2011年06月18日

浜岡5号機(6)・・こっそりとプレス発表

 昨日はなにか発表があるだろうと期待し、中部電力のホームページをチェックしていたのですが、特になにもなし。

 明日は要注意日なんて、書いていたおり少しばつが悪かったのですが・・・やはり、中部電力−期待に沿ってくれました(中部電力の読み通り、熊日にはこの記事は一切掲載されていません)この会社は、本当に悪質です。原子力を運転する資格は全くないと言っても過言ではありません。(プレス発表しているのに、ホームページに一切資料がないとは・・・)

【浜岡原発停止】
水蒸気漏れ細管破損か 海水流入2011年6月18日
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 中部電力浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)の復水器内の細管(直径3センチ、厚さ0・5ミリ)から海水400トンが漏れたトラブルで、中電は17日、海水が漏れた細管は金属製のふたが外れた再循環配管から強く噴き出した水蒸気によって破損した可能性が高い、と発表した。
 ふたが外れた原因について、中電がふたの断面を電子顕微鏡で調べたところ、溶接部分に接合が不十分だった部分が見つかった。もうひとつのふたにも溶接が不十分な部分があり、中電は「設計時点で問題があったのか、点検が不良だったのかを今後究明する」と説明している。
 また、これまで20本以上としていた破損細管の数は43本に増え、破損の範囲は幅14センチ、深さ70センチにわたっていたことも分かった。タービンを回した蒸気を冷やして水に戻す復水器内は真空状態のため、中電はふたが外れたのと同時に、再循環配管内の水が水蒸気となって噴き出したとみている。
 再循環配管は、復水器と原子炉との間を循環する水の量を減らす役割を果たし、原子炉の起動や停止時に使われる。中電は、この配管をふさいでいるふたが脱落していたため因果関係を調べていた。
 このトラブルでは漏れた海水のうち5トンが原子炉内に混入しているが、中電はこの日、海水の除去作業は来年3月ごろまでかかるとの見通しも示した。(中日新聞)


後ろに他の新聞も載せていますが、記者の方の理解力によって、それぞれ内容が微妙に違います。公式発表を載せるべきだと思う私の考えは間違っているのでしょうか?(月曜日に中部電力に電話してみます)

 さて、すべての記事をまとめると次のようです。

ミニマムフローのめくら板の溶接部が外れた。
・・・こんなところ点検するはずがありません。建設当初からの施工ミスでしょう。
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蒸気だけで損傷したとありますが、本当でしょうか?ほぼ、真空状態でキャップが外れたのなら、蒸気の流れに沿って、キャップも飛び、配管を損傷させたとしてもおかしくありません。キャップにほんとうにチタンはついていなかったのか?また、上記の写真も磨いた跡が残っており、おかしい(蒸気でさびが落ちたのかもしれませんが・・)この場所は、おそらくマスクが必要な領域ですから、記者陣には公開できないでしょう。

 再循環配管には1時間あたり530トンの水が流れており、400トンの水が流れ込んだとすれば、破損後2時間程度で系統隔離でしょう。これは運転操作の誤りです。水位も急激に上昇するはずで、すぐにおかしいことに気がつくはずなのに、どうしてこれだけ系統隔離が遅れたのか。そういったことに対する言及は全くありません(トラブル隠しのために、急激な系統隔離をしなかったと思われても仕方ありませんよ−中電さん)主蒸気弁隔離、給水ポンプ停止、ECCS(非常用炉心冷却系)起動を避けたかったのではないでしょうか。おそらく所長判断かなにかで。ここは、質問しなければならない重要なポイントです。・・ECCSが動作したら、これは完璧なトラブルで、保安院にもご説明に伺う必要がありますしね・・・

 中部電は原子炉に流入した海水の塩分除去を進めており、これまでの作業で塩分濃度は流入当初の410ppmから3ppm(保安規定は0・1ppm)にまで下がっているという。

 これは、原子炉隔離時冷却系原子炉冷却材浄化系を動作させているからでしょう。この410ppmがどの程度の影響を与えるかは分かりませんが、前も述べたとおり炉内金属が溶融しているのは間違いなく、相当深刻なダメージが原子炉に加わっています。

 細管の破損本数も前回の発表本数 20本 から 43本に増えています。 どうして、この発表が出るまで、1ヶ月以上かかるのでしょうか。こんなの、1-2日もあれば、すぐに出来る検査です。(毎回の定期検査ごとにチタンチューブのリークテストはやっています。ルーチンワーク)これは、あきらかに発表のタイミングを計っていたとしか思えません。

