2011年06月05日

福島の思い出(11)・・研修社員のおしごと・中操の説明

 運転員の研修社員となった我々は、「研修社員」と書かれた白い腕章を 今や皆様おなじみの東電の制服につけ、現場を回ります。
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(この制服は本来現場用であり、本店勤務の時に着用したことは私にはありません。本店時代は背広とネクタイでした。・・・左胸のTEPCOマークが印象的です。1987年に導入されています。)

 最初の仕事は・・・お茶くみです。次のような表があらかじめ作られており、その通りに各直のはじめに用意。

当直長 コーヒー、クリープ2杯、砂糖1杯、マイカップ
副長 日本茶
枝野主任 紅茶、砂糖1杯、マイカップ
岡田主任 コーヒー、さとうなし、くりーぷなし マイカップ ぬるめ
前原副主任 日本茶、マイカップ
北沢運転員 コーヒー、クリープ1杯、砂糖2杯、マイカップ あつめ
石原運転員 日本茶、マイカップ
石井 コーヒー、クリープ2杯 マイカップ
前田 紅茶、砂糖3杯
出口 コーヒー、砂糖2杯、マイカップ

などという、各人の好みに合わせた飲み物を用意するのです。どれが誰のマイコップかを記憶して、毎回この通りに作るのですから、大変な手間。中操には女性は全くいませんでしたので(最近は違うようです)、全部一番の下っ端が担当します。(夜食も)

 現場のパトロールのポイントは、副主任が教えてくれました。これは、燃料プールのスキマサージタンク、水位がこれ以上下がったら、8mまで水はり(手動)意味も何もわかりませんが、とりあえず覚える。そんな感じ。

 また、配管図の読み方も教わりました。そもそもバルブの記号など、全く勉強したことなどありません。ところが、現場ではそれが大事。いつも
「だから、学卒社員は使えないんだよな。このくらいもしらないの?」
と小馬鹿にされていました。

 発電所の配管図というのは、それはそれは膨大でA3-B4?サイズの見開きで、100ページ以上あります。
たとえば、こんな配管図というのは、私の目から見たら、本当にお子様の絵画にすぎません。
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計装用の細かい配管が縦横無尽に走り、それらが互いに関連しています。一つの系統が、別の系統につながり、枝分かれしていく。原子炉に入る配管の本数も100以上あり、それでも模式図。さらに詳しくみていくためには、該当ページを繰らなくてはわかりません。

手動弁、チェッキ弁、バタフライ弁、AO弁、MO弁、オリフィス、・・・ 
記号の例


中央操作室の一例(1F-3号機) 東京電力提供
2011060502.jpg
・左から、右にかけてすべて3号機の操作パネル 
・上にある四角いパネルが、警報装置。1区画に60くらい?(かなり点灯しています・・定期検査中プラント立ち上げの制御棒引き抜き操作中?でしょう)
・真ん中に人が集まっているところが、制御棒操作の場所
・右側にぽつんと人がいる場所が、当直主任の座る場所(定期検査中でちょっと忙しい?)
・やや傾斜のあるところについている操作スイッチは弁操作用 緑が開、 赤が閉(開のバルブが多いようです)すべてAO弁かMO弁(空気作動弁か、電動弁)現場にあるバルブの1/1000もあるでしょうか?いや、1/10,000くらい、もっとでしょう。
・垂直に立っているところは、各種の計器、チャートが配置されています。写真一番左上は、原子炉の簡易系統図が表示されており、上は赤色ランプがついていますので、主蒸気配管、給水配管などのバルブは閉、下の方の再循環ポンプ?などのバルブは緑ですので開。運転中ではないでしょう。赤いランプは、逃し安全弁、主蒸気系統は緑なので、開。また、操作禁止タグが操作スイッチに全くついていないところをみますと、定期検査が終了して、起動試験の時か何かではないでしょうか(2011.6.5 訂正)
・真ん中に人が集まって、なにやらさし棒で示しています。これは、おそらく燃料関係を管轄する技術課のひとたちでしょうか?
・なおこの後ろにも 3−4つの この写真と高さが同じで、幅が半分くらいの大きさの垂直ラックがあり、無数のリレー、チャートがこれまたついています。

 何しろ膨大な機器を使用しているのがおわかりでしょうか?これでも、原子力発電所の中では、最も重要な装置を配置しているだけで、現場には現場の操作パネル、警報装置があります。

 運転員たちは、これらの機器をある程度理解し、中操に出てくる警報を元にバルブを操作して、現場をパトロールすることになります。(当然、シミュレーターで訓練することになります。)

運転シュミレーターでの訓練、実際のパトロールの様子などは、下記CMをご覧ください。
時々懐かしくて、何度かみてしまいます。パトロール時には、この動画に出てくるように、伝音棒?(なまえわすれました)を使って、モーター、ポンプの回転音を聞き、配管を手で触って、異常な温度になっていないかなどのチェックをよくしていました。

再掲です

 志が高い(原子力問題を真剣に考えている)とまではいきませんが、みんなまじめに仕事をしています。
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posted by いんちょう at 20:37| 原子力