2011年06月26日

浜岡5号機(8)圧力抑制室への塩分流入経路

 浜岡5号機、塩分がありとあらゆるところにばらまかれています。既報ブログ

 もう一度、塩分による汚染状況を表示します。
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 なぜ、圧力抑制室に入ったのか不思議でしたが、最初の発表資料に書いてありました。

 まず、プレス文を書き抜きます。

当社は、2011年5月14日13時に5号機の原子炉を停止しました。 原子炉の冷温停止に向け操作を実施中、16時30分頃に主復水器の水室(A)内の水の純度を監視している導電率計の指示値が上昇し、その後、(B)から(F)全ての導電率計の指示値も上昇するとともに、原子炉水の導電率(原子炉冷却材浄化系)も上昇しました。 このため、復水器内で熱交換に用いている海水が復水系へ流入した可能性があると判断し、原子炉への海水の流入防止のため、給水ポンプ等による原子炉への注水を中止、および循環水ポンプ全台(3台)を停止しました。 現在、原子炉は安定しており、操作手順書に従い、冷温停止に向けて操作を継続しており、本日午後に冷温停止となる見込みです。

続いて第2報
事象発生当時、主復水器内は真空状態であり、細管損傷により細管内部の海水が主復水器内へ流れる状態でした。水室内にコバルト60が移行したのは、主復水器の真空を解除した後であると評価しており、真空解除前に海水の出入口弁を閉止していることから、コバルト60を含む海水の海への放出はありません。今後、水室内に残留している海水の処理を行います。

浜岡5号機、海水混入か 中電「原子炉に問題なし」(中日新聞−すでに消去されています)
2011年5月16日
 中電によると、5号機で14日午後4時半ごろ、タービンを回すのに使った蒸気を、冷やして水に戻す復水器内の水の不純物濃度が上昇した。復水器は内部を通る多数の配管に海水を流し、間接的に蒸気を冷却する仕組みで、配管から海水が400トン程度漏れたとみている。約3時間後に別の冷却系統に切り替え、作業を続けた。


・復水器が真空状態
・復水器伝導度上昇、原子炉内伝導度上昇

の2つがそろって、系統隔離に3時間かかったというのは、何度も書きましたとおり、上層部の意向が強く働いたとか思えません。そもそも、復水器というのは構造上海水のリークが起こりやすく(火力も同じ)、系統を直ちに隔離しないといけないというマニュアル があるはず。(直ちに隔離しないと、ボイラー・原子炉がやられます)

 で、この系統隔離後の冷却系統・・・
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 恐ろしいことに
−ECCS系統のポンプ・・高圧炉心注水ポンプ
−主蒸気逃し安全弁
−圧力抑制室

すべてに塩分がまんべんなく行き渡ったことが分かります。(約8%程度?)
特に主蒸気隔離弁は圧力バウンダリでもあり、相当深刻です。(普通に点検するだけでも1台100万円以上かかるでしょう。)配管に溶接してあるボディ部分(鉄合金)については、事実上交換不可能。
 沸騰しているのだから、塩分はそれほど圧力抑制室には移行していないと発表するかもしれませんが、それなら原子炉内に塩分がほとんど貯留していることになりますから、さらに事態は深刻。
圧力抑制室の塩分濃度を全く発表していないのですから、事態は深刻。(海水リークしてから3時間もこのルートを使っていれば、容易に想像できます)あるいは、サンプリングしていないのかもしれませんが。。


 また、改良型沸騰水原子炉から、インターナルポンプなるものが採用されています。
2011062619.jpg
この軸封部にも海水が入っています。

原子炉内の構造物、主要機器すべてに(故意に)塩分を行き渡らせてしまった中部電力。こんな馬鹿な運転をするとは、メーカーも想定していないでしょうから、復旧にいったいどれだけの費用がかかるかさえ、見積もり不能。(福島に技術者をとられているので、対応できるか自体が疑問ではありますが)

このまま、政府が再開許可を出してくれなければいいが・・・と思っているかも。(国に損害を請求できますので)

 一応、情報はすべて出してはきていますが、非常に解釈しにくい。

6月28日(火)
・株主総会
・民主党両院議員総会

とありますので、次回発表は6月28日午後の予定 でしょうか?
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posted by いんちょう at 09:25| 原子力