2011年06月23日

3号機は燃料プール・・学会認めていた

 東電、保安院ともに、3号機の爆発については水素爆発というのみで、その水素がどこから生じたかについて全く明らかにしていません。

原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書 平成23年6月 より

W.福島原子力発電所等の事故の発生と進展から
一方、3 号機においては、3 月12 日11 時36 分にRCIC が停止したものの、その後にHPCI が自動起動し、引き続き原子炉水位は維持されていた。HPCI は、13 日2 時42 分に停止が確認された。HPCI 停止後、PCV 圧力を低下させるため、ウェットベントの操作を行い、13日9 時25 分頃から消防車による代替注水(淡水)を開始した。また、PCV 圧力の上昇に対して、PCV ベント操作が数回行われた。この結果、PCV 圧力は低下した。その後、14 日11 時01 分、原子炉建屋上部で水素爆発と思われる爆発が発生した。

 わざとでしょうか水素発生の原因を書いていません。IAEAの報告書でも報告しないとはたいしたものです。

 日本原子力学会のホームページから
 本日初めてみましたが、非常にしっかりしています。保安院、東電と比べるのは失礼なくらい。SPEEDIの結果報告などもあり、時間が許せばいろいろな資料を見る価値ありです。(英語版もあります)

福島第一原子力発電所事故からの教訓 (2011/5/9)から  (英文あり)
7. 使用済み燃料貯蔵プール冷却に対する教訓
a. 使用済み燃料貯蔵プールの冷却に失敗した。
全電源喪失後、使用済み燃料貯蔵プールの水位が低下し、使用済み燃料の除熱が不十分となり、燃料破損に至るまでには最低数日間の時間的余裕がある。
使用済み燃料の崩壊熱によりプールの水が沸騰、被覆管が酸化し水素が発生した可能性がある。使用済み燃料の発熱量はわかっていたため、時間的余裕を見誤ったか、他号機の事故対応に手一杯で対応できなかった可能性がある。
なお、4号機原子炉建屋破壊の原因は、現状ではまだ特定されていない
b. 建屋が破損した後の使用済み燃料の閉じ込めに課題がある。
水素爆発で建屋が破損し、使用済み燃料が万一破損した場合、放射性物質が大気に直接放出される。この場合、水位を確保することが重要となる。


 4号機の原因は不明と書いてあるのですから、この燃料プールの冷却失敗は3号機を示すのは明らかです。つまり、学会ではすでに燃料プールが3号機事故の原因になったと認めています。(水素爆発か核爆発かについては、触れられていません)

再度、3号機の燃料プールの状況
 このブログより・・
 水質分析も同時に行い、炉心の燃料がすべてプールに移されていた4号機の2000倍以上にあたる放射性セシウム137のほか、半減期がそれぞれ8日、13日と短いヨウ素131、セシウム136も検出された。
 東電は「(水素爆発の時期からして)検出されたのは、原子炉での核分裂反応で発生した放射性物質が溶け込んだものとみられ、プール内の燃料が破損して出てきた物質とは考えにくい」と説明している。

 これは、白々しいですね。再度、動画を紹介しておきます。

ちょっとした分析

原子炉の現状推定と事故から学ぶものから
2011062302.jpg
7.使用済み燃料貯蔵プールに対する教訓
a.使用済み燃料貯蔵プールの冷却に失敗した
b.建屋が破損した後の使用済み燃料の閉じ込めに課題がある
提言(短期)
(1)使用済み燃料貯蔵プールに対するAMを見直す具体的には、電源喪失直後に、消防車による注水ができるように準備する、プールのある運転床にある消火栓から注水ができるように準備する、あらかじめフレキシブルホースなどを設置して地上からの注水が容易になるようにしておくことなどが考えられる
(2)電源喪失しても予備電源などで燃料プール温度及び漏洩監視モニターを監視できるように電源を準備する
提言(中期)
(3)使用済み燃料貯蔵プールの自然循環冷却システムを導入する
(4)空冷の中間貯蔵設備を導入する  (筆者注 ドライキャスクのこと)
(5)シミュレーションによって事故挙動を評価し、4号機建屋破損の原因を調査・特定する。また使用済み燃料貯蔵プールの状況を調査する


 まさしくこの通りです。
・代替注水ルート
・予備電源
・自然循環システム
・ドライキャスク

など、今回の原発再起動対策に含まれていますか?使用済燃料プールについて全く触れていない状態で、運転再開は絶対に認められません。今までの流れをみますと、保安院はこの問題に全く気がついていないか、気がついていてわざと無視しているとしか思えません。また、原子力安全委員会はなにをしているのでしょうか?全く存在が見えません。

 さらに、恐ろしい事実

福島第一原子力発電所1号機〜3号機の現状推定 (2011/4/18)から
4.使用済燃料貯蔵プール
使用済燃料貯蔵プールに関しては、いずれも継続して冷却することが必要である。特に4号機の使用済燃料貯蔵プールに関しては発熱が大きいので注意を要する。
〔参考〕現時点の発熱量
炉心 使用済み燃料貯蔵プール
1号機 約1.4MW 約0.07MW
2号機 約2.4MW 約0.5MW
3号機 約2.4MW 約0.2MW
4号機   ― 約2MW


4号機の燃料プールの発熱量は3号機原子炉とほとんど変わりません。使用済燃料プールとまるで用済み燃料のように考えているのかもしれませんが、その発熱量、放射能量などその凶暴さは、原子炉と変わらないのです。

福島第一原発3号機の定期検査現場をマスコミ公開しました (3号機定期検査状況)。から
一応、保存しておきます。
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この中から燃料プールについて
2011062303.jpg
使用済燃料貯蔵プールに格納された使用済燃料により、空いている格納ラックにもチェレンコフ現象が現れます。左上の囲われた箇所にはMOX燃料32体が保管されています。
この定期検査は、2002年7月から。この時点ですでにMOX燃料が燃料プールに保管されています。(実際に使われたのは、2010.8.21から)利用許可が下りていないのに、燃料プールにおいてあるとは、かなり問題ではないのでしょうか?まだ、使用許可がおりていない他の原発の使用済燃料プールにもMOX燃料が保管されているかもしれません。こういう情報は、きちんと開示されているのでしょうか?(事故の際には、使用済燃料プール中の燃料がおおきな安全上の問題になります)
 今回の事故の際には、使用済燃料プール中にいったいどれだけの新品MOX燃料が貯蔵されていたのでしょう。

東京電力株式会社福島第一原子力発電所3号機において長期保管したMOX新燃料の健全性確認のための立入検査の実施結果についての原子力安全委員会への報告について

さらにこの元(東電のプレスリリースは、他電力に比べるとわかりやすいです。中部、九電ともプレス資料が簡単には探し出せません)
福島第一原子力発電所3号機の燃料プールに保管中のMOX燃料の健全性の確認結果について(PDF968KB)
福島第一原子力発電所3号機の燃料プールにおいて現在保管しているMOX新燃料(ベルゴニュークリア社/FBFCインターナショナル社製造)は、平成11年9月27日の発電所搬入後、10年以上水中にて保管してきた。(これは驚き・・・)

抜粋
燃料の組成変化の影響
MOX燃料は、燃料に含まれる核分裂性物質であるプルトニウム241が保管中に核分裂しないアメリシウム241に自然と変化していく特徴がある。

(ベータ崩壊で変化する・・電子のみが核からでて質量数が変わらず、原子番号が一つ増える)

そういえば、Gunderson氏もアメリシウムが見つかったとビデオで話しをしていました

 いろいろとつながります。
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posted by いんちょう at 23:18| 原子力