2011年05月31日

浜岡5号機(4)−何が何でも運転情報

 浜岡原発のトラブルは、報道でほとんど触れていないためか、ブログのアクセスが多くなっています。現在までの、状況を喩えをまじえて、解説してみます。

 まとめましたが、どうしても釈然としませんでした。もう一度、プレス発表の基準を眺めてみました。
http://www.chuden.co.jp/resource/energy/hinf_about_03.pdf
・「原子炉施設保安規定に基づく放出管理目標値」とは,3,4,5号機は3〜5号機合計で希ガスが3.6×1015Bq/年,よう素131が1.1×1011Bq/年である。(原子炉施設保安規定第1 編第88 条)なお,1,2号機は原子炉施設保安規定に放出管理目標値を定めず,『排気筒における放射性物質(希ガス,よう素131)の濃度が,「発電用軽水型原子炉施設における放出放射性物質の測定に関する指針(昭和53年原子力委員会決定)」に定める測定下限濃度未満であるように努めること。』を規定していることから,当該測定下限濃度とする。(原子炉施設保安規定第2 編第43 条)
・「原子炉施設保安規定に基づく放出管理目標値」とは,1,2号機はそれぞれ9.2×109Bq/年(トリチウムを除く),3,4,5号機はそれぞれ3.7×1010Bq/年(トリチウムを除く)である。(原子炉施設保安規定第1編第87条,第2編第42条)


 ここにヒントがありました。

今回発表された外部への漏出量は、(中電発表より)
微量な放射性物質コバルト58を検出したことからお知らせします。 評価の結果、今回検出したコバルト58の全放出量は3.6×10E5ベクレルと推定しました。 これによる人体への影響は、3.8×10E-8マイクロシーベルト/年であり、これは通常1年間に受ける放射線量(1260マイクロシーベルト)の330億分の1程度と、極めて小さい値で人体への影響はありません。

 つまり、このまま運転を続けると、早晩、トラブルとしてプレス発表をしなければならない。それで、姑息にも原子炉浄化系をとめるという、判断を経営陣がしたのだと思われます。本当に愚かなことです。これを止めれば、どうなるか。ブログで書いたとおり(最悪は、廃炉)です。この決定がなされてしまうと言うことは、

・経営陣は事なかれ主義
・中部電力の原子力部門は、技術的に全く原子炉のことをわかっていないか、経営陣が決めたら、技術的に必要であったとしても、それ以上反論しないという迫力のなさ(海水注入を止めていたでしょうね。この電力なら)

です。

 現在の5号機は、誰もが経験したことのない状況(海水成分を炉内に長期間放置する)が続いています。原子炉浄化系は、すでに運転再開したのでしょうか?



 原発は、数本の細い綱の上を綱渡りしているようなもの。1本がぷつんと切れたとしても、下に落ちることはありませんが、ざっくり全部切られてしまうと、奈落の底に沈んでしまいます。

・福島の災害は、綱渡りの支柱が倒壊してしまった状況

であり、今回の中部電力のトラブルは、

・綱渡りのおおもとの綱に、たばこの火がついている。今、水で消せば問題にならないにもかかわらず、みんなから何で水を使ったのかと聞かれたくないために、とりあえず、燃えている綱全体にカバーをつけて、煙をとりあえず外に見えなくしている。綱渡りは終わっているが、綱渡りが再開できるのか、誰もわからない。炎が綱全体に行き渡らなければよいが・・・(綱のオーナーは、体面ばかり気にしている)

そんな状況。

おおっぴらに事故隠しを行う電力会社に、原子力発電所を運転する資格はあるのでしょうか?
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posted by いんちょう at 07:48| 原子力