2011年05月26日

海水注入中止問題(一番悪いのは誰か)

 海水注入については、昨日まで、責任のなすりつけあいでしたが・・

http://www.tepco.co.jp/cc/press/11052602-j.html
福島第一原子力発電所1号機への海水注入に関する時系列について
                            平成23年5月26日
                            東京電力株式会社
 当社は、本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力
発電所の事故に関し、事態の収束に全力を挙げて取り組むとともに、事実関係の
調査を進めております。
 こうした中、3月12日に実施した1号機への海水注入に関する主要な時系列につ
いて、これまでに以下の内容が判明しましたので、お知らせいたします。
<3月12日の主要な時系列>
12:00頃  社長が海水注入の準備について確認・了解
14:50頃  社長が海水注入の実施について確認・了解
14:53頃  淡水の注入停止(これまでに8万リットル注入)
15:18頃  準備が整い次第、海水注入する予定である旨を原子力安全・保安院等
      へ通報
15:36頃  水素爆発
18:05頃  国から海水注入に関する指示を受ける
19:04頃  海水注入を開始
19:06頃  海水注入を開始した旨を原子力安全・保安院へ連絡
19:25頃  当社の官邸派遣者からの状況判断として「官邸では海水注入について
      首相の了解が得られていない」との連絡が本店本部、発電所にあり、
      本店本部、発電所で協議の結果、いったん注入を停止することとした。
      しかし、発電所長の判断で海水注入を継続。(注)
(注) 関係者ヒアリングの結果、19:25頃の海水注入の停止について、発電所長
    の判断(事故の進展を防止するためには、原子炉への注水の継続が何より
    も重要)により、実際には停止は行われず、注水が継続していたことが
    判明しました。

                                 以 上


 最初の報道では、首相が停止を指示したということになっており、おそらくこれは本当でしょう。ですが、本当の問題はそこにはありません。そもそも、(本人の言葉は知らないですが)所詮素人、緊急時には玄人がその指示を聞いてはいけませんし、一番近くにいる人が命をかけて説得しなければなりません。。

 まず、一番目の問題は、地震翌日に発電所に視察に行ったこと。現場は大混乱ですから、こんなことをしてはいけませんし、させてもいけません。この日の首相動静(再掲)
首相動静(3月12日)時事通信 3月12日(土)5時57分配信
 午前5時31分、執務室を出て、内閣危機管理センターへ。
 午前6時8分、同センターを出て官邸エントランスで大地震を受けたコメント発表。同14分、陸上自衛隊ヘリコプターで官邸屋上へリポート発。班目春樹原子力安全委員会委員長、寺田学首相補佐官同行。
 午前7時11分、福島県大熊町の東京電力福島第1原子力発電所着。同19分、重要免震棟へ。同23分、東京電力副社長の武藤栄原子力・立地本部長による説明。池田元久経済産業副大臣同席。
 午前7時47分、武藤本部長による説明終了。同49分、重要免震棟を出て、同8時4分、陸自ヘリで福島第1原発発。


 このニュースを読んで、この時は少し安心しました。なぜなら、シビアアクシデントの日本での第一人者といってよい武藤副社長が担当しているとわかったから。
 原子力安全委員会の斑目氏が、何もわかっていないことは、東電上層部はわかっているはず。(もう、皆様もご存じのことでしょう)この人の助言は、電力会社は鼻から相手にしていないはずです。この視察を止めさせることができるのは、電力会社社員以外にいません。つまり,武藤副社長の役目だったのです。
 残念ながら、武藤副社長は技術部門の出身。しかも、発電所長という現場の汚れ役をした経歴がないまま、トラブル隠しの影響で副社長になりました。

 東京電力の原子力部門と一口で言いましても、それはそれは人数がたくさんいます。出身部門によって、どうしてもカラーが出ますし、異なる部門間を渡り歩くことは、それほど多くありません。
 ここで、ちょっと説明しておきましょう。

建設部門
 大きな金の動くこの部門は、一番の花形でしょう。工場の立ち会い検査、その他現場での監督、動くお金も桁違いに大きく、きれい事が通用する世界です。権限も一番あり、思い通りに協力企業を動かせます。

発電部門
 いわゆる発電所の運転を担当します。下に部下はおらず、自分たちだけで操作をします。以前も書きましたように、一番権力がないと言っても過言ではないでしょう。

保修部門
 発電所のどぶさらいです。大きなトラブルから小さなトラブルまですべてを担当し、どこに修理を依頼するか、また定期検査の日程、機器の管理などを行います。私のいるときには、計装、電気、原子炉、タービン、総務と別れていました。発電所の汚いところはすべて把握していますし、動かせる金額も、ほかの部署と比べますと2桁、3桁違います。あんまり覚えていませんが、私の所属していたタービン斑では、2プラントで年間100億円近い工事を発注していたと思います。(原子炉以外のすべての機器を扱ってました)

技術部門
 原子炉の運転管理を担当します。発電所では仕事をしていないのですが、使用済燃料プールの問題、核燃料の管理などをしているはずです。本店では、私はこの部門に所属しており、原子炉周りの安全性評価などをやっていました。

保安部門
 原子炉の放射線の測定、廃棄物の管理などをおこないます。線量測定は、この部門の人が行っており、放射線測定、管理のプロです。

 あとは、建築関係(建物)、資材(物品の購入、契約)などがあるのでしょうか。

吉田所長は、保修部門出身で、理屈はわかっていないが、現場のことがよくわかっている。
武藤副社長は、技術部門出身で、理屈はわかっているが、現場のことがわかっていない。

という分類になるでしょう。

 この首相の査察は、武藤副社長が職をとしてでもなんとしても止めないといけなかったでしょうし、海水の停止命令も現場の所長に判断させるのではなく、やはり東電原子力トップである副社長自ら、言うことは聞けないとはっきりと言うべきだったと思います。(東京電力は、お上の言葉には弱いのです。関西電力なら、謝ってでも何でも自分の意見を通しただろうと思いますが)

 首相、副社長の代わりはいくらでもいます。しかし、現在の発電所長を交代させて、後任が見つかるのでしょうか?現場の士気が落ちてしまっては、本当に収束できなくなってしまいます。このまま所長の責任にしてしまったとしたら、いったいどうなるのでしょうか。

 現場のことを知らない人がたまたま東電原子力のトップにいた。線が細かったため、菅首相に対抗できなかった。と分析します。

 以上のことを踏まえ、誰が一番悪かったかは、皆様ご自身でご判断ください。
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posted by いんちょう at 22:05| 原子力