水があふれてきます。
当然、この評価(たとえばT.P. 12-15m)の津波が20分程度継続した場合の、機器の水没の状況、海水ポンプの健全性が保たれるのかの評価は行われているのですよね?
(参考)
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011051201000815.html
沖合で波高1m以上、20分続く 津波で大規模浸水の原因
波浪計は3月11日午後3時12分に最大6・7メートルの津波を観測しているが、その前後約20分間にわたり津波は高さ1メートル以上を維持。陸に接近した時点ではさらに高さを増していたとみられる。