2011年07月09日

廃炉まで数十年−ようやく出た控えめな数字

廃炉に向けた工程表案明らかに7月9日 12時13分(NHK)
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、国の原子力委員会や東京電力などが検討している、中長期的な工程表の案をNHKが入手しました。この案では、廃炉に向けて最も重要となる溶け落ちた核燃料を取り出す作業を開始する時期の仮の目標を10年後に定めるとともに、最終的に原子炉建屋を解体し撤去するまでには、数十年に及ぶ作業が必要だという見方を示しています。

この工程表の案は先週、国の原子力委員会や原子力安全・保安院などの国の関係者のほか、東京電力や原子炉のメーカーなど、原発事故に対応する関係機関が一堂に集まった会議で示されたものです。それによりますと、廃炉に向けての作業は、まず1号機から4号機の使用済み燃料プールに保管されている核燃料の取り出しを3年後の2014年度の初めに開始し、2016年度の末以降順次各号機で終えたいとしています。
最も重要となる溶け落ちた核燃料を取り出す作業については、10年後の2021年度から開始することを仮の目標とし、必要な技術開発を進めていくとしています。この目標は、アメリカのスリーマイル島原発事故の処理でかかった時間などを参考に決めたとされています。しかし、福島第一原発の場合、スリーマイル島原発とは違い格納容器が損傷しているため、作業を進めるには、格納容器を補修し水で満たせるかどうかなどが重要なポイントになるとしています。最終的に原子炉建屋を解体し撤去するのは、これらの核燃料を取り出す作業を終えたあとのことで、工程表の案では、「数十年オーダーの長期に及ぶことが想定される」として、廃炉には長期間の作業が必要だという見方を示しています。
福島第一原発の事故の収束に向けた来年1月ごろまでの短期的な工程表はすでに公表されていますが、廃炉に向けた中長期的な工程表の案が明らかになったのはこれが初めてです。国や東京電力などは、この案を基に廃炉に向けた工程の検討をさらに進めることにしています。福島第一原発の廃炉を巡っては、細野原発事故担当大臣が、原子炉を安定冷却させるめどとしている今月中旬には、廃炉までを見通した中長期的な道筋を示したいという考えを明らかにしていました。

国や東京電力などが検討している中長期の工程表の案が明らかになったことについて、福島県大熊町の渡辺利綱町長は「廃炉に向けての作業は正直、ずいぶん時間がかかると思いました。それはそれとして受け止めて、町の復興計画とも絡んでくるので、今の時点では一日も早く原子力災害の早期収束に向けて、全力を傾注して復興計画をきちんと進めていきたい。また廃炉に向けての作業が長くかかることを悲観的に考える町民もいると思いますが、町民の皆さんが一日も早く帰れるようないろいろな政策をつくって、引き続き、国などにも放射能汚染に対する取り組みの要望をしていきたいと考えています」と話していました。


 残念なことかもしれませんが、これでもまだ甘い工程表だと思います。

1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめ 2011.5.14

で指摘のとおり

・使用済燃料のプールからの取り出し

が優先されました。

ようやく、本来あるべき収束方法が発表されていると思われます。現在着目されている汚染水の循環処理など、成功しようがしまいが、事故の収束には関係ないことおわかりになっていただけますでしょうか。

溶融燃料の取り出しは、

最も重要となる溶け落ちた核燃料を取り出す作業については、10年後の2021年度から開始することを仮の目標とし、必要な技術開発を進めていくとしています。この目標は、アメリカのスリーマイル島原発事故の処理でかかった時間などを参考に決めたとされています。

つまり、この溶融燃料を扱う技術は、人類は今のところ持っていないということ。残念ながら、今後も開発することはできないでしょう。高速増殖炉と同じで、後10年後には誰かが開発してくれるのではないかという根拠のない見通しに過ぎないのです。(チェルノブイリも25年たってもあの状況)現実的には、石棺処理しかなさそうな気がします(地元の反発が怖くて、発表できないだけかもしれません)

そもそも、スリーマイル島は、公園の散歩 と米国人が述べています。

 少なくとも原発周囲は、我々が生きている間に戻れる地域ではなくなりました。なぜ、半分素人の私にも分かる話が、今になってようやく出てきているのか。福島の避難民の方々の反発が怖かったからではないのですか?政府の情報公開の遅さが目につきます(じつは、菅首相も4月13日には、福島第1原発から半径30キロ圏内などの地域について「そこには当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか、ということになってくる」との認識を示しているのですが・・)

 また、福島原発から各地にばらまかれた高レベル放射能を収容する施設を、どこにつくるべきかはもう明らか。決断が必要なときです。
 福島および東日本の放射能汚染問題についても目を背けることはできません。いつまでも「風評被害」で済ましていては、なにも前に進みません。結論先送りではなく、強力なリーダーシップが必要な時期になっています。

 一度事故が起きると、この状況。たかが電気にこんな犠牲が必要なのでしょうか。

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posted by いんちょう at 21:19| 原子力