2011年08月15日

原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気

 核分裂によって生じる代表的な物質に,ヨウ素131, セシウム137, セシウム 134, ストロンチウム 90などがあります。

まず、セシウム137。
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この物質の半減期は、約30年。ある場所から除染などでなくなることはあっても、移動するだけ。消滅するわけではありません。

浅川町の稲わらからは、 約10万ベクレル/kgの放射性セシウムが検出されました。この稲わらが、10kgあったとしますと、100万ベクレルとなります。 (セシウム 134も考えると、 20kgで セシウム137 = 100万ベクレルでしょうか)

30年後 50万ベクレル
60年後 25万ベクレル
90年後 12.5万ベクレル
・・
300年後 1,000ベクレル
330年後 500ベクレル
360年後 250ベクレル
・・
600年後 約 1ベクレル

と400-500年たてば、ほとんど無視できるようですね。

このセシウム137の何が怖いか・・・

以前も紹介しました元素周期表
2011080807.jpg

この元素周期表で、縦が同じ位置にある元素は、その性質が似ており、生態が間違えて取り込んでしまうのです。セシウムの2つ上を見てください。
2011081502.jpg

K:カリウムがあります。

筋肉などを動かす際に非常によく使われている元素であり、その中でも動きが激しい、心臓に集まるとされいてます。 映画チェルノブイリハートより
2011081507.jpg

2011081506.jpg

次は、Sr=ストロンチウム この一つ上が Ca=カルシウム

ご承知のように骨に集まります。
2011081503.jpg

このストロンチウムが骨の構成元素として蓄積し、この放射能によって血液の工場である骨髄がガン化し、白血病となるといわれています。

 ヨウ素は、ご承知の通り甲状腺に蓄積し、甲状腺ガンの原因となります。
2011081508.jpg
チェルノブイリの首飾り
と呼ばれています。


以上は一例です。放射能を帯びた核分裂生成物の種類により、様々な臓器に影響を与えます。


しかし、IAEA, ICRP, そして日本政府は、このような内部被曝の被害は認めておりません。(患者の増加は認めないとの報告が出ています)従いまして、客観的証拠のみを重んじる日本人医師の大多数は−残念なことではありますが−ICRPとおなじ見解です。

■原発入門シリーズ
  1. 原子力発電入門(1)発電方法
  2. 原子力発電入門(2)もっとも効率が悪い発電方式
  3. 原子力発電入門(3)原子力−莫大なエネルギーの見返りは放射能
  4. 原子力発電入門(4)ウラン燃料精錬−いったいどこがエコ?
  5. 原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?
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  7. 原子力発電入門(7)原子力は急には止まれない。
  8. 原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気
  9. 原子力発電入門(9)−プルトニウム・・神話を超える管理
  10. 原子力発電入門(10)まとめ−絶対安全な原発は無理 


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われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011.6.26
タグ:原発入門
posted by いんちょう at 20:53| Comment(0) | 原子力
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