2011年08月21日

原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ

原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ読売新聞 8月21日(日)3時1分配信
 政府は20日、東京電力福島第一原子力発電所事故で高濃度の放射性物質に汚染された周辺の一部地域について、長期間にわたって居住が困難になると判断し、警戒区域を解除せず、立ち入り禁止措置を継続する方針を固めた。
 数十年続くとの見方も出ている。菅首相が地元自治体に直接説明し、避難の長期化を陳謝する方向で検討している。具体的な地域は、福島県双葉、大熊両町の原発3キロ・メートル圏内などを念頭に精査する。
 政府は4月、原発20キロ圏内を原則として立ち入りを禁じる警戒区域に設定。来年1月中旬までに原子炉が安定的に停止する「冷温停止状態」を達成し、警戒区域を解除する方針を示してきた。
 しかし、文部科学省が原発20キロ圏内の警戒区域内で事故発生後の1年間で浴びる放射線の積算量を推計したところ、大熊、双葉両町を中心とする35地点で、計画的避難区域などの指定の目安となる年間20ミリ・シーベルトを大きく超えた。原発から西南西に3キロ離れた大熊町小入野では508・1ミリ・シーベルト、同町夫沢でも393・7ミリ・シーベルトと、高い推計値を示した。 最終更新:8月21日(日)3時1分


 大熊町の汚染地域は、130万〜5700万Bq/m2(半減期30年のセシウム137のみで 70万〜3000万Bq/m2)でした。環境中の放射能半減期にはいろいろな意見がありますが、チェルノブイリをみてみますと、

放射性セシウムの恐怖 前編『除去を諦めたロシア』から

放射性セシウムの除去を諦めたロシア
 チェルノブイリ原発事故では大量の放射性セシウムを含む放射能が飛散した。放射性セシウムは非常に反応しやすい物質で、常に他の元素と結合した状態で発見されている。IAEAが行った環境影響調査結果では、「屋根材やコンクリートにも容易に結合している」と報告がされている。

社会を崩壊させる恐ろしい物質、それが放射性セシウム
 「人々は自分たちの村や町を捨てなければならなかった。広大な土地はただの空き地になってしまった。セシウムは社会を崩壊させる恐ろしい物質だ」
 半減期が長く、何でもくっ付く放射性セシウム。ロシアは何年にもわたり放射性セシウムの除去を試みるも、結局は諦めた。これは資金不足だけが原因ではないと、スタンフォード大学の物理学教授、ステインハウスラー氏は述べている。

2011082006.jpg
説明:黒線(Cs-137)が放射性セシウム。縦軸が残留濃度、横軸が経過年数。(10000日は27.4年)
 このグラフは放射性物質のそれぞれの減衰予想したもの。約27年が経過すると存在する放射性物質は放射性セシウムだけになり、これがほぼ100%になると予想している。

半減期は30年、実際は最長320年

 テレビや新聞で言われる半減期とは『物理的半減期』で放射性セシウムは約30年といわれている。しかし科学者は自然の拡散作用によって放射性物質の減少が促進され半減期が早くなるのではないかと予想していた。これを『環境的半減期』とよんでいる。この環境的半減期の予想は放射性ストロインチウムについては当たった。しかし、放射性セシウムは逆に環境的半減期が伸びていたのだ。理由としては幾つか挙げられる。

■土壌採取地点には、チェルノブイリ原発の付近から新たにセシウムが供給されている可能性がある。
■セシウムは地中深くの土壌にまで拡散している可能性がある。
 ことからチェルノブイリ付近における放射性セシウムの物理的特性は変わらないものの、結果としての環境的半減期は180〜320年になると算出している。もちろん、これはチェルノブイリに当てはまる例であり、福島第一原子力発電所ではまた別の結果がでることが予想できる。


逆に

札幌医大 高田純教授(放射線防護学)・・既報

は、環境放射能半減期は、30年より短いと主張されています。

 わたしはチェルノブイリの経験を重視しています。それでも、半減期を30年と見ると、300年で1/1000になります(正確には、1/1024)。

3000万Bq/m2の箇所は、

300年で3万Bq/m2
600年で30Bq/m2

となります。大熊町では、プルトニウムも10Bq/m2出ています。

プルトニウムは、2万5千年が半減期。

5万年後に 2.5Bq/m2です。

もっとも半減期のあいだにどこかにとび散るでしょうから、この計算通りにはならないでしょう。

原発周辺「20年住めない」=菅首相が発言、その後否定
 菅直人首相は13日、松本健一内閣官房参与と首相官邸で会い、福島第1原発から半径30キロ圏内などの地域について「そこには当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか、ということになってくる」との認識を示した。松本氏が会談後に明らかにしたものだが、首相は同日夜、「私が言ったわけではない」と記者団に語った。
 松本氏によると、同氏は首相に対し、避難生活を強いられている周辺住民の移住先について、福島県の内陸部に5万〜10万人規模の環境に配慮したエコタウンをつくることを提案。首相は賛意を示し、「中心部はドイツの田園都市などをモデルにしながら、再建を考えていかなければならない」と語った。
 ただ、松本氏はその後、「20年住めない」との発言について、「私の発言だ。首相は私と同じように臆測(認識)しているかもしれないが、首相は言っていないということだ」と記者団に釈明した。(2011/04/13-19:56)


