2011年06月04日

浜岡5号機(5)・・炉内金属−溶解か?

 事故についての報道は、その後もほとんどされておりませんが・・・(なにせ、運転情報ですから)
浜岡原発:5号機復水器海水混入 中部電、公表ルール「見直し」 /静岡
毎日新聞 6月4日(土)11時29分配信
 ◇県や地元4市と相談
 すべての原子炉を停止した中部電力浜岡原発(御前崎市)5号機で先月14日、水蒸気を真水に戻す「復水器」に約400トンの海水が混入し、そのうち約5トンが原子炉に流れ込んだ問題で、中部電は3日、県に対し初めて調査結果を説明した。事故の公表が発生から約19時間後と遅れたことについて中部電は、「(発表基準を)県や地元4市と相談し、見直していきたい」と述べ、速やかな公表ルールに改めていく考えを示した。
 公表の遅れについては、川勝平太知事が「すぐに行うべきだった」と指摘していた。
 中部電静岡支店の杉山和正原子力グループ部長が小林佐登志・県危機管理監に面会し、説明した。トラブルの原因について、原子炉の水蒸気を冷やす細管に配管のキャップが外れて吹き飛び、当たって損傷した可能性などを調べているが、「特定していない」と述べた。
 小林危機管理監は「全国でも聞いたことのないような事故が5号機だけで起こっている。他の原発との設計の違いなどについて、運転を止めている間に徹底的に調査してほしい」と注文。タービンの羽根の損傷や、水素濃度の異常上昇など、5号機で度重なる事故に不信感を示した。
 杉山部長は「事故の共通点を調べるなど、今後同じようなトラブルが起こらぬよう対策を徹底したい」と応じた。【平林由梨】6月4日朝刊


 突っ込みどころ満載ですが・・・

トラブルの原因について、原子炉の水蒸気を冷やす細管に配管のキャップが外れて吹き飛び、当たって損傷した可能性などを調べているが、「特定していない」と述べた。

 誰が見ても明らかですが、まだストーリーができあがっていないので、特定していないというのでしょう。キャップに付着している金属片を、あるいは、細管に付着している金属片を調べれば、すぐにわかるはずです。(キャップは見つかっているのですから)

毎度、おなじみ?中部電力運転情報から

【運転情報】浜岡原子力発電所5号機の排気筒排ガスからの微量な放射性物質の検出について(続報)[PDF:189KB]
2011060402.jpg
 私には理解不能な説明です。

当社は、2011年5月25日に5号機排気筒のフィルタから、微量な放射性物質(コバルト58)を検出した事象について、対策をおこないましたのでお知らせします。
調査の結果、原因は原子炉への海水流入により、原子炉水の水質がほぼ中性からアルカリ性に変化したことで原子炉水中のコバルト58の粒子が通常状態より小さくなり、一部の粒子が収集槽の排気ダクトに設置している高性能粒子フィルタを通り抜け排気筒へ流れ検出したものと推定しました。
そのため、粒子の小さくなったコバルト58も除去できるフィルタを新たに設置しました。
対策が完了したことから、今後、原子炉水の浄化操作を再開します。


 アルカリ性とは、いったいpHはどのくらいまで上昇したのでしょうか?1週間近く、このアルカリ性に放置していたようですが、炉内機器、各種計測装置の健全性は大丈夫なのでしょうか?

 どうにも、アルカリ性になったら、粒が小さくなった。(+イオンになってしまったとのこと?)それで、フィルタを超えてしまったという説明は、私にはちょっと理解できません。(金属の専門家に問い合わせております)その程度の粒子大きさの変化でフィルタで濾過されるかどうか決定されるのでしょうか?そうだとすると、かなりすごい技術です(もちろん、このような技術があるのかもしれませんが、粒子の形状よりもイオン化しているかどうかが問題な気がするのですが・・・・(間違っていた場合には、この部分は訂正いたします。内容にかならずしも自信はありません)

 今回の対策は、単に放射能漏れを減らしただけで、根本的なところには、全く手をつけていません。

 どの作業を優先順位のトップに持って行くか(炉水内の不純物除去が最優先だと思いますが)、今回の中部電力が行った選択は非常に疑問です。

追記(2011.6.4 20:10)
 専門家とコンタクトできました。
・コバルト58は、もともと原子炉内に存在している。おそらく、原子炉内のニッケルを含む金属のさびのようなもの(粒子)が炉水中に存在している。
・通常はこの粒子がフィルターで取り除かれる。
・原子炉水がアルカリ性となったために、コバルト58がイオン化して、原子炉水中に溶けてしまった。
・陽イオンだから、イオン交換樹脂などで除去できるようにしたのではないか。
・錆のような固まりから、イオン化して水に溶けてしまったことを粒子が小さくなったと発表するのは、誠実な表現とは言い難い。
・さび(金属粒子)が溶けると言うことは、原子炉内構成金属も溶出しています。(2011.6.5 追記)pHどの程度か?まあ、微量とは思いますが・・・(だから、優先してこの系統は動かせといっていたのに・・)

 なるほど納得です。ここまで表現を言い換えるとは、さすがたいした作文力です。

タイトルを変更しました 2011.06.05 20:55
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posted by いんちょう at 15:41| 原子力