2011年09月03日

福島原発白血病症例−事前に東電はプレス済?年齢があわないが・・

初めてこられて右も左も分からない方は、目次から
なにか知りたいことがあるならば右側の検索ボックスを。(複合検索は不可)

Twitterの情報から
亡くなられた方と公表年齢が相違も引っ掛かります8/7午前、出入り管理作業を行っていた協力企業作業員1名が右膝の違和感を訴えたため同日午後いわき市立総合磐城共立病院へ搬送するも原因不明。その後8/8千葉社会保険病院にて再度診察受けた結果「外傷性右膝滑膜性血腫」

この症例は、ここによりますと、60歳代との発表です。

まず、この情報の出所を探ります。(Googleで検索して、すぐに見つかりました。)

福島第一現職発電所の状況 平成23年8月9日 p.2
2011090301.jpg

年齢のはいっている記事と差し替えました

急性白血病で作業員死亡 福島第1原発に従事「作業との因果関係なし」
2011.8.30 13:17
 東京電力は30日、福島第1原発の復旧作業に当たっていた40代の男性作業員が急性白血病で死亡したと発表した。この作業員の被ばく線量は0・5ミリシーベルトで、東電は「医師の診断によると作業と死亡の因果関係はない」と説明している。

 東電によると、男性は8月上旬から1週間、放射線管理などの業務に従事。体調不良を訴え診察を受けたが、その後死亡した。内部被ばくはゼロだった。就労前の健康診断では問題がなかったという。16日に元請け企業から東電に連絡があった。

 東電によると、急性白血病に関する厚生労働省の労災認定基準は年間5ミリシーベルト以上の被ばく、1年間の潜伏期間などがある。この男性の福島第1原発での作業は、基準に達しないという。同原発の作業に従事する以前の職歴については分かっていないが、東電は「これ以上調査する予定はない」としている。


(別記事)
作業員が急性白血病で死亡=収束工事「因果関係なし」−東電・福島原発(すでにリンク切れ)
 東京電力は30日、福島第1原発事故の収束作業に従事した男性が、急性白血病で死亡したと発表した。同原発での被ばく放射線量は累計で0.5ミリシーベルトで、東電は「収束作業との因果関係はない」としている。
 東電によると、男性は8月上旬から7日間、同原発で休憩所の出入りや放射線量を管理する業務に従事。勤務を終えた後に体調を崩して入院し、東電は16日に死亡の報告を受けた。
 勤務前の健康診断で異常はなかったという。被ばく量のうち、内部被ばくはゼロだった。(2011/08/30-12:25)


・年齢 60代 と 40代で異なる
・職業
・日付(8月上旬から、一週間)
年齢以外は、おなじ内容に思えます。

8/7 構内にある協力企業休憩所内において、出入り管理作業を行っていた協力企業作業員1名が右膝の違和感を訴えたため、いわき市立総合磐城共立病院へ搬送するも原因不明
8/8 千葉社会保険病院にて再度診察を受けた結果、「外傷性右膝滑膜性血腫」との診断。


この「滑膜性血腫」が非常にまれな病気であることは「滑膜性血腫」をGoogleで検索しても全くヒットしない(出てくるのは、この東電報告のみです。通常の病気では、Google博士が何の情報もはき出してくれないことは、あまりありません。現役開業医のあいだでも、試験問題を解くにはGoogleが一番使えるとの評判です。これだから開業医は・・・と大病院の先生からはおしかりを受けますね。・・・)ことからもうかがえます。
 文字から判断しますと、滑膜に出血が起きて、それが血腫になった。凝固機能に異常があるのでしょうか?

凝固異常で私が思いつくのは、
血友病
・白血病などの凝固系機能異常
・ワーファリンなどの抗凝固製剤内服中でコントロール不良

 原因不明で、さらに大きな病院に紹介されることはよくあります。(病院でも得手、不得手があります)そして、その紹介先の専門分野により、最初の診察をした病院がどのような疾患を頭に描いていたかもある程度分かります。
2011090402.jpg
千葉社会保険病院の地図

そもそも扉の管理とはいっても、現在の福島の状況は素人に任せて良い仕事なのでしょうか。

12:00の後ろくらいから。同時に扉を開けてしまっては、休憩所にいる全員が内部被曝してしまうわけです。結構重要な任務のような気もします。

 また、放射線の管理もベクレルだ、シーベルトだ と 訳が分からない話です(まあ、もうみんな知っているといえば知っていますが)

東電作業員 1295人所在不明
2011年7月1日
 東京電力は三十日、福島第一原発で四月から働く作業員四千三百二十五人のうち、千二百九十五人と連絡が取れず、被ばく検査を行っていないことを明らかにした。ほぼ三人に一人で、厚生労働省は十三日までに被ばく状況を報告するよう東電に指導を行った。
 東電によると、六月二十五日までに放射線量を測定したのは二千二百四十二人と、ほぼ半数にとどまった。残る半数が被ばく検査を済ませておらず、連絡が取れない千二百九十五人はすべて東電の協力会社の作業員。東電や厚労省は、会社を退職して所在がつかめなかったり、氏名が分からないケースなどがあるためとしている。
 一方、被ばく検査した作業員で、通常時の年間限度にあたる五〇ミリシーベルトを超えたのは十人。最高は一一一ミリシーベルトで、協力会社の社員。厚労省の担当者は「四月になってもこれだけ高い数字が出るのは異常だ」と話している。


