福島第一原子力発電所から20〜30キロ圏の緊急時避難準備区域にある福島県南相馬市の農家が出荷した肉用牛11頭の1頭から、暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)の4・6倍の放射性セシウムが検出された問題で、東京都は9日、残り10頭の肉からも、暫定規制値の6・4〜3倍にあたる同セシウムが検出されたと発表した。
いずれも流通していない。一方、福島県の調査では、4月下旬以後、同区域からは2924頭の肉用牛が出荷されたことが判明。県はすでに同市に肉用牛の出荷自粛を要請したが、さらに同区域全域で飼育されている肉用牛について畜産農家に出荷自粛要請を行うかどうか、検討に入った。
同県などによると、南相馬市や田村市の一部が入る同区域では、原発事故前、精肉になる肉用牛約5700頭が飼育されていた。農林水産省は4月下旬、この区域から出荷される肉用牛全頭を対象に、県が体の表面を検査などすれば出荷を認めると指導。事故後に見合わせていた出荷が再開されていた。
(2011年7月9日13時12分 読売新聞)
牛のセシウム、えさ・水原因か 体表検査は全頭クリア関連
福島県南相馬市の畜産農家が出荷した牛11頭から国の基準を超える放射性セシウムが検出された問題で、出荷前に県が行った体表の放射線量検査(スクリーニング)を全頭がクリアしていたことが分かった。農林水産省と県は、えさや水に含まれていた放射性物質による内部被曝(ひばく)の可能性が高いとみて、飼育状況の調査を始めた。
11頭を出荷した農場は、福島第一原発の事故に伴う緊急時避難準備区域にある。同区域からの肉牛出荷の際には、全頭スクリーニングが義務づけられている。県によると、この11頭も6月26日に検査を受けたが、いずれも数値はゼロだった
牛出荷の農家“原因調査を”(NHK)
7月9日 17時16分
放射性セシウムが検出された肉牛11頭を出荷した福島県南相馬市の畜産農家の男性は、NHKの取材に対し、「とても驚いている。しっかり原因を調べてほしい」と話しています。
この畜産農家の牛舎は、東京電力福島第一原発からおよそ30キロ離れた「緊急時避難準備区域」にあり、栃木県の企業から飼育を依頼された150頭余りの肉牛を飼育しています。農家によりますと、餌として与えていたのは去年近くで刈り取り保管していた稲のわらと、飼育を依頼されている企業から購入した輸入品の配合飼料だったということです。飼育用の水は深さ10メートルほどからくみ上げた地下水を使い、自分たちも飲んでいたということです。出荷の際には県の家畜保健衛生所の職員2人が牛舎に来て、スクリーニング検査を行い、問題はなかったということです。畜産農家の男性は「けさ、県から連絡を受けて放射性セシウムが検出されたと聞き、驚きました。原因が分からずとても不安です。水や餌なども含めしっかりと原因を調べてほしい」と話していました。
要点を抜き出します。
・20〜30キロ圏の緊急時避難準備区域肉用牛11頭から1500-3200Bq/kgの放射性セシウムが検出
・体表面の検査ではゼロだった
・飼料は去年のワラか輸入品
・飲料水は、深さ10メートルの地下水
1キロあたりのセシウムがこのレベルでありながら、体表面でゼロということはあり得ません。しかし、発表はゼロ
考えられる理由はひとつだけ。
・検査方法がおかしい。
福島では、現在どのような表面汚染レベルのスクリーニングになっているのか。
除染のためのスクリーニングレベルの変更について
平成23年3月20日 原子力安全委員会
原子力安全委員会としては十分な余裕をもって暫定的に除染のためのスクリーニングレベルを10,000cpm*としていましたが、実効性に鑑み、国際原子力機関(IAEA) が「放射線緊急事態の初期対応者へのマニュアル」において規定した一般住民の体表面汚染に対する除染の基準である1μSv/h(10cm離れた場所での線量率)というスクリーニングレベルに変更します。この変更によりスクリーニングレベルは、100,000cpm*となります。当該レベルは、健康に影響を及ぼす量ではなく、スクリーニングの目的を十分に果たすことができます。
*これらの計測値はTGS-136型GMサーベイメータ(5cm口径)を用いて計測した時の値である。
人間をこのレベルでOKとしているのですから、当然牛もこのレベルにあげているはずです。
少し分かりました。可能性は2つです。
・表面汚染レベルが < 100,000cpm
もしくは
・バックグラウンドレベル以下(原理上、バックグラウンド以下の放射能はカウントできません。数値はゼロとなります。)
バックグラウンドと同等の汚染だったか、もしくは規制値以下だったのでゼロと記載した(最近よくある発表方法です)のでしょう。
福島県は、この地域のバックグラウンドのカウント値を早急に明らかにし、実際の測定値がいくつだったのかを公表しなければなりません。
また、この地域の牛肉ですら、大甘と言われている日本の規制値の5倍。一体どこまで基準地域を越える牛が飼育されているのでしょうか。残念ながら、福島原発周囲(どこまでを周囲にしたらよいかの想像さえつきませんが)の牛については、厳重な検査を原発影響圏外で行う必要があると思います。
また、飼料は去年収穫、飲料水は地下水を当てていたとのこと。
・水
・飼料
が放射能汚染されていないとしますと、流入経路は
・空気
しかありませんが。早急な調査が望まれます。
昨日
・中長期的な工程表
・放射性セシウム牛
の公表が同時に行われました。何らかの変化が政治に起きている印象を受けます。
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