2011年08月10日

原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?

沸騰水型原発の模式図
2011080608.jpg

ちょっと小さいですが、アニメーション
2011081001.gif

左側から見てみましょう。

(1)原子炉で水を沸騰させ、蒸気となります。
−原子炉の大きさは、110万kWで 直径 6m 高さ22m −

(2)その蒸気でタービン(風車みたいなものです)を回し、、
2011081002.jpg
・・これは中身・・

(3)復水器で蒸気を水に
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どれだけ巨大化おわかりになるでしょう。原子炉を回っている蒸気を冷やすために大量の冷却水が必要となります。日本ではおおきな河川はありませんので、海水を利用することになります。この海水は、もちろん原子炉の中には通常入ることはありません。海水は、循環水ポンプでくみ上げられ、放水路に捨てられます。約7℃程度の海水温上昇があったでしょうか。(自信なし)

(4)復水器で水になった原子炉水は、給水ポンプで原子炉内に戻されます。

(5)以降繰り返し。

よく考えると、蒸気機関車と同じです。原子力発電と言っていますが、結局蒸気機関車から何も進歩していないと言うことですね。

陸蒸気 さんのコメントから
蒸気機関車には明治時代までの飽和蒸気を使うタイプと大正時代以降の過熱蒸気を使うタイプがあります。
原発は飽和蒸気を使うので、正確には大正時代以降の蒸気機関車よりローテクの明治の陸蒸気レベルとも言えます。


 そうですか、明治時代の蒸気機関車レベルで、図体だけ大きくしたのが原発 ということですね。勉強になりました。ありがとうございました。

参考文献
原子力発電ってどんなしくみ?

■原発入門シリーズ
  1. 原子力発電入門(1)発電方法
  2. 原子力発電入門(2)もっとも効率が悪い発電方式
  3. 原子力発電入門(3)原子力−莫大なエネルギーの見返りは放射能
  4. 原子力発電入門(4)ウラン燃料精錬−いったいどこがエコ?
  5. 原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?
  6. 原子力発電入門(6)放射能と放射線
  7. 原子力発電入門(7)原子力は急には止まれない。
  8. 原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気
  9. 原子力発電入門(9)−プルトニウム・・神話を超える管理
  10. 原子力発電入門(10)まとめ−絶対安全な原発は無理 
タグ:原発入門
posted by いんちょう at 21:09| Comment(8) | 原子力
この記事へのコメント
蒸気機関車には明治時代までの飽和蒸気を使うタイプと大正時代以降の過熱蒸気を使うタイプがあります。
原発は飽和蒸気を使うので、正確には大正時代以降の蒸気機関車よりローテクの明治の陸蒸気レベルとも言えます。

Posted by 陸蒸気 at 2011年08月11日 10:36
沸騰水型原子炉についてなのですが。
原子炉の「5重の壁」というのがありますが、沸騰水型の場合、燃料棒に直接触れる水(蒸気)が圧力容器・格納容器・原子炉建屋という3つの壁を貫通して外部に出てくる構造になっています。一応、隔離弁というものがあって、非常時はそれが閉まるということのようですが、絶対に動作不良にならないとは言えないでしょう。
そう考えると、沸騰水型には、はなから「5重の壁」など存在せず、「2重の壁」(ペレット・被覆管)しか存在しないも同然なのではないでしょうか。
素人目には、沸騰水型は加圧水型よりも一見明白に遥に安全性が低いように見えるのですが。
Posted by 素朴な疑問 at 2011年08月11日 10:45
沸騰水型は、加圧水が頼りも安全だという議論もありますが、私には比較できる知識がありません。

 今回は、使用済燃料が爆発していますので、そちらは本当に無防備で、二重の壁と言って良いと思います。

今回の事故を見ますと一応五重の壁は存在していると思います。まあ、最後の砦の建屋が崩壊してしまったので、いくら多重であってももはや何の意味もありません。

この五重の壁は、素人を黙らせるために作られた虚構だと私は思います。・・この話が出るのは、まともに答えられない質問の時です。
Posted by いんちょう at 2011年08月11日 10:52
「五重の壁」について

津波が来る前に地震そのものによって原子炉周りの配管や格納容器に致命的損傷があったのではないかという疑問はメディアで報道されています。東電がそれを認めたという新聞記事もありました。現代ビジネス(電子版)2011年5月13日の記事ーーわずか数時間で「通報基準」の7倍!100倍を超えた作業員も。「封印された内部被曝」福島第一原発衝撃の実態ーー http://gendai.ismedia.jp/articles/-/4496?page=1 (今日確認しましたがまだ記事はあります、現代ビジネスで内部検索も可能)を是非ご覧下さい。

地震が発生し津波が来る前に直ぐに福島第一原発を逃げ出し二度と現場に戻らずWBCで内部被曝を検査した作業員の話が載っています。これが事実であれば「五重の壁」は何の役にもたっておらず、震度6の地震でも致命的損傷を受けることが分かります。
Posted by 本多敏治 at 2011年08月11日 16:13
低熱源(復水器?)と高熱源(炉心?)の高低差を大きくとれば、ポンプが動力源を失っても冷却水の自然循環が生じると思うのですが、建屋断面図をみる限り炉心は高い所に位置しています。耐震においても重量物が高所にあることは有利とは思えません。炉心の位置をもっと下に下げるという発想は当初からなかったのでしょうか?
Posted by hally at 2011年08月11日 18:55
hallyさん

復水器の圧力は復水(低温)の飽和蒸気圧となります。従って大気圧より低い圧力です。一方圧力容器の圧力も飽和蒸気圧ですが高温なので大気圧の約70倍あります。ですから復水器をいくら高い場所に設置しても自然循環で復水器から炉心に水が戻ることはありません。ポンプで加圧するしか方法はないのです。
Posted by 本多敏治 at 2011年08月11日 20:10
内部被爆の記事見せていただきました。
http://www.wa-dan.com/article/2011/07/post-135.phpから
 私が、こう言うのには理由があります。フクイチが地震と津波、どちらでやられたのかといえば、まず地震で建屋や配管、電気系統など、施設にかなりの被害を受けたのは事実です。地震直後、「配管がだめだ」「落下物がある」などと緊急連絡が殺到しました。制御室からも「配管や電気系統がきかなくなった」などと、すさまじい状況で、多くの作業員が逃げ出した。耐震性に問題があったのは否めません。

と最高幹部が認めています。そうでなければ、これほどまでに、復旧ができないはずはありません。おっしゃるとおりだと思います。
Posted by いんちょう at 2011年08月11日 20:12
自然循環では、崩壊熱を除去することはできません。そのために炉内を強制循環する再循環ポンプがあります。

 炉心を低くするのは、主蒸気配管の延長を意味しており、コスト的にも熱力学的にも取りうる方法ではないと思われます。
Posted by いんちょう at 2011年08月11日 20:13
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