通産省の地震被害情報(第246号)PDFから
<負傷者等の状況(9月2日14:00現在)>
・8月7日午前9時30分頃、福島第一原子力発電所構内にある協力企業休憩所内において、出入り管理作業を行っていた協力企業作業員1名が右膝の違和感を訴えたため、同日午後0時5分、いわき市立総合磐城共立病院へ搬送するも原因不明。その後、8月8日、千葉社会保険病院にて再度診察を受けた結果、「外傷性右膝滑膜性血腫」との診断。
・8月10日午後0時6分頃、福島第一原子力発電所集中廃棄物処理施設西側(屋外)において、草刈作業に従事していた協力企業作業員1名が鎌で右足を負傷したため、発電所医務室で治療後、午後1時12分頃にJヴィレッジに向けて搬送。午後2時11分、総合磐城共立病院へ搬送。身体への汚染なし。診察を受けた結果、「右下腿挫創」との診断。
・8月26日午後2時40分頃、福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋上部のガレキ撤去準備工事中に協力企業作業員が右手中指を負傷したため、5・6号機緊急医療室にて診察・治療後、同日午後4時5分、Jヴィレッジへ急患車で搬送。その後、同日午後5時32分、福島労災病院へ搬送。身体への汚染なし。診察を受けた結果、「右手中指先端部骨折」と診断。
・8月29日午前10時50分頃、福島第二原子力発電所4号機熱交換器建屋において仮設ケーブルのルート変更作業を行っていた協力企業作業員1名が、体調が悪くなり熱中症が疑われたことから、点滴治療を行ったうえで、同日午前11時26分、Jヴィレッジへの急患搬送車で搬送。その後、同日午前11時58分、Jヴィレッジからいわき市立総合磐城共立病院へ救急車で搬送。作業員の身体への放射性物質の付着なし。診察を受けた結果、「熱中症」の診断。


 この4件しか、発表されていません。

東電の発表によりますと、なくなられた方は、ご自身で病院を受診されたそうです。だとすれば、おなじ業務内容をされておられる方が、40代と60代と2人同時によく分からない病気になった−一人は白血病、一人は滑膜性血腫−ことになりますね。

「滑膜性血腫」について、整形外科医にたずねました。
・通常はあまりつけない病名
・血友病などで滑膜に血腫が起こり、それが滑膜炎を起こして、二次的に関節がうまく動かなくなることがある(私も経験しました)
・外傷性の血腫ならば、普通は前十字靱帯損傷などの病名をつける。


■関連ブログ

作業員が急性白血病で死亡=収束工事「因果関係なし」−東電・福島原発
2011.8.30
福島作業員の白血病診断が早過ぎる2011.9.1

福島第1原発の監視カメラに映し出された作業員の不可思議な行動2011.9.1

8月28日の原発監視カメラ映像より
東京電力福島第1原子力発電所の作業員の1人は、世界に向けたメッセージを抱いているようだ。

この作業員がいったい何を伝えたいのかは明らかになっておらず、この人物が誰かも特定できないことから、一層謎めいたものとなっている。しかし、その映像は印象的で、不穏でさえある。

福島第1原発1号機の北西約250メートル付近に設置された福島第1原発の監視カメラは先月28日の午前中、付近に現れた人物を映していた。防護服と防護マスクに完全に身を包んだこの人物は、最初は道にでも迷ったかに見えた。しかしその後、意図的にカメラに向かって歩を進めた。

この作業員はメモか携帯電話か、手に持った何かを見つめているようだったが、その後、非常に慎重にゆっくりと腕を上げてカメラのレンズを指差し、そこに立っていた。

そのまま20分ほどが経過した後、この人物はおもむろにカメラに近づき、保護マスクではっきりしない顔をレンズに近付けた。その後まもなく、カメラは再び福島第1原発の損傷した原子炉建屋の背後を自然に映す状態に残されたまま、この人物は姿を消した。

東電の広報担当者は、この不可思議な人物は原発作業員である可能性が高いが、防護服と防護マスクのために誰かを特定することは難しいと述べた。

さらに、同原発の数千人に及ぶ作業員の多くは契約作業員であり、中には1日だけしか作業を行わない者も含まれていることから、今回の謎の解明はますます難しいという。同広報担当者は、東電は今回の件について調査する意図はないと明らかにした。

