2011年08月06日

原子力発電入門(1)発電方法

 いつ終わるともしれない原子力発電災害が続いています。この放射能汚染に対して、もっとも敏感なのが子供を持ち、子どもたちの将来考えている「おかあさん」たち、その対極に位置するのが人生でもっとも大事なものをカネと思っている原子力利権人間たちです。

原子力利権人間は、原子力発電のある程度の知識は持っていますから、直感、感情で議論をしがちな「おかあさん」たちをハナから馬鹿にしています。自分たちは吹いてとぶような知識でしかないのにです。
−Mr.大丈夫は100mSvは、安全です。笑っていれば、放射能の被害はない
−原子力安全委員会は、常識的に考えて福島は爆発しない
などと戯れ言を平気でのべ、マスコミもそれについてほとんど検証することなく、垂れ流しています。

 原子力、ある程度の勉強は必要だと思います。今回は、下記に示すビデオを参考にしながら、原子力発電とは?からすこし説明したいと思います。英語が分かる方は、このビデオを見てください。原子力発電の基礎は、十分分かるはずです。日本人が書いた教科書は、基礎から説明することができていません。そうすると、足下をすくわれ、利権人間たちに馬鹿にされます。基礎さえ分かっていれば、そうそう変なことをいうこともなくなり、発言に重みが出ます。(もっとも私の英語能力はしれていますので、間違いなど指摘していただけますと幸いです)

Nuclear Power 101: Fairewinds Examines the Fundamental Advantages and Disadvantages of Splitting Atoms to Boil Water.

Nuclear Power 101: Fairewinds examines the fundamental advantages and disadvantages of splitting atoms to boil water. from Fairewinds Associates on Vimeo.



まず、1枚目。シンプルでありながら、原発のもっとも基礎を表します。
2011080601.jpg

電気を作るには、

・化学的な方法
・機械的な方法

の2つの方法があります。

化学的方法としては、有名なのは、

水の電気分解と逆方向で発電する燃料電池(家庭用もすでに発売されています)
2011080602.jpg

そして、皆様よくご存じの太陽光発電
2011080603.jpg

いずれの発電方式も、可動部分は全くありません。

もう一つは、機械的な方法
原理は簡単。磁石の間で導線を動かして、電気を作るのです。
2011080604.jpg
原子力、水力、火力などほとんど全ての発電方式は、この機械的な方法なのです。

たとえば、ペダル式発電自転車は、人力でペダルを回します。トップアスリートでも6時間程度が限度。一時間当たり、500Wの電気を発電できますから、

500W x 6 hour = 3kWh (日本の電力会社から購入すると、おおよそ60円程度)−米国はその半額

6時間運動するためには、約5,000円程度の食費がかかるので、経済的には全く見合いません。

風力発電は風で発電機を回し、
2011080605.jpg

水力発電は水で発電機を回します。
2011080606.jpg

この機械的発電の中に蒸気を使って、発電する方式が含まれます。
石炭、石油、天然ガスなどを使用する火力発電と、原子力発電です。
2011080607.jpg
上の原子力発電は、加圧水型(PWR: Pressured Water Reactor)

今回福島で事故を起こしたのは、下記の沸騰水型BWR(Bowiling Water Reactor)
2011080608.jpg

火力発電、原子力発電とも原理は全く同じ。

石油、石炭でお湯を沸かすか、原子炉でお湯を沸かすかの違いしかないのです。

そして、これが最も重要な基礎中の基礎。これをしっかりと理解しておけばいいのです。

原子力発電といっても、何も特殊で高度なことをしているわけではありません。たんなる原子力を燃料とした「やかん」と考えてください。

■原発入門シリーズ
  1. 原子力発電入門(1)発電方法
  2. 原子力発電入門(2)もっとも効率が悪い発電方式
  3. 原子力発電入門(3)原子力−莫大なエネルギーの見返りは放射能
  4. 原子力発電入門(4)ウラン燃料精錬−いったいどこがエコ?
  5. 原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?
  6. 原子力発電入門(6)放射能と放射線
  7. 原子力発電入門(7)原子力は急には止まれない。
  8. 原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気
  9. 原子力発電入門(9)−プルトニウム・・神話を超える管理
  10. 原子力発電入門(10)まとめ−絶対安全な原発は無理 
タグ:原発入門
posted by いんちょう at 20:51| Comment(2) | 原子力
この記事へのコメント
ガンダーセン氏は内部被曝の影響についてICRPとECRRの見解が大きく異なるが、チェルノブイリ原発事の疫学調査を行い100万人の死者が出たとするヤブコフ氏等の研究で内部被曝の影響を重大視するECRR有利の情勢に流れが変わったと指摘しています。専門家として院長先生の御意見をお聞かせ下さい。福島原発では被曝による死者は出ておらず今後もがん患者が汚染地区で0.05%増える程度だ、化石燃料で発電すれば大気汚染で死者は数十万人増えるから原発の方が安全と主張する人すらいます。代表的な原発推進派は池田信夫氏のブログと彼の主催するアゴラです。院長先生にはアゴラへ投稿され被曝の危険を訴えられることを希望します。
Posted by 本多敏治 at 2011年08月07日 09:01
私は被曝の専門家ではありません。

 内部被曝に関しては、肥田先生が日本の第一人者です。今は、過少に見せかけようとしていますが、早晩
・奇形児(発表されず、ストレスによる出生率低下となるはずです)
・平均寿命の低下

として、統計上現れます。しかし、100mSvまでは喫煙と同じだという学問もあり、医師の中ではどちらかというと内部被曝を軽視する状況であるのは間違いありません。

 血液検査、その他では全く異常を認めず、しかも全員がなるわけではない。

 アゴラは見ていませんが、電力のカネの亡者なのでしょう。聞く耳を持たない人に何を言っても無駄です。

彼らは、キサーゴータミーの狂った母と全く同じです。
Posted by いんちょう at 2011年08月07日 09:31
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。