まず、放射能と放射線の違い。この図がわかりやすいと思います。

この放射線と放射能の使い分けは非常に大事です。(ラフに書いています。専門家には文句をつけられるのは承知の上です)
放射線を浴びるのが、外部被爆
放射能を取り込むのが、内部被爆
いずれも避けるべきですが、特に怖いのが内部被爆です。
光を浴びるのと、懐中電灯を飲み込んでしまうのと、おなじくらい全く違います。(これが私のスタンス。もちろん、Mr.大丈夫をはじめとする御用学者たちはその正反対の意見。これについては、学者のあいだでも意見が割れています。)
ベクレルは、放射能を持つ物質の量(1秒当たり、いくつ放射能をだすか)
シーベルトは、本質的には外部から放射線を受けた場合の影響を評価する指標(内部被曝の評価に使うのは本来誤りと私は考えています)
ホールボディカウンターは内部被曝を調べる機械ですから、放射能の量・・すなわち ベクレル(cpm count/per minutes 一分当たりの放射能の数)で評価します。水・野菜・魚 なども内部被爆が問題ですから、ベクレル/kgで表示されます。
福島原発から放射能が飛散し、それが土地などに沈着。そこから、発する放射線を外部被曝(シーベルト)するとともに、野菜などに移行した放射能を食べて、内部被曝(ベクレル)を管理する。
そういった使い分けになります。
外部被曝(放射線)・・・シーベルト
内部被曝(放射能)・・・ベクレル
で評価すると考えていいでしょう。(本当は違いますが、この理解でとんちんかんな発言をすることはなくなるはずです。)
この表紙

「放射線がくる」ではなく、「放射能がくる」と書かれていることが理解できると思います。
次に放射線の種類


放射性物質が
アルファ線をだす・・アルファ崩壊
ベータ線をだす・・ベータ崩壊
ガンマ線をだす・・ガンマ崩壊
と呼びます
それぞれの粒子の特徴

アルファ線、ベータ線を遮蔽するのは、比較的簡単ですが、ガンマ線はかなり困難で、さらに核分裂の時などに発生する中性子は、水以外では遮蔽することができないことがおわかりでしょう。
しかし、体内に入りますと様相が全く異なります。体外にある場合は、皮膚などで跳ね返すことができたアルファ線、ベータ線が直接細胞に放射線障害を起こすことになります。いい加減とされているシーベルトの計算でさえ,
放射線荷重係数は、放射線の種類によって値が異なり、
X線、ガンマ線、ベータ線は 1
アルファ線は 20
中性子線はエネルギーにより 5 から 20 までの値をとる
と外部にいるときには全く問題にならなかったアルファ線が人体に非常に強い影響を与えると評価されます。
すなわち、アルファ線、ベータ線が非常におおきな意味を持つことになります。
例えば、次の資料
放射線の正しい測り方から



講演 野尻美保子 協力 早野龍五 菊池誠 八谷和彦
このマンガは、書いていることは正しいのです。もし、これが放射線防護服を着ている状態ならば、全く問題ありません。しかし、子どもの場合はどうでしょうか。セシウムがあり、ベータ線が出まくっているホットスボットに手を突っ込んで、口から消化器に入ったり、あるいは鼻から肺に入った場合の影響は?
内部被曝をするわけですから、当然ベータ崩壊核種も測定しなければ、生活の場をはかる場合には全く意味のない数値です。福島などでは、当然内部被曝がもっとも問題となるわけですから。
このマンガの原作者には、内部被曝をどのように考えているのか、是非ともお聞かせ願いたいと思います。
わかりやすく説明しましょう。例えば、セシウム137だけで汚染された地域があるとしましょう。そこに立ち入ることは禁止すべきです。なぜなら、この地域の大気にはセシウム137が浮遊しているのは間違いないからです。もし、この地域を通る人が、必ず全面マスクをしているのであれば、このマンガの測定法で全く問題はありません。外部被曝しか考えなくて良いわけですから。
ベータ線を除去してはかれば、 0.06μSv/hr
ベータ線を除去せずにはかれば、1.3μSv/hr
どちらの報告を重視すべきか?という話なのです。ベータ線を除去した測定値で、問題なしと判断して良いですか?ストロンチウムもベータ崩壊です。ベータ崩壊核種に汚染されている地域は、かえって危険なのです。測定できないアルファ線核種(プルトニウム)があるところは、いうまでもありません。
今後は、環境放射能測定の際にベータ線を含む場合と含まない場合の両方を測定すべきです。ベータ線を含まない値でもって、環境放射能を故意に低めに発表するのは大変問題だと思います。
しかも、この取り込まれたセシウム、ストロンチウムはホールボディカウンターでは計測されません。(ホールボディカウンターが測定できるのは、ガンマ核種のみです)
あとの判断は、この文章を読まれた方にお任せします。これは私の見解であって、異なる見解があるのは、十分承知しています。
・この核種は、ベータ崩壊だから考えなくて良い。
・プルトニウムは、アルファ崩壊だから外部被曝はしない
等のあたかも本当のようなウソに騙されないよう、こちらも十分知識を蓄えなければならないですね。(これも私の意見です)
Advanced(崩壊の意味)
アルファ線は、陽子2個と中性子2個 を含みます。 例えば、 プルトニウム 239の崩壊を見てみましょう。
資料はこちらから。以下おなじ