タグ:白血病
posted by いんちょう at 14:03| Comment(11) | 原子力
この記事へのコメント
素人目で見ても内部被曝はないという情報は鵜呑みにはできないと思いました。原発関連の情報は事故当初から隠されていることが多いですし。
Posted by @grasshopper009 at 2011年09月03日 15:22
千葉社会保険病院って、すぐ隣が独立行政法人国立病院機構と千葉県がんセンターなんですねぇ。このへんがどうも。もhttp://bit.ly/r3lgCG
Posted by 千葉県民 at 2011年09月03日 15:36
東電が隠蔽体質であるという前提で状況判断せざるを得ない以上、
自分たちにできるのは、小出しにされる情報をひとつひとつ丁寧に照合し、
精査することだけだと思います。ご検証ありがとうございました。

行方不明作業員の件ですが、氏名を変えて何度も登録しなおし、
作業に従事させているのでは?という噂もありますね。
管理が杜撰でなければ、そのような噂も出ないと思うのですが・・・
Posted by Twitterから来ました at 2011年09月03日 15:54
この発表をした時の会見で記者から「この人は過去に搬送されたなどして報告された人ですか?」との質問に東電ははっきりNOと回答しています。

すぐにバレるような嘘をつくか疑問です。
Posted by m at 2011年09月03日 16:46
>放射線管理なのに名前が分からない。そんなことがあり得るのでしょうか。少なくとも、講習を受け、そして試験に通らないと、放射線管理区域の立ち入りなんてできないのです。

最初の疑問ですが、放管手帳を申告するときに、別の場所で放射線業務に従事したことのある人の場合、その経歴を手帳に書かなければなりません。それが面倒くさい、あるいはデータが整理されていないとき、作業に間に合わせるために、前の手帳は紛失したと申告したり、新規申請では氏名の一部を意図的に変えて申請することがあります。例えば「山崎」→「山ア」とか、「一郎」→「一朗」など。よく使う手ですよ。戸籍謄本を付けるわけではなく、運転免許証で確認したという欄に印を付けるだけですから。
このようにして大量の名前の分からない作業員が発生したと思われます。

管理区域に入る場合は、時間も定められた教育(講習ではない)は義務づけられていますが、試験は必要ではありません。ブログ主さんの勘違いでしょう。また、福島第一の例では、事故後はこの教育も満足にはできていないと東電自身が言っています。これも怖い話ですが。

Posted by キノシタ at 2011年09月03日 18:34
メルトダウンの件ですが、会見では3月下旬に「格納容器に穴が開いてるイメージ」という表現で認めていました。メルトダウンという言葉は嫌っているようでしたが炉心溶融は認めていました。記者もかなりしつこく質問していたのにそれは結局報道されませんでした。

東電は管理運営者として非はあると思います。ですが、それ以上に政府やマスコミの方に問題があると思っています。
Posted by m at 2011年09月03日 22:30
いったい、今までどのくらいの作業員の方が、病院に搬送されたのでしょうか。また、作業員の方だけでなく、搬送先の医療従事者の二次被ばくも大変心配です。
Posted by ほびっと at 2011年09月03日 22:57
こんばんは。
2時間ほど前の ツイッターを読ませて頂いていました。
協力企業の方達の部分です。
看護士さんたちとの 関わりのあたりです。
少し泣きました。
こんなに沢山のこと
発信できる 先生が羨ましいです。

現在 パーキンソン病の母を介護中です。
担当医が先生であったなら
もう少し 救われるよう気がしています。

今日も先生 更新お疲れ様でした。
貴重な発信 心から感謝しております。
お休みなさい。
Posted by kirokoro at 2011年09月04日 00:07
千葉市にはドクターヘリがあるから搬送されたような気がします。311の震災でも活躍しました。
放医研も千葉市にあります。
なぜ社会保険病院なのかは??
向かいの病院について他の方のコメントがありましたが、関係ないと思います。向かいの東病院は18歳の脳死者からの臓器移植(腎臓を60代女性へ)を行ったそうで、そんな野心的な病院だったのかとびっくりではありますが。
それと今後注目なのは、千葉県こども病院。病院では手に負えない専門的な症状の子を受け入れます。
千葉市にあります。周囲は緑に覆われ特に店も人家もない立地です。
また、千葉市は震災死のご遺体を受け入れ、火葬しています。311直後から、他の自治体が拒否するなか、千葉市まで運んで火葬しています。
なので、原発関連死のご遺体を火葬するにも千葉市ならスムーズにいくのではないでしょうか。
Posted by at 2011年09月06日 08:06
消防庁を管轄する総務省の資料では、消防搬送は8/10時点で20件、内12件が体調不良ですね。http://www.fdma.go.jp/bn/higaihou/pdf/genshiryoku/105.pdf
もっとも急性白血病だった方は数に入っていないようですが…
Posted by at 2011年09月07日 21:52
既にご存知かもしれませんが、本文最後の指差し作業者のかたの声明がこちらに
http://pointatfuku1cam.nobody.jp/
何たる真面目でマトモな若者であろうか。
大人たちはゆめゆめこの青年を見殺してはなりませんね。
Posted by 時をかける中年 at 2011年09月14日 22:52
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