100ワットの熱から、
30ワット の電気 30%
50ワット の電気 50%
60ワット の電気 60%
こんな感じです。例えば、熱効率が30%の場合、100のうち、30が電気エネルギーとなり、70が環境中に排熱として放出されます。熱効率が良いほど燃費が良くなり、無駄なエネルギーを放出することがありません。環境中に放出されるエネルギーは、もちろん地球全体を暖めることになります。
「原子力発電は、地球温暖化に貢献する」
とのスローガンを皆さんお聞きのことでしょう。原子力発電は、熱効率がいい のは当然だろ と思われるのではないでしょうか。
おおよその熱効率を示します。
原子炉(沸騰水型) 約 33%
蒸気を利用したありとあらゆる発電方式の中で、もっとも効率が悪いのが原子力発電なのです。
同じ100Wattの電気エネルギーを作る場合に、
原子力は、303Watt
コンバインドサイクル発電は 172Watt
の熱量が必要なことを示しています。
原子力の方が
303 ÷ 172 = 1.75
1.75倍もの熱エネルギーが必要な訳です。この無駄な熱エネルギーを環境へ大量に放出するわけですから、ただちに地球温暖化につながります。CO2だけに着目して、「原子力は、地球温暖化を考えています」というスローガンを叫ぶのは、詐欺以外のなんだというのでしょう。
もちろん、このことはエネルギーに関わる人間は、全員周知の事実であり、ペテンだと分かった上でこのスローガンを使っていたわけです。


逆に原子力発電

沸騰した蒸気が、そのままタービンに流れます。すなわち 単純なやかん と同じです。
効率を良くするにはどうするか
・蒸気の温度を上げる
・きるだけ乾いた空気にする。(湿度が100%よりも 80-60%と下げた方が効率が上がる)
原子力の場合は、蒸気の温度を上げることはできません。(メルトダウンしてしまいます)飽和蒸気圧(100%)で運転するしかないのです。
運転している蒸気の条件は
原子力
(沸騰水型)BWR 70気圧 約280℃ (100%)
(加圧水型)PWR 55気圧 約270℃ (100%)
に対して
火力 241気圧 566℃ (94%)
と全くお話にならないことがおわかりでしょう。
今日のまとめ
「原子力発電は、もっとも効率の悪い発電方式である。」
昨日の知識とあわせるだけで、原発問題点の1割程度は理解できているといえるでしょう。
(原発推進派のほとんどが、原発がもっとも効率が悪いことなどは知らないはずです)
わけのわからない推進派には、
「だって、原発って、効率が一番悪いんでしょ。」
と言い返してやりましょう。
料理好きなお母さんたちへ
炒め物料理をしていると考えてください
原子力・・・鍋を100度以上に加熱できず、じとっとしたおいしくない料理
火力・・・・鍋を200度以上に加熱し、からっとした料理
とイメージすると良いのではと思います。
補足 2011.8.7
発電所マニア さんからコメントをいただきました。
最近は、石炭でもガス化してガスタービンを回すIGCCが研究されています。
筆者注:もし、この発電方法が実用化されますと、もっとも燃料コストの安い発電方式となるのは間違いありません。
また、LNGでもコンバインドサイクルでなければ、熱効率は40%となります。
ありがとうございました。
こういった夢が全くなく、コスト削減のみに走っていたのが原発ですね。残念ながら。(優秀な技術者が敬遠するのは疑いようがありません。)
熱力学については、これ以上は私には分かりません。専門的な考察を読んでみたい方はこちらを。ランキンサイクル・・勉強したはずですが、初めて聞いた・・・・熱力学と量子力学・・私の頭では、両方とも全く理解できませんでした。
■関連ブログ
発電コストの厚いベールを剥がす−原発=安価は洗脳だった・・2011.7.21
■原発入門シリーズ
- 原子力発電入門(1)発電方法
- 原子力発電入門(2)もっとも効率が悪い発電方式
- 原子力発電入門(3)原子力−莫大なエネルギーの見返りは放射能
- 原子力発電入門(4)ウラン燃料精錬−いったいどこがエコ?
- 原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?
- 原子力発電入門(6)放射能と放射線
- 原子力発電入門(7)原子力は急には止まれない。
- 原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気
- 原子力発電入門(9)−プルトニウム・・神話を超える管理
- 原子力発電入門(10)まとめ−絶対安全な原発は無理
タグ:原発入門
発電効率が60%なのはガスタービンコンバインドサイクルを採用しているからで、燃料は必ずしもLNGでなくてもかまいません。石炭をガス化してガスタービンを回すIGCCが実証試験中です。
http://www.ccpower.co.jp/igcc/dimension.html
発電効率40%なのは再熱再生ランキンサイクルという発電方式を採用しているからで、古い設備ではLNGでもこのタイプがあります。
また,この方式が実用化された場合,液体ナトリウムではなく,普通の軽水を使って,高速増殖炉も実用化可能です.
また,発電効率は直接温暖化に寄与するわけでもない.
