2011年05月30日

年内の収束不可能−高度な情報操作例(熊日朝刊から)


本日の熊日朝刊1面から

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ネット上では、
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011052901000605.html

 なかなか高度な情報操作をしてきています。(政治並み)

・発言者が東電幹部として匿名(時々、政府筋などと発表されるのと同じ)
・きわどい内容だが、責任をとらなくてよい(名前のみオフレコ。記事にした人はもちろんわかっています)
・ある程度内容を漏らして、世間の反応を見る

でしょう。医療業界の2年ごとの保険改訂の際、決まっていないことでも、
「厚労省、医療費自己負担値上げ。」
などというアドバルーンがしょっちゅう上がります。その他、様々な内容でこの手法は使われます。

この中に

福島県楢葉町からいわき市に避難している男性会社員(57)は「正月は家に戻れると思っていたのに。期待が裏切られるなら、無理な工程表などなくてもよかった」と話した。

と書き、世論の反応を見ています。
 そもそも、6−9ヶ月というのは、正月までには大丈夫というために4月17日に発表した予定です。この9ヶ月後というのは来年の1月ですから、もしかしたら年内には終わらないかもしれませんよ。ということも実は発表当初より含まれてたわけ。

 別の幹部は「1〜3号機の収束作業は同時進行できていない。1基ごとに同様の遅れが生じると、9カ月という期限もギリギリだ。作業員には申し訳ないが、正月返上で収束にあたってもらうことになる」と話している。

 これは、大きな間違いです。まだまだ先が見えませんので、もっと長期間にわたるスパンに変更しないと、現場が持ちません。おそらく、この発言をしたとは、現場のことを全くわかっていない幹部でしょう。指示だけすれば、現場の人たちが動いてくれると思ったら大きな間違いです。

 東電 公式コメント 松本純一氏
6−9ヶ月が遅れることはないと思っている。


 発表から2ヶ月近くたっているのですから、この言葉だけで無理と思っていることはわかります。現在の工程表を訂正しないのであれば、現在から何ヶ月後ではなく、おそくとも○月までにはと発表してください。

また、燃料プールが早めに進んでいると公式発表内で指摘していますが、そもそも燃料プールを先に始末しないといけないのは、わかりきっていること。これをステップ2にしていることだけでも、この工程表が落第点なことはわかります。・・・私の私案(正しいとは全く思ってませんが)でも燃料プールを先行すべきなのは最初から明らか・・・

 再度指摘しますが、メルトダウンした燃料を処理する技術は、世界中どこにもありません。(もしあるのならば、チェルノブイリで実施されています。)
 非常に残念な言い方ではありますが、福島原発から融合燃料を取り出す日はいったいいつになるのか、それは誰にもわかりません。(God knows)

現在は、止める−冷やす−閉じ込める

のステップですが、最後の「閉じ込める」がわかるようになったときに、工程表と本当にいえる収束案です。私としては、どんな手段をとっても「閉じ込める」ことを最優先するしかないないと考えています。チェルノブイリと同じ方式を採用するしか、選択肢は残っていないのではないのでしょうか。。
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posted by いんちょう at 09:27| 原子力