保安院は当初、海江田万里経産相が第三者委員会設置を説明したのを踏まえ、「それ以上の話はない」として、寺坂院長の会見を拒んだ。しかし、中部電力が「やらせ」を要請した保安院職員を特定しているため、報道陣から寺坂院長の説明を求める要望が相次いだ。一転して会見した理由を、寺坂院長は「批判を受け、改めて検討した」と釈明した。
一方、「第三者委員会の調査には全面的に協力する」とし、内部調査の実施については「第三者委員会で一元的に調査するのが望ましい」として否定。「いま一度、原点に立ち返り使命感を持って職務に精励することが大切だ」と述べた。指摘された中部電力と四国電力の両原発でのやらせについて、「記憶を呼び起こしているが、そのようなことが行われたという認識はない」と強調した。【比嘉洋】
毎日新聞 2011年7月30日 東京朝刊
まあ、今更記事になっただけで、こんなことは原子力関係者および報道関係者にとって当たり前のこと。単に今までは怖くて書けなかっただけ。
海江田大臣も九州電力に対して、
海江田万里経産相は「人選も公平にやるように言った」としたうえで「九電が(やらせの指示を)やっているならけしからん」と答弁。事実の場合は、断固とした処置をとる考えを明らかにした
とはなしていましたが、面目丸つぶれです。
このあたりは、立地関係の時にいくらでも出てきます。以前ご紹介していますが、再度この本の中から
伊方原発
「原発の建設許可には、様々な手続きがいる。ここでは省略するが、そのうち、一番重要なのは電調審(電源開発調整審査会)を通過することである。伊方発電所は、全国で22番目に電調審を通過したが、完成したのは14番目である。伊方よりも先に電調審を通っていても、まだ、もめている原発が、たくさんある。伊方は、後戻りせずに、スピーディーに完工したといえる。」
スピーディーに完工したのは、安全審査を経て、総理大臣の設置許可がおりる以前から着工していたからである。つまり、用地買収の段階から四国電力は、クロをシロと言いくるめ、遮二無二、工事を強行してきた。その潤滑油がカネであり、カネが民主主義をつぶしてきたことを、彼は知っていて書いているのであろうか。
その一ヶ月前、町見漁協二見支所では臨時総会が開かれていた。誘致反対の漁民たちは、資格審査が曖昧だとして松田組合長を追求していたが、彼は突然議長を指名して開会に持ち込み、あっという間に「採決に入ります。賛成多数と認め可決しました」といったのである。「いった」というのは議長本人の話で、そのとき議場はつかみ合いの大混乱だったから、議長の声など聞こえるはずもなかった。議案も提案されておらず、議事録に署名するものもなかった。混乱状態で満場立ち上がっていたから、「起立多数」ということになったのである。
75年5月の「国際経済」誌のインタビューに対して、山口恒則四国電力社長は、こう語っていたのだった。
「われわれは国の政策でやれというから急いでやったわけでしょう。・・・燃料サイクルの問題の解決がついていないのに日本でどんどん軽水炉をつくっていく。本当におかしな話で、濃縮が日本でできるわけでなし、再処理が日本でできるわけでなし、とにかく発電所だけがどんどんできていくのは早過ぎます。」
この手の信じられない話が、あらゆる原発で出てきます。そもそも、監督官庁どころか、政府および国会議員が旗を振っていました。電力会社も最初は不本意ながら推進していたのでしょう。それが、四国電力の談話に正直に出てきています。しかし、月日が流れるにつれ、先のことを考えずに原発を推進することが目的となってしまったとしか考えられません。(オウム真理教の事件と、重なっていけません。社内にいるときにも同じだねと話したことがあります。)・・視野の狭い理系人間に任せてしまうと、仕事それ自体が目的になり、社会的なことを考えなくなってしまう。
中部電力もそんなに偉そうにいうなら、ケツをまくってやれとばかりに、自爆テロを仕掛けた印象さえ受けます。これが、関電、東電ならば、諾々と指摘に黙って頭を垂れていたことでしょう。沖縄電力以外の電力会社は皆同じ体質であるのは、間違いありません。
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