 初期の報道を政府が再度認めたことになります。なぜ、4月の時点では報道を取り消したのでしょう。4月から何か、新しい知見でも見つかったのでしょうか。国民に対して、きちっと この経緯を説明すべきだと思います。

どなたかが書かれておられましたが、

・放射能は嘘をつかない

のです。

■関連ブログ
発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気2011.8.15
フクシマは、どうなる−除染は未完の技術2011.8.4
5700万Bq/m2(1500Ci/km2)の大地〜大熊町2011.7.27
原発安全神話虚構思い知る(熊日投稿採用)2011.7.17
すべては、本当のことを認めてから2011.6.21
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posted by いんちょう at 09:35| Comment(4) | 原子力
この記事へのコメント
死の受容の段階というのがあります。
近隣の住民にとっては、受け入れるのに、時間がかかるから、直後に本当のことをいっても駄目だということなんじゃないかと私は、3月には理解していました。

これは同様に農業不適切地域の農家にもあてはまります。
Posted by ロス at 2011年08月21日 10:37
広島長崎の被爆者の被害者意識と福島の二葉町、大熊町の住民の被害者意識には共通するところがあると私は感じます。原爆は日本が戦争を始めなければ、あるいはもっと早く降伏していれば投下されることはなかった。私自身が長崎の被爆者でありながら故郷の人が持つ一方的な被害者意識に違和感を持つ所以です。

福島の原発も1号機は福島県が地元振興の為に積極的に誘致しています。電源三法による交付金、原発の固定資産税、雇用の創出で原発は地元を大いに潤した。普通の発電所ではありえない巨額の交付金、補助金、寄付金は原発が危険だから出るのであって、安全なら出るわけがないのです。

チェルノブイリの原発は共産国ソ連が建設したもので住民が反対しても強権で建設される運命にありました。日本は民主国家です。過半数の住民が賛成したからこそ福島原発は建設された。少数の反対住民もいたでしょうが、反対派からみれば賛成派の住民は東電との共犯者、加害者にもみえるでしょう。その地元住人が今は一方的な被害者の顔をして補償を要求するのに違和感を感じるのは私だけでしょうか?補償金の大部分は私達の税金で支払われるのです。
Posted by 本多敏治 at 2011年08月21日 15:44
う〜ん、このグラフはミスリードを誘いますね。
他の放射性核種の方が半減期が早いのですから、
27年後にセシウムが100%になるのは当然です。
問題はセシウムのベクレル数が日数の経過とともにどのように減っていくかではないでしょうか。
ベクレル数の推移をグラフにすれば、セシウムと言えど、当然右肩下がりのグラフになるでしょう。
だからと言って、高汚染地域が数十年後に住めるようになるとは、自分も思ってはいませんが。
Posted by モコ at 2011年08月21日 16:16
初めまして、宜しくお願いいたします。

横レスみたいですが、ロスさんのコメント、私も同じ様に感じます。

日本は、原子力マフィア(海外メディア)による言論統制・情報操作で一般は原発・放射能・放射線に対する知識がほとんどありません。

正しい事を言えば、それが納得して受け入れられるかと言うと、決してそうではない。
まぜっかえす御用学者は腐るほど居てマスコミが取り上げ、風評だ、デマだ、不安を煽ると騒ぎ立てる。
原発建設してきた自民党は、4月当初は『住民感情を理解していない』と非難していた。

子供に急性症状が出て、食物に放射性物質が混入して、やっと母親達が振り向き、最近では様々な知識が急速に浸透してきた。

故郷に帰りたい思いにつけこみ、莫大な国税が無駄に注ぎ込まれかねない除染ビジネスが、被曝を拡大する事を懸念します。

多々問題は在るにしても菅首相以外、脱原発を進められる閣僚は居ない。最後に、フクシマは戻れない、諦めねばならないのだと言う事を宣告した意味合いは、大変大きいと思います。
Posted by でじたるコミック at 2011年08月22日 07:15
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