東京電力は17日、福島第1原子力発電所の事故収束に向けた工程表の第1段階(ステップ1)を終了した。原子炉を安定的に冷やすという主目標について、汚染水処理システムはトラブルが続きなお不安定だが、炉の温度は落ち着いており、おおむね達成したとの見解をまとめた。
政府と共同で19日に記者会見し、ステップ1の評価と、原子炉を冷温停止する「ステップ2」の詳細な計画を発表する。
ステップ1では、原子炉や使用済み燃料プールの安定的冷却と、放射性物質の放出抑制を目指してきた。当初、1〜3号機の原子炉の温度は不安定だったが、汚染水を処理して再利用する「循環注水冷却」の開始以降は100〜120度で推移し、急上昇もなくなった。敷地内に最大約12万トンあった高濃度汚染水も減少に転じた。
水素爆発を防ぐための窒素注入も1〜3号機で実現。燃料プールの循環冷却も2、3号機では前倒しで実施した。原発周辺の放射線量も減る傾向にある。
ステップ2では、汚染水が流れ込んだ恐れのある地下水を流出させないため、遮水壁の着工を前倒しすることも検討する。
安定的冷却=循環注水冷却
と説明してあります。なんだか、良くなったようですが、当初4月17日発表の工程表を引っ張り出してきます。(こういった時系列をつなぐ報道では、当初の発表を再度振り返り、矛盾点がないかをしっかり見ておく必要があります)
毎日新聞の4月18日報道(すでに消されています)から

目を疑うようなことが書いてあります。
ステップ1の原子炉(安定的冷却)
・窒素注入(達成)
・燃料上部まで水で満たす(水棺方式)1,3号機
・格納容器損傷部を密閉 2号機
うまくいったのは、全体としてはほとんど関係ない窒素注入のみ。それ以外は、循環注水が少しだけうまくいき、汚染水が全体として減ったことでしょう。2号機格納容器損傷部については、話題にすら上っていません。
核燃料プール
・循環冷却システムの復旧
・プールを支える構造物設置
樹幹冷却システムの復旧は、2−3号機のみ(1,4号機はまだ完了していません)
4号機の構造物設置は終了している模様です。
抑制(滞留水)
保管・処理施設の設置 (どうにか)
どうでしょうか。皆様の目にはどう映りますか?わたしはとても合格点にいっているとは思えません。このように政治的に日程が決められるのは大変危険です。評価は技術者が行うべきことで、政治家が行うことではありません。(技術者が信用できるかと言ったら、それも残念ながら疑わしいですが)
あと、東京都下水道局が発表している下水処理における放射能等測定結果から




驚かされるのは、7月4日の測定結果でも、放射性ヨウ素131(半減期約8日)が検出されていること。推移を見てみますと、ほぼ一定量を維持していますので、福島原発からいまだに放出され続けていることがわかります。
あまり考えたくない状況が続いていそうです。(この汚泥のレベルが、実際にどの程度かは私には評価ができません。)
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