 この電力会社に原発の委託運営する勇気は、私にはありません。

いやはや、ひどい話しです。

あとは、その他報道各社の記事をまとめました。

 このあたりは、原子力の専門家はよく知らないのでしょう。だから、ほとんどどこも扱っていない。何度も繰り返しますが、トラブル、その後の運転の状況を見ますと、これは相当深刻な事態です。(中部電力の体質が非常によく現れている事例だと思います)
すべてのプレスを貼り付けておきます。
浜岡原発:5号機復水器海水混入 「建設時溶接工事の不備」御前崎市議に報告 /静岡
 中部電力浜岡原発5号機(御前崎市)で5月14日に起きたタービン建屋・主復水器での冷却用細管の損傷事故。海水約400トンが流入した原因について中電は17日、「建設時の溶接工事の不備による」との調査結果を発表し、トラブルが多発する5号機の信頼性に改めて疑問が突きつけられた。
 05年1月の運転開始以来、タービン羽根脱落事故(06年)、気体廃棄物処理系装置の水素濃度の異常上昇(08年)など、この約6年間に重大事故を多く起こした5号機。石原茂雄・御前崎市長が15日、「大変遺憾だ」と議会質問に答えたばかりだった。
 中電によると、脱落したのは冷却装置の電気駆動給水ポンプにつながるミニマムフロー配管(直径約20センチ)の先端に取り付けたキャップで、破断面付近に長年の使用で生まれる疲労模様が確認された。別の場所のキャップを切断調査した結果、同様の疲労模様があった。
 このため中電は「建設当初の溶接の仕方に欠陥があった可能性が高い」と判断。詳しい原因をさらに調べる。
 中電はこの結果を17日、津波対策の実施状況を確認するため訪れた同市議会の原子力対策特別委員会(柳沢重夫委員長、9人)に報告した。議員らは5号機の原子炉建屋やタービン建屋などを現地視察。物品搬入用の扉に新設された防水強化装置などを確認した。
 しかし、中電は5号機の海水流入について議員らに説明する場面や、事故現場である主復水器などはこの日、報道陣に公開しなかった。【舟津進】
毎日新聞 2011年6月18日 地方版


静岡・浜岡原発:5号機海水混入 配管溶接不良が原因−−中部電
 中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)5号機で原子炉停止中に復水器へ海水約400トンが混入した事故で、中部電は17日、復水器内の配管が溶接不良で破断して水が噴き出し、海水が流れる細管(厚さ0・5ミリ)を損傷させたことが混入の原因との調査結果を発表した。05年の5号機建設時の施工ミスで、復旧は12年度になる見通しだという。

 事故は5月14日に発生し、細管は43本が損傷、2本が変形した。配管破断と細管損傷はいずれも確認されていたが、初めて双方の関係が分かった。【丸山進】毎日新聞 2011年6月18日 東京朝刊


浜岡原発の海水流入、配管キャップ脱落が原因
. 中部電力浜岡原子力発電所5号機(静岡県御前崎市)で運転停止作業中の原子炉に海水が流入した問題について、中部電は17日、タービンを回す水蒸気を水に戻す「復水器」内にある配管のキャップが脱落し、そこから噴出した水の圧力で細管が破損したことが原因と発表した。
 細管には水蒸気冷却用の海水が通っており、そこから漏れ出した海水約400トンのうち約5トンが、給水ポンプを通じて原子炉内に流入したという。脱落したキャップは口径20センチの配管に溶接されていた。中部電が電子顕微鏡で調べたところ、金属疲労によって破断したことを示す特徴的な模様が確認できたという。
 中部電は原子炉に流入した海水の塩分除去を進めており、これまでの作業で塩分濃度は流入当初の410ppmから3ppm(保安規定は0・1ppm)にまで下がっているという。
(2011年6月17日22時23分 読売新聞)


主復水器内部で細管の損傷確認 浜岡原発の海水流入
2011/6/17 20:53
 浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)5号機で原子炉冷却水に海水が混じったトラブルで、中部電力は17日、タービンを回し終えた蒸気を水に戻す「主復水器」内部で、海水を通す細管43本が損傷し、2本が変形しているのを確認したと発表した。

