・「止める、冷やす、閉じ込める」
・五重の壁
この2つさえ知っていれば、どこかの国の法務大臣のように何にでも答えられる秘密の言葉です。
「止める、冷やす、閉じ込める」
原子力発電所では、燃料として放射性物質(放射線を出す物質)のウランを使っていますので、外部に出さないための何段階もの安全対策をとっています。
仮に事故が起こったとしても、ウラン燃料が燃えている原子炉を「止める」、「冷やす」そして放射性物質を「閉じ込める」という3つのレベルで備えています。
実際に2007年に発生した新潟県中越沖地震で、東京電力株錐闃羽原子力発電所は被災し、微量の放射性物質の放出がありましたが、健康・環境への影響は心配のないレベルでした。地震後の調査で、「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」という機能は、きちんと働いたことが確認されています。

放射性物質を閉じ込める5重の壁
原子力発電所の安全を守るために最も重要なことは、周辺環境への放射性物質の異常な放出を防止することです。このため、原子力発電所は「5重の壁」を設け、放射性物質を厳重に閉じ込めています。

ありとあらゆる想定事象をこの2つの説明でごまかしてきたのが、推進派なのです。
さて、福島の原発災害を見てみましょう。

このスライドが、原発一番の問題を的確に表しています。
・核分裂で生じた放射性廃棄物が、何年間も崩壊熱を放出する
・原子炉を止めても(核分裂を止めても)、熱を止めることができない。5%の崩壊熱が残存する。
例えば、3号機の場合は、
784MWe x 3 x 0.05 = 117MWt = 117,000J/s
これは、1tonの水を5秒で沸騰させてしまうほどの熱量です。
実際、今回の災害の第一報

でも、「止める」がうまくいったことは書かれています。その後の崩壊熱除去がうまくいかなかったために、災害につながっているのです。
崩壊熱の推移グラフです。

これを止める手段はありません。時間の経過をまつだけです。従いまして、次の記事。
★米、空軍機で原発冷却材を移送 米国務長官が支援明らかに
【ワシントン=弟子丸幸子】クリントン米国務長官は11日、ホワイトハウスで開いた大統領輸出評議会で、東日本巨大地震で被害を受けた原子力発電所に、米空軍が冷却材を移送したことを明らかにした。原子炉の冷却機能が働かない状態に陥っている福島県の東京電力福島第1原発に移送したとみられる。
クリントン長官は「日本(の原発)は非常に高い技術水準にあるものの、ある原子炉で圧力が非常に高まっている。 冷却材が十分になく、一方で米空軍機は移送できる状態にあった」と説明した。
「日本国民と米国市民のため、可能な限りの深い関与ができるよう試みている」と語り、支援に全力を挙げる姿勢を表明した
おそらく、この冷却材は、核分裂を停止させるホウ酸水か何かでしょう。これを投入したところで、崩壊熱を止めることはできませんので(人間はそのような便利な物質を持っていません)、事故には何の影響も与えなかったことは、容易に想像できます。
すなわち、地震で原発が自動停止しても、その後数年間の冷却期間を経ないと、安全にはならない。
これが、原発の一番の弱点です。
「地震が起きましたが、原子力発電所は、安全に停止しました。」
の報道発表に安心してはなりません。
・原発は急には止まれない。
しっかりと記憶しましょう。
■原発入門シリーズ
- 原子力発電入門(1)発電方法
- 原子力発電入門(2)もっとも効率が悪い発電方式
- 原子力発電入門(3)原子力−莫大なエネルギーの見返りは放射能
- 原子力発電入門(4)ウラン燃料精錬−いったいどこがエコ?
- 原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?
- 原子力発電入門(6)放射能と放射線
- 原子力発電入門(7)原子力は急には止まれない。
- 原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気
- 原子力発電入門(9)−プルトニウム・・神話を超える管理
- 原子力発電入門(10)まとめ−絶対安全な原発は無理
タグ:原発入門
784MWe x 3 x 0.05 = 117MWt = 117,000J/s
これは、1tonの水を5秒で沸騰させてしまうほどの熱量です。
とありますが式中の「掛ける3」は何を示しているのでしょうか。
もしかして1-3号機を合計した値でしょうか。
日本は戦争を放棄したかわりに、原発を持つことによって、国を守る意図からでしょうか?!
不可解なことが多すぎですね・・