2011年05月25日

チェルノブイリでは強制移住

2011/05/25 (熊日朝刊から)
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 IAEAの調査が始まったからでしょう、ようやく正確なデータが発表される用になりました。


<チェルノブイリ>
    (強制避難エリア):148万Bq/m2(MBq/km2)
第一区分(強制移住エリア):55万5千-148万Bq/m2(MBq/km2)
第二区分(補償つき任意移住エリア):18万5千-55万5千ベクレル/m2(MBq/km2)
第三区分(放射線管理エリア):3万7千 - 18万5千Bq/m2(MBq/km2)

チェルノブイリの強制移住基準が、やや中途半端な印象を受けます。が、当時の単位で考えますと・・・
※Ci(キュリー)=37000MBq(MBqは百万ベクレル)
<チェルノブイリ>
強制避難エリア 40Ci/km以上
第一区分(強制移住エリア):15Ci以上/km2
第二区分(補償つき任意移住エリア):5-15Ci/km2
第三区分(放射線管理エリア):1-5Ci/km2

 But the former Soviet Union used a lower cutoff − 5 millisieverts per year − in eventually offering resettlement to people near the Chernobyl reactors in 1986.

 「チェルノブイリ」事故による移住、つまり避難の基準は、年間5ミリシーベルト!

とすべての値がすっきりします。

すなわち、15Ci/km2 = 555,000Bq/m2 以上が強制移住対象となったのです。

ちなみに、米国の避難勧告80km は 50 マイル とやはり きりのいい数字です。

文科省は「チェルノブイリ事故と、避難などの基準は単純に比較できない。」

と話しています。それは、そうでしょう。日本の公式発表は、すべて Bq/kg というまやかしでやってきていたわけで、いまさら国際標準に戻せといわれても、困るというのが本音なのです。
(追記)
・チェルノブイリは、>5mSv/y で強制退去
・日本は、 <20mSv/y なら問題ない
・土壌を改良(くさいものにふた方式)が大事
という結論。国際的に通用するのでしょうか?私には多いに疑問です。

(参考)
放射線従事者の基準

 この汚染データは、3月の下旬から発表されており(飯舘村)、原子力推進派のIAEAでさえ、強制移住が必要と発表していました。(もちろん、政府も発表しています)

2011.3.31 12:34 (1/4ページ)
 枝野幸男官房長官が31日午前11時から首相官邸で開いた記者会見の詳報は以下の通り。
【IAEA調査】
 −−IAEA(国際原子力機関)が福島県飯舘村に放射性物質の濃度調査に入って、IAEAの基準だと、避難の値を超えていて、避難勧告を出すよう日本政府に伝えたということだが、どう対応するか
 「IAEAの土壌調査の中に、IAEAの基準の一つを超過するものがあったという報告と、その状況を踏まえて状況を慎重に把握するよう助言があったということだ。当該周辺含めて、この間、大気中の放射線量についての継続的なモニタリングも行ってきているので、今回の土壌についてのIAEAのモニタリングの結果も踏まえながら、さらに精緻(せいち)なモニタリングを行っていかなければならないと考えている」


 あのソビエトでさえ、早急に行った強制避難が全く出来ていない。しかも、IAEAから勧告を受けたのに事実上無視。誰のための、そしてなんのための政府なのでしょうか。

 今回のIAEA査察が、いろいろと明らかにしてくれることを願います。(思いもよらない発表が、連続するはずです。)

 原子力安全保安院に問い合わせて、メンバーの一覧を国際室からFAXしてもらいました。(プレスには発表しているが、ホームページの公開はしていないとのことでした)
公式にはこの方々が査察に来られているようです。
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経験者が正しい(2011.5.25 17:15追記)
 どのような分野にも当てはまりますが、一番詳しいのが、現場で作業をしている人、一番始末に負えないのが、デスクワークだけしている人。

 旧ソビエトは、1957年にウラル核惨事をおこし、1965年にはチャガン湖を核実験で作りました。いわば、核被爆の実験をさんざんやってきたのです。
 チェルノブイリ事故は、それから20年後。実際にいろいろなデータを蓄積した上で、出来うる限りの最大限の避難をさせたのだと思われます。

 また、米国も核被爆の実験は、米兵を使ってさんざんやっています。・・・ 冷戦時代の核戦争をご覧ください。

 いわば、実地で体験しているのです。

 翻って日本はどうでしょうか?

一般市民に核爆弾が使われたのは、世界中で日本だけです。たくさんの方たちが被害を受けました。しかし、それは弱い被害者の立場で、国家的な事業で被曝救済をしたわけでもなく、個別の医師が手探りで診察結果をまとめていっただけなのです。どの人が、どれだけの被曝をしたのかの資料もありませんでした。

 今回、あからさまにはいっておりませんが、文科省は、
「ソビエトの避難区域は、おおげさ。」
といっています。

 核被爆の経験者である超大国の経験を軽んずるとは、いったいどういう了見なのでしょう?


http://onihutari.blog60.fc2.com/blog-entry-50.html より
Bq/kgとBq/m2の換算方法
単位が1キログラムあたりのベクレル数なので、これを平方メートルに換算して比較することは厳密には難しい。ただしいろいろ調べたところ、今中哲二氏が検討したことがある20倍にする方式と、安全委員会が文部科学省データについて回答したという65倍にする方式とがあるようなので、参考までに両方の方式で換算してみた。(※換算方法は採取した土の深さや土の質量によって違ってくるようです。農林水産省のように15cmくらいまで採取する場合はキログラムあたりの値が極端に小さくなりますので150倍にする方式で換算しないといけません)
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posted by いんちょう at 06:33| 原子力