 中部電によると、細管の損傷部と約90センチメートル離れた位置にある循環用の配管のふた(エンドキャップ)の溶接部分が破断、噴出した水の圧力で細管が破損したとみられる。ふたが外れた原因について、中部電は溶接に不具合があったとみて、詳しい原因を調べている。

 トラブルは停止作業中の5月14日に発生し、作業を中断するまでの45分間に細管の損傷部から約400トンの海水が原子炉冷却水に混ざり、このうち約5トンの海水が原子炉内に流入したとみられる。中部電は2012年3月までに塩分の除去を終える計画。


真空状態で水噴出、細管破損か=浜岡原発5号機の海水流入−中部電
 中部電力は17日、政府要請で運転を停止した浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)の冷却作業中に、タービンを回転させた蒸気を水に戻す「主復水器」に海水が流入した問題について、復水器内の配管のふたが外れて水が強く噴出、近くにあった海水を循環させる細管が破損したとの推定結果を発表した。
 同社はこれまでの調査で、配管のふたの脱落を確認。トラブルの発生当時、復水器内は真空状態にあり、ふたが外れたことで水が強く噴き出たとみている。引き続きふたが外れた原因などを調べる。
 このトラブルは、5号機の原子炉停止後、炉の温度が100度未満になる「冷温停止」に向けて作業を行っていた5月14日の午後4時半ごろ発生。中部電は、海水約400トンが流入し、そのうち5トン程度が原子炉圧力容器内にも混入したと推定している。
 原子炉建屋では海水流入当初の100分の1以下まで塩分の除去が進んでおり、タービン建屋を中心に今後も塩分除去作業を続ける。(2011/06/17-22:08)


浜岡5号機海水流入トラブル 復水器細管43本損傷(6/18 07:29)
 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)5号機の復水器に海水約400トンが流入したトラブルで、中電は17日、復水器内で海水が通る直径約3センチの細管43本が損傷、2本が変形していたと発表した。損傷状況などから破損箇所の前面付近にある直径約20センチの再循環配管のふたが落ち、配管から噴き出した水が細管に当たって損傷したと推定している。
 中電によると、再循環配管のふた(重さ約3・5キロ)と配管の溶接付近が破断していた。調査した結果、溶接時の初期欠陥が見つかった。溶接は2001年3月に行ったという。5号機の別の再循環配管も調べたところ同様箇所に溶接の初期欠陥を確認した。中電は溶接時にできた欠陥が使う中で損傷が進み、破断に至ったとみている。
 復水器はタービンを回した蒸気を冷やして水に戻し、再び原子炉に送る機器で、約2万1千本の細管が通っている。再循環配管は復水器から原子炉に送る水の一部を途中で復水器に戻す配管。原子炉の起動や停止時にのみ水が流れ、ふたには約3気圧の水圧がかかるという。ふたが外れた後、2時間ほど水が噴き出していたとみられる。
 中電は、今回のトラブルで約5トンの海水が原子炉内に入ったため腐食を防ぐ脱塩作業を実施し、「原子炉系は海水流入当初の100分の1以下まで塩分の除去が進んでいる」(広報担当者)という。海水は原子炉格納容器内の圧力抑制室などにも流入したとみられる。
 今後は6月末をめどに詳細な原因を特定し、本年度中に原子炉やタービン系の海水の除去作業を終える見込み。
(静岡新聞)

浜岡原発で細管43本が損傷 再循環配管から水噴出2011年6月17日 22時01分

 浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)で先月発生した海水漏れトラブルで、中部電力は17日、タービンを回した蒸気を冷やして水に戻す「復水器」内で、冷却用海水を流す細管(直径約3センチ)43本が損傷、2本が変形していたと発表した。
 中部電によると、復水器には約2万1千本の細管がある。損傷した細管から約90センチ離れた位置に再循環配管の金属製ふたがあり、ふた近くの溶接部分が破断、外れていた。さらに溶接部分の周辺に、小さな傷があるのが確認された。
 中部電は配管の溶接の際に、誤ってできた傷が金属疲労から破断、この部分から噴き出した水と蒸気が細管を損傷したとみて、詳しい原因を調べている。
 トラブルは先月14日夕、政府の要請を受けた原子炉の停止後に発生。海水約400トンが復水器内に流入し、原子炉に約5トンが流れ込んだとみられる。当時、再循環配管には1時間当たり約530トンの水が流れていた。
 中部電は近く、再発防止策をまとめ、本年度中に海水の除去作業を終えるとしている。
(共同)
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posted by いんちょう at 20:29| 原子力