天然ガスGTCCで効率60%で発電したとしても電力を使う側で全て熱に変わるので,発電効率は関係なく全て最終的に100%熱に戻るということ.
最近のパソコン触ると熱いでしょ.効率60%で電気に変換したのが熱に変わってると.
ですので,これが温暖化の要因というなら全ての電気の使用を禁止しなければいけません.
招き猫又さん、地球温暖化に発電時の消費エネルギーが関係するとすれば、発電効率が高いほど温暖化は少ないといえます。確かに消費された電気は殆どが(冷房や冷凍機は例外)最終的には熱エネルギーとなりますが、発電効率が高いほど環境へ放出される熱エネルギーは小さいといえます。原発の場合発電効率は悪いがCO2を排出しないので温室効果が少なく、温暖化のみの観点から判断すると評価は分かれ定説はないようです。
熱変換効率は火力が上のようですが、最終的な効率はどうなるんでしょうか。
熱変換効率が火力に劣って居ても、それが安全のためであって、最終的な燃料効率がよくて、エネルギー依存の分散になるのであれば別に火力発電の代価・併用の理由としては十分では?
最終的に放射性物質の処理という問題はどうしても残りますが
太陽からの入力は174[ペタワット]=174*10^6[ギガワット]です。原発一つ当たりは大体いいとこ1GWでありますから、大体高性能な原発174000000個分の出力という事になります。
CO2が問題となっているのは、地球の温暖化に対してパーセント単位で効いてくる点にあるのではないかと考えられます。
太陽から入って来たエネルギーは、一度地球に吸収されて宇宙へ戻っていきます。が、それまでは、地球の温度を上げ続けます。
仮に0.0001%(10のマイナス4乗パーセント)の割合で今よりも地球にとらわれる量の増えた時、原発1740個分の出力が今に加算されて地球に加えられる事となります。
ところで、今の原発の総出力は366[GW]程度であって、熱の形で排出される分は730[Gw]という計算になります。
実際問題としてどの程度効いて来るかは不明ですが、地球の比熱は海水だけで5.754*10^9[PJ(ペタジュール)/K]あります。海水温が二度上がれば11.5*10^10[PJ]です。少なくとも科学者はこの程度は、地球が保持するエネルギーの増加があると考えて居るものと推測されます。そしてこれは当然、原発の出力なぞは考慮されることなど無いような値ですから、恐らくは上で示したオーダー以上に太陽からのエネルギーは蓄積されるものと思います。
そして、それよりも原発の方がエネルギーの大きい事なぞもちろん想像できないものであるわけで・・・総論としては、原発は温暖化には効果アリと見るのが順当ではないでしょうか。
無論、運用や廃棄物の問題は別問題として、ですが。
その海水上空の空気を暖め、飽和水蒸気量を増やし、日本を取り囲むように配置された原発で24時間、年間を通して水蒸気を供給し続ける。水蒸気はCO2よりもはるかに強い温暖化ガス。その湿った風が都市部に流れ込み、夏場なら、エアコンの使用量増加でヒートアイランド現象やゲリラ豪雨に拍車をかける。まるで部屋の中でストーブを付けお湯を沸かしながら、クーラを付けているような状態。涼しくなりたければ、まず、熱源を減らすこと。電力会社は幻の温暖化で自作自演をしているようなもの。
発電効率は関係なく全て最終的に100%熱に戻るが、電力生成に使用した熱量の総量が少なければ、気温も下がる。
つまり、効率良く発電した方が熱量の総量が減る。でも、一番良いのは、無駄に発電させないための、節電や省電力化。
あなたの比較はちょっと杜撰ですね。
まず”仮に0.0001%”という数値は太陽入力の全量に対する割合ですね。
この仮定は、現在の状態で何%が地球にとどまるのかの数値がわからないと妥当性が判断できませんよ。普通に何%ですか?
そして原発の出力を火力に置き換えた際に増加するCO2の量がもたらす影響であることを忘れずに。
それから原発の排熱はどこを暖めようとそのまま温暖化に寄与しますから、あなたの計算では原発の温暖化寄与は730[Gw]となります。これはあなたの計算では原発730基分です。厳密には同等の火力からの排熱分を差し引く必要がありましょうね。でも熱効率が段違いなので、余分の排熱量は3倍近く原発が多いです。
そのほか、ななしさんの言われるように水蒸気発生量も段違いに多くなりますから、それによる温暖化分を加えないとね。水蒸気の温暖化効果はCO2とはけた違いに大きいです。
大島さんの研究では、原子力発電の発電コストに、国費、賠償額、除染費用、交付金など様々な費用を含めている。1kwあたりの発電コストは、原子力発電は何と10万円以上!いやもっと高いかな。
原子力発電は、遠くに立地しなければならないため、送電線の塔、架線など沢山引かなければいけません。そのため、鉄材を沢山使うことになり、ほかの資源も無駄に使うことになります。送電ロスもバカになりません。それを考えれば、それでも原子力発電に賛成しますか?
地元の人たちには気の毒ですが、建設作業員、監視員とそれを顧客にする商店やホテルの従業員も、共犯者なのです。