陽子が2つ減少 ・・・ 原子番号 2減少
中性子が2つ減少・・ 質量数 2(陽子)+2(中性子) = 4 減少
左上の質量数が4、左下の原子番号が2減っているのおわかりでしょうか。

原子番号が2減少するとは、上の周期表で左側に2移動すること。プルトニウム(Pu)の左2つめがウラン(U)になっていること、確認できますか?
次におなじみセシウム

これは、ベータ崩壊します。ベータ崩壊の中身は電子なのですが、この電子は、中性子から出ます。
中性子 = 陽子 + ベータ線(放出)
そうしますと、原子核の中の陽子が一つ増えることになりますので、原子番号が1つ増えます。中性子は陽子に変化するだけなので、質量数は変化しません。(中性子、陽子の重さはほとんどおなじです)

これは周期表です。原子番号が1つ増えるとは、右に1つ移動すること。セシウムがバリウムになることおわかりですか?
ガンマ崩壊は、原子核のエネルギーが変化するだけです。中性子と陽子の数は全く変わりませんので、元素名は変化しません。
では,次。おなじみストロンチウム。これは、ベータ崩壊を2回繰り返して、安定核種(ジルコニウム)になります。

原子核で右に一個ずつ移動しているの、おわかりですか?
次にヨウ素 ベータ崩壊とガンマ崩壊

次の周期表を見て納得できるでしょうか?

ここまで分かれば、放射能、放射線の知識は私と変わりません。
■原発入門シリーズ
- 原子力発電入門(1)発電方法
- 原子力発電入門(2)もっとも効率が悪い発電方式
- 原子力発電入門(3)原子力−莫大なエネルギーの見返りは放射能
- 原子力発電入門(4)ウラン燃料精錬−いったいどこがエコ?
- 原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?
- 原子力発電入門(6)放射能と放射線
- 原子力発電入門(7)原子力は急には止まれない。
- 原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気
- 原子力発電入門(9)−プルトニウム・・神話を超える管理
- 原子力発電入門(10)まとめ−絶対安全な原発は無理
タグ:原発入門
向こうは本職+カネが入ってきていますので、真正面を切った対抗は無理です。
事故分析などの物理的な解析などは、よくまとめてあったと思います。
推進派、反対派とひとまとめにせず、取捨選択がここでも必要だと感じました。
その使い方を説明するミーティングで解説していた学者さんの一人が野尻さんですね。
書かれていることは問題ないというのはここで書かれている通りで、あくまでガイガーカウンターに関する説明であり、被曝問題などについては別に扱われております。
なので、引用の仕方として不適当かなと思われるのですがいかがでしょう?
ただ、リンクが正確でない様ですので、貼り直して頂いた方が、良いかも知れません。
正しくは、次ぎのとおりです。
http://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-52.html
よろしくお願いいたします。
無断引用申し訳ありませんでした。わかりやすく見やすい原子式なので使わせていただきました。
原子番号と質量数が入っているのは余り見かけませんでした。
また、リンク訂正致しました。
今後ともよろしくお願いします。